ロドス島の薔薇2・労経研

経世済民のために・・・

日本共和国憲法私案要綱

2023年07月20日 | 憲法研究

 

日本共和国憲法私案要綱

日本共和国憲法私案要綱

昭和二十年十一月二十一日 十二月十日 高野岩三郎
根本原則 天皇制ヲ廃止シ、之ニ代ヘテ大統領ヲ元首トスル共和制採用
参考 北米合衆国憲法
ソヴィエット聯邦憲法
瑞西聯邦憲法
独逸ワイマール憲法
現行帝国憲法制定ノ由来ト推移△
現行憲法ヲ改正シ政体ヲ変更スルニ現時ヲ以テ絶好ノ機会ナリトスル理由
△明治初期ニ於ル民権論ノ興隆、之ニ対スル藩閥政府ノ対策、国会開設ノ誓約、憲法ノ制定、其ノ以後ニ於ル軍閥ノ一貫セル組織的陰謀、最近ニ至ルマデノ民衆ノ奴隷化、現時ヲ以テ絶好ノ機会ナリトスル理由ハ「憲法改正要綱」ノ中ニアリ
上記根本原則ニ基テ立案セル憲法私案ノ要綱

一、 第一章 主権及ビ元首

日本国ノ主権ハ日本国民ニ属スル
日本国ノ元首ハ国民ノ選挙スル大統領トスル
(帝国憲法第一条乃至第五条削除)
大統領ノ任期ハ四年トシ、再選ヲ妨ゲザルモ三選ヲ禁ズル
大統領ハ国ノ内外ニ対シテ国民ヲ代表スル
立法権ハ国会ニ属スル
国会ノ召集 其ノ開会及閉会ハ国会ノ決議ニヨリ大統領之ニ当ル、大統領ハ国会ヲ解散スルヲ得ズ
国会閉会中公益上緊急ノ必要アリト認ムルトキハ大統領ハ臨時国会ヲ召集スル
大統領ハ行政権ヲ執行シ国務大臣ヲ任免スル
条約ノ締結ハ国会ノ議決ヲ経テ大統領之ニ当ルv 爵位勲章其ノ他ノ栄典ハ一切廃止、其ノ効力ハ過去ニ於テ授与サレタルモノニ及ブ

一、 第二章 国民ノ権利義務

国民ハ居住及ビ移転ノ自由ヲ有ス
国民ハ通信ノ自由ヲ有ス
国民ハ公益ノ必要アル場合ノ外、其ノ所有権ヲ侵サルルコトナシ〔営業ノ自由ヲ含ム〕
国民ハ信教ノ自由ヲ有ス
国民ハ言論著作出版集会及結社ノ自由ヲ有ス
国民ハ労働ノ権利、生存ノ権利ヲ有ス
国民ハ教育ヲ受ルノ権利ヲ有ス
国民ハ文化的享楽ノ権利ヲ有ス
国民ハ休養ノ権利(労働不能トナレル勤労者ノ休養、妊婦産婦ノ保護等ヲ含ム)ヲ有ス
国民ハ憲法ヲ遵守シ社会的共同生活ノ法則ヲ尊重奉スルノ義務ヲ有ス
国民ハ納税ノ義務ヲ有ス

一、 第三章 国会

国会ハ第一院及第二院ヨリ成ル
第一院ハ選挙法ノ定ムル法ニヨリ国民ノ直接選挙シタル議員ヲ以テ組織ス
第二院ハ各種ノ職業及ビ其ノ内ニ於ル階層ヨリ選挙セラレタル議員ヲ以テ組織ス、議員ノ任期ハ三年トシ毎年三分一ヅツ改選スル
何人モ同時ニ両院ノ議員タルヲ得ズ
二タビ第一院ヲ通過シタル法律案ハ第二院ニ於テ否決スルヲ得ズ
両院ハ各々其ノ総議院三分一以上出席スルニ非ザレバ議決ヲナスコトヲ得ズ
両院ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
両院ノ議事ハ一切公開トシ、之ヲ速記シテ公表スヘシ
両院ハ各々其ノ議決ニ依リ特殊問題ニ就テ委員会ヲ設ケコレニ人民ヲ召喚シ意見ヲ聴聞スルコトヲ得
両院ノ議員ハ院内ニ於テナシタル発言及表決ニ就キ院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ
両院ノ議員ハ現行犯罪ヲ除クノ外会期中又ハ院ノ許諾アリシテ逮捕セラルルコトナシ
両院ハ各々政府又ハ大臣ニ対シ不信任ノ表決ヲナスコトヲ得此ノ場合政府又ハ大臣ハ直チニ其ノ職ヲ去ルヘシ

一、 第四章 政府及大臣

政府ハ各省大臣及無任所大臣ヲ以テ組織ス
(枢密院ノ廃止、宮内大臣内大臣ノ廃止)

一、 第五章 経済及労働

土地ハ国有トスル
公益上必要ナル生産手段ハ国会ノ議決ニ依リ漸次国有ニ移スベシ
労働ハ如何ナル場合ニモ一日八時間(実労働時間六時間)ヲ超ルコトヲ得ズ
労働ノ報酬ハ労働者ノ文化的生計水準以下ニ下ルコトヲ得ズ

一、 第六章 文化及科学

凡テ教育其他文化ノ享受ハ男女ノ間ニ差異ヲ設クベカラズ
一切ノ教育・文化ハ真理ノ追究・真実ノ闡明ヲ目標トスル科学性ニ其ノ根底ヲ措クベシ

一、 第七章 司法

司法権ハ裁判所構成法及陪審法ノ規定ニ従ヒ裁判所之ヲ行フ
司法権ハ行政権ニ依リ侵害セラルルコトナシ
行政官庁処分ニ依リ権利ヲ傷害セラレ又ハ正当ノ利益ヲ損害セラレタリトスル場合ニ対シ別ニ行政裁判所ヲ設ク

一、 第八章 財政

国ノ歳出歳入ハ詳密ニ併カモ判明ニ予算ニ規定シ毎年国会ニ提出シ其ノ承認ヲ経ベシ
予算ハ先ヅ第一院ニ提出スベシ其ノ承認ヲ経タル項目及金額ニ就テハ第二院之ヲ否決スルヲ得ズ
租税ノ賦課ガ公正ニ行ハレ苟モ消費税ヲ偏重シテ民衆ノ負担ノ過重ヲ来サザルヤウ注意スルヲ要ス
歳入歳出ノ決算ハ速ニ会計検査院ニ提出シ其ノ検査確定ヲ得タル後政府ハ之ヲ国会ニ提出シテ承認ヲ経ベシ

一、 第九章 憲法ノ改正及国民投票

将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アリト認メタルトキハ大統領又ハ第一院若クハ第二院ハ議案ヲ作成シ之ヲ国会ノ議ニ付スヘシ
此ノ場合ニ於テ両院ハ各々其ノ議員三分二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲナスコトヲ得ス
国民全般ノ利害ニ関係アル問題ニシテ国民投票ニ附スルノ必要アリト認メラルル事項アルトキハ前憲法改正ノ規定ニ遵準シテ其ノ可否ヲ決スへシ
 
Copyright©2003-2004 National Diet Library All Rights Reserved.
 

2-13 高野岩三郎の憲法改正案

高野岩三郎は、明治から大正時代にかけて、東大教授として統計学を講じていたが、労働運動家の兄房太郎の影響で、労働問題に関心を深め、東大教授を辞して、大原社会問題研究所の創立に参画し所長に就任(1920年)。戦後は、日本社会党の創立に参加、また日本文化人連盟を結成するとともに憲法研究会を組織、1946(昭和21)年には日本放送協会会長に就任した。

憲法研究会は、鈴木安蔵が作成した原案をもとに討議をすすめたが、多数意見は、天皇制の存続を容認するものであった。高野は、研究会案の討議に参加する一方で、主権在民の原則を徹底し、天皇制廃止・共和制樹立の立場から、1945(昭和20)年11月下旬、独自案である「日本共和国憲法私案要綱」を起草し、完成稿を鈴木に手渡した(掲出資料の日付表記によれば、11月21日に執筆し、12月10日に加筆したように見える)。この中には、大統領制の採用とともに、土地や公益上必要な生産手段を国有化する旨の規定が含まれている。

同要綱は、第二章を修正するとともに、全体に若干の字句の修正を加えて、『新生』1946(昭和21)年2月号に掲載された論文「囚われたる民衆」の中に、「改正憲法私案要綱」と題されて収録された。

資料名 日本共和国憲法私案要綱
年月日 昭和20年11月21日、12月10日
資料番号  
所蔵 法政大学大原社会問題研究所
原所蔵  
注記  
資料名 改正憲法私案要綱 高野岩三郎(「新生」昭和二一年二月號所載)
年月日  
資料番号 入江俊郎文書 11(「憲法改正参考書類(憲法問題調査委員会資料)」の内)
所蔵 国立国会図書館
原所蔵  
注記  
    ※出典
    高野岩三郎の憲法改正案 | 日本国憲法の誕生 https://is.gd/sKNf0z
     
     
     
     

    進歩黨 憲法改正要綱

    2023年07月19日 | 憲法研究

    進歩黨 憲法改正要綱

    (参考)

    進歩党 憲法改正要綱 (二月十四日発表)

    一、統治権行使の原則

    一、天皇は臣民の輔翼に依り憲法の条規に従ひ統治権を行ふ
    立法は帝国議会の協賛に由り、行政は内閣の輔弼を要し、司法は裁判所に之を託す
    二、委任立法並に独立命令は之を廃止す
    三、緊急勅令の制定は議会常置委員会の議を経るを要す
    四、宣戦、媾和、同盟条約、立法事項又は重大事項を含む条約の締結は帝国議会の議を経るを要す
    五、統帥大権、編成大権及非常大権に関する条項は之を削除す
    六、戒厳の宣告は帝国議会の議を経るを要す
    七、内閣、各省其の他重要なる官制は法律に拠る
    八、教育の制度に関する重要なる事項は法律に拠る
    九、栄典大権中爵位の授与は之を廃止す

    二、臣民の権利義務

    十、日本臣民不法に逮捕、監禁せられたりとするときは裁判所に対し呼出を求め弁明を聴取せられんことを請願することを得
    十一、日本臣民は自己を犯罪人たらしむべき告白を強要せらるることなし
    十二、住所の不可侵、信書の秘密、信教、言論、著作、印行、集会、結社の自由の制限の法律は公安保持の為め必要なる場合に限り之を制定することを得

    三、帝国議会

    十三、貴族院を廃止し参議院を置く
    参議院は参議院法の定むる所に依り学識経験者及選挙に依る議員を以て之を組織す
    十四、予算案及財政法案は衆議院に於て之を先議す
    参議院は衆議院に於て削減せる予算案の復活を決議することを得ず
    十五、衆議院に於て引続き二回通過したる法案は参議院の同意なくして成立したるものと看做さる
    十六、衆議院は内閣及各国務大臣に対し不信任又は弾劾を決議することを得
    十七、帝国議会の会期を五箇月とす
    衆議院は会期の延長並に臨時議会の召集を求むることを得
    十八、議会常置委員会を設く
    常置委員会は議会閉会中緊急勅令の制定、臨時議会召集の請求緊急財政処分、予備金の支出、暫定予算、其の他緊急実施を要する重要事項を議決す此等の議決は次の帝国議会の承認を要す常置委員は衆議院議員任期満了及衆議院解散の場合に於ても新議会成立迄其の資格を存続す

    四、国務大臣

    十九、天皇内閣総理大臣を親任せんとするときは両院議長に諮問す
    各国務大臣の親任は内閣総理大臣の奏薦に依る
    内閣総理大臣及国務大臣を以て内閣を組織す
    二十、内閣総理大臣及国務大臣は帝国議会に対し其の責に任ず
    二十一、枢密院は之を廃止す

    五、司法

    二十二、大審院を最高裁判所とす大審院は法律又は命令が違憲又は違法なりやを審査するの権を有す
    二十三、行政裁判所を廃止しその権限を裁判所の管轄に属せしむ

    六、会計

    二十四、総予算不成立の場合には前年度予算の月額範囲内に於て三箇月限り暫定予算を作成す、暫定予算は常置委員会の承認を要す
    政府は三箇月の期間内に新予算の成立し得るやう帝国議会を召集することを要す
    七、補則
    二十五、各議院は各其の現在議員の三分の二以上の同意を以て憲法改正案を発議することを得
     
     
    Copyright©2003-2004 National Diet Library All Rights Reserved.
     
     

    資料と解説

    2-12 各政党の憲法改正諸案

    敗戦後、それまで非合法化されていた日本共産党が再建され、また、共産党を除く戦前の無産政党関係者により日本社会党が結成された。他方、保守政党では、非翼賛系議員を中心とした日本自由党と旧大日本政治会の多数を結集した日本進歩党が相次いで結成された。これら左右の各政党は、組織が整うにつれて、順次、独自の憲法改正草案を発表していった。

    共産党の「新憲法の骨子」は、1945(昭和20)年11月8日の全国協議会で決議されたものである。なお、当日決議されたものは、掲出資料より1項目多く全7項目となっていた。翌年の6月29日に、条文化された憲法草案が発表されたが、その特徴は、天皇制を廃止して共和制を採用していること、自由権・生活権等が社会主義の原則に基づいて保障されていることである。

    自由党は、同党の憲法改正特別調査会の浅井清慶大教授と金森徳次郎が中心となり、「憲法改正要綱」を作成し、1946(昭和21)年1月21日の総会で決定した。また進歩党は、2月14日の総務会で「憲法改正要綱」を決定した。両党の案は、天皇大権の廃止、制限や人権の拡張に関する条項があるものの、共和制を否定して、天皇の位置付けを統治権の「総攬者」もしくは統治権を「行ふ」ものとしており、総じて明治憲法の枠組みを堅持した保守的なものであった。

    一方社会党は、民間の憲法研究会案の作成にも加わった高野岩三郎、森戸辰男等が起草委員となり、党内左右両派の妥協の産物という色合いが強い「憲法改正要綱」を、2月23日に発表した(掲出資料の表記は2月24日発表)。同要綱は、「主権は国家」にあるとし、統治権を分割、その大半を議会に、一部を天皇に帰属させることで、天皇制を存続するとともに、議会の権限を増大し、国民の生存権の保障や死刑制度の廃止等を打ち出した点に特色がある。

    なお、共産党案以外の3点の掲出資料は、いずれも憲法問題調査委員会において配布された参考資料の一部である。

    資料名 日本共産党の新憲法の骨子
    年月日 昭和20年11月11日
    資料番号 佐藤達夫文書 26(「政党その他の団体の憲法改正案」の内)
    所蔵 国立国会図書館
    原所蔵  
    注記 当該資料は、当時の憲法問題調査委員会において配布された資料ではなく、後年に憲法制定関連の資料の一つとして作成されたものと思われる。11月8日の全国協議会で決議されたものには、第4項として「民主議会の議員は人民に責任を負ふ、選挙者に対して報告をなさず、その他不誠実不正の行為があった者は即時辞めさせる」とある。以下第5項から第7項の部分は、本資料中の第4項から第6項に該当する。(1945年11月12日付『朝日新聞』)
    資料名 自由黨 憲法改正要綱
    年月日 昭和21年1月21日
    資料番号 入江俊郎文書 9(「憲法問題調査委員会関係」の内)
    所蔵 国立国会図書館
    原所蔵  
    注記  
    資料名 進歩黨 憲法改正要綱
    年月日 昭和21年2月14日
    資料番号 入江俊郎文書 11(「憲法改正参考書類(憲法問題調査委員会資料)」の内)
    所蔵 国立国会図書館
    原所蔵  
    注記  
    資料名 社会黨 憲法改正要綱
    年月日 昭和21年2月24日発表
    資料番号 入江俊郎文書 11(「憲法改正参考書類(憲法問題調査委員会資料)」の内)
    所蔵 国立国会図書館
    原所蔵  
    注記  
    資料名 日本共産黨の日本人民共和國憲法(草案)
    年月日 1946年6月29日発表
    資料番号 憲法調査会資料(西沢哲四郎旧蔵)42(「憲資・総第10号 帝国憲法改正諸案及び関係文書(二)-政党その他の憲法改正案」の内)
    所蔵 国立国会図書館
    原所蔵  
    注記 当該資料は、憲法調査会の資料として昭和32年に翻刻刊行されたもの。6月29日発表当時のものには、当該の表題は付されておらず、「日本共産党憲法草案」となっている。(1946年7月15日付『アカハタ』)
    Copyright©2003-2004 National Diet Library All Rights Reserved.
     
