Me&Night&Music…JAZZとお酒で素敵な夜を…

ジャズ&ブルースシンガーのローズが、好きなお酒と音楽について気ままに語ります。独断と偏見に満ちたウンチクも満載!

For All We Know

2007-07-07 23:50:16 | Weblog
前回は、揺るがぬ愛を歌った曲をとりあげました。
が、人の想いも、取り巻く状況も、日々変わっていくもの…
そのやるせなさも涙も隠した大人の別れを歌う曲を今回はご紹介しましょう。

「多分…
 私たちは 再び会うことはないでしょう
 
 あなたが行ってしまう前に
 もう一度 この甘いひとときを

 今夜は“お休みなさい”は言わないわ
 最後の瞬間まで


 もしかして…
 これはただの夢かも知れない
 
 だから、今夜は私を愛して
 明日は誰か他の人のためにあるの
 明日は来ないかもしれない… 」


こんなシーンで、あなたは涙を見せずに別れることができますか?
様々な修羅場をくぐりぬけてきた私・ローズでも、正直に言えば、
自信がないですねぇ…

 映画「マジソン郡の橋」の中で、この曲が効果的に使われていました。
 さすが、ジャズおたくのイーストウッド監督です。
 

切なくやるせない歌詞に比べると、メロディーが割と印象に残りにくく、
実は、あまり好きな曲ではありませんでした。
しかし、多くのシンガーが名唱を残しています。
聴き込んでいくに連れて(年齢も重ねていきますし…)、胸に染み込む
ように惹かれていきました。

お薦めの筆頭は、やはりビリー・ホリディでしょう。
この切なさには耐えられないという貴方には、サリナ・ジョーンズの
軽いボサ・ノヴァ バージョンを。
私の一番のお気に入りは、「MISTY」のときにも紹介したソウルシンガー
ダニー・ハサウェイ!! 
私は彼の歌を聴いて、この曲の良さに初めて気付いたんです。
ダニーの娘レイラ・ハサウェイも、ジョー・サンプルと共演しているCDで
この曲を取り上げています。アレンジもフレージングも違うのに、レイラの
歌の底にはダニーの歌が流れていて、思わずうなってしまいました。

この曲は、もう、ひとりでじっくり聴くしかありません。
ただ、心が冷え冷えとするような別れ方をした場合には、ふさわしくないですね。
想い出をそっとしまいこむように恋人と別れた人にこそ、聴いて欲しい。
その場にふさわしいのは、マーテルのコルドン・ブルー(ブランデー)かな。
両手で想い出を優しく包むようにブランデーグラスを温めて、豊かな芳香と
哀しみに酔ってください。