★we were on a break★

水曜どうでしょう 「迷走中」…最大の見所はエンディング?

『マリー・アントワネット』・・・お嬢様が描く、究極の先輩お嬢様

2007-01-23 23:19:23 | 映画
この作品のソフィア・コッポラの色彩のイメージは
“マカロン”だったと何かで読みました。
おいしそうで、なにより可愛らしいあのお菓子の、
まさにその通りのイメージ世界が続きます。
本当にお菓子好きにはたまらない映画です。

王妃マリー・アントワネットの有名な言葉
「パンが無いならお菓子を食べればいいのに。」
厳しい搾取に飢える民衆が
「パンを寄越せ」と叫んでいると聞いたマリーが
言い放ったとされる言葉です。
以前に誰かの本で
その言葉は悪女マリー・アントワネットを象徴する発言とされているが
実際は彼女はまったく民衆の実情など知らなかった、
彼女にとっては「パンがなければケーキを食べればいい」というのは
まさに“本気”の言葉だったのだ、と聞きました。
オーストリア女帝マリア・テレジアの娘に生まれ、
愛情たっぷりに育ち、
10代でフランス王家に嫁ぎ、
世継ぎを産む事だけを課せられた生活の中で
どうしてそんな民衆のことなど知りようか・・ということでした。
そしてこの映画でも描かれていますが、
そもそもその発言そのものが“捏造”されたものという説が主流のようですね。

この作品を見ると思います。
人類はなんと長い間、(250年もの間!)
この幼く、もしかしたら罪の無い女性に
“悪女”のレッテルを貼り、
その細い肩に重い罰を背負わせてきたのでしょう。
本当にバカバカしいくらいに。

考えてみれば
傾国の美女という言葉もあるけれど、
彼女一人の浪費で一国がつぶれるわけもなく、
綿々と続いてきた王家と貴族たちの放蕩、
政策のマズさが民衆の混乱を招いたのは当然のことですよね。
どこかにポイントを見つけ、
そこを総攻撃し、すべての悪をそこに押し付ける。
昔から人間はそういうことをやっています。
今もね。

愛すべきブサカワちゃん、
キルスティン・ダンストについては
賛否分かれるところでしょう。
シウは彼女のファンなので、
よくぞやった!!
と拍手喝采したいところです。
彼女の不思議な魅力は
王妃マリー・アントワネットを親しみの持てる隣のお姉さんクラスまで身近にしていて、
それでいて、凛とした気高さも見せていました。
茶目っ気がある、いかにも愛情いっぱいに育ったらしい楽天的な女性で
普通の人にしたら牢獄のようなヴェルサイユでの生活を
彼女らしく乗り切っている様子を上手く演じていたと思います。
きっとマリー・アントワネット自身もそんな人だったのかも。

思ったのはルイ16世も幸せだったんじゃないかなということ。
マリーはこの映画の中でまるで“妻の鑑”。
もちろん、とてもじゃないけど妻の鑑とは言えないようなこともしますが、
そこは現代の常識とは違う世界だからおいておいて。
どんなに不満があっても夫にぶつけない。
夫と目が合えば常にニッコリ。
他人によって選ばれた夫なのに素直に愛そうと受け入れる。
何度もベッドで拒否されるシーンで
今度こそは「あんた何なのよ。このボンクラ男!」
って言うのかと思いきや、
いつもニコッと「おやすみなさい。」を言うのです。
けな気以外の何者でもない。

もう少し周囲の男たちが利口だったら
マリーも幸せになれたかもしれないのに。

浪費の象徴とされるプチ・トリアノンが
素敵な場所として描かれていたのが良かったです。
プチ・トリアノンの私設ホストクラブみたいな感じは笑えたけど、
子どもと過ごす白いマリーは素敵でした。


お嬢様は住む世界が違うのです。
ソフィアもきっと子どもの頃から人々に注目され、
うまくいってもそれは当然、
親の七光りなどと陰口たたかれ、
失敗なんてしようものならダメ娘と言われ・・
きっとお嬢様ならではの傷口や痛みもあるのでしょうね。
そんな彼女が描く先輩お嬢様マリー。
とても面白い作品でした。

マリー・アントワネット

じゃすみんさん
Comments (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 硫黄島からの手紙が | TOP | 本日のランチ »
最新の画像もっと見る

6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうなんだよね。 (じゃすみん)
2007-01-25 07:25:45
私がもしそういう立場なら 途中で根をあげちゃってるかも。
同盟のためとはいえねぇ~。だって14歳なのに 全然知らない異国の地で あんなしきたりだらけの式。朝のお着替えで 「バカみたい。」っていってたとおり。自分で着替えれなかったり、いろんな人に声かけしなきゃいけないとか ほんと大変そう。ましてや夜まで・・・。

シウちゃんは 靴がいっぱい登場するところが 楽しかったんじゃなくて? 映画を観ながら シウちゃんのこと思い出しちゃったよ。
返信する
Unknown (CandY)
2007-01-25 10:33:29
あーこれ、香港でもいまやっていて
猛烈に行きたいんです!!

コッポラといい、王妃といい、
初めて告知を見たときから、惹かれてます。

でも英語が不安だから、悩み中。
マノロの靴、出てくるんですよね?
返信する
じゃすみんさん (シウ)
2007-01-25 23:49:40
うまれついての“王家の人”なのでしょうね。
一般庶民の、しかも現代の常識とはまったく相容れないものがあると思います。
それしか知らなかった彼女は、
偉いとか立派とかっていう誉め言葉ではなく、
今の私たちから見たら哀れですね。

靴が本当に素敵でした。
あまりに現実的ではない靴たちでしたが・・・。
返信する
CandYさん (シウ)
2007-01-25 23:51:41
ソフィアコッポラ描く王妃マリーっていうところ、
すごく興味深いですよね。
ぜひ見てみてください。
まるっきり現実的ではない世界が広がりますが、
あの虚像っぽさがマリーの幸せって何かで読みました。
マノロが担当だったんですか!!!
まったくもって美しい靴たちでしたよ。
返信する
宣伝 (あげは)
2007-01-26 16:33:26
テレビで宣伝を目にしますが、とっても可愛くて女の子なら惹かれますよね。
う~、シウさんの日記読んでますます観たくなりました・・・
返信する
あげはさん (シウ)
2007-01-26 21:44:09
あげはさんがこんな華やかな舞台の主役になるの、
もうすぐですものね!!
ぜひ見て欲しい映画です。
返信する

post a comment

Recent Entries | 映画