     

    大日本帝国憲法

    2022年09月02日 | 憲法研究

    大日本帝国憲法

    目次


    告文

    皇朕レ謹ミ畏ミ
    皇祖
    皇宗ノ神霊ニ誥ケ白サク皇朕レ天壌無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ宝祚ヲ承継シ旧図ヲ保持シテ敢テ失墜スルコト無シ顧ミルニ世局ノ進運ニ膺リ人文ノ発達ニ随ヒ宜ク
    皇祖
    皇宗ノ遺訓ヲ明徴ニシ典憲ヲ成立シ条章ヲ昭示シ内ハ以テ子孫ノ率由スル所ト為シ外ハ以テ臣民翼賛ノ道ヲ広メ永遠ニ遵行セシメ益々国家ノ丕基ヲ鞏固ニシ八洲民生ノ慶福ヲ増進スヘシ茲ニ皇室典範及憲法ヲ制定ス惟フニ此レ皆
    皇祖
    皇宗ノ後裔ニ貽シタマヘル統治ノ洪範ヲ紹述スルニ外ナラス而シテ朕カ躬ニ逮テ時ト倶ニ挙行スルコトヲ得ルハ洵ニ
    皇祖
    皇宗及我カ
    皇考ノ威霊ニ倚藉スルニ由ラサルハ無シ皇朕レ仰テ
    皇祖
    皇宗及
    皇考ノ神祐ヲ祷リ併セテ朕カ現在及将来ニ臣民ニ率先シ此ノ憲章ヲ履行シテ愆ラサラムコトヲ誓フ庶幾クハ
    神霊此レヲ鑒ミタマヘ

    憲法発布勅語

    朕国家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣栄トシ朕カ祖宗ニ承クルノ大権ニ依リ現在及将来ノ臣民ニ対シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス
    惟フニ我カ祖我カ宗ハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝国ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威徳ト並ニ臣民ノ忠実勇武ニシテ国ヲ愛シ公ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル国史ノ成跡ヲ貽シタルナリ朕我カ臣民ハ即チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ回想シ其ノ朕カ意ヲ奉体シ朕カ事ヲ奨順シ相与ニ和衷協同シ益々我カ帝国ノ光栄ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ永久ニ鞏固ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負担ヲ分ツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ

    大日本帝国憲法

    朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ万世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ国家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム
    国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ
    朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範囲内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス
    帝国議会ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議会開会ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ
    将来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ハ発議ノ権ヲ執リ之ヲ議会ニ付シ議会ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ之カ紛更ヲ試ミルコトヲ得サルヘシ
    朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク朕カ現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ

    御名御璽
    明治二十二年二月十一日

    • 内閣総理大臣 伯爵 黒田清隆
    • 枢密院議長 伯爵 伊藤博文
    • 外務大臣 伯爵 大隈重信
    • 海軍大臣 伯爵 西郷従道
    • 農商務大臣 伯爵 井上 馨
    • 司法大臣 伯爵 山田顕義
    • 大蔵大臣兼内務大臣 伯爵 松方正義
    • 陸軍大臣 伯爵 大山 巌
    • 文部大臣 子爵 森 有礼
    • 逓信大臣 子爵 榎本武揚

    大日本帝国憲法

    第1章 天皇

    • 第1条大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
    • 第2条皇位ハ皇室典範ノ定ムル所ニ依リ皇男子孫之ヲ継承ス
    • 第3条天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス
    • 第4条天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
    • 第5条天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
    • 第6条天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ス
    • 第7条天皇ハ帝国議会ヲ召集シ其ノ開会閉会停会及衆議院ノ解散ヲ命ス
    • 第8条天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
      2 此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出スヘシ若議会ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ将来ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公布スヘシ
    • 第9条天皇ハ法律ヲ執行スル為ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ス
    • 第10条天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ掲ケタルモノハ各々其ノ条項ニ依ル
    • 第11条天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
    • 第12条天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ定ム
    • 第13条天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス
    • 第14条天皇ハ戒厳ヲ宣告ス
      2 戒厳ノ要件及効力ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
    • 第15条天皇ハ爵位勲章及其ノ他ノ栄典ヲ授与ス
    • 第16条天皇ハ大赦特赦減刑及復権ヲ命ス
    • 第17条摂政ヲ置クハ皇室典範ノ定ムル所ニ依ル
      2 摂政ハ天皇ノ名ニ於テ大権ヲ行フ

    第2章 臣民権利義務

    • 第18条日本臣民タル要件ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
    • 第19条日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得
    • 第20条日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ兵役ノ義務ヲ有ス
    • 第21条日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス
    • 第22条日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ居住及移転ノ自由ヲ有ス
    • 第23条日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ
    • 第24条日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルヽコトナシ
    • 第25条日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外其ノ許諾ナクシテ住所ニ侵入セラレ及捜索セラルヽコトナシ
    • 第26条日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ侵サルヽコトナシ
    • 第27条日本臣民ハ其ノ所有権ヲ侵サルヽコトナシ
      2 公益ノ為必要ナル処分ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
    • 第28条日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス
    • 第29条日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス
    • 第30条日本臣民ハ相当ノ敬礼ヲ守リ別ニ定ムル所ノ規程ニ従ヒ請願ヲ為スコトヲ得
    • 第31条本章ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変ノ場合ニ於テ天皇大権ノ施行ヲ妨クルコトナシ
    • 第32条本章ニ掲ケタル条規ハ陸海軍ノ法令又ハ紀律ニ牴触セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス

    第3章 帝国議会

    • 第33条帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ以テ成立ス
    • 第34条貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族華族及勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
    • 第35条衆議院ハ選挙法ノ定ムル所ニ依リ公選セラレタル議員ヲ以テ組織ス
    • 第36条何人モ同時ニ両議院ノ議員タルコトヲ得ス
    • 第37条凡テ法律ハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要ス
    • 第38条両議院ハ政府ノ提出スル法律案ヲ議決シ及各々法律案ヲ提出スルコトヲ得
    • 第39条両議院ノ一ニ於テ否決シタル法律案ハ同会期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス
    • 第40条両議院ハ法律又ハ其ノ他ノ事件ニ付キ各々其ノ意見ヲ政府ニ建議スルコトヲ得但シ其ノ採納ヲ得サルモノハ同会期中ニ於テ再ヒ建議スルコトヲ得ス
    • 第41条帝国議会ハ毎年之ヲ召集ス
    • 第42条帝国議会ハ三箇月ヲ以テ会期トス必要アル場合ニ於テハ勅命ヲ以テ之ヲ延長スルコトアルヘシ
    • 第43条臨時緊急ノ必要アル場合ニ於テ常会ノ外臨時会ヲ召集スヘシ
      2 臨時会ノ会期ヲ定ムルハ勅命ニ依ル
    • 第44条帝国議会ノ開会閉会会期ノ延長及停会ハ両院同時ニ之ヲ行フヘシ
      2 衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ貴族院ハ同時ニ停会セラルヘシ
    • 第45条衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅令ヲ以テ新ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ五箇月以内ニ之ヲ召集スヘシ
    • 第46条両議院ハ各々其ノ総議員三分ノ一以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ為ス事ヲ得ス
    • 第47条両議院ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
    • 第48条両議院ノ会議ハ公開ス但シ政府ノ要求又ハ其ノ院ノ決議ニ依リ秘密会ト為スコトヲ得
    • 第49条両議院ハ各々天皇ニ上奏スルコトヲ得
    • 第50条両議院ハ臣民ヨリ呈出スル請願書ヲ受クルコトヲ得
    • 第51条両議院ハ此ノ憲法及議院法ニ掲クルモノヽ外内部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムルコトヲ得
    • 第52条両議院ノ議員ハ議院ニ於テ発言シタル意見及表決ニ付院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ但シ議員自ラ其ノ言論ヲ演説刊行筆記又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ公布シタルトキハ一般ノ法律ニ依リ処分セラルヘシ
    • 第53条両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内乱外患ニ関ル罪ヲ除ク外会期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕セラルヽコトナシ
    • 第54条国務大臣及政府委員ハ何時タリトモ各議院ニ出席シ及発言スルコトヲ得

    第4章 国務大臣及枢密顧問

    • 第55条国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス
      2 凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス
    • 第56条枢密顧問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依リ天皇ノ諮詢ニ応ヘ重要ノ国務ヲ審議ス

    第5章 司法

    • 第57条司法権ハ天皇ノ名ニ於テ法律ニ依リ裁判所之ヲ行フ
      2 裁判所ノ構成ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
    • 第58条裁判官ハ法律ニ定メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ニ任ス
      2 裁判官ハ刑法ノ宣告又ハ懲戒ノ処分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルヽコトナシ
      3 懲戒ノ条規ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
    • 第59条裁判ノ対審判決ハ之ヲ公開ス但シ安寧秩序又ハ風俗ヲ害スルノ虞アルトキハ法律ニ依リ又ハ裁判所ノ決議ヲ以テ対審ノ公開ヲ停ムルコトヲ得
    • 第60条特別裁判所ノ管轄ニ属スヘキモノハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
    • 第61条行政官庁ノ違法処分ニ由リ権利ヲ傷害セラレタリトスルノ訴訟ニシテ別ニ法律ヲ以テ定メタル行政裁判所ノ裁判ニ属スヘキモノハ司法裁判所ニ於テ受理スルノ限ニ在ラス

    第6章 会計

    • 第62条新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
      2 但シ報償ニ属スル行政上ノ手数料及其ノ他ノ収納金ハ前項ノ限ニ在ラス
      3 国債ヲ起シ及予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ為スハ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
    • 第63条現行ノ租税ハ更ニ法律ヲ以テ之ヲ改メサル限ハ旧ニ依リ之ヲ徴収ス
    • 第64条国家ノ歳出歳入ハ毎年予算ヲ以テ帝国議会ノ協賛ヲ経ヘシ
      2 予算ノ款項ニ超過シ又ハ予算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝国議会ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
    • 第65条予算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ
    • 第66条皇室経費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ将来増額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝国議会ノ協賛ヲ要セス
    • 第67条憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出及法律ノ結果ニ由リ又ハ法律上政府ノ義務ニ属スル歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除シ又ハ削減スルコトヲ得ス
    • 第68条特別ノ須要ニ因リ政府ハ予メ年限ヲ定メ継続費トシテ帝国議会ノ協賛ヲ求ムルコトヲ得
    • 第69条避クヘカラサル予算ノ不足ヲ補フ為ニ又ハ予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル為ニ予備費ヲ設クヘシ
    • 第70条公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需用アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
      2 前項ノ場合ニ於テハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス
    • 第71条帝国議会ニ於テ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ
    • 第72条国家ノ歳出歳入ノ決算ハ会計検査院之ヲ検査確定シ政府ハ其ノ検査報告ト倶ニ之ヲ帝国議会ニ提出スヘシ
      2 会計検査院ノ組織及職権ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム

    第7章 補則

    • 第73条将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
      2 此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノニ以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス
    • 第74条皇室典範ノ改正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス
      2 皇室典範ヲ以テ此ノ憲法ノ条規ヲ変更スルコトヲ得ス
    • 第75条憲法及皇室典範ハ摂政ヲ置クノ間之ヲ変更スルコトヲ得ス
    • 第76条法律規則命令又ハ何等ノ名称ヲ用ヰタルニ拘ラス此ノ憲法ニ矛盾セサル現行ノ法令ハ総テ遵由ノ効力ヲ有ス
      2 歳出上政府ノ義務ニ係ル現在ノ契約又ハ命令ハ総テ第六十七条ノ例ニ依ル

       

       

       


      石橋政嗣氏と溶解した社会党

      2017年09月24日 | 歴史資料

       

      落穂拾記(28)

      石橋政嗣氏と溶解した社会党

                           羽原 清雅 


       先日、博多に住む元社会党書記長、委員長を務めた石橋政嗣氏を訪ねた。89歳。大いに元気なのだが、政治についてはあまり語らず、報道関係者にも会うこともない。国会40年の政治活動は必ずしも思いを果たすことはできなかったが、昨今の社民党や政治状況には『失望』というよりは『あきれてものがいえない』といった印象である。

       石橋氏は1951年長崎県議、1955年旧長崎2区で衆院初当選、1970年成田委員長のもとで7年間の書記長を務め、1983年飛鳥田辞任により86年まで委員長に就任、1990年土井氏の期待する立候補を蹴って政界を引退した。今も「平和・民主・人権」の信念は変わっていない。

       筆者は自民党担当のほうが長かったが、野党、特に社会党を担当したのは佐々木更三・勝間田清一・成田知巳・飛鳥田一雄・石橋政嗣・土井たか子・田辺誠各委員長までで、必ずといっていいほど抗争なり、選挙での敗退、委員長交代などの波乱があった。党大会が年5回、ということもあった。それぞれの委員長体制には個性や面白さもあったが、やはり成田・石橋時代が強烈だった。

       おおまかながら、石橋氏の動きを振り返りつつ、社会党の崩壊に至る道筋を追ってみたい。

      1>1960年 岸内閣下での安保条約改定の際、論理的に首相を追及して『安保五人男』として、議員5年ながらその力量が評価された。
      2>1966年 党是だった「非武装中立論」を具体化させて、自衛隊を国民警察隊に改組、漸進的に縮小する、との案を打ち出す。30万部発行の評判だった。
      3>1971年 書記長として四日市・石原産業の公害の実態を国会で追及、環境庁設置や公害立法に鈍い佐藤内閣に拍車をかけた。
      4>197、80年代 当初の全野党共闘路線から実現可能な社公民路線へと路線を修正して「政権」に配慮したが、公民両党の自民傾斜のほうが勢いづいた。成田委員長の全野党路線、さらに中国の覇権主義問題で衝突もあった。
      5>1983年 委員長として中曽根首相相手に非武装中立論をぶつけ、自衛隊の「違憲合法論」を主張した。党内の反発に、最高裁の一票の格差判決を引いて「格差は違憲でも、選挙結果は合法」と同じ、と押し切った。

       石橋氏は、大半の書記長報告や党務報告、各種の原稿などを書記局に任せず、自ら執筆していた。総務局長時代には、連日朝から書記局に詰めるので、夜が遅く出勤の遅い書記たちもやむなく早い出勤にならざるを得ない、といったこともあった。けむたがる面々がいたのも事実だったが、強気の率先垂範であった。
       あれこれ考えて一度こうと決めたら、変えない。まずは自分自身で動く。頑固、意地っ張りである。「任せてくれないなあ」との不満も出たが、厳しく相手の能力も見る。

       石橋氏については、二つの点を紹介したい。
       ひとつは組織政党化の試みと社会主義協会との関係、もうひとつは記録的な外遊と野党外交の存在、である。知る人は知るが、メディアからも十分には伝えられていなかった、といえる。

      ■1> 組織政党化の試みと社会主義協会との関係

       成田委員長が1964年に打ち出した「成田3原則」は、社会党の基本的なもろさを言い得たものとして注目されていた。つまり、社会党の組織的欠陥は「日常活動の不足」「議員党的体質」「労組依存」にある、という反省の弁である。
       日常的な政党活動は共産党、公明党のようにはいかず、選挙前になると候補者や資金繰り、動員力などで労組の力を借り、代わりに労組の言いなりになりがちになる。また、議員らは選挙区での活動よりも派閥活動を重視、党人事や路線をめぐる党内抗争に走りがちになる。こうした体質を変えなければ党の再生はない、というのだ。

       そこで、成田・石橋執行部は「機関中心主義」を標榜して、まず「社会新報」の購読者を広げて財政基盤を作り、その資金をもとに専従の地方オルグを増やし、党自体の主体的な日常活動を強め、労組依存から脱して党と労組の関係を整理しようとした。労組の力に依存しなければ、候補者や議員は出身労組の言いなりになったり、労組幹部を卒業して国会に出ることを望んだり、といった風潮を排除できるし、労組とその企業の利害で動くような対応を断つことができるし、さらに一般からの有能な人材を国会に送れれば派閥がらみの言動を封じ込める、といった狙いがあった。

       山本政弘機関紙局長のもとで、「社会新報」の部数が増え始め、地方の若い専従活動家も徐々に伸びて、地方での党の体質に変化の兆しが見え始めた。
       ところが、行動的な党員の多くが、向坂逸郎氏らの影響の強い、理論に基づきがちな社会主義協会のメンバーだった。山本氏は現実路線の立場ながら、協会の幹部だった。そこに、これまでの党運営とは大きく異なってきて、従来のやり方に慣れた国会議員や地方議員らのあいだに戸惑いや反発が広がっていった。

       たしかに、労組の言いなりになる、議員の座にあぐらをかく、党としての日常活動に加わらない、権威を振りかざす、国会や県議会をタテに横柄な言動に走る・・・・といった日頃の先輩党員への批判や反発の材料が転がっていたことも事実だった。
       急増していく若い党員の情熱は燃えて、行動力も強まった。ところが、「自分たちが党を変える」、「既成の議員たちの手法を変えるのだ」という意気込みが、地方組織を「数」で抑え、古い党員や議員らの思いや経験を聞かない方向に進みがちになった。いわば、血気に燃えた急激な行動が全国に広がりそうになったことで、これに反発と危機感を覚えて、右派も左派も糾合する「反協会」の一大勢力を生み出し、協会系との摩擦が党中央で大きく表面化した。
       協会内には、党の体質改善をあまり性急にやらず、地方の古参党員や議員らとの摩擦を抑えようという現実路線と、折角の改革機運にブレーキをかけるな、という原則推進路線の対立が生まれていたが、必ずしも穏健な方向には踏み切れなかった。
       党中央の成田、石橋執行部は、双方の板ばさみとなり、本来の党体質の改革の動きが協会系の台頭にすり替えられていったことを惜しみながらも、強硬な「反協会」勢力を抑えられなかった。

       結局、若い党員たちの行動力や意欲は次第に衰え、「反協会」系の議員らも新たな改革の方向を打ち出すことはできず、双方にダメージを残して社会党の衰退を受け入れざるを得なくなった。
       おそらく当初の「3原則」を緒につけながら、予想外の展開となっていった状況に、当時の石橋氏らの思いは複雑だっただろう。社会党が社民党に名を変え、次第に消えていく姿に、かつての社会党を支えてきた幹部らが、憮然とした思いを漏らす様子をあちこちで見聞きしたものだ。彼らはみな、本来の社会党支持層は部厚く残されているはず、と思いながらも、取り残される焦燥感は消えなかった。

       しかも、党の組織化の方向に反して、「成田」後に就任した飛鳥田委員長は、一般的な人気はありはしたものの、打ち出した百万党建設の構想はいささか甘く具体化には至らず、キャッチフレーズのみで「風」待ちにとどまった。このあとの石橋体制も、「ニュー社会党」をめざすが、組織党への道に戻ることはできないままに交代。石橋氏を継いだ市民党的な立場の土井委員長もまた、マドンナ旋風などの一般人気に依存、政党としての足場作りにはほとんど関心を示すことはなかった。組織政党建設の試行はこのあたりで終わり、社会党溶解につながっていく。
       石橋氏とすれば、その後の村山富市首相の率いる社会党・社民党が与党化し、自衛隊合憲・安保堅持を言い出したことも、今日の保守化とオール与党化の引き金になったという思いが消えないだろう。
       そこに、引退した石橋氏の政治離れというか、社会党への愛想尽かしの根っこがあると言って差しつかえあるまい。

      ■2> 野党外交の足跡

       石橋氏は最近、外遊の記録をメモにまとめた。まずは個人的関心からだろうが、あらためてこれを見ると、最近の与野党幹部や議員には見られないほどの「野党外交」歴である。
       石橋氏は台湾に生れ育ったあと、戦争の悪化の時期に本土での軍人生活をさせられている。植民地から「日本」を見る眼があったことから、とくに海外に外交の必要を感じ、多角的にそうした経験を求めるようになったのではないだろうか。
       安倍政権はじめ、与野党の議員外交のなかに、中国、韓国、北朝鮮に対する外交努力が見えてこない昨今、あらためて社会党なり、石橋氏なりの姿勢には感じるものがある。

       一端をざっと紹介したい。

      (中国)毛沢東主席、周恩来首相<3回>、胡耀邦、李先念、王震、喬石<2回>、胡啓立<2回>
      (米国)エドワード・ケネディ上院議員、ロバート・ケネディ法務長官、キッシンジャー大統領補佐官・国務長官<3回>、ブッシュ副大統領、シュルツ国務長官、ワインバーガー国防長官、アーミテイジ国務副長官、ライシャワー大使、マンスフィールド大使<5、6回>
      (ソ連)フルシチョフ書記長、ミコヤン書記、スースロフ書記<3回>、ゴルバチョフ大統領、シュワルナゼ外相<2回>、ポノマリョフ書記<2回>
      (韓国)盧泰愚大統領、李賢宰首相、金在淳国会議長、金大中平和民主党総裁<のち大統領、4、5回>、金泳三統一民主党総裁<のち大統領、7、8回>、伊吉重民主正義党代表委員
      (北朝鮮)金日成主席<2回>、金永南全人代委員長
      (台湾)李登輝総統、郭白村行政院長、黄尊秋監察院長、銭腹外相<各2回>、林洋港司法院長
      (豪州)ウイットラム首相、ホーク首相
      (ニュージランド)ロンギ首相
      (ポルトガル)ソワレス首相
      (スペイン)ゴンザレス首相
      (英国)ベン労働党副党首、コウタッチ大使<4、5回>
      (東独)ウルブリヒト大統領、ホーネッカー大統領、マルコフスキー国際部長
      (ルーマニア)ゲオルゲ・デジ大統領、チャウシェスク大統領
      (ユーゴスラビア)チトー大統領
      (ブルガリア)ジフコフ大統領、セレベゾフ大使<約10回>
      (ギリシャ)メルクリーヌ文化相

