新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

家の近くのむし探検 アミメアリ

2020-06-13 21:27:32 | 家の近くのむし探検
家の近くのむし探検 第87弾


5月30日にマンションの近くにある道路際の茂みに虫探しに行ってみました。虫はいろいろといたのですが、今日はその中のアミメアリについてです。



何の木だか見るのを忘れたのですが、その幹に蟻道ができていました。



ちょっと拡大してみました。蟻道の中をアリが通っているのかどうか分からなかったのですが、蟻道に沿ってアリがうろうろしていました。





さらに拡大してみました。頭部、胸部に網目模様がついているので、たぶん、アミメアリでしょうね。「日本産アリ類図鑑」によると、このアリは定住する巣を作らず、石下や倒木に野営の巣を作り、頻繁に移動するそうです。また、このアリは例外的に女王アリを持たずに、働きアリが産卵する産雌性単為生殖により増えるとのことです。



今度は木の幹にアリが集まっていました。葉の縁は波型で先端が針状になった鋸歯を持っているので、たぶん、クヌギでしょう。



ちょっと拡大してみました。アリはやはりアミメアリのようです。上側にいるのは、たぶん、アブラムシを食するハナアブの幼虫。





中央に黒いアブラムシがいました。「アブラムシ入門図鑑」でクヌギを宿主として、色の黒いアブラムシを探すとクワナケクダアブラムシ(クワナケブカアブラムシ) Greenidea kuwanaiが考えられます。寄生部位も小枝なので合っています。このアブラムシはケクダアブラムシ亜科に属し、クヌギを宿主として、ほぼ周年クヌギで生活するそうです。(追記2020/06/14:「日本原色アブラムシ図鑑」によると、宿主としてはクヌギのほか、カシ、シイ、クリが載っていて、ニホンケブカアブラムシ G. nipponicaときわめてよく似ているとのことです。後者はクヌギ、ウバメガシを宿主とします。さらに、「日本昆虫目録第4巻」(2016)によると、この両者はケクダアブラムシ亜科ケクダアブラムシ族Greenidea属Trichosiphum亜属に含まれています。この亜属で本州産は8種なので、種名を断定するにはさらに調べる必要がありそうです。ちなみに、「アブラムシ入門図鑑」には、Greenidea属としてそのほかokajimai(オカジマケクダアブラムシ)、carpini(イヌシデケクダアブラムシ)の2種が載っていて、前者はシイノキ属、後者はイヌシデを宿主とするそうです)「

追記2020/06/14:ついでに「アブラムシ入門図鑑」でケクダアブラムシ亜科についても調べてみました。この亜科の特徴は、①「角状管はとても長大で、全長にわたり多数の刺毛をもつこと」、②「頭部が前胸と癒合していること」、③「角状管は腹部第7節が退化しているため腹端部から出ているように見えること」、④「尾片は短く三日月状か幅広い三角形で舌状や握りこぶし状にはならないという4点が特徴」とのことです。写真を拡大して観察してみました。



①の角状管はこの写真からでも分かるようにかなり長大で刺毛が生えています。②はよく分からないので、脚の生えている場所を手掛かりに胸の位置を決めてみました。確かに前胸が頭部と癒合しているような感じですが、たぶんに先入観によるものなのであてになりません。③は他の亜科と比較すると、角状管が腹端から出ているような感じを与えます。ただし、腹部の節が数えられないので、何ともいえません。④の尾片は他の亜科と比較すると明らかに短いことが分かりました。たぶん、ケクダアブラムシ亜科でよいのではと思うのですが、これも採集が必要です


追記2020/06/14:ネットで調べると、日本産Greenidea属のレビューが見つかりました。

S. Sugimono, "A Revision of the Genus Greenidea Schouteden in Japan (Homoptera; Aphididae; Greenideinae)", Insecta Matsumurana, New Series 64, 53 (2008).(こちらからダウンロードできます)

いよいよ採集しないといけなくなったようです。アブラムシはどうやって採集するのだろう。液浸なのかなぁ。乾燥するとくちゃくちゃになりそう

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