S&R shudo's life

ロック、旅、小説、なんでもありだ!
人生はバクチだぜ!!!!

真冬の狂想曲15-9

2006-10-04 08:56:26 | 真冬の狂想曲
 死を目前にした平井の言葉は真実を語っているように感じたが、この2,3日で、この手の連中はどんな時でもどんな状況でも、平気で嘘を並べる事が出来る事を俺は学んでいた。
 俺は平井が嬲られている間、平井の持ち物と携帯電話を調べていた。そして、平井の家族かららしいメールと発信履歴、着信履歴を探りだしていた。それから別に大事に隠されていた女の写真と航空券の領収書。名刺入れのいろんな名前の名刺。実印にキャッシュカード。現金が96万2千円と小銭。その中から、携帯電話と写真と領収書を松に見せた。
 松はそれらを平井の顔面に突き出した後、イとチョンに渡した。
「どっちかそれもって裏取ってきてくれ。」
 イがそれらを受け取り、部屋から出ていった。
「平井よう、暫く生き延びたのう。さっきの話が与太やったら、さよならせないけんぞ。それとも心を入れ替えて俺に協力するかよ。来週までによく考えちょけ。どっちにしろ来週にはさっきの話が本当か嘘かハッキリするやろうけの。もし嘘がバレたら、お前だけやのうてメールの相手や、写真の女にも責任は取って貰うけの。安心して死ね。みんな一緒やけ寂しくなかろうが。」
 平井は嘘じゃないと必死にすがり、うなだれた。
 俺達は素っ裸で縛られたままの平井とチョンを残し、マンションを出た。どこかに走り去ったはずのハイエースがマンションの前で待っていた。
コメント
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