ロドス島の薔薇2・労経研

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アタラクシア

2014年06月24日 | 用語集

 

 

アタラクシア

アタラクシア: Ἀταραξία英語: Ataraxia)とは、心の平静不動なる状態のこと[1]。乱されない心の状態[2]

概要

アタラクシアとは心の平静不動な状態のことであり、ヘレニズム時代の人生観[2]エピクロスの処世哲学である[2]

この表現・概念を用いた人・派ごとにニュアンスが異なるのでそれぞれ区別して解説する。

エピクロス

エピクロスは、人間の本当の楽しみというのは、結婚することは避け、子供を作らず、「Λάδι Βιώσας lathe biosas 隠れて生きよ」という方針で生きる時にはじめて得られる、とした[1]。激しい情熱や欲望から自由な、平静な心のさま[3]。外界にわずらわされない平静不動なる心の状態であり、心から動揺をとり除いてアタラクシアの境地を実現するのが哲学の究極の目標・理想だとした[1]

「原子論者・快楽主義者」などとされるエピクロスでさえ、結局、パトスに駆られて酒や異性などに溺れて苦を招く生活よりも、「パンと水」と表現された、アタラクシアの生を追及したのである[4]

ピュロン

ピュロンピュロンの流れをくむ懐疑派にとっては、アタラクシアというのは、心の乱れの原因となる判断を停止すること(エポケー)で得られる心の平静を言った[1]

ピュロン主義者にとって、知覚に基づいた印象のうち、どれが正しくどれが間違いかをいうことができないので、根拠がないのに独断的な答えを出すような判断は保留することから生まれるのがアタラクシアである。[注 1]

ストア派

ストア派もまた、心の静穏を求めており、「アタラクシア」を望ましいものとみなしてこの用語を用いた。ストア派にとってアタラクシアというのは、アパテイア(理性にしたがって生きることで得られる不動心)であり、エウダイモニア(幸福)というのはこうしたアタラクシアやアパテイアがあって初めて成立するものとされた[1]

ストア派とっては「アタラクシア」は、ストア派の賢者が到達する「アパテイア」とほぼ同義語であった[4](に過ぎなかった[5])、とも。

 

脚注

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  1. ^ これは、馬の泡立つ唾液を描こうとした画家アペレスの経験に喩えられた。彼は、それがうまくいかないので、怒って途中で描くのをやめてしまい、筆をきれいにするのに使うスポンジを放り投げた。すると、それが画板にぶつかってうまく馬の唾液が表現できた、という(Sextus Empiricus, Outlines of Pyrrhonism, Translated by R.G. Bury, Harvard University Press, Cambridge, Massachusetts, 1933., p. 19, ISBN 0-674-99301-2
出典
  1. ^ a b c d e 平凡社『哲学事典』1997, p.19【アタラクシア】
  2. ^ a b c 広辞苑 第六版
  3. ^ ブリタニカ【アタラクシア】
  4. ^ a b 岩波 哲学・思想事典【アタラクシア】
  5. ^ Steven K. Strange, (2004), The Stoics on the Voluntariness of Passion in Stoicism: Traditions and Transformations, page 37. Cambridge University Press.

関連項目

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