4-1
山陽新幹線のぞみ号が岡山駅に停車し、発車してまもなくすると、前方のドアから青ざめた顔をした、ホリエモンに似た小太りの男が汗をかきながら俺達に近づいてきた。この男が佐々木だろう。
佐々木はこの寒い中で額から流れる汗をハンカチで拭いながら、松を見つけ口を開いた。
「松崎さん、申し訳ありませんでした…。」
松は少し間をあけてから、低い声を出した。
「いいけ、さっと座れ!」
佐々木は不良に虐められている真面目な学生のように怯え、慌てて松の隣の席に座った。
確か、俺達よりも5つぐらい年上だったはずだが、人間落ち目になると悲しいものだ。
松は視線を佐々木に貼り付けたまま、俺に言った。
「やっちゃん、佐々木の持ち物全部取り上げちょってくれん?」
俺は汗をかき続ける佐々木に近寄り、持ち物全て渡すように迫った。佐々木は左を向き、松に携帯電話だけは持たせてくれるよう懇願した。
「中村から電話入った時に出られないと、向こうが警戒すると思うんで、携帯は自分が持ってたほうが良いと思うんですけど…。」
しばらく松は考えて、佐々木の懇願を受け入れた。
俺は携帯電話以外の持ち物を全て佐々木の身体から奪い取った。そして携帯電話を持つ事を許した松を怪訝そうに見ていると、
「大丈夫っちゃ!やっちゃん。コイツはもう裏切らんっちゃ。のう、佐々木。」
佐々木は怯えた目で俺をみながら首を何度も縦に振った。
山陽新幹線のぞみ号が岡山駅に停車し、発車してまもなくすると、前方のドアから青ざめた顔をした、ホリエモンに似た小太りの男が汗をかきながら俺達に近づいてきた。この男が佐々木だろう。
佐々木はこの寒い中で額から流れる汗をハンカチで拭いながら、松を見つけ口を開いた。
「松崎さん、申し訳ありませんでした…。」
松は少し間をあけてから、低い声を出した。
「いいけ、さっと座れ!」
佐々木は不良に虐められている真面目な学生のように怯え、慌てて松の隣の席に座った。
確か、俺達よりも5つぐらい年上だったはずだが、人間落ち目になると悲しいものだ。
松は視線を佐々木に貼り付けたまま、俺に言った。
「やっちゃん、佐々木の持ち物全部取り上げちょってくれん?」
俺は汗をかき続ける佐々木に近寄り、持ち物全て渡すように迫った。佐々木は左を向き、松に携帯電話だけは持たせてくれるよう懇願した。
「中村から電話入った時に出られないと、向こうが警戒すると思うんで、携帯は自分が持ってたほうが良いと思うんですけど…。」
しばらく松は考えて、佐々木の懇願を受け入れた。
俺は携帯電話以外の持ち物を全て佐々木の身体から奪い取った。そして携帯電話を持つ事を許した松を怪訝そうに見ていると、
「大丈夫っちゃ!やっちゃん。コイツはもう裏切らんっちゃ。のう、佐々木。」
佐々木は怯えた目で俺をみながら首を何度も縦に振った。