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新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

虫を調べる ウメマツオオアリ 小型働きアリ

2020-09-21 21:09:54 | 虫を調べる
9月18日にマンションの廊下で小さいアリを見つけました。触角がえらく長い感じがしたので採集して調べてみました。その結果、ウメマツオオアリになったので、記録として残しておきたいと思います。実は、ウメマツオオアリについては3年前にも調べたことがありました。そちらも参照してください。



18日に見つけたアリはこんなアリです。



冷凍庫に入れておき、翌日取り出して背側から写した写真がこれです。体長を測ってみると、3.0 mmでした。かなり小さなアリです。働きアリには大型、中型、小型と大きさに変化があります。これは小型働きアリだと思われます。働きアリの検索には「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表を用いました。まずは亜科の検索です。

①腹柄は1節からなる;腹部末端の背板は単純で、微小な刺の列はない;頭盾前縁側方に小突起はない
②腹柄節は小さく、側方から見て丘部の幅は狭い;腹部第1節と第2節の間はくびれない;腹部第1節の背板と腹板は融合していない;腹部末端に刺針を持たない
③腹部末端は円錐形で丸く開口し、多くの属ではその周囲が毛で取り囲まれる ヤマアリ亜科 Formicinae

検索してみると、ヤマアリ亜科になったので、その検索の過程を写真で確かめていこうと思います。本当は検索の順番に示していけばよいのですが、同じ写真が何度も出てきて煩わしいので、各部を撮った写真別に見ていこうと思います。



最初は胸部と腹部を側面から見たものです。まず、①の腹柄が1節であることはすぐに分かります。②の腹柄節の形状については比較の問題なのでこの写真だけだとよく分からないのですが、たぶん、大丈夫でしょう。また、腹部第1節と第2節の間にくびれはありません。第1節の背板と腹板が融合していないことはこの写真ではちょっと分かりません。でも、①と②ともOKとします。



次は頭部です。頭楯前縁には特に突起などは見当たりません。それでこの項目もOKです。



最後は腹部末端です。腹部末端には丸い噴火口のような穴が開いていて、その周囲には毛が生えています。これで、③もOKです。この結果、ヤマアリ亜科であることは確かそうです。

次は属の検索です。

④腹部に突起や刺はない;腹柄節に突起や刺はない
⑤大腮は通常の三角形状
⑥触角は12節からなる
⑦中胸の気門は側面に位置する  オオアリ属 Camponotus

検索の結果、オオアリ属になったので、その過程も見ていきます。



④はトゲアリ属を除外する項目でこれまでの写真からすぐに分かります。



⑤の大腮の形もOKでしょう。



触角の節を数えてみると12節になりました。



最後がちょっと迷ったのですが、中胸気門の位置(矢印)は背面というよりは側面にあります。それでオオアリ属はよさそうです。

次は種の検索です。ここからは小型働きアリに対する検索だけを行っていきます。

⑧小型働きアリの前脚腿節は極端に広がらない;小型働きアリの前伸腹節は側方から見て背面と後面が鈍角をなし、背面は背方から見て幅がある
⑨中胸および前伸腹節は黒褐色から黒色
⑩前・中胸部背面上に長い立毛はあっても6本以下;前伸腹節背面と後面は鈍角をなし、後面は傾斜し腹柄節へと連なる
⑪小型種;小型働きアリの体長は普通5mm以下
⑫働きアリの頭盾前中央部は弧状か直線状で、へこみや切れ込みはない
⑬腹部は全体が黒色で、腹部第1背板、第2背板に斑紋はない
⑭側方から見て前胸から中胸にかけての背縁は弧を描く;前伸腹節後背縁は丸みを帯び、後縁の傾斜はより緩やか;腹柄節は厚い
⑮側方から見て前伸腹節の背面に明瞭なへこみがある;腹柄節は側方から見て逆U字型で前後にほぼ対称;腹柄節背縁は中央で最も高い ウメマツオオアリ Camponotus vitiosus