       社会党幹部(国際局長、書記長、委員長)としての訪問・会談が多いのは当然だが、随行した国際局の書記らの話では、石橋氏の明快な分析と物言いから日本の実情を聞きたいというアプローチが多くあり、また単なる野党の幹部ながら相手に会談を申し込んでも容易に会談が実現できた、という。

       北朝鮮では、金日成主席と約10時間会い、民間漁業協定の協議再開を取り付け、これには安倍晋太郎外相からお礼の食事に招かれたという。また、「南進しない。民族間の戦争はしない。米軍撤退と核兵器撤去を南北米3国会談の条件としない」など、いまの北朝鮮とは異なる主席発言を聞いている。
       韓国では、金泳三に招かれ、彼の望んだ訪ソの受け入れを仲介、これが実現して、のちに盧泰愚・ゴルバチョフ会談の道を開くことになった。

       中国は、1960年の鈴木茂三郎委員長に同行、毛沢東主席について「西郷隆盛を彷彿とさせる、と書いて不評だったが、晩年の文化大革命という大きな過ちを見て、直感は必ずしもピント外れではなかった。毛も西郷も革命の人で、建設の人ではなかった。建設の人は実権派の劉少奇・周恩来・小平、日本では大久保利通・伊藤博文」との趣旨を石橋氏はメモに書いている。 周恩来首相については「世界のトップ・リーダーの中で頭脳明晰の人といえば、間違いなく数えられる」とし、また必ずしも文革支持ではなかった、と見ている。1970年の3回目の訪中では、石橋氏は当時大きな論議になった「日本軍国主義の復活」について、「復活しているとは思わない。(中国は)非武装中立を批判するが、軍国主義の復活を阻止しているのはわれわれ護憲の勢力だ」として対立した。

       ソ連では、1964年に会ったフルシチョフ首相は「失脚直前で魅力なし」と見た石橋氏だが、「高く評価しているのはゴルバチョフ大統領」と記す。約束の時間の10分前には迎えに出ていた、といわれたが信用しなかったところ、その映像を同行記者団から見せられ、「その謙虚さ」に驚く。会談が始まると、昼食抜きで約4時間。「存分に話し合い、こちらの意見にも真摯に耳を傾ける」「(ソ連が)今の侭では駄目だという確信から、ペレストロイカ(改革)、グラスノスチ(情報公開)の旗印を高く掲げて改革に立ち上がったということは、特権的な地位・独裁の放棄に他ならない」と讃える。

       米国には1984年、委員長として出向いた。「党内に、米国、韓国、南ベトナム、インドネシア等に行くことがタブーといった空気のあるころから、私に会いたいという人とはどこの国の人とも会うようにしていたので、それが実際に訪問した時に大変役立った」と書く。キッシンジャーには、富士銀行の岩佐頭取からの電話で『在米中に会ってもらえないか』といわれて会うことになり、その後もニューヨークと東京で会っている。ブッシュ副大統領とはおもに核軍縮の実現を迫った、という。

       ところで、石橋氏は「あと味の悪い会談—好きになれない人物」として、ルーマニアのチャウシェスク大統領をあげている。1974年の2回目の訪問で会い、「非常に神経質なワンマンという印象を強く受けた。権力の座を追われ、逃亡の果てに追い詰められ、国民の手で殺された最後の姿を見て、なんとなく分るような気がした」と綴った。
       もうひとりはユーゴスラビアのチトー大統領。いったん断られたが、会うことになり、遠隔地で狩猟しているので、その山中のホテルに3日間かけて向かう。「到着するから玄関に出てお迎えをするように」と言われたあと会談に。だが、あと味悪く、「周囲の者が神格化させる為に努力している実態を目の当たりにするにつけ、独裁者はこのようにして作られるのだと強く実感させられた」と書いている。

       石橋氏は本や資料を大切にしていた。書籍類ばかりでなく、スクラップブックもきちんと整理され、数十冊に及んだ。それらは今どうなっているのだろうか。
       大半を贈られた国立国会図書館には、石橋政嗣関係文書として選挙演説や論文の自筆原稿、国会質問の原稿、日米安保・防衛・沖縄・日中・日韓などの準備ノート、海外訪問団の報告書、掲載紙誌など約1500点があり、最近ではレーニンの革命当初のレコードなどが収められた。
       また選挙区だった佐世保のシーボルト大学と早稲田大学の図書館にも贈られて、かなりの蔵書が収蔵されている。早大図書館の日本政治文庫はまだ、開設に至っていないのだが。
       政治家が後世に記録を残すことは、ひとつの責務ではなかろうか。できれば、日記をつけてほしいところでもあるが、「秘密は地獄にまで持っていくよ」という人物もいて思うようにはいかない。

       じつはこの稿を起すには、ひとつの理由がある。
       社会党の歴史や実態を書いた書物は多い。だが、派閥抗争のなかで関係者や新聞記者が書いたものが多く、大半は細切れの新聞記事をまとめたか、混迷を時系列で書きまとめたか、あるいは派閥や抗争の背景説明にとどまるか、といったものが圧倒的だ。出来上がったものからの孫引きや、再検討なしの記述も少なくない。社会党の歴史には是もあり、可もあるが、社会党が戦後の二大政党下の政治を動かし、ブレーキをかけ、各種の政策等を進め、チェックし、ときに失敗を重ね、それらに対してどのような結果が残され、あるいは日の目をみなかったか、あるいは世論の受け止め方はどうだったか、といった日本政治の構造のなかでのトータルな分析、研究はまだ不十分である。

       それでも最近、当時を実体験していない若い社会党の研究者が出てきている。過去の書物にとらわれず、往年の文献や記事を最初から再検討し、比較しつつ読みこなして、戦後政治の全体像の中での社会党の存在を客観的な姿勢で見直すことが必要だ。なまじっか当時を知って先入観にとらわれるよりも、白紙状態で見直すことが望ましい。少し長い眼で歴史を固めてほしい。
       九条の会や原発ゼロの運動など地域単位の部分的な組織はともかくとして、政党をバックアップしたり、苦言を呈したりするようなナショナル・センター的な全国規模の組織、かつてのことでいえば総評や同盟などの機能が存在しなくなった昨今(連合はその機能を果たしていない)、もういちど「戦後」の社会を、新しい感覚で見直してはどうだろうか。

       そのような思いもあって、石橋氏の健在に端を発して、若い人たちに書き留めてみた。

       (筆者は元朝日新聞政治部長)

      一人ひとりが声をあげて平和を創る メールマガジン「オルタ」

      ※旧社会党、元社民党が日本の現代史の中で、なぜ崩壊、溶解していったか、解明する一つの手がかりと証言がここに述べられている。





      内田樹「国旗国歌について」

      2015年06月18日 | 国内政治経済

       

      国旗国歌について

      国立大学での国旗掲揚国歌斉唱を求める文科省の要請に対して、大学人として反対している。
      その理由が「わからない」という人が散見される(散見どころじゃないけど)。
      同じことを何度もいうのも面倒なので、国旗国歌についての私の基本的な見解をまた掲げておく。
      今から16年前、1999年に書かれたものである。
      私の意見はそのときと変わっていない。

      国旗国歌法案が参院を通過した。
      このような法的規制によって現代の若者たちに決定的に欠落している公共心を再建できるとは私はまったく思わない。すでに繰り返し指摘しているように、 「公」という観念こそは戦後日本社会が半世紀かけて全力を尽くして破壊してきたものである。半世紀かけて国全体が壊してきたものをいまさら一編の法律条文 でどうにかしようとするのはどだい無理なことだ。


      ともあれ、遠からず、この立法化で勢いを得て騒ぎ出すお調子者が出てくるだろう。式典などで君が代に唱和しないものを指さして「出ていけ」とよばわった り、「声が小さい」と会衆をどなりつけたり、国旗への礼の角度が浅いと小学生をいたぶったりする愚か者が続々と出てくるだろう。
      こういう頭の悪い人間に「他人をどなりつける大義名分」を与えるという一点で、私はこの法案は希代の悪法になる可能性があると思う。
      一世代上の人々ならよく覚えているだろうが、戦時中にまわりの人間の「愛国心」の度合いを自分勝手なものさしで計測して、おのれの意に添わない隣人を「非 国民」よばわりしていたひとたちは、8月15日を境にして、一転「民主主義」の旗持ちになって、こんどはまわりの人間の「民主化」の度合いをあれこれを言 い立てて、おのれの意に添わない隣人を「軍国主義者」よばわりした。こういうひとたちのやることは昔も今も変わらない。
      私たちの世代には全共闘の「マルクス主義者」がいた。私はその渦中にいたのでよく覚えているが、他人の「革命的忠誠心」やら「革命的戦闘性」についてがた がたうるさいことを言って、自分勝手なものさしでひとを「プチブル急進主義者」よばわりしてこづきまわしたひとたちは、だいたいが中学高校生のころは生徒 会長などしていて、校則違反の同級生をつかまえて「髪が肩に掛かっている」だの「ハイソックスの折り返しが少ない」だのとがたがた言っていた連中であっ た。その連中の多くは卒業前になると、彼らの恫喝に屈してこつこつと「プロレタリア的人格改造」に励んでいたうすのろの学友を置き去りにして、きれいに髪 を切りそろえて、雪崩打つように官庁や大企業に就職してしまった。バブル経済のころ、やぐらの上で踊り回っていたのはこの世代のひとたちである。こういう ひとたちのやることはいつでも変わらない。
      いつでもなんらかの大義名分をかかげてひとを査定し、論争をふきかけ、こづきまわし、怒鳴りつけることが好きなひとたちがいる。彼らがいちばん好きなのは 「公共性」という大義名分である。「公共性」という大義名分を掲げて騒ぐ人たちが(おそらくは本人たちも知らぬままに)ほんとうにしたがっているのは他人 に対して圧倒的優位に立ち、反論のできない立場にいる人間に恫喝を加えることである。ねずみをいたぶる猫の立場になりたいのである。
      私は絶対王政も軍国主義もスターリン主義もフェミニズムも全部嫌いだが、それはその「イズム」そのものの論理的不整合をとがめてそう言うのではない。それ らの「イズム」が、その構造的必然として、小ずるい人間であればあるほど権力にアクセスしやすい体制を生み出すことが嫌いなのである。
      正直に言って、日本が中国や太平洋で戦争をしたことについて、私はそれなりの歴史的必然があったと思う。その当時の国際関係のなかで、他に効果的な外交的 なオプションがあったかどうか、私には分からない。たぶん生まれたばかりの近代国民国家が生き延びるためには戦争という手だてしかなかったのだろう。
      しかし、それでも戦争遂行の過程で、国論を統一するために、国威を高めるために、お調子者のイデオローグたちが「滅私奉公」のイデオロギーをふりまわして、静かに暮らしているひとびとの私的領域に踏み込んで騒ぎ回ったことに対しては、私は嫌悪感以外のものを感じない。
      小津安二郎の『秋刀魚の味』の中に、戦時中駆逐艦の艦長だった初老のサラリーマン(笠智衆)が、街で昔の乗組員だった修理工(加東大介)に出会って、トリ スバーで一献傾ける場面がある。元水兵はバーの女の子に「軍艦マーチ」をリクエストして、雄壮なマーチをBGMに昔を懐かしむ。そして「あの戦争に勝って いたら、いまごろ艦長も私もニューヨークですよ」という酔客のSF的想像を語る。すると元艦長はにこやかに微笑みながら「いやあ、あれは負けてよかった よ」とつぶやく。それを聞いてきょとんとした元水兵はこう言う。「そうですかね。そういやそうですね。くだらない奴がえばらなくなっただけでも負けてよ かったか。」
      私はこの映画をはじめてみたとき、この言葉に衝撃を覚えた。戦争はときに不可避である。戦わなければ座して死ぬだけというときもあるだろう。それは、こど もにも分かる。けれども、その不可避の戦いの時運に乗じて、愛国の旗印を振り回し、国難の急なるを口実に、他人をどなりつけ、脅し、いたぶった人間がいた ということ、それも非常にたくさんいたということ、その害悪は「敗戦」の悲惨よりもさらに大きいものだったという一人の戦中派のつぶやきは少年の私には意 外だった。
      その後、半世紀生きてきて、私はこの言葉の正しさを骨身にしみて知った。
      国難に直面した国家のためであれ、搾取された階級のためであれ、踏みにじられた民族の誇りのためであれ、抑圧されたジェンダーの解放のためであれ、それら の戦いのすべては、それを口実に他人をどなりつけ、脅し、いたぶる人間を大量に生み出した。そしてそのことがもたらす人心の荒廃は、国難そのもの、搾取そ のもの、抑圧そのものよりもときに有害である。
      現代の若い人たちに「公」への配慮が欠如していることを私は認める。彼らに公共性の重要であることを教えるのは急務であるとも思う。しかし、おのれの私的 な欲望充足のために、「公」の旗を振り回す者たち(戦後日本社会で声高に発言してきたのはほぼ全員がその種類の人間たちである)から若者たちが学ぶのは、 そういう小ずるい生き方をすれば、他人をどなりつける側に回れるという最悪の教訓だけだと私は思う。
      国旗国歌法によって日本社会はより悪くなるだろうと私は思う。だが、それは国旗や国歌のせいではない。
       

      ※出典
      「内田 樹の研究室」
      http://goo.gl/A06iQC
       
       
       
       

      なぜ、憲法学は集団的自衛権違憲説で一致するのか? 木村草太・憲法学者

      2015年06月18日 | 憲法研究

       

      憲法学者の長谷部恭男・早稲田大教授と小林節・慶応大名誉 教授が、衆院憲法審査会で安全保障関連法案を「違憲」と指摘した。長谷部教授は「95%を超える憲法学者が違憲だと考えているのではないか」とも語る。憲 法学者による疑義に対し、菅官房長官は、「安保法制を合憲と考える学者もたくさんいる」と反発したが、後日、「数(の問題)ではない」と述べ、事実上前言 を撤回した。そもそも、なぜ、圧倒的多数の憲法学者が集団的自衛権を違憲と考えるのだろうか。憲法が専門の木村草太・首都大学東京准教授に寄稿してもらっ た。


      1.集団的自衛権はなぜ違憲なのか

       6月4日の憲法審査会で、参考人の憲法学者が集団的自衛権行使容認を違憲と断じた。このことの影響は大きく、政 府・与党は釈明に追われている。もっとも、集団的自衛権行使容認違憲説は、ほとんどの憲法学者が一致して支持する学界通説である。まずは、「なぜ学説が集 団的自衛権違憲説で一致するのか」確認しておこう。

       日本国憲法では、憲法9条1項で戦争・武力行使が禁じられ、9条2項では「軍」の編成と「戦力」不保持が規定される。このため、外国政府への武力 行使は原則として違憲であり、例外的に外国政府への武力行使をしようとするなら、9条の例外を認めるための根拠となる規定を示す必要がある。

       「9条の例外を認めた規定はない」と考えるなら、個別的自衛権違憲説になる。改憲論者の多くは、この見解を前提に、日本防衛のために改憲が必要だと言う。

       では、個別的自衛権合憲説は、どのようなロジックによるのか。憲法13条は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は「国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定める。

       つまり、政府には、国内の安全を確保する義務が課されている。また、国内の主権を維持する活動は防衛「行政」であり、内閣の持つ行政権(憲法65 条、73条)の範囲と説明することもできる。とすれば、自衛のための必要最小限度の実力行使は、9条の例外として許容される。これは、従来の政府見解であ り、筆者もこの解釈は、十分な説得力があると考えている。

       では、集団的自衛権の行使を基礎付ける憲法の条文は存在するか。これは、ネッシーを探すのと同じくらいに無理がある。国際法尊重や国際協調を宣言 する文言はあるものの、これは、あくまで外国政府の尊重を宣言するものに過ぎない。「外国を防衛する義務」を政府に課す規定は、どこにも存在しない。

       また、外国の防衛を援助するための武力行使は、「防衛行政」や「外交協力」の範囲には含まれず、「軍事」活動になるだろう。ところが、政府の権限 を列挙した憲法73条には、「行政」と「外交」の権限があるだけで「軍事」の規定がない。政府が集団的自衛権を行使するのは、憲法で附与されていない軍事 権の行使となり、越権行為になるだろう。

       つまり、日本国憲法の下では、自衛隊が外国の政府との関係でなしうる活動は、防衛行政としての個別的自衛権の行使と、外交協力として専門技術者として派遣されるPKO活動などに限定せざるを得ない。

       以上のように、個別的自衛権すら違憲と理解する憲法学者はもちろん、個別的自衛権は合憲と理解する憲法学者であっても、集団的自衛権の行使は違憲 と解釈している。憲法学者の圧倒的多数は、解釈ロジックを明示してきたかどうかはともかく、集団的自衛権が違憲であると解釈していた。さらに、従来の政府 も集団的自衛権は違憲だと説明してきたし、多くの国民もそう考えていた。だからこそ、集団的自衛権の行使を容認すべきだとする政治家や有識者は、改憲を訴 えてきたのだ。

      2.集団的自衛権を合憲とする人たちの論拠

       これに対し、政府・与党は、従来の政府見解を覆し、集団的自衛権の行使は合憲だといろいろと反論してきた。その反論は、ある意味、とても味わい深いものである。

       まず、菅官房長官は、6月4日の憲法審査会の直後の記者会見で、「全く違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいる」と述べた。しかし、解釈学 的に見て、集団的自衛権を合憲とすることは不可能であり、合憲論者が「たくさん」と言えるほどいるはずがない。もちろん、合憲論者を一定数見つけることも できるが、それは、「ネッシーがいると信じている人」を探すのは、ネッシーそのものを探すよりは簡単だという現象に近い。数日後の報道を見る限り、菅官房 長官は発言を事実上撤回したと言えるだろう。

       ちなみに、合憲論者として政府・与党が名前を挙げた人のほとんどは、憲法9条をかなり厳格に解釈した上で、「許される武力行使の範囲が狭すぎる」 という理由で改正を訴えてきた人たちである。改憲論の前提としての厳格な9条解釈と集団的自衛権行使合憲論を整合させるのは困難であり、当人の中でも論理 的一貫性を保てていない場合が多いだろう。

