不完全すぎる楽園の谷間

削ぎ落とされた感情に
すり減らされる痛み
不完全すぎる楽園の谷間
バルセロナの朝に

天衣無縫

「偶然に？」
「永遠に。」

桜雨

ふたりで歩いた　川べりの道を
ひとりで歩く　三年ぶりに
すこし速すぎる　わたしの背中を
きみの口笛　追いかけてたね

色づく街並みと　ざわめく人たちが
この季節を告げるよ
ここに来れば　会える気がした
何も知らなかったふたりに

桜を濡らす　やさしい雨が
私の頬を伝わってゆく
どうかこのまま　降りやまないで
涙がかわくまでは　もう少し
この雨に打たれていたくて

あの頃はいつも　何かに傷つき
消えない痛みで　不安ごまかした
見えない未来と　目のまえのきみを
心のなかで　並べあわせて

想いを想い出にしたくて　できなくて
時間だけが過ぎてく
春になれば　言える気がした
凍てついていた“Goodbye to myself”

桜を濡らす　日暮れの雨が
ふたりの街を　塗りかえてゆく
どうかお願い　降りやまないで
きれいにわたしたちの足あとを
洗い流してほしくて

きみのほう振り返らず
夢にむかってきたけど
なくした蒼さと　つかんだ何かに
今はまだ　とまどっている

桜を濡らす　やさしい雨が
私の頬を　伝わってゆく
どうかこのまま　降りやまないで
涙がかわくまでは　もう少し
この雨に打たれていたい

ねえ桜雨　私の願い　かなえてほしい
どうかこのまま　降りやまないで
どこかで気まぐれにきみが吹いた
口笛の音　消し去るまで

マヨール広場

マヨール広場でタクシーを降りる前に
ドライバーにスペイン語で
何か必死で話しかけられて
何だろうと、ジェスチャーから読み取ると
どうやらコートの下にバッグを斜めがけしていたのが
危険だと伝えているようで
マヨール広場は日中でも
ある程度の注意が必要な場所で
貴重品だと一目でわかるバッグを
コートの下に身に着けていると
狙われたとき、間違いなくケガをさせられることになるので
身の危険を避けるためにと教えてくれたよう
親切に教えていただいたので
ちゃんとお礼を言って広場へと向った
常にある程度は気を付けていたので
何もこわいことはなかったけれど
マヨール広場
冬の昼間の光の中で
ネコの着ぐるみを着たおじさんのパフォーマー
大きなシャボン玉で驚かそうとする人
白い馬に乗った警官が悠然と歩いて
フェリペ３世の騎馬像と写真を撮ったり
異国の広場はとてもとても素敵だった

リアリティ

はやく ただはやく
時が経つことだけを願った

Tres

とても美しいうずまきの階段を
ゆっくりと降りていく

ランチ

50年間

50年間　空を夢見た鳥

モトドオリニ

リフレイン