ゆう’sful LIFE

感染予防と看護について考えたことや勉強したことを綴っています。

保育園/幼稚園のCOVID-19対策

2021年08月04日 | Weblog
県内の保育園/幼稚園へ県庁と市の方と伺ってきました。
保育施設へ感染対策について発信する情報を整理するためです。

保育園/幼稚園での感染者の発生状況は、単発例もあればクラスターもあるのですが
園児の陽性者の起点は同居家族、特にお父さんです(たまに高校生や大学生の年長の兄弟もあり)。

現在の流行の多数を占めている20-30歳代に該当するので、ここへの対策が課題です。
ただ、先日の高校生もそうですが、小さいなりに黙食をしっかりやっています。
子どもたちが、大人に言われたことを頑張って守っているのに
大人は自粛疲れとか、慣れたとか、言えてしまうんですね…。

園で感染者が発生すると、拡大検査を行い、その結果複数の陽性者がでることがあるのですが
やはり曝露時間の長さと関連しているようで
特に親が体調不良で、病院でPCR検査を受けて結果待ちの間に登園させていたりすると、幼児は無症状がほとんどなので二次感染のリスクが上がります。
園からは再三この点を注意喚起しているのですが、微熱だからとか、今日は良くなったからとか、いろいろな理由をつけては登園させていました。
結果的に、もっと長期で休まなければならなくなったり、休園になって多くの人に影響を及ぼすことになります。
私たちが考える感染の「心当たり」と一般の人の「心当たり」には少し重みづけの乖離があるように思います。

園で質問されたことで…
次亜塩素酸ナトリウムでの環境消毒―床やテーブルなどを行っているのですが、次亜塩素酸ナトリウムで清拭してから水拭きをしていました。
玩具も含めてあらゆるものを消毒していて、かなりの時間と労力を費やします。
園長先生も文科省の手引きには「普通の清掃でよい」とあるが心配で行っているとありました。
普通の清掃って、住居用洗剤を使って汚れを落とす清掃で、住居用洗剤とは即ち界面活性剤を含んているので、新型コロナウイルスには有効です。
手垢などを含む汚れも落としてくれるので、「消毒剤」という名前にこだわらずに使用するとよいと思います。
https://www.nite.go.jp/data/000111300.pdf

そして、アルコール噴霧は絶対にしないでください。
全身にシャーシャーかけても意味ないし、近くで喫煙者がいたら引火するかもしれません。


#stayhome

2020年04月07日 | Weblog
やっとというか、今さらというか、政府が非常事態宣言を出すそうです。
強制力が限定的な日本で、どれほどの影響力があるのか…という声もあります。

外来には、先週半ばからとんでもなく患者が増えました。
今日なんて、直接来院…しかも、PCR検査希望、陰性の証明書を求める公務員など、あきれるような受診行動も複数見られていました。
PHSは鳴りまくり、お昼を食べられたのは19時でした。

先週くらいから検査で陽性となっていたり、今日の受診患者でCOVID19だろうと思われた患者のほとんどの発症日が、先月末から今月末。
つまり、あの3連休におでかけしまくって、夜のお店に繰り出していた行動歴のあった人たちだった。
わかりやすい。
ネット公表のデータで追える限りエピカーブを描いてみると、3連休後に自粛を小池さんが強く求めて以降の発症者が減っている。
これは良い兆候だと思う。
テレビでは自粛せずに、巣鴨のお祭りに行く無鉄砲な高齢者や、罹ったら罹った時などと言っている無知な若者ばかりを報道せずに
自宅でどうやって過ごしているのかなど、模範的な人々を報道するべきだと思う。

医療崩壊は既に始まっている。
今日は、受け入れを断った患者が複数いた。
あの人たちはどうなったのだろうと胸が痛む。
あるいは、実施したら見つかったであろう検査ができなかったことで悪性腫瘍を見逃した人もいるかもしれない。
感染者が診てもらえないだけではなく、他の医療も圧迫するのだ。

一般市民はこれから知るのかもしれない。
医療崩壊の真の姿。
そして、その当事者に自分がなるのだということを。
そんな日が来ないためにも、家にいてください。
#stayhome




