井上ひさしさん

どれだけ、観せて頂いた事でしょう

始まりは、「ひょっこりひょたん島」だと思います

もっとも、それが、あなたの作品だと知ったのは　大人になってからでしたけど…

あの歌は、今でも、全部覚えています


私が、まさか、演劇の世界に身を置く事になろうとは

子供の頃には、思いもしませんでした…


劇団研究生になってからは、本でも読み　舞台でも観

数えきれないくらい　あなたの作品に　触れました


若い頃は、良くわからなかった事が

自分が人生を重ねて行くにつれて

色々に　自分に迫って来たのを　今でも良く覚えています


あなたの作品は、多くの劇団、サークル等々、色々なところで上演されました

同じ作品でも、演じる劇団によって、違ったものになる事の面白さを

何度も経験しました


演じる側になってみて

役者には、ものすごく沢山のものが無いと

あなたの作品を　十分に表現することはできないんだと　思い知りました


心の底から湧いてくる笑いと

また同じく　心の底から湧いてくる悲しみとを

しっかり両方表現できないと　まず、入り口で躓いてしまうなぁ　と思いました

ベースに流れる怒りや　生きている事の充分過ぎる美しさも

理解できなければ　だめだなぁと　今でも思っています


そして、言葉のリズム　体のリズム　呼吸のリズムが

うちなる思いとともに　ほとばしり出て来るような　あの感覚…

いつか、あなたご自身に観て頂く事が出来たならと　希ったものでした


いつの日か

あなたの作品を　自分が納得できるように　演じる事が出来るでしょうか…


井上ひさしさん

心より　ご冥福を　お祈り申し上げます