検索の結果、ウメマツオオアリになったのですが、その過程も見ていきます。



最初の項目では前脚腿節がどの程度広がったら広いのかは分かりませんが、この項目はヒラズオオアリを除外する項目なのでたぶん、広がらないというのでよいのでしょう。



この図からは⑧、⑨、⑩、⑭の4項目を確かめることができます。⑧の「前伸腹節は側方から見て背面と後面が鈍角をなし」はまず大丈夫でしょう。⑩の前胸、中胸の立毛はせいぜい2本程度でこれも大丈夫です。⑭の弧をなすというのもよく分かります。



この写真は前伸腹節の後面を撮ったものですが、背面には少し幅がありそうです。



前伸腹節後背縁というのは背面と後面との境を言っているのだと思いますが、確かに丸みを帯びています。



⑪と⑬はこの写真から確かめることができます。



頭楯前縁も書いてある通りだと思います。





⑮の腹柄節を横から見て逆U字型というのと前伸腹節背面に凹みがあるというのがウメマツオオアリの決め手になる項目です。似た種にホソウメマツオオアリというのがあり、この項目で区別できるはずですが、以前、検索したときにコメントをいただき、個体差があるので、多数の個体を見た方がよいというご意見でした。今回も1匹だけなので、何とも言えませんが、今度見つけたらまた調べてみたいと思います。ということで、とりあえずウメマツオオアリに達しました。これから少しアリを調べていこうかと思っています。

虫を調べる ケアリ属♂有翅アリ2

2020-07-20 20:48:55 | 虫を調べる
昨日の続きで♂有翅アリの検索です。昨日はヤマアリ亜科まで調べたので、今日は属の検索です。今頃、マンションの廊下にたくさん来ています。

検索表は「日本産アリ類画像データ」に載っています。

⑦頭部正面から見て,大顎は鎌状ではない;体色は上記のような2色性(触角,脚,大顎,そして生殖器は他の部位に比べて明らかに明色(白から淡黄色))を示さない
⑧触角は13節
⑨中胸側板表面には鱗状の彫刻がある;触角柄節は長いまたは短い
⑩前伸腹節の気門はほぼ円形
⑪後胸側腺の開口部は明瞭で,その周辺には密な毛がある ケアリ属(ケアリ亜属、キイロケアリ亜属、アメイロケアリ亜属)

検索の結果、ケアリ属になったのですが、それに必要な項目だけ書き出すと以上のようになります。これを顕微鏡写真で確かめていきます。



最初は⑦で体色の問題です。これはサムライアリ属を除外する項目なので、まず大丈夫でしょう。



サムライアリ属は鎌状の大顎を持っているのでこれも大丈夫でしょう。



次は触角の節数です。全部で13節でした。これで⑧は大丈夫です。⑨の柄節の長さはどちらでもよいので無視します。



⑨の中胸側板を写したものですが、表面には鱗状の彫刻があります。これはアメイロアリ属を除外する項目ですが、大丈夫そうです。



最後は⑩と⑪ですが、前伸腹節気門は丸く、また、後胸側腺の開口部は明瞭で周囲には毛が生えています。ということで検索の結果、ケアリ属になりました。検索表ではケアリ属の中でもクサアリ亜属を除くので、ケアリ亜属、キイロケアリ亜属、アメイロケアリ亜属になります。日本産はそれぞれ5種、3種、3種なのですが、体色から後2亜属は除けるかもしれません。となると、ケアリ亜属のトビイロケアリ、ハヤシケアリ、ヒゲナガケアリ、カワラケアリ、ヒメトビイロケアリがあるのですが、どれも近畿地方に生息し、さらに似ているのでここからは大変かもしれません。



ついでに翅脈にも名称をつけてみました。羽アリの翅脈については以前調べたことがありました。これを参考にしてつけてみたのですが、次の論文に載っている分類だとIIIdという部類に入るようです。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

虫を調べる ケアリ属♂有翅アリ1

2020-07-19 21:20:19 | 虫を調べる
この間からマンションの廊下で羽アリがたくさん来ています。少し調べてみようと思って、♂有翅アリを2匹捕まえてきて調べてみました。