       また、合憲論の論拠は、主として、次の四つにまとめられるが、いずれも極めて薄弱である。

       第一に、合憲論者は、しばしば、「憲法に集団的自衛権の規定がない」から、合憲だという。つまり、禁止と書いて ないから合憲という論理だ。一部の憲法学者も、この論理で合憲説を唱えたことがある。しかし、先に述べたとおり、憲法9条には、武力行使やそのため戦力保 有は禁止だと書いてある。いかなる名目であれ、「武力行使」一般が原則として禁止されているのだ。合憲論を唱えるなら、例外を認める条文を積極的に提示せ ねばならない。「憲法に集団的自衛権の規定がない」ことは、むしろ、違憲の理由だ。

       第二に、合憲論者は、国際法で集団的自衛権が認められているのだから、その行使は合憲だという。昨年5月にまとめられた安保法制懇の報告書も、そ のような論理を採用している。しかし、集団的自衛権の行使は、国際法上の義務ではない。つまり、集団的自衛権の行使を自国の憲法で制約することは、国際法 上、当然合法である。国際法が集団的自衛権の行使を許容していることは、日本国憲法の下でそれが許容されることの根拠にはなりえない。

       第三に、「自衛のための必要最小限度」や「日本の自衛の措置」に集団的自衛権の行使も含まれる、と主張する論者もいる。憲法審査会でも、公明党の 北側議員がそう発言した。しかし、集団的「自衛権」というのがミスリーディングな用語であり、「他衛」のための権利であるというのは、国際法理解の基本 だ。それにもかかわらず「自衛」だと強弁するのは、集団的自衛権の名の下に、日本への武力攻撃の着手もない段階で外国を攻撃する「先制攻撃」となろう。集 団的自衛権は、本来、国際平和への貢献として他国のために行使するものだ。そこを正面から議論しない政府・与党は、「先制攻撃も憲法上許される自衛の措置 だ」との解釈を前提としてしまうことに気付くべきだろう。

       第四に、合憲論者は、最高裁砂川事件判決で、集団的自衛権の行使は合憲だと認められたと言う。これは、自民党の高村副総裁が好む論理で、安倍首相 も同判決に言及して違憲説に反論した。しかし、この判決は、日本の自衛の措置として米軍駐留を認めることの合憲性を判断したものにすぎない。さらに、この 判決は「憲法がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」と述べるなど、自衛隊を編成して個別的自衛権を行使することの合憲 性すら判断を留保しており、どう考えても、集団的自衛権の合憲性を認めたものだとは言い難い。

      3.「まさか」の展開

       このように、政府・与党の要人の発言は、不自然なほど突っ込みどころに溢れている。なぜ、こんな穴だらけの議論 を展開するのだろうか。本当に日本の安全を強化するために法案を通したいなら、「集団的自衛権」という言葉にこだわらずに、「個別的自衛権」でできること を丁寧に検証していけばいいはずだ。

       まさか、わざと穴のある議論を展開し、「国内の反対」を理由にアメリカの要請を断ろうと目論んででもいるのだろうか。なんとも不可解だ。

       ちなみに、集団的自衛権を行使する要件とされる「存立危機事態」の文言は、憲法のみならず、国際法の観点からも問題がある。

       国際司法裁判所の判決によれば、集団的自衛権を行使できるのは、武力攻撃を受けた被害国が侵略を受けたことを宣言し、第三国に援助を要請した場合 に限られる。ところが、今回の法案では、被害国からの要請は、「存立危機事態」の要件になっていない。もちろん、関連条文にその趣旨を読み込むこともでき なくはないが、集団的自衛権を本気で行使したいのであれば、それを明示しないのは不自然だ。

       まさか、法解釈学に精通した誰かが、集団的自衛権の行使を個別的自衛権の行使として説明できる範囲に限定する解釈をとらせるために、あえて集団的自衛権の行使に必要とされる国際法上の要件をはずしたのではないか。

       そんな「まさか」を想定したくなるほど、今回の法案で集団的自衛権の行使を可能にすることには無理がある。こうした「まさか」は、山崎豊子先生の 小説なみにスリリングで楽しいのだが、これを楽しむには、あまりに専門的な法体系の理解が必要だ。そんなものを国民が望んでいるはずはない。いや、国民 は、それもすべて承知の上で、憲法学者の苦労を楽しんでいるのか? やれやれ。

       いずれにしても、これだけは憲法学者として断言しよう。「個別的自衛権の範囲を超えた集団的自衛権の行使は違憲です。」


      木村草太(きむら・そうた)
      1980年生まれ。東京大学法学部卒。同助手を経て、現在、首都大学東京准教授。助手論文を基に『平等なき平等条項論』(東京大学出版会)を上梓。法科大 学院での講義をまとめた『憲法の急所』(羽鳥書店)は「東大生協で最も売れている本」と話題に。著書に『キヨミズ准教授の法学入門』(星海社新書)、『憲 法の創造力』(NHK出版新書)、『憲法学再入門』(西村裕一先生との共著・有斐閣)、『未完の憲法』(奥平康弘先生との共著・潮出版社)、『テレビが伝 えない憲法の話』(PHP新書)、『憲法の条件――戦後70年から考える』(大澤真幸先生との共著・NHK出版新書)などがある。

      出典

      【The Page 気になるニュースをわかりやすく】

      http://goo.gl/dDjgg7

       


      豪州の慰安婦像はこうやって阻止した

      2015年05月07日 | 歴史資料

       

      豪州の慰安婦像はこうやって阻止した

      『月刊正論』 2015年2月号

       

      山岡鉄秀(JCN代表)
       
       私は韓国人が目を丸くして驚嘆している光景を何度か見たことがある。予想しない事態に遭遇して、心底驚いた、という顔だ。
       
       それは、彼らが日本人に堂々と反論された時だ。
       
       日本人は反論しない、歴史問題で責めれば黙って下を向く――。韓国人や中国人はそう思い込んでいる。だから日本人が冷静に、論理的に反論してきたら、それは驚天動地の事態なのだ。
       
       そんな体験のうちの一つを、紹介しよう。
       

      慰安婦像設置阻止へ日米豪混成チームを結成

       
       アメリカ各地で、韓国系団体などの働きかけにより慰安婦像が建立されているが、その動きがオーストラリアにも飛び火している。
       
       2014年4月1日、シドニー郊外のストラスフィールド市議会において慰安婦像設置に関する公聴会が開催された。私が公聴会開催の動きを知ったのはその前日のことだった。
       
       3月31日。仕事中、パソコンに「なでしこアクション」からの拡散メールが届いた。シドニー郊外の町ストラスフィールド市に住む、匿名の日本人女性からのメッセージだった。
       
       「日本人の皆さん、明日の午後6時、市庁舎に集まってください! 公聴会が開かれます!」
       
        一瞬、時が止まったように感じられた。「とうとう来たのか」――初めて見る「なでしこアクション」のホームページに飛び、メッセージを送った。「この女性 に私の電話番号を伝えて、すぐに連絡をくれるようお願いしてください」。「なでしこアクション」は、慰安婦問題で日本を貶める勢力と戦う日本の女性たちの グループだった。
       
       公聴会で誰がスピーチするというのか? 準備はできているのか?
       
       しばらくして、メッセージの主の友人というオーストラリア人男性から私の携帯に電話が入った。
       
       私「明日、公聴会でスピーチする必要があるんだって? 準備は?」
       
       豪「できていない。何か意見はあるかい?」
       
        私は持論を述べた。「相手はいつも通り歴史問題で日本を糾弾してくるだろう。しかし、相手の土俵に乗って反論すべきではない。事実関係がどうであれ、そん な問題をローカルコミュニティに持ち込んだらダメだという原則論を一貫して主張すべきだ。君のような地元のオーストラリア人が発言してくれたら説得力があ るんだが」
       
       豪「同感だ。そういうことを主張するのに最適な友人がいる。アメリカ人だけど、夫婦でチャリティーに熱心なクリスチャンだ」
       
       そこで彼の声が、少し不安気になった。
       
       「でも、公聴会は明日だ。どうしたらいいと思う?」
       
       私はためらわずに言った。
       
       「今夜君の友達をみんな集めてくれ。母親達もみんな、できるだけの人数を」
       
       その夜、見ず知らずの日本人、オーストラリア人、アメリカ人が10人弱集まった。
       
       自己紹介の暇もなかった。数時間でスピーチの準備をしなくてはならないのだ。地元の日本人男性の言葉は衝撃的だった。
       
       「明日出向いても、どうすることもできないんです。なにしろ、この地区に住む日本人は、子供まで含めて70人程度、中韓は合計で1万人以上いるんですから」
       
       70人対1万人の差は確かに大きい。だが私は咄嗟に「マイノリティだから負けるとは限りませんよ。マイノリティにはマイノリティの戦い方があるはずです」と自分自身を鼓舞するように答えた。
       

      4対4のスピーチ対決の結果…

       
       兎にも角にもスピーチの順番と構成を着々と進める。先頭打者はオーストラリアで生まれ育った日本人大学生。2番手は私に電話をくれたオーストラリア人男性、3番手に慈善活動に熱心なアメリカ人男性、そしてもし、4枠目があったら、私が自分で立つ。そう決めた。
       
       見ず知らずの人々と作業する。奇妙に充実した数時間が過ぎる。自己紹介する余裕はなかった。
       
       明けて4月1日。私は平静を装っていつも通り仕事をし、定時の午後5時きっかりに会社を出ると車に飛び乗った。
       
       ストラスフィールド。人口4万人弱。うち、中国韓国系住民が約30%を占める。
       
        夕暮れに白壁が浮かび上がる市庁舎。何やら楽しげなお祭り騒ぎの一団がいた。中高年の中国人・韓国人男性の群れだ。すでに戦勝ムードで歓談している。3人 のお地蔵さんのような銅像の絵を掲げて記念撮影に興じているグループもある。普段は接することのないタイプの人々で、70~80人はいるようだ。
       
       日本側もメールの拡散が効いたのか、主に女性が30名ほど集まっている。
       
        私の頭の中は、公聴会が始まる前にいかに素早くメンバーの原稿をチェックするか、で一杯だった。市庁舎の外に立ったまま、中韓団体の喧騒を背に各人の原稿 に目を通す。どれも良く書けている。打ち合わせ通りだ。考えてみれば、私以外の3人は西洋社会で教育を受けている。スピーチは得意だろう。英語もネイティ ブだ。
       
       やがて公会堂の扉が開かれた。聴衆用のパイプ椅子が並び、正面には市長を中心として左右に3人ずつ市議が座り、向かい合う位置には、発言者用のマイクが一本置かれている。日本とは違い、市長は市議の中から互選で選ばれる仕組みで、実は市議でもある。
       
       市の事務方職員がやってきて、発言予定者の名前を書くように言う。4枠あるとのこと。それなら最後に、相手の主張を踏まえて、私がまとめの反論をしよう。中韓団体は北米での活動組織と連携しているはずだ。何か変化球を投げてくるに違いない。
       
        スピーチ合戦が始まった。韓国人の中年男性がトップバッター。アクセントが強すぎて何を言っているのかわからない。とにかく《日本はひどい、安倍は悪い奴 だ》とまくしたてているようだ。制限時間のベルが鳴っても、終わる気配がない。市長が手振りで「話をまとめてくれ」と合図する。これは最初から荒れ模様 か。
       
       日本側の1番手は大学生。日 本でいう所の芸大生だ。爽やかな青年である。この慰安婦像問題が勃発してから、彼の友人が学校で中韓系の同級生や講師から差別されるようになったという。 こんなことでは、大好きな豪州が誇る多文化主義が崩壊してしまうのではないか、と懸念を表明した。
       
       相手側の2番手は中国人のようだ。彼のスピーチもまた聞き取りにくい。手元の長い原稿を読み上げているが、「日本はひどい国だから、慰安婦像がすでに複数建つ北米のように建てさせてくれ」と哀願調だ。どうやら時間内に原稿を読み切れなかったようである。
       
        こちらの2番手は私と電話で話した豪州人。「このような銅像は、国の反差別法に抵触し、そもそも市のモニュメントポリシーに明確に違反している」ことを指 摘した。市のモニュメントポリシーには「いかなるモニュメントも市に直接関連したものでなくてはならない」と明記してあるのだ。
       
        中韓の3番手は、特別ゲストである。インドネシアで発生したスマラン事件の被害者であり、本も出版しているオヘルネ氏が豪州人と結婚してアデレードに住ん でいるとは知らなかった。その娘が代理でスピーチするのだ。英語がネイティブなので、やっと理解できてほっとした。《日本人はあんなにひどいことをして、 なぜ謝らないのか、豪州政府もラッド首相(労働党政権当時)がアボリジニーに“Sorry”と謝罪したではないか》という論調。なぜ日本政府が謝罪してい ないという前提に立つのだろう、よく理解できない。
       
        こちらの3番手は米国人男性。ストラスフィールドに22年も住み、チャリティー事業で地元に貢献してきた。夫人は市のWoman of the Yearに選ばれたことがあるという。その彼にしてみれば、慰安婦像はコミュニティを分断し、夫婦して行政と共に築いてきた地域の融和を破壊してしまうも ので、看過できない。また、昔のことより現在の豪州社会が直面している、性犯罪を含む深刻な課題にこそ集中すべきだ、と述べた。
       
        そして相手の最終話者。先ほど外で見かけた、お地蔵さんが3つ並んだ絵を描いた画用紙を掲げている。「私達は日系住民を責めているのではありません。これ は韓国人、中国人、豪州人の慰安婦三姉妹です。この銅像を駅前に建てれば、観光名所となることでしょう」と訴える。お地蔵さんかと思ったら、慰安婦三姉妹 だったとは。むりやりオーストラリア人を入れれば反発をかわせると判断したのか。
       
       そして公聴会最後のスピーカー、私の番となった。
       
       相手のスピーチは聞き取れない部分も多かったが、言いたいことはほぼわかった。
       
       私は原稿の代わりに日系無料情報誌を手にした。掲載されている中韓団体の取材記事が、問題の本質を顕かにしている。私は可能な限り穏やかに話し始めた。
       
        「歴史の学び方はいろいろありますが、こんなやり方は感心しません。私たちはいつでも、中韓コミュニティの方々と歴史について語り合う用意があります。し かし、慰安婦像を建てる真の目的は何でしょう。この新聞のインタビュー記事にはっきりと書いてあるようです。慰安婦像推進団体の代表の方が、明言していま すね。
       
       慰安婦像を建てる目的は、日本が昔も今もどんなにひどい国か、世間に知らしめるためだと。その目的のために、全豪に10基の慰安婦像を建てるのが目標だと。この内容に間違いがないことを会長さんが承認しているとあります」
       
       「アメリカでは慰安婦像が原因で日系の子供達に対して差別やイジメが発生しているのですが、それについては(日本人特有の嘘だ)と言い切っています。こんなことがまかり通るのなら、私は決して自分の子供をストラスフィールドの学校には行かせないでしょう」
       
       「これは明らかに政治的な反日キャンペーンであり、慰安婦像はその象徴に過ぎないということです。慰安婦三姉妹と言っていますが、女性の人権をとりあげるならば、他の国の女性も含めなければ差別にあたるのではないのですか?」
       
      「こ れまでのところ、ストラスフィールドは、多文化主義が最も成功した町です。その評判を維持しなくてはなりません。慰安婦像によって分断された町として記憶 されてはいけません。市議会の皆さんもきっとそう思うのではないでしょうか!」と言った途端、まるで測ったように時間終了のベルが鳴った。これは偶然であ る。
       
       日本人応援団の拍手を背に一礼して、私は席に戻った。これでスピーチ合戦は終わりだ。市議たちが協議のために別室に移った。
       
       内容はこちらが凌駕していたと確信した。相手をけなしたり、攻撃したりするのではなく、淡々と終始一貫、理を説いたのだ。我々は感情に支配されることなく、しかし、情感を持ってコミュニティの融和の大切さを訴え続けた。
       
       ざわめく会場で45分が経過した。市議たちがやっと戻って来た。市長が静かに話し始めた。「この問題は市で判断できる問題ではないので州や連邦の大臣に意見を求めます」
       
       一瞬意味がわからなかったので、近くに座るオーストラリア人に尋ねると、彼は腕を組みながら答えた。「自分たちで判断せず、州や連邦に投げて、棚上げにするという意味さ」
       
        却下しなかったのはおおいに不満である。しかし、とりあえず強行突破はされずに済んだ。9回裏10対0から同点に追いついたのだ。市議会は明らかに我々の スピーチに軍配を上げたのだと思う。しかし、中韓団体のゴリ押しの政治力を考慮して、即時却下はできなかったのだろう。
       
       中韓応援団は皆、ポカンとしている。やがて事情が呑み込めると、「信じられない」「こいつらは何者だ」という目でこちらを見つめてきた。日本側が毅然とした態度で反論した。そんなことは筋書きにはなかった、と顔に書いてある。
       
       一方、こちらは見知らぬ人々から握手を求められた。親日派韓国人から握手を求められた仲間もいたらしい。
       
       公聴会ではなんとか防戦したが、これからが本格的な戦いになるのは明らかだ。我々は依然としてお互いをよく知らぬまま、健闘を称え合って帰路についた。
       
        今回、像設置に動いた反日団体「日本の戦争犯罪を糾弾する中韓連合」(以下、中韓連合)はあくまでも慰安婦像設置に向けて活動を継続しようとしていること から、我々もその週末、公聴会参加のメンバーが集合し、既存の日本人会とは別に、慰安婦像阻止活動のためのグループを結成することになった。 JCN(Japan Community Network)の誕生だった。
       
       集まったメンバーは、地元の母親たち、スピーチに立ってくれたオーストラリア人、引退した日系企業の元駐在員など、こんなことでもなければ知り合うこともない様々な背景の顔ぶれだ。
       

      国家とローカルコミュニティの「防衛二元論」

       
        日米豪の一夜漬け混成チームで臨んだ公聴会でのスピーチは、切り口は様々ながら、全体を貫く一本の芯があった。嫌韓、嫌中という言葉があるが、我々はそこ に雪崩れ込むことはしないよう心掛けた。なぜならば、地元の母親たちは地域に溶け込んでおり、子供たちは中国人や韓国人の友達とも遊んでいるからだ。
       
       守るべきは、この地域共同体の融和と平和な生活であり、特定の政治的イデオロギーとは一線を画すよう努力した。
       
        日本人の母親たちは、韓国系から攻撃されている被害者の立場なのに、地域社会では波風を立てないように常に気を遣っている。そこまで気を遣う必要はないと 思うものの、彼女たちの意向は最大限尊重されるべきだ。彼女たちが勇気を持って立ち上がらなければ、JCNが発足することもなく、慰安婦像設置はあっさり 可決されていただろう。
       
       公聴会の スピーチを組み立て、アンカーに立った私が、成り行きでこのJCNの代表となった。最初の作業が「活動理念」を明確にすることだった。というのも、慰安婦 像設置に反対する我々の意見に地元の市議会が賛同してくれるよう、活動のスタイルと理念を明確に定義して言語化し、皆の連帯を維持しなくてはならないから である。
       