COVID-19が看護に警鐘を鳴らしているようだ

2020年03月24日 | Weblog
先週末くらいから、近隣医療機関からの患者依頼が一気に増えました。
パターンとしては
・発熱、咳嗽などの症状を呈する患者がクリニックなどを受診
・検査せずにいきなりCT→肺炎像あり(詳しい所見は紹介状には書いていない)
・保健所へ電話し、新型コロナ疑いという
・保健所から診察依頼→いや、そこで診れるでしょというレベルでも断れない、断ると患者がたらいまわし
・来院→まったく自宅療養可能な微熱と軽い咳

1人の患者に対してPPEと時間をかなり消費するので、クリニックには役割を果たしてもらわないと私たちのような医療機関が崩壊するのは時間の問題です。
この状況を改善してもらいたいと思っても、クリニックや個人病院は「疑わしい患者は診ない」という方向に舵をきっており、改善するつもりはなさそうです。

このままでは、ずるずると深みにはまるため
・保健所から紹介→患者から電話で状態を聴取
・軽症で経過をみれそう、同居人にハイリスク者がいない、衛生行動が守れそう、自宅の構造上無症状者と空間的分離ができる、あたりの条件を満たしていれば翌日午前中の受診を予約する
・ただし、夜間悪化の兆候がある時は、速やかに電話をして受診を検討するよう説明する。
・カルテを準備し、夜間の当直へ申し送っておく

という方法で、患者が五月雨式にやってきて、スタッフが出たり入ったりしないようにして
効率的に専用外来を回してみることにしました。
もちろん、重症患者は別ですが、ほとんどの患者さんは自宅療養が可能でした。

電話は顔が見れないので、電話を掛けたら、最初に「体調はいかがですか?大丈夫ですか?」と、まず聞いてあげよう。

この方法を実践するまでには、保健所へ提案し、検査結果待ちの患者を自宅で経過観察するという試みをしてみることが必要でした。
病状説明を医師がした後に、自宅療養について指導=相当個人に合わせて具体的に話す、不安に対してしっかり説明し、不安を解消する。
このプロセスが重要です。
陽性が疑われる検査中の患者の同居人たちが、その後の接触者検査で陰性であったことから
自宅で正しい療養生活と感染予防を実践できていれば、十分この病気と闘うことができると確信したのです。

それは、この感染症との戦いに、まだまだ希望が持てるということでもある。

この感染症は、基本的な看護がいかに実践できるか問われているような病気だと思います。
看護師が果たす役割はとても大きい。
看護協会からの具体的な発信がない(ポスター程度)のは残念です。
今、看護師のフィジカルアセスメント能力が低下しているとか、バイタルサイン測定で呼吸数を測らないとか、色々指摘されていますが
私たち看護師へ警鐘を鳴らしているようにも感じるのです。

この感染症は、人が病気になった時に、回復の過程を推進するために何をすべきか、何を整えたらよいのかが大切。
ナイチンゲールの看護覚書でも読み直してみるとよいと思います。

#新型コロナウイルス感染症





医療者として 人として

2020年03月10日 | Weblog
COVID-19のおかげで多忙極まりないのですが、記録として残しておこうと思い、この記事を更新します。
(内容は匿名性を担保するため、個人や場所が特定されないように一部改変しています)

COVID-19の対策は一言でいうと難しい。
潜伏期間も、環境中での生存期間も長め。
臨床症状は、初期は普通の風邪と変わりないし、ほとんどの人は1週間程度で自然に軽快してしまう。
初期の段階で、sick contactも何もない患者を見極めるのは、今は不可能に近いと思います。

未知の新興感染症だから、最初の対策はどうしても厳しめになってしまうものです。
正体がわからないから。
それを緩めていくタイミングや方法は、これもまた難しいものです。

テレビなどでは連日感染者数の増加や、死亡者の数、誰がどういう行動をしたのかなど、報道していますが
多くの人が元気になっているという事実もきっちり報道してほしい。
どうしたらいいのかも抽象的な報道ばかりで具体的でないものばかり。
保健所などの行政をやり玉に挙げて批判が多いけれど、彼らは不眠不休で対応しているのです。
煽るばかりの報道の在り方には、何を伝えて、何をしたいのか分からず、疑問を感じます。
報道って、伝えることで何かを変えたい(=感染をとめたい)のではないのでしょうか。
少なくとも、現状それを成しているものは、ほとんど見当たりません。

