ラムネの瓶の向こうを
透かして見てた少年の夏
切ないほどの青さを
気にも留めずに過ごした頃は
焼けるような陽射しの下
汚れたシャツが勲章だった
汗にまみれて駆け抜けた日々
あの夏の匂いと
線路の陽炎
まぶたの奥に鮮烈によぎる
大人の世界を知らずにいられた夏
麦藁帽子が似合う
向日葵に似た年上の女性(ひと)
眩しいほどの空へと
染み込むような白い夏服
翳をつくる木立の下
涼やかな瞳(め)でぼくに微笑(わら)う
幼い恋は憧れのまま
あの夏に激しく
焦がれた純情
触れると今も痛烈に疼く
彼女の笑顔が切なく刺さった夏
あの夏の青さを
雲の高さを
最後に見たの、いつだっただろう
季節は幾つも知らずに通り過ぎて
あの夏の匂いも
焦がれた恋も
気付けばいつか置き去りのままさ
ラムネの空瓶が悲しい音をたてた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2008年)
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