Me&Night&Music…JAZZとお酒で素敵な夜を…

ジャズ&ブルースシンガーのローズが、好きなお酒と音楽について気ままに語ります。独断と偏見に満ちたウンチクも満載!

Speak Low

2007-09-25 23:59:04 | Weblog
朝晩は涼しく、やっと秋めいてきましたね。
今回は、物思う秋にふさわしい、時のうつろいやすさ、恋のはかなさを、
美しいメロディにのせた曲をご紹介しましょう。


「愛を語るときには そっと静かに
 私達の夏の日は すぐに去っていく あまりにも早く
 愛を語るときは 小声で
 私達の時間は 漂う船のように流れ去り
 あっという間に 私達は押し流されてしまう

 ねぇあなた 愛を語るときはそっと静かに
 恋の火花は すぐ闇の中に すぐに
 たとえどこに行こうとも こう感じるの
 明日はあそこにあると思えば もうここに来ていて
 いつもすぐに過ぎ去ってしまう

 時代はすぐに古びてしまい 恋はあまりにも短い
 愛は純金 そして時間はそれを盗む泥棒

 ねえあなた 私達は流れ去る時間に遅れているわ
 カーテンが閉まり すべてがすぐに終わる すぐに
 いとしいあなた 私はあなたを待っているの
 だから 私にそっと語りかけて
 愛をささやいて すぐに 」


若い頃は、自分が年老いておばさん(おじさん)になるなんて、想像も出来ないし
そんなこと考えもしない。
まして、素敵な恋人が、ハゲたりお腹ぽっこりの中年になるなんて信じられない。
この弾む想いが、やがて色褪せていくことも認めたくない。
でも、時は確実に流れて、輝く夏の太陽は弱々しい冬の日差しに近づいてゆく。

この歌は、そんな非情な時の流れを知っている大人の恋の歌です。
今なら、まだ輝きを放っている自分を良く知っていて、やがて容色の衰える自分を
認めてもいるのね。
だから、はやく恋を成就させて、そっと愛を語って…と、求めているの。
若い人がせっかちに恋を求めているのとは、わけが違う。
若い頃なら、大声で「愛してる~」って叫んでほしいものね。


大人な歌ならやっぱりこの人、カーメン・マクレェ。
確か、サリナ・ジョーンズがボサノヴァにアレンジして歌っていたような記憶があるの
だけれど、手元に音源が無いので… (もし、間違えていたら、後日訂正します)

この曲は、歌詞の関係でメロディーフェイク(メロディーを自分なりに変えること)
が難しく、インストゥルメンタルに名演が多いですね。
ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、マッコイ・タイナー… と、バップの名手
がズラリ。


我が恋の来し方行く末に想いを巡らせながら、じっくりと聴いて下さい。
ブランデーにホワイト・ミントをシェークしたカクテル、スティンガーなんていかが?
あなたが大人なら、心にちくりと刺さるトゲ(stinger)のひとつやふたつ、ね。