微風(そよかぜ)薫る 春の木陰
揺れる木漏れ陽 あの日の空は
高く青く どこまでも遠く
おだやかな風景に溶けて
穢れのない羽を拡げて
遊んだ あたし
影も棘もまだ知らない頃
囁くように木々は歌う
眠りの底へ誘うように
深く白く どこまでも永く
心地よく遠去かる意識
お姉さまのひざの上で
まどろむSiesta
シャボン玉のよう淡い記憶
ウサギが喋る可笑しさ
ネコは笑うの
あたしだけの不思議な世界
迷い込んだあの頃…
そして突然 夢は終わり
気付けばひとり
いつから大人になったの、ねぇ?
もうすぐ忘れてしまう
無垢な自分を
胸の奥のアリスの記憶
遠い日のあたしを
失くした時の輝き
羽根は舞い落ち
微かに残るアリスの記憶
呼ぶ声も途切れて
夢を見てた少女もいつか
大人になる残酷
--------------------(2006年)