月姫亭-第六章-

Risunyaのオリジナル詞華集と楽曲

【lyrics】夏に想う

2021-08-28 | 詞華集2008

ラムネの瓶の向こうを
透かして見てた少年の夏
切ないほどの青さを
気にも留めずに過ごした頃は

焼けるような陽射しの下
汚れたシャツが勲章だった
汗にまみれて駆け抜けた日々

あの夏の匂いと
線路の陽炎
まぶたの奥に鮮烈によぎる
大人の世界を知らずにいられた夏



麦藁帽子が似合う
向日葵に似た年上の女性(ひと)
眩しいほどの空へと
染み込むような白い夏服

翳をつくる木立の下
涼やかな瞳(め)でぼくに微笑(わら)う
幼い恋は憧れのまま

あの夏に激しく
焦がれた純情
触れると今も痛烈に疼く
彼女の笑顔が切なく刺さった夏



あの夏の青さを
雲の高さを
最後に見たの、いつだっただろう
季節は幾つも知らずに通り過ぎて

あの夏の匂いも
焦がれた恋も
気付けばいつか置き去りのままさ
ラムネの空瓶が悲しい音をたてた



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2008年)



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【lyrics】Lost Festival

2021-08-14 | 詞華集2021

弦楽 メロディア 異人館
灯りに揺れる千の影
静かにざわめくGrim Hall
紳士と淑女の青い炎

壁の絵画を抜け出した
午前零時 振り子は止まる

目覚める前世の記憶
ぎやまんの夢 Lost Festival



幻想 浮かんだ シャンデリア
見目麗しきゴーストよ
美味なるディナーと音楽で
耽美な夜を召し上がれ

神の掟も眠る夜
深く永い時は囁く

透き通る躰はまるで
儚い蜉蝣のよう
陽気で、どこか悲しい
忘却の夢 Lost Festival



闇夜に生きる者たち
いのちは灯り続ける
この世の摂理を超えて
めぐりゆく夢 Lost Festival

優雅に詩人は謳う
今この時を愉しめ
埋もれた名もなき記憶
生も死も夢 Lost Festival



--------------------(2021年)



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【music】「8月15日の空」 by ガーネット

2021-08-12 | collaboration work


ガーネット(加藤さんご夫妻)とのコラボ作品。ネットで公開していた詞を歌っていただきました。
2003年に詞ができて、歌になったのが翌年。2005年に靖国神社崇敬奉賛会主催の「NIPPONのうた」で入選しました。
動画は2020年に加藤さんが作成。平和への願いが綴られています。


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【lyrics】8月15日の空

2021-08-11 | 詞華集2003
往く夏は紅く モノクロの遠い記憶
静かに 静かに 染めあげる

遠くなる昭和 消え残る幻燈画
あなたの時間は 止まったまま

ねえ 青い空の果てに 祈りはとどくの?
あんなにも この国を 愛したひとたちへ
今年もまた あのときと 同じ夏の空



帰らない過去を そっと 辿ってみれば
色褪せた あなたが 微笑んだ

薄れゆく時代 振り返ることさえも
いつかしか 出来なく なりますか?

ねえ 青い空の下で 散らした命は
過ぎてきた 悲しみを 今も語りかける
今年もまた あのときと 同じ暑い夏



今年もまた あのときと 同じ夏の空



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2003年)