       最初に提示した理念は、「非敵対的合理主義」である。
       
       我々は公聴会でも、敵対的な言動は慎み、感情的にならず、ひたすら論理的合理的な反論に終始した。簡単に言えば、ヘイトスピーチで敵を作らない、ということだ。これがJCNの基本理念であり、その後の参加希望者もこの姿勢を貫ける方に限ることにした。
       
       英語ではnon-confrontational rationalismと訳しつつ、欧米人メンバーと共有する。これは、中韓反日団体の挑発に乗らず、常に、より高次元の議論に徹する、という決意表明でもある。
       
       次に、JCNの戦略の基盤となるのが、「防衛二元論」である。
       
       国家レベルの防衛と、コミュニティレベルの防衛は、当然戦略が異なる。
       
        国家レベルの防衛は、汚名を払拭して、名誉を取り戻すことが目的だ。沈黙もしくは「謝罪済み」と言って逃げるのは、国際社会では最悪の、不適切な対応であ る。この間違った対処を長年続けた結果、歪曲した歴史が既成事実化してしまっているが、それを解消しなければならない。
       
       慰安婦問題に関して言えば、これまで少なくとも30年は放置してこの事態に至ったのだから、目的を達成するのに30年かかってもおかしくない。強力に、かつ地道に対外発信を続けるしかない。それが国家レベルの防衛だ。
       
       一方、我々民間による、コミュニティレベルの防衛は、あくまでも目の前の慰安婦像設置を阻止し、地域の融和的共存を守ることが目的である。国家レベルとは目指すものが異なる。それをまず認識すべきだ。
       
        公聴会での我々のスピーチは、切り口を変えながらも、全員がそこにぴったりと照準を合わせていた。我々の相手は常に日本を残虐非道と非難してくるから、 「捏造だ!」と反論したくなるが、そもそも話し合ってわかり合える相手ではない。反論しても泥仕合となり、相手は事実の検証など無視して、「無反省の歴史 修正主義」などと声を荒らげるだろう。いわゆる慰安婦問題に関する歴史戦に深入りして、被告席から反論するような不利な状況をつくってはならない。
       
       もちろん歴史戦を戦う準備と覚悟は常にできていなければならないから継続的な勉強は必須ではあるが、基本は別次元で優位の議論を展開すべきだ。これが防衛二元論の骨子である。
       
        具体的に言えば、我々は当初、オーストラリアの国是である「多文化主義の尊重」を掲げて論陣を張った。慰安婦問題をことさらにクローズアップし、特定の国 家を非難するような活動は、オーストラリアの国是である「多文化主義の尊重」に反する、と批判したのだ。これは、我々が希求する嘘偽りのない主張である。 他の民族とも連携できる永遠のテーマだ。
       

      女性の人権とは無関係!慰安婦像建立の本当の目的

       
       だが我々は中韓連合の攻撃の中に、さらなるヒントを見出した。
       
       彼らは派手なパフォーマンスが好きだ。4月1日の公聴会で、我々は「慰安婦像の建立は、人道問題や人権問題ではなく、日本を非難するための政治活動だ」と指摘したのに、9月になって再度わざわざ韓国系メディアに以下の活動方針をぶち上げている。

      1.我々は、日本政府の安倍首相及び政治家が靖国神社に参拝したことに強く抗議し、韓国と中国に謝罪することを要求する。

      2.我々は、日本の軍国主義復活、歴史修正主義、慰安婦や南京大虐殺のような戦争犯罪を豪州人、および豪州在住の韓国系中国系の第2世代に伝えるため、展示会、フォーラム、セミナーなどを行う。

      3.我々は、日本軍が朝鮮人、中国人、その他のアジアの若い女性を拉致して性奴隷にしたことを広く知らしめるために「3姉妹」の像を豪州に複数建立する。

      4.我々は、世論を興し、日本政府に圧力をかけ、物言わぬ良心的日本人を目覚めさせ、日本が嘘の歴史を次世代に伝えることを阻止する。

      5.我々は、アボット豪首相に、第二次大戦中、日本が侵略し、女性の基本的人権を蹂躙したことを認めるよう、日本がアジアの中で最良の友人だという認識を変えるよう、要求する。

      6.我々は、豪州政府に、日本を同盟国とみなすのをやめ、韓国と中国を日本と同等に待遇するよう、現在の日本重視の外交政策を変更することを要求する。

      7.我々は米国政府に、日本に騙されずに、安倍の狡猾な悪魔のような本音を直視し、日本が再び軍国主義に戻るのを阻止し、日本を韓国や中国より尊重する外交政策の転換を求める。

      8.我々は、韓国と中国両国の利益のため、両国人民が共闘し、以上の目的が達成されるまで活動を続けることをここに宣言する。

      米カリフォルニア州グレンデール市内に
      設置された慰安婦像
       実に正直な人たちである。これなら誰が読んでも、彼らの真の目的は、反日、反安倍であり、慰安婦像はその政治的道具に過ぎないことがはっきりわかる。
       
        当初は「慰安婦像は女性の人権の象徴で、敵対的なものではない」などと言っていたのに、ここでは「日本軍の残虐性を広く知らしめるのが目的だ」と明記して いる。これだけでも十分、慰安婦像がローカルコミュニティにふさわしくない代物だとわかる。ここまでは我々もすでに4月1日の公聴会の時点で指摘した。
       
       その上、この9月の記事は、はっきりと、アボット豪首相に、日本をアジアにおける最良の友人とみなすことをやめさせる、と書いてある。それは日豪関係の分断ということだ。
       
       記事はさらに日米関係の分断にまで言及し、米国政府に、安倍の狡猾な悪魔のような本音を直視するよう求めるとしている。なぜ活動方針に、米国まで出てくるのか?
       
       この反日団体の目的は、韓国人の慰安婦センチメントを利用し、「日豪・日米を分断し、日本を孤立させる」という中国共産党のアジェンダを遂行することだと自ら明かしているのである。
       
       韓国政府は、慰安婦問題で対日批判を繰り広げているが、中国共産党の噛ませ犬として利用されていることに満足なのだろうか。中国及び北朝鮮と対峙して日米と同盟を結んでいることを韓国はすっかり忘れているようだ。
       
       中国共産党の世界戦略に沿って世界中の大学に設置されている孔子学院という組織が、文化交流の皮をかぶったプロパガンダ組織に過ぎないことがわかって、米国やカナダの大学で孔子学院を閉鎖する動きが出ている。日本ではどうだろう。
       
       最近では米国国防総省も、中国共産党によるサイバー攻撃だけではなく、対米宣伝工作の横行にも危機感を持ち始めているとも聞く。
       
        オーストラリアでも最近、中国人留学生を使ったスパイネットワークが構築されていることがわかり、衝撃が走った。中国人の講師がオーストラリアの大学で民 主主義について論じると、いつの間にか本国政府がそのことを知り、中国に帰国した際、何度も当局の尋問を受けたという。教え子の中国人留学生が密告してい たのだ。
       
       どうみても慰安婦像は、女性の人権の尊重とは無関係で、却ってオーストラリアの移民社会に分断と対立をもたらすとしか考えようがない。そればかりか、日豪関係や日米関係を分断破壊する目的の国際的謀略行為の道具と言っても過言ではない。
       
       中韓連合の活動方針の最後には明確に「中韓の国家利益のために共闘する」と書いてあり、オーストラリアのためとは一言も言及していない。コミュニティの調和を破壊するだけでなく、これではオーストラリアの国益を損ねることは自明の理である。
       
       従って、これからの戦略として、中韓の仕掛けるこうした工作を、オーストラリアや米国で広く周知させ、米豪の国益に反すると認識させる活動を慰安婦像対策の中心的戦略とすべきである。
       
       すなわち慰安婦像の建立問題は、韓国や中国共産党の国際的謀略活動にどう対処すべきか、という日米豪共通の問題である。日米豪3カ国が共闘することを視野に入れたパラダイムを作ることが最も合理的な対応である。
       

      外務省は邦人保護任務に傾注すべき

       
       JCN第3の理念が「邦人保護優先論」である。
       
       外務省は従来「この問題を政治外交の問題とはしない」と発言してきた。これはどういう意味なのか? こちらがどう考えようと、相手は執拗に政治外交の問題にしているように見えるのだが。そう言い続けていれば中韓は慰安婦問題攻撃の矛を収めるのだろうか?
       
        我々は、地元の日本人の母親と子供たちを護るために立ち上がった。豪州人の副代表も「僕らの目的は、純粋に母親と子供を護ることなんだ」と言っている。す なわち、慰安婦像問題には、根本的に国内外の邦人保護の要素があると理解すべきだ。いうまでもなく、在外邦人保護こそ外務省の最重要任務のひとつであり、 存在理由と言ってもよいだろう。
       
        5月に中丸啓衆議院議員(次世代の党)にお会いした際にこの観点をお話ししたら、早速、国会質疑で取り上げてくださった。その模様もネット上で動画として 公開された、JCNメンバーは「ようやく日本の国会議員が、オーストラリアに在住する自分達の安全を考えてくれた」と感激した。
       
        第4の理念が「小異を捨てて大同につく」である。JCNは前述したように、多種多様な人々の集まりである。意見が違うのは当たり前だ。欧米人メンバーの間 でさえ、意見の食い違いがよくある。しかし、共有する理念と大義があれば、共に戦える。高次の目的の為に、小さな差異を乗り越えて、一致団結することが極 めて重要だ。
       
       以上は、南半球で戦う我々JCNの理念と戦略のご紹介である。
       
       我々は平凡な母親と父親の集団であるが、静かに、しかし合理的に戦っている。この慰安婦像の問題をどのように論ずるにせよ、本来、右も左もない、日本全体の問題であり、だからこそ、多種多様な人々が手を携えて取り組めるはずだ。
       
        だが日本国内では、この日本全体の問題が、リベラル左翼対保守という対立構造の中で論じられ、慰安婦像に反対すると、右だとレッテルを貼る風潮がある。そ れは日本社会の病理だ。日本人全体がイデオロギーを超え、一丸となって日本の名誉のために戦わずして、どうやって海外で慰安婦像建立を阻止できるのか?
       
       日本国内での戦いも大変だが、海外では普通の母親やサラリーマンが日々、反日謀略組織の攻撃にさらされている実態がある。
       
       海外各国での民間の戦いを組織化し、体系的で統一的な戦略を全世界で展開していくことができれば、我々の戦いは飛躍的に発展するだろう。そのためにも、我々JCNが、ひとつの参考モデルを提示できれば、まことに幸甚である。
       
      山岡鉄秀氏(やまおか・てっしゅう)
       Japan Community Network(JCN)代表。シドニー在住豪州ストラスフィールド市における中韓反日団体による慰安婦像設置推進運動に遭遇し、地元の母親を率いてJCNを結成。地域社会融和の大切さを訴えて市議会に設置可決を見送らせた。

      70 years after WWII: My thoughts / Kissinger interview:

      2015年01月08日 | 外交政策

       

      The Yomiuri Shimbun

      Henry Kissinger talks at his office in New York.

      11:59 pm, January 04, 2015

      The Yomiuri Shimbun This year marks the 70th anniversary of the end of World War II. While Japan achieved a miraculous reconstruction and joined the leading democratic nations of the world, the country has faced severe challenges, including prolonged deflation and a rapidly aging population in recent years. Over this year, The Yomiuri Shimbun will look back at the past seven decades to explore the path Japan should follow in the future. The first part of the series features interviews with prominent names from various fields.

      ---

      Every country now faces a really new situation because what we considered the international order after 1945 has been totally changed. So Japan, like every other country, has to think through what it means by international order, because conflict with modern weapons is utterly destructive. Nobody knows that better than Japan.

      We [the United States] are coming from a period when it was thought that we could remake the government of every other country based on a wrong analysis of the Occupation in Japan and Germany. We did not remake Japan. Japan adapted itself, but within its traditional values.

      Japan used the authority of the American occupation regime to modernize more fully and to recover more rapidly than it could have by purely national efforts. It renounced war as an instrument of national policy, affirmed the principle of constitutional democracy, and reentered the international state system as an American ally.

      It was a low-key one. More visibly concerned with economic revival than with participation in grand strategy. For nearly seven decades, this new orientation has proved an important anchor of Asian stability and global peace and prosperity.

      It was always inevitable that as Japan became economically stronger it would play a larger role in its own security and international security.

      It is my analysis of the choices that Japanese are likely to see in front of them. One choice is continuation of the American alliance; second is a movement more to a China-influenced Northeast Asia; and the third is a more national policy. The choice will be Japan’s.

      Now what role and how to do that — that is a different issue needing discussion. I think Japan can become a “normal” country, and conduct a restrained foreign policy. If it conducts an aggressive foreign policy, that could be a matter of concern.

      Prime Minister Abe will be in a position to contribute to new relationships with countries of Northeast Asia and to foster the alliance with the United States.

      I believe the current Chinese leadership — the Xi Jinping leadership — will continue, and will probably strengthen itself. It is in the process of undertaking major reforms. They are also more active in the area of foreign policy than some of the previous leadership. I welcome friendly relations between China and Japan. I believe that the two countries will find a way to improve their relationship.

      Prime Minister Abe is a powerful leader. The return of strong national leadership under PM Abe gives Tokyo new latitude to act on its assessments.

      ‘Japan, India could balance China’

      It is the wrong analysis to say that America is physically declining. I think American relative physical power vis-a-vis the rest of the world has never been greater than it is now. When I was in government, we thought of the Soviet Union as a country of equal strength. That is not the case today. The Chinese themselves say that militarily and physically we are stronger than they are.

      The problems we have are the divisions within the United States. Another sort of philosophical problem is that through most of its history America was secure from foreign threats, and therefore we developed the idea that in foreign policy all our preferences could be pursued simultaneously. We have now learned there are limits.

      I would say the major topic is international order and balance of power is a component of international order.

      There is a difference in terms of the balance of power in Asia as compared to Europe. The Asian states are much larger and more powerful. In Europe it was a combination of relatively smaller states. Secondly, the number of states in Asia is much smaller than in Europe. So the balance is harder to define.

      Another difference is that in Europe there was England as a kind of balancer. What I mean by a balancer is a country capable of establishing equilibrium by shifting its weight to the weaker side. In Asia there is no balancer.

      If you look at the countries around China, they are powerful enough to balance it together with the United States. But if you put India and Japan, those are two really powerful countries. But the relationship should be based on cooperation, not military factors, primarily.

      I think the U.S. should treat itself as an Asian [Pacific] country. But I am against the encirclement of China and I am against a policy that builds everything on a link between China and the United States.

      We [the United States] have to take into account the views of other countries. We can no longer think of foreign policy as simply putting forward an American program. There are some things that we should do, if necessary, alone. There are some things we should only do with allies. And there are other things that we should not do at all. We should not try to change the domestic structure of a country by military force.

      How countries can adjust the relationship of their societies in the light of the different cultures and new realities — that is the big challenge. I am not saying I have the answer. I have understood the problem.

      What I try to do in my book [“World Order,” which was published last autumn] is to say: “Watch out! This could get very dangerous if you are not thoughtful. If you [the leaders] are thoughtful, then you can create a new world.”

      Interviewer: Keiko Iizuka, Yomiuri Shimbun Washington bureau chief

      ---

      Henry Kissinger, 91

      Born in Germany, Henry Kissinger became national security adviser to U.S. President Richard Nixon in 1969 after working as a professor at Harvard University. In 1971, he secretly visited China to restore diplomatic relations with that country. In 1973, Kissinger became U.S. secretary of state and received the Nobel Peace Prize for his contributions to peacemaking in Vietnam. His latest book, “World Order,” was published in September last year.Speech

       

      ※出典

      The Japan News

      http://goo.gl/wq8G5W

       

       

       


      労働と経済

      2015年01月01日 | Weblog

      労働と経済

      労働と経済は人間にとって基本的な問題だと思います。ここからすべてが生じてきます。しかし、ここでは抽象的に問題を論じるのではなく、日常的な、雇用や年金などの個別具体的な人事・労務、年金、労働判例などの問題を発掘し、論じてゆくことになると思います。年金や賃金、労働条件、労働統計などの資料収集、個別企業の経営財務問題にも触れたいと思います。各種自治体の助成金の実態の調査なども行ってゆきます。

      そうして、労働と経済(金融)の本質を追究してゆきます。具体的には個別企業に勤めるサラリーマンやOLなどの、日常に従事する「労働」と「賃金」といったいわゆる「市民社会」におけるミクロ的な問題の解剖と分析をまず行い、そうした問題と、国家的なレベルでの政策問題との関わりも論じてゆきたいと思っています。また、必ずしも国家的なレベルでの関わりだけではなく、地方自治体の行政との関わりも論じてゆきたいと思っています。またさらには、すでに制度自体が根幹から揺らいでいる日本の年金制度、厚生年金保険や国民健康保険などの保険制度の個別具体的な詳細な研究から始めてゆきたいと思っています。

      そして最終的には、私たちの生活の基盤であるいわゆる「市民社会」の実態を広く深く正確に認識してゆくことを目的としています。その科学的な認識と理論は、家庭や企業経営さらに国家運営を効率的に改善してゆくための強力な武器となるでしょう。知は力であり、科学理論は最強の武器でもあります。

                            管理人

       


      昭和戦前年表

      2014年12月29日 | 歴史資料

      近衞 文麿(このえ ふみまろ、1891年明治24年)10月12日 - 1945年昭和20年)12月16日)は、日本政治家勲等勲一等爵位公爵

      貴族院議員貴族院副議長(第10代)、貴族院議長(第9代)、内閣総理大臣(第343839代)、外務大臣(第57代)、拓務大臣(第13代)、班列農林大臣(臨時代理)、司法大臣(第43代)、国務大臣などを歴任した。

      五摂家近衞家の第30代目当主。後陽成天皇の12世孫にあたる。父である近衞篤麿は、第7代学習院院長や第3代貴族院議長など活躍していたが、文麿が成人する前に病没した。父の没後、近衞家を継承し公爵を襲爵、のちに貴族院議員となる。当初は研究会に所属するが火曜会を結成し、貴族院副議長、貴族院議長などの要職を歴任した。

       

      ※出典 参照

      Wikipedia 「近衛文麿」の項

      http://goo.gl/pvqn7


      自滅する中国

      2014年10月03日 | 書評

       

      自滅する中国

      自滅する中国 [単行本(ソフトカバー)]

      エドワード・ルトワック , 奥山 真司

      5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (23件のカスタマーレビュー)


      商品の説明

      内容(「BOOK」データベースより)

      中国を知り尽くした戦略家が、戦略の逆説的ロジックを使って中国の台頭がいかに自滅的なものかを解説した異色の中国論。

      著者について

      エドワード・ルトワック
      ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国防アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で 1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される。主著の『戦略:戦争と平和のロジック』(未訳)を始め、著書は約20ヵ国語に翻訳されている。邦訳には『クーデター入門:その攻防の技術』、『ペンタゴン:知られざる巨大機構の実体』、『アメリカンドリームの終焉:世界経済戦争の新戦略』、そして『ターボ資本主義:市場経済の光と闇』がある。