捕まえてきたのは7/15に見つけた、たぶん、この♂アリです。結構、小さいのですが、こんな格好でじっとしていたので、そのまま捕まえてきました。



体長を測ってみると、4.2mm。♂有翅アリの属までの検索表は「日本産アリ類画像データ」に載っています。それを使ってみました。

①大顎は頭長より短い;頭幅は頭長の2倍に達しない
②頭部正面から見て,額隆起縁は不明瞭,もしくは後方に向かって広がる,もしくは左右の触角挿入部の間で水平に交わる;ほとんどの場合亜生殖板末端の突起は1つで,まれに3つ以上
③腹柄節は1節
④側面からみて触角挿入部は大あごとは離れたところに位置する;頭盾は消失しない;ほとんどの場合額隆起縁をもつ
⑤大顎は縮小またはそしゃく縁の歯は相対的に粗い;背方からみた腹柄節は横に広がらない
⑥腹部第2節前板は腹部第1節に覆われて隠れる;楯板小楯板線は単純   ヤマアリ亜科

まずは亜科までの検索です。検索するとヤマアリ亜科になったので、必要な項目だけを抜き出すとこのようになります。これを顕微鏡写真で確かめていきたいと思います。番号順に見ていけばよいのですが、同じ写真が何度も出てくるのが煩わしいので、図ごとに見ることにします。



最初は頭部の写真です。ここで確かめるところはたくさんあります。①はヒメサスライアリ亜科という大顎がやたら大きな亜科を除外する項目なので、まず問題ないです。②はクビレハリアリ亜科という額隆起縁が後方で交差する亜科を除外する項目です。これも大丈夫でしょう。④は触角挿入部の位置ですが、大顎からは十分に離れています。また、頭盾は消失していません。これはムカシアリ亜科を除外する項目です。⑤は大顎のそしゃく面に細かいのこぎり状の歯をもつカタアリ亜科を除外する項目です。これも大丈夫でしょう。



③はフタフシアリ亜科などの腹柄節を2節もつ亜科を除外する項目です。これもOKです。



この写真は⑥を確かめるために撮った写真です。まず、腹部第2節前板は腹部第1節に覆われて隠れるというのは水色矢印で示すように第2節の前板が見えないことで確かめられます。次の「楯板小楯板線」は「日本産アリ類全種図鑑」では「前中胸縫合線」のことだと思いますが、黄矢印の部分にハリアリ亜科などのように縫合線に沿った彫刻は見られません。また、⑤の腹柄節はカタアリ亜科のように「横に広がり,腹部第1節の前縁を覆う」ということはありません。



最後は②の亜生殖板についてです。これについては以前調べたことがあります(こちらを参照)。この写真は腹側から腹部末端を写したものです。以前撮ったものよりは不明瞭なのですが、亜生殖板の先端が二つに割れるということはありません。ということで、②はOKということになります。これでヤマアリ亜科まで達しました。これから先は次回に回します。





ついでに腹部末端を横からと真後ろから撮った写真も載せておきます。この形から種が分かると思うのですが、まだそこまでは達していません。

雑談)しばらく、マンションの理事会の仕事をしていて、虫調べから遠ざかっていました。4月になってやっとできると思ったら、コロナ騒ぎです。おまけに母の遺品整理まで重なってなかなか虫調べができませんでした。コロナは収まらないのですが、少しずつ再開していきたいと思います。

虫を調べる たぶん、クロスジチャイロコガネ2

2020-06-04 21:40:19 | 虫を調べる
昨日の続きで、クロスジチャイロコガネかもしれないと思う個体を検索表で確かめている途中です。昨日は族まで到達したので、今日はその続きの属と種の検索です。



対象としたのは5月30日にマンションの廊下で見つけたこの甲虫です。検索表には「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っているものを用いました。昨日はコフキコガネ亜科のビロウドコガネ族まで達したので、その続きの属の検索です。この部分からは図鑑では絵解きになっています。

⑦中基節間は狭く、中腿節幅の半分以下
⑧後基節の中央にゆるい横凹線 チャイロコガネ属(触角片状節は柄部の1.3倍以上)

