『みんなのお寺』 ブッダによる幸せの種がまかれた園

宗派を超え、国境を超え、時を超えて、仏教・ブッダの教えの真理に触れる事の出来る幸せの精舎を目指す『お寺』です

靴・スリッパを並べる、その心

2007年10月11日 | 仏教的 『子育て』

私は保育園のトイレで子ども達によく、スリッパを並べましょう、と勧めています。

なぜその様な当たり前の事を今更、と思われるかもしれません。

そんな細かい事を口うるさく言っていたら、家の姑と同じではないですか、いやらしい。

と言うような声も少しばかり聞こえてきそうな気がします。

しかしこのような基本中の基本の、その意味をしっかりと説明できる人はどれだけいるでしょうか。

この基本の元にある考えは全ての人間が幸せになる為の共通の理ですから、ここで改めて提案してみました。

さて、子どもの心は大忙しです。

1つ終わるとまた次、次から次へ連続して何かをしようとして、落ち着く事がありません。

粘土で遊んでいる最中に

「お絵かきしよう!」

と思い付くとその瞬間、頭の中がお絵かきで一杯になり、時には片付けもそっちのけで、お絵かき道具を取りに行って、お絵かきを始めます。

またある時、大事な事を伝えなければいけないので

「これからお口をチャックして先生の話を聞いてください」

といってから話をはじめても、最初の約束をすっかり忘れてしまって突然想いつくがままにおしゃべりを始めてしまったりします。

これらの行動からもわかるように、子どもは次から次へと心を落ち着かせる事なく、思うがままに活動します。

私はこのような子どもの特徴を批判する気は毛頭ない事を伝えておかねばなりませんが、ここで私が言いたい事、それが最初に提案した「靴・スリッパを並べましょう」という事です。

この事は子どもだけの事ではなく、大人にも共通の大切な事であります。

どうせならば小さいうちからそれを習慣付けておいたらどうでしょうか。

さて、前置きが長くなりましたが「靴・スリッパを並べましょう」の『その心』を述べていきましょう。

それはもちろん、整理整頓しておくのが社会の共通したマナー・礼儀作法だからです、と言うのは少し浅知恵と言わなければいけません。

まあそれだけ解っているだけでもマシかとは思いますが、仏の智慧を学んだ者から言わせると、それだけではもの足りません。

まずは、自分が抜いた靴を次に履く事を考えてみてください。

左右がバラバラで、時にはひっくり返った状態になって玄関に無造作に散らかっていたらどうでしょうか。

まずは自分で靴を拾い直してから、はき始めなくてはなりません。

急いでいる時なんかは一つのイライラする原因になるでしょう。

次に、大勢の人がお客さんで来ている時の事を考えてみてください。

全部が全部、バラバラの状態だったらどうでしょうか。

10人のお客さんならば20個、自分の靴を探すだけでイライラしてくる人もいるんじゃないでしょうか。

学校の内履きや葬式などでこのような状態になっていたら最悪です。

同じような靴ばかりの中から自分のを探すのは一苦労です。

この様に、次に履く自分の為にもなりませんし、大勢の人が混乱する状態も招きかねない、ストレスをつくり出す、その様な状況をつくりだす根本にもなっているのです。

またトイレなどのスリッパはどうでしょうか。

これの根本はまさに、他人に対する思いやりを育てる絶好の機会になります。

自分がトイレを使う時に時にトイレのドアをあけた時の事を想像してみてください。

足を踏み出そうとした時、スリッパがバラバラになって、時にはひっくり返っていたらどうでしょうか。

なんだか不潔な感じがするし、スリッパを履きやすいように並べなければいけないだけで、気分がとても悪くなりませんか?

それとは反対に綺麗に並んでいたらどうでしょう。

その状態が当たり前であるとはなから思い込んでいる人なら何も感じないかもしれませんが、その綺麗に並んでいるスリッパの裏には、前にスリッパを使った人の、次の人が気持ちよく使えるようにという、『思いやりの気持ち』が含まれているのではないですか。

その気持ちを育てよう、その為に、「スリッパを並べよう」と口うるさく言うのです。

子どもには、その都度落ち着いて考えさせてあげる時間を大人が作ってあげなければいけません。

スリッパをひっくり返しながら脱ぎ捨てていく子どもに、

「落ち着きなさい、スリッパを並べましょう。スリッパが並んでたら、次に使う人がとても気持ちいいよ」

と大人が落ち着いて、子どもに話してあげるべきでしょう。

落ち着いて考える心持ち、思いやりの気持ちを養う、更にはストレスを他人にまき散らさない為に、履き物をそろえる意味があるのです。

それはその子が社会に積極的に関わっていける為に、その子が幸せに人生を生きていくのに大いに役立つ事です。

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