      著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

      ルトワック,エドワード
      ワシントンにある大手シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の上級アドバイザー。戦略家であり、歴史家、経済学者、国際アドバイザーとしての顔も持つ。国防省の官僚や軍のアドバイザー、そしてホワイトハウスの国家安全保障会議のメンバーを務めた経歴もあり。米国だけでなく、日本を含む世界各国の政府や高級士官学校でレクチャーやブリーフィングを行う。1942年、ルーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス(英軍)で教育を受け、ロンドン大学(LSE)で経済学で学位を取った後、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で1975年に博士号を取得。同年国防省長官府に任用される

      奥山/真司
      1972年生まれ。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。国際地政学研究所上席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

      【書評】
      84 人中、77人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 投稿者 西 投稿日 2013/9/8
       甘言、阿諛、ウソ、脅し、裏切り、毒盛り、暗殺、奇襲・・・という中国の文化と政治を書いている。われわれ日本人なら多かれ少なかれ知っている事柄だが、欧米人にはなじみのない中国のことだから、啓蒙の効果はあるだろう。しかし、多くの欧米人には「本当? ウソでしょう?」と、すぐには信じられないかもしれない。
       中国の演劇とか小説のことにもふれてあれば、中国がどんな世界かわかりやすかったかもしれない。アメリカ人のラットク自身も、われわれが何となく知っている、こうした中国の政治文化や外交政策を理解するには、ずいぶんと時間と研究をしなくてはいけなかったのではと想像する。

       しかし、たとえばこの戦後の日中関係、あるいは日中国交樹立以後の日中関係、だけをみても、中国の伝統がわかる。たとえば数日前の新聞報道によると、反日政策が強い反中感情を生み出したので、こんどは一般の日本人をターゲットに親中的態度や感情を培養醸成するという。微笑み、もてなし、平手打ち、足げり、罵り、甘言、握手、唾ふきかけ・・・と、ころころ手をかえる。
       こうなると、騙す中国より、騙される日本が悪い。

       中国は他者を政治的に支配しておかないと安心できない。冊封関係がそれである。まず甘言と賄賂からはいり、次は経済的に依存させ洗脳。最終的に中国の支配下におく。こうなるともう中国は遠慮会釈もなく、冷淡冷酷残忍なとりあつかいをする(第4章)。

       中国の孫子の兵法をとりあげる。これは2500年以上もまえ春秋戦国時代時代の中国の状況から生まれたものだが、この時代の中国内は群雄割拠の時代である。
      これはルネッサンス期のイタリアの国際政治とおなじく、文化的に等質でおなじ規模の国家からなりたっていた時代の産物であり、第一に相互に徹底した実利主義と日よみり主義で闘争と協調がなされる。第二に故意に挑発し交渉に持ち込もうとする。第三に虚偽や騙しや、それにもとづく奇襲や暗殺が正当化されあたりまえになっている。
       いまの中国もこれをそのままいっている。
       
      中国人はこの古代からの戦略に深い知恵があるものと信じて疑わず、これさえあれば欧米などをあやつれ、優位にたてると考えている。キッシンジャーはこの中国の考えに敬意をはらう人間だ(第9章)。(ただし、この本には書いてないが、キッシンジャーはかって中国を嫌悪軽蔑していた。)
       
       なお、著者は言っていないが、脅し、甘言、賄賂、裏切りなどは、中国人どうしの対人関係でも用いられる常套手段だ。だから中国は信用度の低い社会で、ご存じのとおり日本では考えられないことが起きている。
       最近の習近辺の主席就任でも、随分なパワー・ポリティックスがあったらしい。いまの薄煕来の裁判も法の正義が実現されるのではなく、政治裁判のショーだ。
       
       こうした中国のあきれるばかりの現金でお粗末なやり方は、かえって信用低下をまねき、中国にたいする公式非公式の包囲網を自然と形成させた。第13章以下ではオーストラリア、日本、ヴェトナムなどの中国への警戒がのべられる。
       
       ただこうしたなかで、事大主義・朱子学ファンダメンタリストの韓国だけは中国にすり寄った(第16章)。その立派な口先とはうらはらに、自分は安全保障のコストをはらわずに、ただ乗りするありさまが書かれている。北朝鮮の核問題をどれだけ真剣に考えているのだろうか。
       (韓国の政策からして、もう日本は韓国を朝鮮半島唯一の正統政府をみとめる理由や義務はなくなった。北が核を放棄し、拉致問題を解決すれば、アメリカが強く反対しないかぎり、北ももう一つの正統政府と考えていいのではないだろうか。)

       中国がその表面とは違い、実態は多くの脆弱性をもつことは、近年欧米でもさかんに指摘されるようになった。最後に著者は、この本はいままでどおり中国が成長していうという前提で議論をすすめてきたと断り、この前提に立ちはだかる中国の現実問題にふれる。
       
       著者は中国の民主化に望みをつないでいるが、社会が豊かになれば民主化するわけではない。これが欧米人の考えの弱いところだ。中国の中産階級は西欧の中産階級と違い、歴史上王朝権力を支持してきた。いまは共産党政府を支持している。また民主化した中国が親日とか親欧米だとは限らない。やはり中華的だろう。

       この本の主題からすれば小さなことだが、著者には欧米人のあいも変らぬロシアについての無理解がある。ロシアはその歴史的経験から中国を大変警戒している。ロシアが伝統的にタタールの軛を離れ、ヨーロッパに復帰したいというその深層に理解がおよばぬようだ。ロシアはヨーロッパでありたいのだ。

       この本のどこかで著者は、中国は日欧米から貿易で管理的に差別されれば、ロシアから資源を買いつけることによって、問題を解決できるとしている。しかし資源の爆食国家中国に資源さえあればいいというものではない。資源を魅力ある製品化する効率的技術とか、その製品の販路販売の市場といった点で、ロシアが日欧米に代れるわけではない。
       中国は無差別公平な由貿易により大いにうるおい、かつ巨大化してきた。逆に、著者もいっているように、中国にたいし管理貿易をおこなえば、中国は大いに損をして弱体化する。この案は、著者に限らず、多くの人にも論じられている。

        
      4 コメント このレビューは参考になりましたか? はい いいえ
      59 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 投稿者 lexusboy トップ500レビュアーVINE メンバー 投稿日 2013/9/19
      Amazonで購入
       多くの情報量を手際よく整理し、ポイントを指摘する形になっていておもしろい。
       著者がプレゼンをする相手によって、使う情報の質や置くポイントが違って整理されたペーパーができあがるのだろうと容易に想像される。
       記述の中心はやはり中国であるが、各国との関係性を見るため、第13章から第21章まで各国編となっている(第14章が日本編)。

       中国は自閉症的であり、他国の感覚や感情に鈍感であるとしているが、これはかなり納得できる説明である。
       また、その戦略は孫子とか歴史的な書物に考え方が影響を受けている。しかし、歴史上漢民族が征服されている(過去1000年で漢民族が支配したのは明時代の200年だけ)のを見ても、孫子の考え方が適用するのは漢民族同士であり、他の民族には適用できないという過ちに中国が気づいていないとしている。
       また、直接的なパワーを誇示すると、敵対的な対応を呼び起こし、パワー自体を損なうという逆説的な側面を持っているという。

       日本に関する記述だが、
       ・(中国の独自の論理による誤った見方を基に)2010年9月の尖閣での漁船事件で中国が取った行動により、日本は中国との長期的関係を見直すことになったが、これは中国側の読み違いだという(故意に危機をあおることで解決できるとの見方)。
      ...続きを読む ›
      コメント このレビューは参考になりましたか? はい いいえ
      66 人中、59人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。 投稿者 ゆう 投稿日 2013/8/22
       
       
       
       
       

      Israel’s Worst-Kept Secret

      2014年09月28日 | 中東情勢
      Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu arrives to a cabinet meeting in Jerusalem, on June 29, 2014.

      Israel’s Worst-Kept Secret

       

       

       

      Israel has a substantial arsenal of nuclear weapons.

       

      Former CIA Director Robert Gates said so during his 2006 Senate confirmation hearings for secretary of defense, when he noted—while serving as a university president—that Iran is surrounded by “powers with nuclear weapons,” including “the Israelis to the west.” Former President Jimmy Carter said so in 2008 and again this year, in interviews and speeches in which he pegged the number of Israel’s nuclear warheads at 150 to around 300.

       

      Authors

      Douglas Birch is a writer for the Center for Public Integrity. Full Bio

      R. Jeffrey Smith is managing editor for national security at the Center for Public Integrity, a nonprofit investigative newsroom. Full Bio

      But due to a quirk of federal secrecy rules, such remarks generally cannot be made even now by those who work for the U.S. government and hold active security clearances. In fact, U.S. officials, even those on Capitol Hill, are routinely admonished not to mention the existence of an Israeli nuclear arsenal and occasionally punished when they do so.

       

      The policy of never publicly confirming what a scholar once called one of the world’s “worst-kept secrets” dates from a political deal between the United States and Israel in the late 1960s. Its consequence has been to help Israel maintain a distinctive military posture in the Middle East while avoiding the scrutiny—and occasional disapprobation—applied to the world’s eight acknowledged nuclear powers.

       

      But the U.S. policy of shielding the Israeli program has recently provoked new controversy, partly because of allegations that it played a role in the censure of a well-known national-laboratory arms researcher in July, after he published an article in which he acknowledged that Israel has nuclear arms. Some scholars and experts are also complaining that the government’s lack of candor is complicating its high-profile campaign to block the development of nuclear arms in Iran, as well as U.S.-led planning for a potential treaty prohibiting nuclear arms anywhere in the region.

       

      The U.S. silence is largely unwavering, however. “We would never say flatly that Israel has nuclear weapons,” explained a former senior State Department official who dealt with nuclear issues during the Bush administration. “We would have to couch it in other language, we would have to say ‘we assume’ or ‘we presume that Israel has nuclear weapons,’ or ‘it’s reported’ that they have them,” the former official said, requesting that his name not be used due to the political sensitivity surrounding the topic.

       

      President Barack Obama made clear that this four-decade-old U.S. policy would persist at his firstWhite House press conference in 2009, when journalist Helen Thomas asked if he knew of any nations in the Middle East with nuclear arms. “With respect to nuclear weapons, you know, I don’t want to speculate,” Obama said, as though Israel’s established status as a nuclear-weapons state was only a matter of rumor and conjecture.

       

      So wary is Paul Pillar, a former U.S. national-intelligence officer for the Middle East, of making any direct, public reference to Israel’s nuclear arsenal that when he wrote an article this month in The National Interest, entitled “Israel’s Widely Suspected Unmentionables,” he referred to warheads as “kumquats” throughout his manuscript.

       

      Even Congress has been coy on the subject. When the Senate Foreign Relations Committee published a 2008 report titled “Chain Reaction: Avoiding a Nuclear Arms Race in the Middle East,” it included chapters on Saudi Arabia, Egypt, and Turkey—but not Israel. The 61-page report relegated Israel’s nuclear arms to a footnote that suggested that Israel’s arsenal was a “perception.”

       

      “This report does not take a position on the existence of Israeli nuclear weapons,” the report said. “Although Israel has not officially acknowledged it possesses nuclear weapons, a widespread consensus exists in the region and among experts in the United States that Israel possesses a number of nuclear weapons. For Israel’s neighbors, this perception is more important than reality.”

       

      While former White House or cabinet-level officers—such as Gates—have gotten away with more candor, the bureaucracy does not take honesty by junior officials lightly. James Doyle, a veteran nuclear analyst at Los Alamos National Laboratory who was recently censured, evidently left himself open to punishment by straying minutely from U.S. policy in a February 2013 article published by the British journal Survival.

       

      “Nuclear weapons did not deter Egypt and Syria from attacking Israel in 1973, Argentina from attacking British territory in the 1982 Falklands War or Iraq from attacking Israel during the 1991 Gulf War,” Doyle said in a bitingly critical appraisal of Western nuclear policy, which angered his superiors at the nuclear-weapons lab as well as a Republican staff member of the House Armed Services Committee.

       

      Even though three secrecy specialists at the lab concluded the article contained no secrets, more senior officials overruled them and cited an unspecified breach as justification for censuring Doyle and declaring the article classified, after its publication. They docked his pay, searched his home computer, and, eventually, fired him this summer. The lab has said his firing—as opposed to the censure and search—was not related to the article’s content, but Doyle and his lawyer have said they are convinced it was pure punishment for his skepticism about the tenets of nuclear deterrence.

       

      Neither Doyle nor his colleagues revealed if the sentence in his article about Israel’s arsenal was the one that provoked officials to nitpick about a security violation, but several independent experts have surmised it was.

       

      Steven Aftergood, director of the Project on Government Secrecy at the Federation of American Scientists, said the clues lie in the Energy Department’s citation—in a document summarizing the facts behind Doyle’s unsuccessful appeal of his ill treatment—of a classification bulletin numbered “WPN-136.”

       

      The full, correct title of that bulletin, according to an Energy Department circular, is “WNP-136, Foreign Nuclear Capabilities.” The classification bulletin itself is not public. But Aftergood said Doyle’s only reference to a sensitive foreign nuclear program was his mention of Israel’s, making it highly probable this was the cudgel the lab used against him. “I’m certain that that’s what it is,” Aftergood said in an interview.

       

      The circumstances surrounding Doyle’s censure are among several cases now being examined by Department of Energy (DOE) Inspector General Gregory Friedman, as part of a broader examination of inconsistent classification practices within the department and the national laboratories, several officials said.

       

      Doyle’s reference to the existence of Israel’s nuclear arsenal reflects the consensus intelligence judgment within DOE nuclear weapons-related laboratories, former officials say. But some said they find it so hard to avoid any public reference to the weapons that classification officers periodically hold special briefings about skirting the issue.

       

      “It was one of those things that was not obvious,” a former laboratory official said, asking not to be identified due to the sensitivity of the topic. “Especially when there’s so much about it in the open domain.”

       

      Israel’s nuclear-weapons program began in the 1950s, and the country is widely believed to have assembled its first three weapons during the crisis leading to the Six-Day War in 1967, according to the Nuclear Threat Initiative, a nonprofit group in Washington that tracks nuclear-weapons developments.

       

      For decades, however, Israel itself has wrapped its nuclear program in a policy it calls amimut, meaning opacity or ambiguity. By hinting at but not confirming that it has these weapons, Israel has sought to deter its enemies from a major attack without provoking a concerted effort by others to develop a matching arsenal.

       

      Israeli-American historian Avner Cohen has written that U.S. adherence to this policy evidently grew out of a September 1969 meeting between President Richard Nixon and Israeli Prime Minister Golda Meir. No transcript of the meeting has surfaced, but Cohen said it is clear the two leaders struck a deal: Israel would not test its nuclear weapons or announce it possessed them, while the United States wouldn’t press Israel to give them up or to sign the Non-Proliferation Treaty, and would halt its annual inspections of Dimona, the site of Israel’s Negev Nuclear Research Center.

       

      As an outgrowth of the deal, Washington, moreover, would adopt Israel’s secret as its own, eventually acquiescing to a public formulation of Israeli policy that was initially strenuously opposed by top U.S. officials.

       

      “Israel will not be the first country to introduce nuclear weapons into the Middle East,” the boilerplate Israeli account has long stated. “Israel supports a Middle East free of all weapons of mass destruction following the attainment of peace.” When Nixon’s aides sought assurances that this pledge meant Israel would not actually build any bombs, Israeli officials said the word “introduce” would have a different meaning: It meant the country would not publicly test bombs or admit to possessing them, leaving ample room for its unacknowledged arsenal.

       

      “While we might ideally like to halt actual Israeli possession,” then-National Security Advisor Henry Kissinger wrote in a July 1969 memo to Nixon that summarized Washington’s enduring policy, “what we really want at a minimum may be just to keep Israeli possession from becoming an established international fact.”

       

      Even when Mordechai Vanunu, a technician at Dimona, provided the first detailed, public account of the program in 1986 and released photos he had snapped there of nuclear-weapons components, both countries refused to shift gears. After being snatched from Italy, Vanunu was imprisoned by Israel for 18 years, mostly in solitary confinement, and subsequently forbidden to travel abroad or deal substantively with foreign journalists. In an email exchange with the Center for Public Integrity, Vanunu indicated that he still faces restrictions but did not elaborate. “You can write me again when I am free, out of Israel,” he said.

       

      The avoidance of candor has sometimes extended to private government channels. A former U.S. intelligence official said he recalled being flabbergasted in the 1990s by the absence of any mention of Israel in a classified document purporting to describe all foreign nuclear-weapons programs. He said he complained to colleagues at the time that “we’ve really got a problem if we can’t acknowledge the truth even in classified documents,” and finally won a grudging but spare mention of the country’s weaponry.

       

      Gary Samore, who was President Obama’s top advisor on nuclear nonproliferation from 2009 to 2013, said the United States has long preferred that Israel hold to its policy of amimut, out of concern that other Middle Eastern nations would feel threatened by Israel’s coming out of the nuclear closet.

       

      “For the Israelis to acknowledge and declare it, that would be seen as provocative,” he said. “It could spur some of the Arab states and Iran to produce weapons. So we like calculated ambiguity.” But when asked point-blank if the fact that Israel has nuclear weapons is classified, Samore—who is now at Harvard University—answered: “It doesn’t sound very classified to me—that Israel has nuclear weapons?”

       

      The U.S. government’s official silence was broken only by accident, when, in 1979, the CIA released a four-page summary of an intelligence memorandum titled “Prospects for Further Proliferation of Nuclear Weapons” in response to a Freedom of Information Act request by the Natural Resources Defense Council, a nonprofit environmental group.

       

      “We believe that Israel already has produced nuclear weapons,” the 1974 report said, citing Israel’s stockpiling of large quantities of uranium, its uranium-enrichment program, and its investment in a costly missile system capable of delivering nuclear warheads. Release of the report triggered a spate of headlines. “CIA said in 1974 Israel had A-Bombs,” a New York Times headline declared. “Israel a Nuclear Club Member Since 1974, CIA Study Indicates,” announced The Washington Star.

       

      But it stemmed from a goof.

       

      John Despres, who was the CIA’s national-intelligence officer for nuclear proliferation at the time, said he was in charge of censoring or “redacting” the secret material from the report prior to its release. But portions he wanted withheld were released, he said in an interview, while sections that were supposed to be released were withheld.

       

      “This was a sort of classic case of a bureaucratic screw-up,” said Despres, now retired. “People misinterpreted my instructions.” He said that as far as he knows, no one was disciplined for the mix-up. Moreover, in 2008, when the National Security Archive obtained a copy of the document under the Freedom of Information Act, that judgment remained unexcised.

