豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

雨夜の不思議

2008年05月24日 | Weblog
明日見るお芝居のチケットを発券してもらいにコンビニへ。買い物をすませると、背を丸めたご高齢のご婦人が店員さんにバス停の場所を尋ねておられました。店員さんは何故かまったく違う方向を示しています。その方をバス停までご案内し、遠くまで帰られるというその方の乗られるバスの時刻をお教えして、私は先に来たバスに乗りました。そのご婦人も私と同じく「本願寺展」を見ての帰りだったようです。これも何かのご縁ね・・。ほっとバスの座席に腰を下ろして家に電話していると、「し・・・しまった!」。肝心なこと=お芝居のチケットを取り忘れていたことを思い出しました。操作機から取り出した発券票を上着のポケットにいれたままでした。もはや、バスに乗っています。どうしよう・・?
発券票をレジに持っていくのは30分がタイムリミットだったはず。とりあえず、次のバス停で降りて、コンビニに引き返すしかないですね!

合同庁舎前からバスに乗ったのが19時25分頃。次のバス停であるバスセンターでバスを降りてしばし思案。歩いて引き返すことを決意して、階段を下りて県庁側に渡って、バス通りの裏手になる市民病院の横を早歩き。おりしもかなりの雨、お仕事かばんの中には本が三冊と雑誌が一冊とあれやこれや。しかも、「本願寺展」で分厚いパンフレットも買ってしまいました。さきほどのコンビニは、女学院と斜め向かいの電車通りにあります。バスセンターからだとちょっとばかりため息が出そうな距離なのであります。ゼイゼイと荒い息でやっとたどり着いてレジの店員さんに発券票を差し出しました。果たして間に合ったのか???
店員さんが、「おお、ちょうどその時間です・・」という言葉どおり19時41分ジャスト!!でした。バスに乗ってから、約16分でここまでたどり着いたというわけですね。うう、頑張ったね、感無量(涙)!
ベージュのスーツは雨と汗で濃く変色してぐちゃぐちゃ。かなり悲惨な様子だったにちがいありません。店員さんの目がそう物語っていました。

ともかく、チケットを手にし、先ほどのバス停まで小走りに・・。
ご案内したご婦人が乗られるバスは、たしか45分発だったはずです。間にあうかなあ。舞い戻ってきた私を見てビックリされるよね、・・と思いながらバス停に近づくと、そのご婦人はいらっしゃいません。何故か忽然と姿を消しておられました。まもなくやって来たその方の乗られるはずだったバスに乗り、狐につままれた様な面持ちでおりましたが、一体、あの方は何者であったのでしょう。

ついでといってはもったいないことではありますが・・。
「本願寺展」。この中の国宝・親鸞上人筆「阿弥陀経註」には、圧倒されました。法然の下で修行中に書き写されたという美しく整った見事な阿弥陀経の字列。お経の解釈がその行間にぎっしりと書き込まれていました。とても緻密でリアルな様子に、歴史上の人物の存在が実感を伴って意識されてきました。閉館間際だったので広い部屋に人影もまばら。一対一で対していると、泡立つような緊張感も覚えました。誰しもがそこで足を止め見入ったのでありましょう。ガラスには、おでこや鼻先がこすり付けられた後がたくさん残っておりました。明日が最終日ですが、この一点を見られただけでも、駆けつけた甲斐がありました。それにしても、本願寺とは権力に拮抗する一大勢力でもあったのですね。信仰の拠り所たる事物の展示というよりは、それを物語るような様々な展示物に改めてその思いを強くいたしました。