琳派墨絵保存倶楽部・部誌 「なてし子」

江戸琳派の祖、酒井抱一家に伝来する本格的な琳派の画法を継承している「琳派墨絵保存倶楽部」の活動日誌ブログです。

日本画における付け立て技法

2019年09月18日 | 教室案内

 

日本画クラスでは今秋、「萩図」をお稽古しております。

 

萩は優美さと可憐さで、日本では大変に愛されてきた花で、

万葉集では萩の花が一番多く詠まれたそうです。

9/9のお稽古日は台風の翌日であったため、一週間延期し、

クラスでは満を持しての「萩図」への取り組みとなりました。

 

萩と野分、そもそもが秋らしい取り合わせに、

ご縁を感じてしまいます。

 

 

さて、今回の日本画講座では、もっと筆遣いについて研究を進めて頂こう、

と思いましたので、

日本画のなかの付け立て画法に焦点をあて、

最初の授業では、墨を磨り、付け立ての練習ばかりを4時間もいたしました。

 

葉の描き方をやり、次に枝の描き方を練習します。書道とは違うので、

何度も何度も、繰り返し筆を動かして、手を慣らしていきます。

 

 

萩の花穂の部分。単純にみえる描き方が一番むずかしく、

花芯のやわらかな曲線など、微妙なラインがなかなか描けません。

花弁の付き方にも観察が必要で、

運筆も書道とは違いますので、これも繰り返し練習が必要です。

 

 

 

テキストなどを使い、解説を交えながら、ひとつひとつ丹念に練習していきます。

 

【参考】

こちらは、最近の水墨画クラスでも丁度取り組んでいる萩の墨絵です。

同じ付け立てでも、やはり水墨画の方がより厳しさが増すといえます。

 

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どんどん描き込んでいく事こそが、最初は難しかったりします。

 

萩の葉をどんどん描き加えていき、

全体を描いてみると、

萩の優美なやさしさが ほのぼのと心のなかに広がって、

あかるい気持ちになりますね。

 

力強いエネルギッシュな絵ばかりが、絵の味わいなのではないし、

このような優美な題材も、やさしさを保ったまま描き込むには、

とても精神力が必要です。

優美そうに見えて、強さの象徴のような、そんな「萩図」と言えるでしょう。

 

生徒のみなさんの完成作品が、とても楽しみです。

 

琳派墨絵クラブ

 

 


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