「父」の手がかり消滅…精子提供者名、3割廃棄
読売新聞 7月13日(金)3時5分配信
匿名の第三者からの精子提供による不妊治療(非配偶者間人工授精=AID)の実施を日本産科婦人科学会に登録した医療機関の3割が、精子の提供者がわかる夫婦のカルテ(診療録)を一定期間が過ぎた後に廃棄していたことが、読売新聞の取材でわかった。
医師法では、カルテの保存義務は5年と定められている。同学会は、子供が成長後に提供者の情報を求める事態を想定し、「より長期の保存が望ましい」としているが、法律では特別な規定はない。カルテが失われることは、遺伝上の父親に関する情報を得る機会を狭めることを意味し、実施施設に委ねられている情報管理の問題が明らかになった。
日本産科婦人科学会にAIDの実施を届け出たことのある30施設に対し、今年6月、アンケートした。カルテの保存について回答が得られた23施設のうち、4施設は、「治療をしていない」「していたかわからない」と回答した。