報道をみて、不安になった無症状の人が外来や電話に殺到して、本来業務に支障がでています。
丁寧に対応すれば、安心して帰宅されるけれど、その数も時間も尋常ではありません。

それは、クリニックや中小医療機関からも同じです。
迅速検査では、インフルエンザしかできないということで、CT上で肺炎像があるというだけで患者を送ってきます。
PCR検査はゴールではないし、丁寧な問診や経過フォローが大切なのに、データばかりで患者さんが置き去りになっていることが少なくない。
仲間の病院でもそういったこと増えています。
軽症で、去年だったら自宅療養としていたような患者さんが片っ端から送られて来れば
外来はパンクし、PPEが不足し、おまけに、休校の影響で出勤できない職員もいるので人手不足。
医療崩壊は、目の前に迫っているから、トリアージをしてなんとか振り分けて、不必要なPPEを使わないようにしています。

そのような状況では、受け入れをお断りされることもあるでしょう。
ある所に、肺炎患者の受け入れを断られた医師が怒鳴り込んできたそうです。
「俺がコロナと言ったらコロナなんだ!」
医療者のこういった発言は許せないなと思うし、人としていかがなものかと思います。

不安故のことなのかもしれませんが、どんなことがあっても他人にこういうことを言ってはいけません。
あなたは医師なのですから。
有事の時には、人柄というか、真の姿が垣間見えるものです。
私は、2009年よりも状況はよくないと思っているし、教訓も生きていないなと思っています。




Bentham Science Publishersの査読依頼

2019年11月07日 | Weblog
Bentham Science の雑誌から査読依頼をいただきました。
潜在的な査読者として登録されています的な文章と共に。

それで、返信しようとしたら、Editor ではなくて Publication Manager からの依頼であったことに気づく。
色々調べていたところ、興味深い記事を発見。
https://current.ndl.go.jp/node/13264

コンピュータで自動生成した偽物の論文を受理してしまったOpen Information Science Journalの編集長が辞任したとのこと。
それが、Bentham Science の雑誌なんだそうです。
他にも色々興味深い記事があり、はまりそうなので中断。

ともかく、今回のご依頼は、丁重にお断りしました。。。

超低出生体重児のCRBSIとマキシマルバリアプリコーションに関する前向き多施設研究

2019年11月01日 | Weblog
Maximal sterile barrier precautions independently contribute to decreased central line–associated bloodstream infection in very low birth weight infants: A prospective multicenter observational study

共同研究していた論文が、American Journal of Infection Controlに掲載されました。
日本発のNICU初エビデンスです。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0196655319305255?dgcid=author

第27回日本新生児看護学会学術集会

2017年10月10日 | Weblog
今週末は大宮で表記学会が、新生児成育医学会と共に開催されます。
今回は光栄にも、体験コーナーを担当させていただくことになりました。
http://square.umin.ac.jp/jann27/taiken.html

当日受付枠もあり、それは5年未満の基準をとるらしいので、関心のある方には来てほしいなと思います。
昨夜、病棟でお会いした先生の娘さんが、今年某病院のNICUの看護師さんになられたそうで、参加させようと思っているとおっしゃってくださいました。

このセッションは、2部構成にしています。

第1部では、症例呈示をもとにアセスメントから病態の理解とケア立案について学びます。
第2部では、実際のNICUの患者環境を再現しますので、それを見ながら感染対策の立案をしてもらいます。

目的
新生児感染症の病態アセスメントと、リスクアセスメントとエビデンスに基づく的確な感染対策を講じるためのスキルを身につける

学習目標
1.新生児感染症の兆候をアセスメントできる
2.感染リスクを評価し、感染経路を推定できる
3.エビデンスに基づいて、どのような感染予防策が適用できるかを理解する

今回は、NICUに精通した感染管理認定看護師、感染症看護専門看護師、大学院生さんたち5人にアドバイザーとしてサポートに入ってもらえることになりました。
初めての取り組みなので、近づいてくると色々思うところもあり、症例をいじり倒したり、講義内容を盛り込み過ぎてないかなあと思ったり…なかなか完成形に至っていません。
ぎりぎりまでかかりそうですが、良いセッションにできるように直前まで努力したいと思います。

うまくできますように。


「そ」と「こ」の使い分け

2016年11月15日 | Weblog
原稿を書く時に何気なく使っている言葉の意味や使い方についてはとても気を使います。
活字は永久的に残るものなので、間違えても修正がきかないからです。

