さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

春彼岸会が行われました

2015-03-23 14:00:00 | 倫勝寺の行事報告

 

お彼岸のお中日、恒例の合同供養法要が行われました。

午前11時からのさんぜ法要には、肌寒い陽気にもかかわらず、30名余の方の御参りをいただきました。

合祀墓というと、年忌供養や墓参りなどされる方は少ないと思われるかも知れませんが、さんぜやしおんのお墓は折々にたくさんの方が御参りになられます。

納められている方も、200柱ちかくになりました。

読み上げる戒名やお名前のひとつひとつにいろんな人生があるのですから、おのずと気持ちが引き締まります。

 

さて先に御案内いたしましたが、今回の彼岸会では、行政書士の方をお招きして相続についていろんなお話をおききしました。

「終活」というと、自分なりのお葬儀のしかた、段取りを先に済ませるということがだけではありません。

もちろん、葬儀の段取りをも気になるところですし大事なところでもありますが、

それと同じように、残った方々がいさかいを起こすことのないように手配りをしておくことも「終活」の大事な面であると思います。

昔からお家騒動や兄弟争いが絶えないのも、「終活」の大事さをおしえてくれている感じがしますね。

  「相続? それとも 争続?」~家族の絆を守るために今できること~

     講師・・フォンタナ国際行政書士法務事務所代表  山下啓一さん 

山下先生は合掌の郷にお墓をお持ちの方です。

御自分が代表を勤められる法務事務所で経験された様々な事柄を、お話しいただきました。

  

相続がらみで資産活用を勧める会社からは聞くことのない、「実際のところ、こんな風になっちゃうんだ」という身につまされるお話も多く、

参加された方々はそれぞれメモをとったり深く頷いたりしておられました。

当日御話をいただいた内容を、すこしご紹介いたします。

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「相続? それとも 争続?」~家族の絆を守るために今できること~

【相続問題の現状】

☆「遺産が少ないので、相続争いは関係ない」は、正しくないかも。

相続の争いは、遺産が5千万円以下の場合が、約4分の3を占めています。

☆「家族・兄弟は仲がよいので、相続争いは起きない」は注意が必要。

教育資金、婚礼資金、家を建てる資金の贈与、あるいは親の介護等に対する不公平感や不満は、親が生きているうちは我慢できても、

いざ親が亡くなれば、積もっていた不満がいっきに爆発する場合もあります。

☆「遺産は少ないので、相続税はかからない」は、本当?

山梨県の山間部と、東京23区や横浜市のような都会では、 土地の評価額が大きくことなるのは明らかです。 

平成27年の相続税の基礎控除の減額により、東京、神奈川等の都市部にお住まいの方は、20%程度の方が相続税の対象となるとの見方もあります。

☆「家制度」は本当に無くなったのか?

「長男が親の財産を全て相続する」という家督相続という考えと、兄弟姉妹は全員平等の権利がある、という考えが衝突すると、大きな争いとなりかねません。

家制度を経験された世代とそうでない世代の意識の差は、思っている以上に大きいのかもしれません。

【節税上の注意点】

☆結婚・子育て資金、教育資金の贈与を行う場合

子や孫へ贈与する場合、長男は2人の子があり、次男は1名の子がいた場合、3名の子に各1000万円贈与すると、長男側は合計2000万円もらえ、次男側は1000万円しかもらえないと考えるかもしれません。

一方、長男の子に各500万円、次男の子に1000万円贈与すると、長男の子は、次男の子の半分しかもらえないので不公平、と考えるかもしれません。

☆生命保険金を使った遺産分割は? 

相続人1名あたり500万円まで、相続財産から控除できることもあり、生命保険金で公平に遺産分割できると考えている方が多くいますが、生命保険は相続財産ではありません。

例えば、子が2名いる父親の遺産が、

不動産 3000万円 預貯金 2000万円 生命保険金 5000万円

として、長男に不動産・預貯金の5000万円を相続させ、次男を生命保険金の受取人として5000万円を与えて公平な分割であると考えていたが、

次男は生命保険金が相続財産ではないとして、長男に不動産と預貯金の各半分を法定相続分として請求することもありえます。

☆アパート併用住宅を建てる時は?

自宅、貸家としての節税効果はありますが、アパートの乱立による空き部屋の増加、家賃の値下がりも危惧されます。

また、一括借り上げという方法もありますが、契約の更新時に大きく収入が減ることもあり、老後資金に大きく影響します。

他の相続財産が少なく、相続人が複数いる場合は、分割が困難となることもあります。住宅メーカーの話を参考にするだけではなく、独自の検証が必要です。

☆二世帯住宅を建てるときは? 

子が複数いる場合、例えば長男が建築資金の一部を支払っていれば、長男は当然その土地を自分が相続すると考えるでしょうが、

いざ相続が発生して他の兄弟が納得のいく遺産を相続できない場合、この二世帯住宅の奪い合いが始まることも考えられます。

【実際に起きた相続問題】 

夫婦は都市部に借地権を持ち、とても小さな古い家を所有していた。 子は5人いたが、全員独立して別居していた。

父(夫)が亡くなった後に、母(妻)が借地権と家を相続し、一人で生活していたが、やがて母親は認知症を患い、看護が必要となった。

長男夫婦は一番近くに住んでいたが、長男の妻は以前より母親と折合が悪く、全く看護をしなかった。

それを見かねた遠方に嫁いだ長女が母を引取り、永年にわたり自宅で看護をし、後に有料老人ホームに入居させた。

その後も長男夫婦は母親を一度も見舞うこともなく、母親は亡くなった。

母親の看護をしてきた長女は、それでも兄弟姉妹5名で平等に遺産分割を提案したが、遺産分割協議書にはこの不動産以外に、母親の金融資産は全くないとされていた。

長男は借地権を自分一人で相続すると主張し、長女が母を引き取った時点で、母親には数千万円の預貯金と保険があったと長女に問いただし、

長女に預貯金の取引履歴と生命保険証を開示することを要求した。

長女は老人ホームの入居費等で全てお金は使い果たしたと主張し、他の兄弟も長女に同調して長男夫婦を非難した。もめた末に借地権を売って、兄弟姉妹は均等に現金を分割した。