検索の結果、チャイロコガネ属になったのですが、必要な部分だけを抜き出すとこのようになります。これを写真で調べていきたいと思います。



最初は中基節間が中腿節幅の半分以下という項目なのですが、これがなかなか分かりませんでした。しかし、中基節の間の部分をよく見ると、両側から細くなっていき、中央で一番細くなります。この部分の長さを測り、中腿節のもっとも広い部分との比を取ると、0.39となり、⑦の要件を満足します。しかし、何となく幅を測って比を取ると、0.52となり、検索表ではミゾビロウドコガネ属になってしまいます。しかし、この属の日本産は1種で西表島産だけなので、たぶん、違います。従って、やはりこの細くなった部分を測らなければいけないのかなと思っています。



次の項目は後基節中央にある横凹線の有無ですが、これは明確で、白矢印で示した部分がそうです。これでチャイロコガネ属に到達します。



この写真はチャイロコガネ属の特徴として括弧内に書かれた特徴を調べたものです。触角の節数は全部で9節で先端の4節が片状節になっています。残りの5節が柄部なので、その部分の長さを測ってみました。すると、片状節の長さは柄部の1.22倍となり、1.3倍以上にはなりません。片状節の一番基部の長さが短いので、ひょっとしたら、あまり発達していないのではと思っています。チャイロコガネ属の説明で、♂の片状節は4節、♀は3節と書かれているので、これは♂かなと思っています。実は最後の亜種の説明で、♂では1.8倍の長さと書かれているので、まだ、悩んでいるところです。

次は種の検索です。チャイロコガネ属 Sericaniaには25種2亜種が記録されているそうで、それの検索を絵解き検索表で調べていきます。

⑨上翅は点刻の状態によって鈍い、もしくは強い光沢がある
⑩背面は金属光沢を帯びる
⑪跗節爪の基方は直角に分岐
⑫頭楯に横溝がある
⑬腹節はほぼ全面に光沢がある  クロスジチャイロコガネ
⑭頭楯前縁は湾入せず、横溝は不明瞭で後方も高まらない 本州・四国亜種

やはり必要な部分だけを抜き出すとこのようになります。検索の結果、クロスジチャイロコガネ本州・四国亜種になったので、それを写真で調べていきます。ただし、項目の中に光沢の有無を聞く項目が⑨、⑩、⑬と三か所もあり、たぶんに主観的なので若干怪しいです。通常は照明を拡散光にするため、試料をトレーシングペーパーの筒で囲んでいるのですが、光沢の度合いを見るときはこの筒を外して撮影しています。



最初は上翅に光沢があるかないかですが、この写真からは光沢があるといってもよいのではと思います。⑩の金属光沢があるかどうかは微妙で、もし金属光沢がないとすると、オオタケチャイロコガネになるのですが、片状節の数が合わないために今回は除外しました。でも、もう少し検討する必要があるかもしれません。



これは跗節爪の内歯の生える角度ですが、直角ではないにしろ、直角に近いのではこれでよいのではと思っています。





頭楯には前縁に沿って横溝がありますが、頭盾後方があまり高くなっていないので、それほど目立つような横溝ではありません。



腹節に光沢があるのは間違いなさそうです。ということで、一応はクロスジチャイロコガネ本州・四国亜種になったのですが、光沢の解釈でちょっとはっきりしないところがあります。







ついでに撮った写真を載せておきました。

今回はチャイロコガネ属の検索を行いました。たぶん、チャイロコガネ属までは確かでしょうが、その先の種の検索については若干怪しいところがあります。光沢の度合いについてはもう少し数を当たらないと駄目かもしれません。

虫を調べる たぶん、クロスジチャイロコガネ

2020-06-03 21:18:28 | 虫を調べる
1月に亡くなった身内の遺品整理のついでに、自分の身辺整理も行いました。2,3年前から置いておいた標本を廃棄し、大量にあった資料や写真も捨て、身の回りもかなりすっきりしてきました。そろそろまた虫を調べ始めようかと思って、とりあえず5月30日に採集した甲虫を調べてみることにしました。



採集したのはこの甲虫です。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」に載っている図版と比べて、コガネムシ科コフキコガネ亜科のクロスジチャイロコガネではないかと思ったので、それを確かめるために、この図鑑に載っている検索表で調べてみました。



