ゆう’sful LIFE

感染予防と看護について考えたことや勉強したことを綴っています。

特定の職種を感染源と断定するのは

2020年06月06日 | 感染管理
昨夜、某局のニュース番組で「新型コロナウイルス第2波へ備えて」という特集番組でコメントさせていただきました。
とてもうまくまとめていただき、記者の方には感謝しています。

さて、ここでも院内感染に関するコメントを求められましたが
今朝、webニュースで気になる記事をみました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a4cc3d062afce03898cae65646b02ceae55cd4f

この記事の見出しはこうです。
「看護師が「感染の媒介」の可能性 集団感染の病院に指摘」
気になる部分を抜粋してコメントします。

「入院患者や医療従事者ら計133人の新型コロナウイルスへの感染が確認されたなみはやリハビリテーション病院(大阪市生野区)について、厚生労働省のクラスター対策班が調査報告書をまとめた。感染防止対策が不十分だった看護師らが院内感染を広めた可能性もあると指摘している。」
→院内で患者間の感染拡大に寄与する可能性がある職員(ここでは敢えて職員に限定)は看護師だけではありません。
直接接触する機会が多いのが看護師であることは自明でしょうが、たとえば手指衛生の遵守率について他の職種の方が看護師よりも低いという報告は多数あり、業界ではよく知られています。

「感染拡大の原因について、消毒などの感染防止策を十分に講じないまま病棟間を行き来していた看護師らが「感染の媒介」となった可能性を指摘。明確な感染源は特定できなかったと結論付けているという。」
→看護師は病棟間の行き来はあまりせず、まして他病棟の患者に直接接触する機会はほとんどないのではないでしょうか。
医師や理学療法士など、病棟間の往来を頻繁にする職種は他にもいます。
明確な感染源を特定することはできなかったと結論づけられているのにも関わらず、なぜ見出しに看護師が媒介と表現してしまうのでしょうか。

詳細は報告書にあり、クラスター対策班の記述を精読すれば、このような見出しにはならないのではないかと思います。
なぜなら、そのような特定の職種を名指しして、断定的に記述するような報告書を彼らが作成するとは考えられないからです。

また、流行真っただ中です。
終息気分で街中を闊歩している人も多そうですが、SARS-CoV2は日本や地球からいなくなったわけではないので、いずれまた大なり小なり流行するでしょう。
だから、医療現場は次に備えてやることが山積しています。
これまでの対策を振り返り、評価し、改善すること。
今後を予測し、いくつかの可能性にそって、計画を立てておくこと。
そんなオンゴーイングの時期に、医療従事者の気持ちを慮ることなく、逆なでしたり、やる気をなくすような行為はやめていただきたい。

一度でも、現場に立ち
一度でも、患者に接してみたらいい。
そうしたら、何も語らなくても、わかることがたくさんある。

ガウンをもって、マスクをもって、ゴーグルと手袋をもって、医療現場の中を見てみたらいい。




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