       

      But Washington’s refusal to confirm the obvious in any other way has produced some weird trips down the rabbit hole for those seeking official data about the Israeli arsenal. Bryan Siebert, who was the most senior career executive in charge of guarding DOE’s nuclear-weapons secrets from 1992 to 2002, said he recalls seeing a two-cubic-foot stack at one point of CIA, FBI, Justice, and Energy department documents about Israel’s nuclear program.

       

      John Fitzpatrick, who since 2011 has served as director of the federal Information Security Oversight Office, confirmed that “aspects” of Israel’s nuclear status are considered secret by the United States. “We know this from classifying authorities at agencies who handle that material,” said Fitzpatrick, who declined to provide more details.

       

      Kerry Brodie, director of communications for the Israeli embassy in Washington, similarly said no one there would discuss the subject of the country’s nuclear status. “Unfortunately, we do not have any comment we can share at this point,” she wrote in an email. A former speaker of the Israeli Knesset, Avraham Burg, was less discrete during a December 2013 conference in Haifa, where he said “Israel has nuclear and chemical weapons” and called the policy of ambiguity “outdated and childish.”

       

      Through a spokesman, Robert Gates declined to discuss the issue. But a growing number of U.S. experts agree with Burg.

       

      Pillar, for example, wrote in his article this month that the 45-year-old U.S. policy of shielding Israel’s program is seen around the world “as not just a double standard but living a lie. Whatever the United States says about nuclear weapons will always be taken with a grain of salt or with some measure of disdain as long as the United States says nothing about kumquats.”

       

      Victor Gilinsky, a physicist and former member of the Nuclear Regulatory Commission who has written about the history of the Israeli program, complained in a recent book that “the pretense of ignorance about Israeli bombs does not wash anymore. … The evident double standard undermines efforts to control the spread of nuclear weapons worldwide.”

       

      J. William Leonard, who ran a government-wide declassification effort as President George W. Bush’s director of the Information Security Oversight Office from 2002 to 2008, commented that “in some regards, it undermines the integrity of the classification system when you’re using classification to officially protect a known secret. It can get exceedingly awkward, obviously.”

       

      Aftergood said the secrecy surrounding Israel’s nuclear weapons is “obsolete and fraying around the edges. … It takes an effort to preserve the fiction that this is a secret,” he said. Meanwhile, he added, it can still be abused as an instrument for punishing federal employees such as Doyle for unrelated or politically inspired reasons. “Managers have broad discretion to overlook or forgive a particular infraction,” Aftergood said. “The problem is that discretion can be abused. And some employees get punished severely while others do not.”

       

      Dana H. Allin, the editor of Doyle’s article in Survival magazine, said in a recent commentary published by the International Institute for Strategic Studies in London that “anyone with a passing knowledge of international affairs knows about these weapons.” He called the government’s claim that the article contained secrets “ludicrous” and said Doyle’s ordeal at the hands of the classification authorities was nothing short of Kafkaesque.

       

      ※出典

      【Israel’s Worst-Kept Secret 】

      http://goo.gl/bo6bF7

       

       


      The 47-year-old nuclear elephant in the room

      2014年09月28日 | 中東情勢

       

      The 47-year-old nuclear elephant in the room

      A growing number of U.S. experts say that feigning ignorance about Israel’s nuclear arsenal creates more trouble than it averts

      By Douglas BirchR. Jeffrey Smith

      5:00 am, September 16, 2014 Updated: 11:33 am, September 16, 2014

       

      Mordechai Vanunu's photograph of what appears to be a mock-up of a nuclear weapon's plutonium core at the Negev Nuclear Research Center at Dimona.

      Screenshot/Center for Nonproliferation Studies for the Nuclear Threat Initiative Youtube

      Israel has a substantial arsenal of nuclear weapons.

      Former CIA director Robert Gates said so during his 2006 Senate confirmation hearings for secretary of defense, when he noted — while serving as a university president — that Iran is surrounded by “powers with nuclear weapons,” including “the Israelis to the west.” Former President Jimmy Carter said so in 2008 and again this year, in interviews and speeches in which he pegged the number of Israel’s nuclear warheads at 150 to around 300.

      But due to a quirk of federal secrecy rules, such remarks generally cannot be made even now by those who work for the U.S. government and hold active security clearances. In fact, U.S. officials, even those on Capitol Hill, are routinely admonished not to mention the existence of an Israeli nuclear arsenal and occasionally punished when they do so.

      The policy of never publicly confirming what a scholar once called one of the world’s “worst-kept secrets” dates from a political deal between the United States and Israel in the late 1960s. Its consequence has been to help Israel maintain a distinctive military posture in the Middle East while avoiding the scrutiny — and occasional disapprobation — directed at the world’s eight acknowledged nuclear powers.

      But the U.S. policy of shielding the Israeli program has recently provoked new controversy, partly because of allegations that it played a role in the censure of a well-known national laboratory arms researcher in July, after he published an article in which he acknowledged that Israel has nuclear arms. Some scholars and experts are also complaining that the government’s lack of candor is complicating its high-profile campaign to block the development of nuclear arms in Iran, as well as U.S.-led planning for a potential treaty prohibiting nuclear arms anywhere in the region.

      The U.S. silence is largely unwavering, however. “We would never say flatly that Israel has nuclear weapons,” explained a former senior State Department official who dealt with nuclear issues during the Bush administration. “We would have to couch it in other language, we would have to say ‘we assume’ or ‘we presume that Israel has nuclear weapons,’ or ‘it’s reported’ that they have them,” the former official said, requesting that his name not be used due to the political sensitivity surrounding the topic.

      President Barack Obama made clear that this 4-decade-old U.S. policy would persist at his first White House press conference in 2009, when journalist Helen Thomas asked if he knew of any nations in the Middle East with nuclear arms. “With respect to nuclear weapons, you know, I don’t want to speculate,” Obama said, as though Israel’s established status as a nuclear weapons state was only a matter of rumor and conjecture.

      So wary is Paul Pillar, a former U.S. national intelligence officer for the Middle East, of making any direct, public reference to Israel’s nuclear arsenal that when he wrote an article this month in The National Interest, entitled “Israel’s Widely Suspected Unmentionables,” he referred to warheads as “kumquats” throughout his manuscript.

      Even Congress has been coy on the subject. When the Senate Foreign Relations Committee published a 2008 report titled “Chain Reaction: Avoiding a Nuclear Arms Race in the Middle East,” it included chapters on Saudi Arabia, Egypt and Turkey — but not Israel. The 61-page report relegated Israel’s nuclear arms to a footnote that suggested that Israel’s arsenal was a “perception.”

      “This report does not take a position on the existence of Israeli nuclear weapons,” the report said. “Although Israel has not officially acknowledged it possesses nuclear weapons, a widespread consensus exists in the region and among experts in the United States that Israel possesses a number of nuclear weapons. For Israel’s neighbors, this perception is more important than reality.”

      While former White House or cabinet-level officers — such as Gates — have gotten away with more candor, the bureaucracy does not take honesty by junior officials lightly. James Doyle, a veteran nuclear analyst at Los Alamos National Laboratory who was recently censured, evidently left himself open to punishment by straying minutely from U.S. policy in a February 2013 article published by the British journal Survival.

      “Nuclear weapons did not deter Egypt and Syria from attacking Israel in 1973, Argentina from attacking British territory in the 1982 Falklands War or Iraq from attacking Israel during the 1991 Gulf War,” Doyle said in a bitingly critical appraisal of Western nuclear policy, which angered his superiors at the nuclear weapons lab as well as a Republican staff member of the House Armed Services committee.

      The February 2013 cover for Survival, the journal affiliated with the International Institute for Strategic Studies which published a controversial article by James Doyle.

      Courtesy of the International Institute for Strategic Studies

      Even though three secrecy specialists at the lab concluded the article contained no secrets, more senior officials overruled them and cited an unspecified breach as justification for censuring Doyle and declaring it classified, after its publication. They docked his pay, searched his home computer and, eventually, fired him this summer. The lab has said his firing — as opposed to the censure and search — was not related to the article’s content, but Doyle and his lawyer have said they are convinced it was pure punishment for his skepticism about the tenets of nuclear deterrence.

      Neither Doyle nor his colleagues revealed if the sentence in his article about Israel’s arsenal was the one that provoked officials to nitpick about a security violation, but several independent experts have surmised it was.

      Steven Aftergood, director of the Project on Government Secrecy at the Federation of American Scientists, said the clues lie in the Energy Department’s citation — in a document summarizing the facts behind Doyle’s unsuccessful appeal of his ill treatment — of a classification bulletin numbered “WPN-136.”

      The full, correct title of that bulletin, according to an Energy Department circular, is “WNP-136, Foreign Nuclear Capabilities.” The classification bulletin itself is not public. But Aftergood said Doyle’s only reference to a sensitive foreign nuclear program was his mention of Israel’s, making it highly probable this was the cudgel the lab used against him. “I’m certain that that’s what it is,” Aftergood said in an interview.

      The circumstances surrounding Doyle’s censure are among several cases now being examined by Department of Energy (DOE) Inspector General Gregory Friedman, as part of a broader examination of inconsistent classification practices within the department and the national laboratories, several officials said.

      Doyle’s reference to the existence of Israel’s nuclear arsenal reflects the consensus intelligence judgment within DOE nuclear weapons-related laboratories, former officials say. But some said they find it so hard to avoid any public reference to the weapons that classification officers periodically held special briefings about skirting the issue.

      “It was one of those things that was not obvious,” a former laboratory official said, asking not to be identified due to the sensitivity of the topic. “Especially when there’s so much about it in the open domain.”

      Israel’s nuclear weapons program began in the 1950s, and the country is widely believed to have assembled its first three weapons during the crisis leading to the Six-Day War in 1967, according to the Nuclear Threat Initiative, a nonprofit group in Washington that tracks nuclear weapons developments.

      For decades, however, Israel itself has wrapped its nuclear program in a policy it calls “amimut,” meaning opacity or ambiguity. By hinting at but not confirming that it has these weapons, Israel has sought to deter its enemies from a major attack without provoking a concerted effort by others to develop a matching arsenal.

      An aerial view of the Negev Nuclear Research Center near Dimona, Israel.

      Wikicommons

      Israeli-American historian Avner Cohen has written that U.S. adherence to this policy evidently grew out of a September 1969 meeting between President Richard Nixon and Israeli Prime Minister Golda Meir. No transcript of the meeting has surfaced, but Cohen said it is clear the two leaders struck a deal: Israel would not test its nuclear weapons or announce it possessed them, while the United States wouldn’t press Israel to give them up or to sign the Non-Proliferation Treaty, and would halt its annual inspections of Dimona, the site of Israel’s Negev Nuclear Research Center.

      As an outgrowth of the deal, Washington, moreover, would adopt Israel’s secret as its own, eventually acquiescing to a public formulation of Israeli policy that was initially strenuously opposed by top U.S. officials.

      “Israel will not be the first country to introduce nuclear weapons into the Middle East,” the boilerplate Israeli account has long stated. “Israel supports a Middle East free of all weapons of mass destruction following the attainment of peace.” When Nixon’s aides sought assurances this pledge meant Israel would not actually build any bombs, Israeli officials said the word “introduce” would have a different meaning: It meant the country would not publicly test bombs or admit to possessing them, leaving ample room for its unacknowledged arsenal.

      “While we might ideally like to halt actual Israeli possession,” then-National Security Adviser Henry Kissinger wrote in a July 1969 memo to Nixon that summarized Washington’s enduring policy, “what we really want at a minimum may be just to keep Israeli possession from becoming an established international fact.”

      Even when Mordechai Vanunu, a technician at Dimona, provided the first detasiled, public account of the program in 1986 and released photos he had snapped there of nuclear weapons components, both countries refused to shift gears. After being snatched from Italy, Vanunu was imprisoned by Israel for 18 years, mostly in solitary confinement, and subsequently forbidden to travel abroad or deal substantively with foreign journalists. In an email exchange with the Center for Public Integrity, Vanunu indicated that he still faces restrictions but did not elaborate. “You can write me again when I am free, out of Israel,” he said.

       

      A closer look at the Negev Nuclear Research Center

      Video created by the James Martin Center for Nonproliferation Studies for the Nuclear Threat Initiative.

       

      Nuclear whistleblower Mordechai Vanunu in June of 2004, holding a copy of the original newspaper in which he revealed Israel's nuclear secrets.

      Oded Balilty/AP

      The avoidance of candor has sometimes extended to private government channels. A former U.S. intelligence official said he recalled being flabbergasted in the 1990’s by the absence of any mention of Israel in a particular highly-classified document purporting to describe all foreign nuclear weapons programs. He said he complained to colleagues at the time that “we’ve really got a problem if we can’t acknowledge the truth even in classified documents,” and finally won a grudging but spare mention of the country’s nuclear arsenal.

      Gary Samore, who was President Obama’s top advisor on nuclear nonproliferation from 2009 to 2013, said the United States has long preferred that Israel hold to its policy of amimut, out of concern that other Middle Eastern nations would feel threatened by Israel’s coming out of the nuclear closet.

      “For the Israelis to acknowledge and declare it, that would be seen as provocative,” he said. “It could spur some of the Arab states and Iran to produce weapons. So we like calculated ambiguity.” But when asked point-blank if the fact that Israel has nuclear weapons is classified, Samore — who is now at Harvard University — answered: “It doesn’t sound very classified to me — that Israel has nuclear weapons?”

       The U.S. government’s official silence was broken only by accident, when in 1979, the CIA released a four-page summary of an intelligence memorandum titled “Prospects for Further Proliferation of Nuclear Weapons,” in response to a Freedom of Information Act request by the Natural Resources Defense Council, a nonprofit environmental group.

      “We believe that Israel already has produced nuclear weapons,” the 1974 report said, citing Israel’s stockpiling of large quantities of uranium, its uranium enrichment program, and its investment in a costly missile system capable of delivering nuclear warheads. Release of the report triggered a spate of headlines. “CIA said in 1974 Israel had A-Bombs,” a New York Times headline declared. “Israel a Nuclear Club Member Since 1974, CIA Study Indicates,” announced The Washington Star.

      But it stemmed from a goof.

      John Despres, who was the CIA’s national intelligence officer for nuclear proliferation at the time, said he was in charge of censoring or “redacting” the secret material from the report prior to its release. But portions he wanted withheld were released, he said in an interview, while sections that were supposed to be released were withheld.

      “This was a sort of classic case of a bureaucratic screw-up,” said Despres, now retired. “People misinterpreted my instructions.” He said that as far as he knows, no one was disciplined for the mix-up. Moreover, in 2008, when the National Security Archive obtained a copy of the document under the Freedom of Information Act, that judgment remained unexcised.

      But Washington’s refusal to confirm the obvious in any other way has produced some weird trips down the rabbit hole for those seeking official data about the Israeli arsenal. Bryan Siebert, who was the most senior career executive in charge of guarding DOE’s nuclear weapons secrets from 1992 to 2002, said he recalls seeing a two-cubic-foot stack at one point of CIA, FBI, Justice and Energy department documents about Israel’s nuclear program.

      But when Siebert filed a FOIA request to DOE for information about the program after his retirement in April 2004, DOE’s official reply — written by David Osias, a former CIA official who was then deputy director for intelligence and analysis at DOE — was that the department “can neither confirm nor deny the existence of information on the requested subject. Such confirmation or denial of the records at issue, would pose a threat to national security.”

      John Fitzpatrick, who since 2011 has served as director of the federal Information Security Oversight Office, confirmed that “aspects” of Israel’s nuclear status are considered secret by the United States. “We know this from classifying authorities at agencies who handle that material,” said Fitzpatrick, who declined to provide more details.

      Kerry Brodie, director of communications for the Israeli embassy in Washington, similarly said no one there would discuss the subject of the country’s nuclear status. “Unfortunately, we do not have any comment we can share at this point,” she wrote in an email. A former speaker of the Israeli Knesset, Avraham Burg, was less discrete during a December 2013 conference in Haifa, where he said “Israel has nuclear and chemical weapons” and called the policy of ambiguity “outdated and childish.”

      Through a spokesman, Robert Gates declined to discuss the issue. But a growing number of U.S. experts agree with Burg.

      Pillar, for example, wrote in his article this month that the 45-year old U.S. policy of shielding Israel’s program is seen around the world “as not just a double standard but living a lie. Whatever the United States says about nuclear weapons will always be taken with a grain of salt or with some measure of disdain as long as the United States says nothing about kumquats.”

      Victor Gilinsky, a physicist and former member of the Nuclear Regulatory Commission who has written about the history of the Israeli program, complained in a recent book that “the pretense of ignorance about Israeli bombs does not wash anymore. … The evident double standard undermines efforts to control the spread of nuclear weapons worldwide.”

      J. William Leonard, who ran a government-wide declassification effort as President George W. Bush’s director of the Information Security Oversight Office from 2002 to 2008, commented that “in some regards, it undermines the integrity of the classification system when you’re using classification to officially protect a known secret. It can get exceedingly awkward, obviously.”

      Aftergood said the secrecy surrounding Israel’s nuclear weapons is “obsolete and fraying around the edges. … It takes an effort to preserve the fiction that this is a secret,” he said. Meanwhile, he added, it can still be abused as an instrument for punishing federal employees such as Doyle for unrelated or politically-inspired reasons. “Managers have broad discretion to overlook or forgive a particular infraction,” Aftergood said. “The problem is that discretion can be abused. And some employees get punished severely while others do not.”

      Dana H. Allin, the editor of Doyle’s article in Survival magazine, said in a recent commentary published by the International Institute for Strategic Studies in London that “anyone with a passing knowledge of international affairs knows about these weapons.” He called the government’s claim that the article contained secrets “ludicrous” and said Doyle’s ordeal at the hands of the classification authorities was nothing short of Kafkaesque.

       

      ※出典

      【The 47-year-old nuclear elephant in the room】

      by  Douglas Birch

      http://goo.gl/g7lYxJ





      Israel's Nuclear Weapons: Widely Suspected Unmentionables

      2014年09月28日 | 中東情勢

       

      Israel's Nuclear Weapons: Widely Suspected Unmentionables

      September 3, 2014

      Some things, or possible things, are important enough that we would be foolish to presume or pretend that they do not exist even if we lack any official confirmation or acknowledgment that they in fact exist. One such possible thing is of high importance to security issues in the Middle East. Almost everyone outside of government who writes or speaks about these issues takes as a given that Israel has long had an arsenal of nuclear weapons. No Israeli government, however, has ever said publicly that Israel has such weapons, and neither has the U.S. government, under any administration, said so either.

      Let us be very careful in how we discuss this subject. The world is full of widely accepted conventional wisdom, some of which turns out not to be true. After all, we do not know whether Israel has nuclear weapons. So let us not frame a discussion of this subject in terms of assertions of fact. Instead, we can play off the widely held consensus on the subject, discussing implications of the consensus itself and other implications if the consensus happened to be correct.

