★we were on a break★

水曜どうでしょう 「迷走中」…最大の見所はエンディング?

『デザート・フラワー』

2011-07-11 07:47:35 | 映画
FGM(女性器切除)のことは
以前から知っていたけれど、
この映画で
その恐ろしさと深刻さを
改めて知らされた。

映画の中で
幼いワリスがFGMを受けたときのシーンがあるのだけど
それは実際の映像なのか?
と思わせる記述がパンフレットにあって仰天。
もちろん、ワリス本人ではなく、
現在も行われているFGMを受けている、
実際の少女の映像ということ。

麻酔も衛生的な設備も無く、
恐ろしく原始的な方法で女性器をカットする。
将来(といっても10年後位)結婚する時、
結婚初夜に夫によって切り開かれるまで
排尿の為の小さな穴を残して縫合されるとか。
ワリスもロンドンで治療を受けるまで
その傷の後遺症の痛みで気絶することもあったようだ。

でもその慣習のある地域では
FGMを受けてない女性はまともに結婚できない。
ワリスのような女性の活躍によって
世界にFGMの事実が知らされ
今では法律で禁止する国もあるが
現実には今だに1日に6000人の女児がFGMを施されているとのこと。


婚礼前夜に逃げ出すワリス。
相手は親が金と引き替えに結婚することを決めた年寄りだし
自分の人生は自分の好きなように生きたいものね。
なんて、私たちは思う。
でも、そんなことは甘い考えだったと思い知らされる。
自由に生きる、なんていう以前の問題で
ワリスのような女性にとって結婚は
苦痛と死の恐怖、FGMの続きの儀式でしかないのだ。
幼い少女が命がけで砂漠を彷徨う理由。
そうまでして逃げ出した、
小さな体に秘められた勇気に
ただただ感動させられる。

ロンドンに住んで6年経っても
英語をろくに話すこともできないワリス。
誰からも手を差し伸べられることなく
ずっと孤独だったのだとわかる。


今作で“悪”はない。
FGMは恐ろしいが、
いかに理解しがたい行為としても
そこに悪意があるわけではないのだ。
ワリスやホーマン監督も
今作でアフリカを悪とはとらえてほしくないようで
暗黒大陸という言葉を思い出させるものの
アフリカの色彩あふれるパワフルな美しさを描ききっている。


ワリスが水をとても大切にするシーンや
ダイエットだからといって、
友人のマリリンがランチでサラダだけを食べるシーンが印象的。
マリリンに「葉っぱだけなの?」
と言い、マックのフライドポテトを食べるワリス。
その顔が実に幸せそうだ。
ワリスがそんな事を言う意味がその後わかるのだが
本当に胸に迫るものがあった。

実際のワリスも美しい人だが、
ワリスを演じたリヤ・ケベデも素晴らしい。
ランウェイを歩く姿は圧巻。

人間という生き物で最高峰の美しさだろう。

ただしアフリカに住む女性たちは
人間という生き物で一番弱い存在なのだとも思う。
牛馬のごとき扱いを受けている女性たちを見て
何かしなければと思う。

多くの人に見て、
知ってほしいと思った。

デザート・フラワー - goo 映画

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『アイ・アム・ナンバー4』 | TOP | 『Ray Of Hope 』・・・待た... »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | 映画