まず、全景です。体長は背側から測ったときは9.06mm、腹側から測ったものが8.78mmだったので、その平均を取って8.9mmとしておきました。この写真は、実体顕微鏡にカメラ用のリング照明を取り付け、焦点位置を少しずつ変えながら30枚ほど撮影し、その後、CombineZPというフリーソフトで深度合成して得ました。高倍率で撮る場合は、生物顕微鏡に10倍の対物レンズを取り付けて、やはり深度合成をしました。なお、光沢の度合いを調べる場合以外は試料の周りをトレーシングペーパーの筒で覆い、照明が拡散光になるようにしています。

まずはコガネムシ科のうち、亜科の検索です。「日本産コガネムシ上科標準図鑑」は食葉性グループの検索表ですが、検索の結果はコフキコガネ亜科になりました。検索表のうち、必要な部分だけを抜き書きすると次のようになります。

①♂の前腿節と前脛節は通常に伸張し、♂♀の間であまり差異はない;♀の前脛節外側には通常3本かそれ以下の歯がある
②体は十分に中高である;触角挿入部は背面から観察できない
③爪の下面には基本的に内歯がある;少なくとも♀では1本の脚の左右の爪は対称的な形である  コフキコガネ亜科

これを写真で確かめていこうと思います。検索順に見ていくといいのですが、同じ写真が何度も出てきて煩わしいので、写真ごとに見ていくことにします。



最初はテナガコガネ亜科を除外する項目で問題なく確かめることができます。なお、これは♂だと思うので、♀の項目は除いています。



次はハナムグリ亜科とヒラタハナムグリ亜科を除く項目ですが、これも大丈夫でしょう。「触角挿入部は背面から観察できない」を書くのを忘れていましたが、挿入部はこの写真でも見えません。





この2枚の写真で、跗節爪は対称的で、爪の下に歯があることが分かります。これで、コフキコガネ亜科であることが確かめられました。次は族への検索です。

④少なくとも♀の爪は、内側爪と外側詰めの間で大きさが同じである;後脚にも同じ大きさの内外1対の爪が存在する;爪は通常、適度か非常に強く屈曲し、一部には緩やかに湾曲するものもある;脛節の外側にはふつう刺がある
⑤第5腹節と前尾節板の間には明瞭な会合線があり、これによって部分的または完全に背腹側を境界づけられる;尾節板はより角張った顕著な逆三角形か逆台形の形をなす;頭楯と眼縁突起は通常一体化することはなく、多くははっきりと別のものとして認識できる
⑥前基節は下方に強く突出し、外見上の高さは幅より大きい;後脛節先端の2刺は互いに離れて位置する;後基節の縦の幅が非常に大きいものが多い ビロウドコガネ族

これも必要な部分だけを抜き出しています。族の検索ではビロウドコガネ族になりました。これも写真で確かめていきます。





先ほどと同じ写真ですが、最初はアシナガコガネ族を除外する項目なので、これもまず大丈夫でしょう。



これは後脛節末端の写真ですが、2本の刺があります。また、その2本は離れてついています。これで④と⑥の項目の一部が確かめられました。



次は腹部末端を示した写真です。ここでだいぶ迷いました。まず、腹部の節の数え方ですが、見かけの節で表す方法と本来の節の番号で表す方法があります。ローマ数字で書いたのは本来の節の番号です。これによると腹部第5節は第VII節に該当します。次に、前尾節板という言葉がよく分かりませんでした。図で示した部分は尾節板でこれは背板の一部です。たぶん、前尾節板→尾節板としてよいのではと思いました。尾節板と第VII節の間には明瞭に線が入っています。この線で背と腹が分けられます。尾節板は逆三角形なので、この項目はOKとしました。



複眼の上に突起が出ています。これが眼縁突起だろうと思います。眼縁突起は頭楯からの突起となっていて、両者ははっきりと分けることができるので、この項目はOKとしました。



前基節は写真のように下方に張り出していて、その高さは幅よりもやや大きい感じです。それでこの項目もOKとしました。



後基節は図に示した部分ですが、確かに縦の幅は相当に広いことが分かります。これでビロウドコガネ族であることになりました。この後は属と種の検索なのですが、長くなったので次回に回します。