さて、現在某雑誌のプランナーをしている企画のゲラをチェックしています。
自分が書いたものではなく、専門看護師と特定行為研修を修了した認定看護師に依頼した原稿をプランナーがチェックするのです。
内容にはもちろん異存はないのですが、日本語の文章としての体裁には???という部分がないわけではありません。

もちろん、自身の文章がよいとも思っていませんが、できるだけ正しい日本語で、そして美しい文章で発行されてほしい…と思うわけです。

ある方の文章に「このため」という接続詞が散見されるんですが、「そのため」との使い分けをわかっていないんだろうなと思います。
つまり、普段からそういう文章を何気なく書いているってことです。

いわゆる「こそあど」ですよね。
thisとthatみたいな感じ…でイメージすればよいのでしょうか。
「これは(this)」は、自分の手元にあるものです。
「あれは(that)」は手元から離れたものです。
あるWEBに帰属がどこにあるかという書きぶりでこのことが説明されていました。
それを参考にしつつ以下↓によりわかりやすく説明してみました…自分なりに。

先行する文で述べたことは読み手に属するものと考えて「そ」を使いますが、その内容を自分の手元において検討するという姿勢なら「こ」を使います。

例文:
”A子は受験生だ。それなのに勉強しようとしない。A子のクラスには受験に対する緊張感がないからだ。このような集団の雰囲気は…”

勉強しないという言葉はA子が受験生であるという先行する文章に密接に関係しているので「そ」を使っていますが、緊張感がないという集団の雰囲気に関する問題を自分の手元に置いて述べているので「こ」で始まっている...ということになります。
この文章をひっくり返してみると違和感があると思いますので、お試しあれ。

認定看護師:腹を決めてから目指すべし

2016年08月02日 | Weblog
昨日は某学校の感染管理認定看護師教育課程の講義でした。
サーベイランス演習のGW発表会で、デモデータを使用して分析した結果と新しい対策の提案についてプレゼンをするのですが、学生さんは結構てこずっていました。。。

ガイドラインで推奨されている対策だから…だけで提案がするっと通ったら、こんなに楽なことはありません。

自施設での費用対効果の検証結果や、研究結果による根拠に基づいて提案しないと難しいことの方が多いでしょう。
そういうことを学び、身に付けるために進学しているのですから、演習で完璧にできなくたって、学習の過程でできるようになっていければいいんだと思います・

認定コースの研修は予定がタイトで、試験やレポート、実習前の計画作成など、だんだん追い込まれていくんですが、大多数のCNICがそれを乗り越えて資格を取得しているのですから、なんとかなるはずですよね。
でも、学生さんの中には悲壮感の漂い方が半端ない人、そんな無理ですって言って少し逆切れ気味の人が結構いて、大丈夫かな…と心配になりました。
結局、卒業してひとりになってからもやらないといけないことで、臨床に戻ってからの方がずっとずっとスケジュール的には大変なんですよ。
学校で甘くして楽に卒業できたとしても、最終的にできなければ認定試験にも合格しないでしょうし、臨床に戻ってからは使えないICNだと言われかねないのです。
こういうのはクラスの風土というか、雰囲気に影響されるものだと思いますが、個人的にはあんまりよくは感じませんでした。

学校に来た時点でこれを生業として選択しているのですから、覚悟を決めてもらうしかないな…(ーー;) と思いながら、先生って大変だな---と思った次第です。

自分は本当にICNになるのか、腹はすわっているのか、今一度自分自身に問いただすことが必要なのかもしれません。

ごぶさたしています

2016年07月20日 | Weblog
ずいぶん長い間このブログを放置していましたが、いろいろ思うこともあり、再開することにしました。

読み返してみると2004年から書いていました、このブログ。
古い記事は、今から見ると幼くて恥ずかしいことをたくさん書いていました。
なので再開にあたって古い記事を削除しました。

今は病院で専ら感染管理の仕事をしています。
専門看護師として患者さんのケアに関することも関わりながら
東京大学の客員研究員として研究活動もしています。

忙しいことを理由にしていると、あっという間に時間が過ぎてしまうので
感染予防や看護について考えたことや勉強したことをブログを通して残してみたいと思っています。。。