田舎はいやだ！

早くに父親を亡くしたシウ彼は
地域の役員みたいなこともやらなきゃならなくて
（というのも、家業を継いでいるので）
運動会の運営委員の１人なんだけど、
その話し合いでのことを聞いた。

なんと、その運動会に
２００万もの予算を使うそう。
それだけでも
かなりアホくさいと思ってしまうシウ。
ただし
お年寄りの中には楽しみにしている人もいるそうなので
仕方ないのかも。
予算のほとんどは賞品。
なにしろ賞品がけっこう良いみたいなのだ。
それに参加するだけで
記念品も大判振る舞いされるみたい。


近所にとっても美人で
性格がめちゃくちゃ悪い、超やなヤツ、Ｔ子さんがいる。
彼女、おそらく今年４０歳になるとのこと。

運動会の種目は年齢別になっているんだけど
運営委員の話し合いでそのＴ子さんを
４０歳から５０歳の競争にエントリしようってなったとか。

「たぶん、今年４０歳になるはずだから、名簿に出しておこう。」
って、運営委員の大方がそう言ったのだけど
シウ彼は
「絶対に間違いなく４０歳になるのかどうか確認しないと、
　Ｔ子さん、怒るよ！ホント、怖いんだよ、あの人。」
って反対したんだって。

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その話を聞いたシウ。

Ｔ子さんは怖いし嫌いだからどうでもいいけど
その前に
運営委員という立場で知り得た情報を、
当人の了承もなく、公にしていいわけないじゃん、と反論した。

４０歳か３９歳かという問題じゃなくて
誰が見るかわからない名簿にフルネームと生年月日を載せるなんてありえないでしょ。

そういうことにマヒしている田舎の感覚が許せない！と
猛然と怒ったよ。

シウ彼も言われてみればそうだよね。と納得。
もう何十年もそういう風にやってきたから
誰もそのことに疑問を持たないんだって。

シウが前に住んでいた地域でも
そういうことがあった。

○○地区、住人名簿
なるものが配られていて、
見たら
家族構成から、住所、電話番号まで事細かく、無断で掲載されていてびっくりした。
シウ家はシウが代表になっているから
女性世帯なのがわかるし
そんな広い範囲の人々が見るなんて不用心。
しかも、シウは“愛人宅”だと思われていたし。

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運営委員会の人の言い分としては
種目のエントリに名前を出してしまわないと
運動会に誰も来ないから。

というものがあるみたい。

まて！
それもおかしいだろう。

そもそも誰も来ないようなものなら
やり方を変えるべきなのだ。

エントリに名前が出ていて来ていないと
地域の行事に出てこない、という
レッテルを貼られるのだ。
田舎ではけっこう貼られたくないと思う人が多いみたい。
（シウはまったく構わないけどね。そんなレッテル）

そんなの脅迫じゃん。

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自分はけっこう理不尽なことを言いまくっているけど
田舎ならではの理不尽なことには心がかなり狭くなるシウ。

シウ彼に向けて
かなり怒りの意見を言いまくった。

そんなシウに彼の一言。

「シウが元気で良かった。
　やっぱり怒らせるに限るな。」

シウの病気のことを誰よりも苦しんでいるシウ彼なんだよね。