      One disadvantage of this approach is that to adhere scrupulously to the agnostic qualifiers that the approach requires makes for clumsy prose that is uncomfortable to read. A way to cope with this problem is inspired by the late Alfred Kahn, the Cornell economist who served in Jimmy Carter's administration. Kahn is best known for deregulating the airline industry as chairman of the Civil Aeronautics Board. He later was Carter's anti-inflation czar, in which post the blunt-spoken Kahn was once chastised by his political betters at the White House for warning of a possible “depression”. Don't use the word depression, he was told. Kahn complied, but rather than resort to some awkward circumlocution such as “an economic downturn that is more serious than what is customarily called a recession” he started using the term banana as a substitute for the word he was not supposed to utter. When the head of the United Fruit Company complained to him about this negative use of the term, Kahn switched to kumquat as his substitute word whenever he discussed the danger of a depression.

      Using both Kahn's technique and his term, in the rest of this essay let kumquats mean “Israel's widely suspected nuclear weapons” or, in its more complete form, “Israel's widely suspected nuclear weapons—so widely and strongly suspected that just about everyone who says anything about related topics takes them as a given, even though we cannot say for certain that they exist.”

      Kumquats are not just a subject of conventional wisdom. They have been carefully addressed by serious historians and political scientists and have been taken into account in countless analyses of security problems in the Middle East. They also routinely figure into global rundowns of nuclear weapons arsenals, such as from the Ploughshares Fund or the Arms Control Association, with Israel listed alongside the eight declared nuclear weapons states. The Arms Control Association's inventory estimates the number of kumquats at between 75 and 200. Most other estimates are similar; a more detailed examination of kumquats and associated Israeli military forces that appeared in the Bulletin of the Atomic Scientists twelve years ago used the same range. The fullest understanding of the kumquat program can be found in the writings of the foremost historian of that program, Avner Cohen, including in his most recent book, The Worst-Kept Secret: Israel's Bargain with the Bomb.

      Cohen and co-author Marvin Miller argued in an article four years ago that the policy of non-acknowledgment of kumquats has outlived whatever usefulness it had for Israel, and that Israel should change that policy. According to these authors, the policy was grounded in an understanding that Golda Meir and Richard Nixon reached in 1969, by which the United States would not make a public issue out of kumquats as long as Israel did not acknowledge their existence. Cohen and Miller contend that being more transparent about this capability would enable Israel to demonstrate that it is a responsible nuclear power, to participate in arms control endeavors that are in Israel's interests, and to diminish one of the grounds for the international community to treat Israel as an outlaw pariah state. Greater transparency also would facilitate useful discussion and debate among Israelis themselves of issues related to ownership of kumquats, such as questions of safety, command and control, and identification of circumstances in which the kumquats might ever be used.

      From a U.S. point of view, the policy of not saying anything publicly about kumquats has also long outlived whatever usefulness it may have had, for the reasons Cohen and Miller offer as well as for others. The very fact that there is now such a broad and strong consensus about the existence of kumquats, which was not yet the case in 1969, is one reason. Moreover, keeping any mention of kumquats out of bounds inhibits full and fruitful discussion about Israel's security, with the Israelis themselves as well as among American politicians and policy-makers. Anyone who professes to have high concern about Israel's security—which includes almost every American politician—ought to favor uninhibited and fully informed discussion of the subject.

      Arms control also is at least as important to U.S. interests as to Israel's, at both regional and global levels. Regionally, proposals for a Middle East nuclear-weapons-free zone (or in some variants, a weapons-of-mass-destruction-free zone) are worth discussing, however much realization of such a goal will depend on resolution of political conflicts that will determine the willingness of regional states to give up whatever weapons they currently have. Any such discussion will be a feckless charade, however, as long as neither Israel nor the United States will say anything about kumquats.

      That the United States is so out of step on this subject with the rest of the world is taken by the rest of the world as one more example of double standards that the United States applies to shield Israel. Even further, it is taken as not just a double standard but living a lie. Whatever the United States says about nuclear weapons will always be taken with a grain of salt or with some measure of disdain as long as the United States says nothing about kumquats.

      The issue of Iran's nuclear program, negotiations on which will be coming to a climax this fall, is highly germane to this problem. We have the spectacle of the government of Israel being by far the most energetic rabble-rouser on the subject of a possible Iranian nuclear weapon, to the extent of repeatedly threatening to attack Iran militarily. Some might call this irony; others would call it chutzpah. Anyone would be entitled to say that any state that not only refuses to become a party to the Nuclear Nonproliferation Treaty (NPT) or to subject any of its nuclear activities to any kind of international inspection or control but also already possesses kumquats or their equivalents has no standing to conduct such agitation about Iran, which is a party to the NPT, has already subjected its nuclear activities to an unprecedented degree of intrusive inspection, and is in the process of negotiating an agreement to place even further limits on its nuclear program to ensure it stays peaceful.

      The need for full and well-informed discussion of Israel's security will play into any debate in the United States about a completed nuclear agreement with Iran. Fully taking into account kumquats—which, as noted above, private scholars and nongovernmental organizations estimate to number in the dozens or scores—also underscores how misplaced is the preoccupation with an Iranian "breakout" or feared rush to build one or even a few bombs. Whatever the United States may or may not say on the subject, it is safe to assume that Iranian leaders believe that kumquats really do exist, and probably in the numbers that private experts estimate.

      The U.S. refusal to discuss this subject has other, less direct, distorting and stifling effects on discourse in the United States about Middle Eastern security issues. When the U.S. government takes a posture such as this, it has damaging trickle-down effects, not necessarily visible to the public, on the broader discourse. Then there is the sheer silliness of the posture. With such a broad and strong consensus about kumquats and all the extensive discussion that has already taken place about them elsewhere, clearly the official U.S. posture serves no purpose in safeguarding U.S. security interests. It is only a legacy of a policy constructed to deal with a situation U.S. policy-makers faced 45 years ago.

      The U.S. posture appears to outsiders inconsistent not only with the broader consensus but also with some of the United States' own public revelations. Six years ago the U.S. government released a redacted and declassified version of an intelligence estimate from 1974 about prospects for nuclear proliferation, in which the lead judgment about Israel was “We believe that Israel already has produced nuclear weapons.” The kumquat program has since had, of course, 40 years to progress from wherever it may have been in 1974.

      Within the past couple of weeks the U.S. government has publicly released another pertinent set of previously classified material: about 100 pages of documents from internal U.S. government deliberations about the kumquat problem in 1968 and 1969, spanning the Johnson and Nixon administrations. The documents make interesting reading, although so far the the press has given almost no attention to them apart from an article in the left-leaning Israeli newspaper Haaretz. A strong refrain, spanning both U.S. administrations, running through these deliberations was that any Israeli development of nuclear weapons would be a major negative for U.S. interests. As one interagency assessment put it, “The disadvantages to U.S. global interests are such that a major U.S. effort to induce Israel not to produce nuclear weapons is justified.” U.S. policy-makers faced several complications in trying to achieve this objective, however, including the already-emerging problem of Israeli colonization of territory conquered in the Six Day War less than two years earlier. An interagency study group described this part of the quandary this way:

      "Use of leverage on the NPT/nuclear issue may seriously detract from our capability to influence Israel on the settlement issue. On the other hand, if we decide to defer using pressure on the nuclear question so as to preserve leverage on a possible peace settlement, we must ask how long we are prepared to do this in the face of Israel's rapidly advancing program, and the knowledge that, the longer we put off making Israel feel the seriousness of our purpose, the harder it will be to arrest Israel's program."

      Another complication was the fear that using the most obvious source of U.S. leverage over Israel—arms supplies, with shipment of F-4 Phantom jets being the top Israeli interest at the time—would only make the Israelis more determined than ever to push ahead with the development of nuclear weapons. The State Department in particular argued this point, and was generally in favor of relying only on persuasion rather than leverage to try to slow down the Israeli program. The Department of Defense favored taking a harder line and using the arms spigot as a tool of leverage without fear of endangering Israel's conventional advantage over its neighbors, noting that “for the present Israel's military superiority is complete.” The documents do not take us to the end of this interagency debate or to whatever Nixon and Meir said to each other in private. But in effect the outcome was a passive don't ask, don't tell approach.

      Even at that early stage the kumquat program, like the colonization program, involved a lack of Israeli cooperation with the United States. Israel already was playing the verbal game of saying it would not be the first state to “introduce” nuclear weapons into the Middle East. The declassified documents record repeated U.S. efforts to get Israel to state that not “introducing” weapons meant not producing or stockpiling them. The Israelis refused to do so and instead suggested that as long as weapons were neither tested or announced they would not have been “introduced.”

      The timing of declassification of government documents can reflect many different and mostly mundane factors, such as when someone happened to submit a Freedom of Information Act request and how fast the wheels of the bureaucratic review process turn. It would be nice to think or at least to hope, however, that this latest release of documents signals a willingness by the current U.S. administration to take a step away from shielding Israeli activities that, even more now than when the policy-makers of 1969 were deliberating, involve significant “disadvantages to U.S. global interests.”  

       

      ※出典

      【Israel's Nuclear Weapons: Widely Suspected Unmentionables】

      by  Paul R. Pillar

      http://goo.gl/e00UqD





      Fight Club: Israel Nuke Edition

      2014年09月27日 | 中東情勢

       

       

       

      Voice

       

      Fight Club: Israel Nuke Edition

       

      The first rule of Israel's nuclear arsenal is that there is no Israeli nuclear arsenal.

       

      Pssst. Come closer. I'm going to let you in on one of the U.S. government's most closely guarded secrets.

      Make sure you are sitting down, because what I am going to tell you will blow your mind. This is so close-hold that if a U.S. government official were to so much breathe a word about this, she should would lose her job. Ready?

      Israel has the bomb.

      You think that's funny? I don't see anyone else laughing. Former Los Alamos employee Jim Doyle certainly doesn't have a smile on his face. In a February-March 2013 article for the journal Survival, Doyle -- a political scientist employed by Los Alamos National Laboratory -- listed a series of nuclear deterrence failures -- instances where states without nuclear weapons nevertheless attacked states that had the bomb. In that list, Doyle included Egypt's 1973 invasion of the Sinai.

      Although the article was cleared through classification review, some people had other ideas. Apparently, someone on Capitol Hill asked about the reference to Israel and the counterintelligence trolls decided that, yep, the article should have been classified. (The most shocking thing about this story might that be Hill staffers read journal articles.) The fact that the United States intelligence community believes that Israel possesses nuclear weapons is formally classified

      Despite having submitted the article for review, Doyle was held responsible -- he was suspended, had his clearances revoked, and lost his job at Los Alamos. So, let me tell you:

      Even though everyone knows Israel has the bomb, if you have a clearance and want to keep it, stick to discussing Israel's stockpile of strategic kumquats.
       
      Even though everyone knows Israel has the bomb, if you have a clearance and want to keep it, stick to discussing Israel's stockpile of strategic kumquats.

      Since the late 1960s, the United States has treated the fact of Israel's nuclear weapons as an important state secret. This is absurd, and it doesn't do anyone any favors, least of all our friends in Israel. It's time to declassify the fact of Israel's bomb even if Jerusalem doesn't admit it.

      Now, one has to read between the lines to determine that Doyle was fired for stating that Israel possessed nuclear weapons. Doyle is fighting back, but can't acknowledge the article, which is now classified. And by "now classified" I mean in a purely administrative sense. You can download it from Survival if you feel like pushing all the buttons in the elevator isn't edgy enough. But the one publicly available document about Doyle's case makes it clear that the dispute concerns what bit of classification guidance is most relevant -- DOE Classification Bulletin WPN-136 on Foreign Nuclear Capabilities or GEN-16 "No Comment" Policy on Classified Information in the Public Domain

      Foreign Nuclear Capabilities. Everyone, including Survival's editor, Dana Allin, suspects that the single passing reference to Israel is the problem. Steven Aftergood, the Federation of American Scientists's secrecy guru, told my colleague Avner Cohen, "I'm certain that that's what it is." The dispute boils down, as best I can infer, to whether officials with access to classified information can refer to "press reports" about Israel's nuclear status -- which, in case you haven't figured it out, I think is stupid.

      If you want all the details on Doyle's plight, Doug Birch at the Center for Public Integrity has owned this story from day one, serving as the most consistent chronicler of Doyle's travails in the Land of Uz. (You don't know Uz? Heathen.) The Santa Fe New Mexican, Albuquerque Journal and Los Angeles Times have also had excellent coverage. 

      The situation with Israel is strange. U.S. officials can mention the existence of any other nuclear weapons program -- even those of our friends. I might churlishly add that they've also been free to mention one or two that didn't even exist. (Cough, Iraq, cough.) But Israel is different.

      This policy dates to the Nixon administration, which was divided over whether to join the Non-Proliferation Treaty, how much to pressure allies into joining the treaty, and what to do about Israel's bomb in the basement. The Nixon administration, including the good Dr. Kissinger, characteristically opted for secrecy. (Wait, a totally secretive administration that held democratic accountability in contempt? What could possibly go wrong? Okay, other than the secret bombing of Cambodia. Okay, other than that and the coup in Chile. Okay, other than those two and the genocide in East Timor. Okay, and the Watergate break-in. But seriously, what else could go wrong?)

      The evolution of the policy by which Israel would look the other way is well documented in two tranches of declassified documents curated by the National Security Archive called Israel Crosses the Threshold and Israel Crosses the Threshold II. (Am I the only one hoping Sofia Coppola will star as Golda Meir in Israel Crosses the Threshold III?) Of course, one can only makes sense of these documents, and the debate they chronicle, if you understand what threshold Israel was crossing but .... SHHHHHHH!

      In fact, the United States intelligence community, by the mid-1970s, had concluded that Israel possessed nuclear weapons. There is even a declassified 1974 National Intelligence Estimate that states: "We believe that Israel already has produced nuclear weapons." How that slipped through, I have no idea. But there it is, in black and white. The New York Times even reported the contents -- in 1978.

      Any doubt the rest of us might have had was laid to rest by Mordechai Vanunu, an employee at Israel's Dimona nuclear facility. One day, Vanunu brought his camera to work. He then gave the pictures to the Sunday Times of London, which splashed them across the front page in 1986. Here is a picture of a model of an Israeli nuclear weapon component (and more).

      The Israelis were so delighted by Vanunu's disclosure that they honey-trapped him in London, according to the reporter at the Sunday Times who published Vanunu's images, using a young woman to persuade the poor guy to fly to Rome for a tryst. Once in Italy, the Israelis bundled up Vanunu and dragged him to prison in Israel. Fun fact: the alleged honey pot is now a realtor in Florida, though by the looks of it her honey pot days are long past. Still, she might be able to get you a good deal on a lightly used safe house. (By the way, I totally recommend Peter Hounam's The Woman from Mossad: The Story of Mordechai Vanunu and the Israeli Nuclear Program. I do not, however, recommend taking photos of sensitive Israeli nuclear facilities or, if you should choose to, thinking you've suddenly become much more attractive to the opposite sex.)

      But back to the Doyle and the matter at hand.

      One obvious downside to our absurd policy of refusing to acknowledge Israel's bomb is that it ends up being enforced in an arbitrary and capricious manner.
       
      One obvious downside to our absurd policy of refusing to acknowledge Israel's bomb is that it ends up being enforced in an arbitrary and capricious manner. When Bob Gates, during his 2006 confirmation hearing to be secretary of Defense, referred to Iran being surrounded by nuclear-armed neighbors including "the Israelis to the West," nothing happened -- even though he had served as director of central intelligence and maintained his clearances. I've certainly heard plenty of current and former officials, in private conversation, state the obvious. It's hard not to mention. Hell, even Ehud Olmert, when he was Israeli prime minister, slipped uponce. As a result, the classification is little more than a handy excuse to prosecute someone we don't like for some other reason -- such as writing annoying articles about disarmament while working for a nuclear weapons lab or something.

      There is one simple solution to this problem. Change WPN-136 Foreign Nuclear Capabilities to declassify the "fact" that the United States intelligence community has believed that Israel has possessed nuclear weapons since the 1970s. That's it. We don't have to declassify the details of the stockpile. And we don't have to hold a press conference. (WPN-136 is classified anyway, so there will be no roll-out.) But U.S. officials should be free to acknowledge the obvious without fear of losing their clearances and their jobs. That's all.

      Declassifying the fact of Israel's nuclear status would not require changing our policies toward Israel or the bomb. The limitations on U.S. peaceful nuclear cooperation with Israel, for example, arise from the fact that is has not signed the Nuclear Nonproliferation Treaty, not its actual possession of nuclear weapons. Consider India. The United States openly acknowledges India's nuclear weapons status outside the NPT, but still negotiated a peaceful nuclear cooperation agreement with New Delhi and won a waiver for India in the Nuclear Suppliers Group. Washington has proposed closer ties between the Nuclear Suppliers Group and Israel. That effort would not be affected by U.S. public acknowledgement that it believes Israel has a stockpile of nuclear weapons.

      For its part, Israel will almost certainly maintain its policy of amimut. Cohen, in his book The Worst-Kept Secret: Israel's Bargain with the Bomb, has written eloquently that Israel's opacity harms Israeli democracy, arguing that disclosure is needed to open up a domestic debate about the topic. I am not so sure that's a great idea -- especially not with Egypt in its current condition. But either way, our policy does not require that Jerusalem change how it talks about the bomb.

      In fact, U.S. secrecy arguably harms Israeli interests. The Iranians are fond of pointing to Israel's nuclear weapons to justify the nuclear weapons they deny building -- and that I believe diplomacy can prevent. I will admit a somewhat unconventional view: I think there is no relationship at all between Israel and Iran's nuclear programs -- beyond the propaganda value that Tehran gets from complaining about double standards..

      Iran's interest in the bomb started with Iraq's aggression in the 1980s. Iranians who want the bomb aren't going to nuke Israel. They are more interested in enabling the aggression by proxy of the sort Iran has long supported in Lebanon. The countries most frightened by an Iranian bomb are the Saudis, Emiratis, and other Gulf States who fear Iranian efforts to destabilize and overthrow them. If Israel gave up its nuclear weapons tomorrow, I don't believe that Iranian calculations would change one iota.

      Moreover, it is impossible to imagine a situation in which Israel would threaten to use nuclear weapons against Iran, unless Tehran planned to do something insane like shipping a nuclear weapon to Hezbollah. Iran uses Israel to change the subject from the countries most likely to be bullied by a nuclear-armed Iran -- a tactic that works very well, because, of course, there is a double standard, one that is reinforced every time we bend over backwards to avoid saying the obvious.

      I would love for U.S. officials to strongly push back against Iran's efforts to blame its nuclear ambitions on Israel. But U.S. officials look like idiots when they're forced to push back against Tehran's accusations while feigning ignorance. They have to be able to speak directly about a reality that everyone else knows.

      Israel has the bomb.

       

      David Silverman/Getty Images News

       

      ※出典

       Fight Club: Israel Nuke Edition

      by Jeffrey Lewis

      http://goo.gl/ViySPv

       

       

       


      SORASTERN