しかし、長女達4名の兄弟姉妹は、長男夫婦とは一生会うことはないと明言し、将来、長男が亡くなっても先祖の墓には入れないと主張した。

【エンディングノート】 

亡くなった母親のエンディングノートに、「私が亡くなった後は、長男の嫁に全て任せる」と記載されていた。

長男夫妻は、その言葉通り、妻が母の預貯金を全て相続する旨の遺産分割協議書を夫の妹に送付した。

納得のいかない妹は、母は認知症を患い十分な意思能力がない状態でエンディングノートを書いたものであり、しかも、「A子に全て任せる」という意味は、「相続させる」という意味ではないと主張。

逆に、エンディングノートが家族の争いを招いてしまったようです。

【ネット終活】

最近では「ヤフーエンディング」、「私ノート」、「ウケツグ」等の終活サイトがひろまっているそうです。

これらのサイトは、使い方によってはとても便利であると思われますが、注意すべきは、法的拘束力がないことです。

動画や録音による遺言を認めている国もありますが、日本では法的効力はありません。 

【遺言書の重要性】

国民の意識や生活慣習に「家制度」が色濃く残っていますが、相続法上は大きく変更されています。

ご自身が亡くなられた後に、いつまでも家族の絆を守りたいと考えるのであれば、遺言書は保険の役割を担ってくれます。

遺言書には主に「自筆遺言」と「公正証書遺言」がありますが、「自筆遺言」は次のよう問題が起きる可能性があります。 

☆「自筆遺言」で起こりやすい問題

1.         一部の相続が、自分に都合の悪い遺言を隠すことがある

2.         誰かが言いくるめて遺言を書かせたと言いだす相続人が現れる

3.         家庭裁判所の「検認」手続きを経ずに開封し、相続手続きが困難になることがある

4.         不動産の所在地番を住所で書いたため、不動産の特定ができないことがある

5.         銀行名、証券会社名、口座番号等が誤っていたため、金融機関が払い出しに同意しないことがある

6.         誰かが遺言書を改ざんしたと言いだす人が現れる

7.         遺言書が発見されないことがある

8.         火事や地震、津波で遺言書が消失することがある

9.         遺言書が法的な要件を満たしていないため無効となることがある

10.       複数の遺言書があり、どれが有効なものか判断できないことがある

☆「公正証書遺言」の利点

1.         全国どこの公証役場でも遺言の有無を問合せできる

2.         消失の危険がない (厳重に管理されていたため、東日本大震災でも消失の事例は一件もなかった。 震災後は日本公証人連合会で電子データも保存されるようになった)

3.         遺産分割協議書、相続関係説明図等の不動産登記や預貯金の引出に必要な書類を大幅に省略できる

4.         相続人全員で裁判所に行かねばならない自筆遺言と違い「検認」がいらない

5.         考えが変わったときは、いつでも変更・撤回ができる

6.         偽造、変造等の危険が無い

7.         遺言執行者を指定することで、他の相続人の承諾を得なくても相続手続きが容易にできる

「公正証書遺言」作成上の負担

1.         公証役場の手数料がかかる

2.         本人が公証役場に行かねばならない(出張費が掛りますが、病院や老人ホーム等にも出向いてもらえます)

3.         証人が2名必要となる (行政書士等の専門家に依頼することもできます)

《その他の注意点》

祭具や墳墓(仏壇やお墓のこと)の相続は、感情的になりやすいので、祭祀主宰者を指定されることを お勧めいたします。

家族がもめないように、「ご自身の思い」も、「付言」として書かれることをお勧めいたします。

 

フォンタナ国際行政書士法務事務所

電話:03-3731-3492 FAX:03-3731-3493

メール info@fontana-law.com ホームページhttp://www.fontana-law.com

〒144-0046 東京都大田区東六郷 3-3-12 (対応地域:日本全国)

初回無料相続相談を開催しておりますので、お気軽にお問合せください。(お電話は9時より17時の間受け付けております)

その他、メール、ファクス等でのご相談も承ります。東戸塚霊園様に墳墓を所有されている方は、特典がございますのでその旨お知らせください

尚、当日の講演会資料(30ページ)をご希望の方は、メール等でお問い合わせください。

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一時間では話しきれない内容を、無理にお話しいただきました。本当は2時間いただきたいところなんだそうです。

山下先生、有難うございました。

引き続いて彼岸の法要。

     

一階ホールの方でも、ご焼香をいただいています。

二階に上がるのがちょっと・・・という方は一階で御参りができます。ビデオ中継していますので、お経や講演、お話も聞くことができます。

 

今年も無事に春彼岸を終えることができました。これも御参りいただくみなさんのおかげです、ありがとうございました。

御参りいただくみなさんの御顔を思い浮かべながら、塔婆を書いたり準備したりしています。

瑩山禅師のおっしゃる通り、檀信徒の方があってこそ、修行ができるのですね。

今回も有り難い修行をさせていただきました。

今日はここまで。



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