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せんべえ空間

淋しがりやの一人好き。
あまのじゃくなせんべえの矛盾に満ち溢れた日々。

心に風を。

『パレード』

2005-09-10 13:24:27 | 
川上弘美『パレード』
『センセイの鞄』という作品に出てきたセンセイとツキコさんのお話。
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二人はまさに大人のカップル。
大人だからこそ一生懸命だし、ヤキモチ焼いたり意地を張る。
大人だからこそこんなにも恋にひたむきなんだと感じさせてくれる二人。
そんな二人がセンセイの部屋でそうめんを食べた後
昔の話をしているところを描いたもの。
とっても短いので、15分もあれば読めるかと。

たった15分でこんなにも幸せな気持ちにさせてくれるなんて
川上弘美はなんてスバラシイ作家なんだろう。
簡単に心を温めてくれて、特効薬みたいだ。
吉富貴子さんの絵もちょうどいい濃さで存在していて心地よい。

定年退職の年齢を過ぎたセンセイと元教え子である30代後半のツキコさん。
二人のやりとりはかわいくてほほえましくて、
全くもう、ラブラブなんだからぁ、とあきれてしまうほど(笑)

今ごろ、ツキコさんはどんな気持ちで暮らしているのだろう。

『花まんま』

2005-09-09 12:35:08 | 
朱川湊人『花まんま』


最近本を読む時間が無いとイライラしていたのですが、
寝る前の読書時間は必ず取っており、
今までは本を読まない日もたくさんあったわけで、
結局は最近の方が本を読んでいるかもしれない。
本を読んだらここに感想を書きたいと思いながらも書けなかったのですが、
学科教習が今日で終わり、
明日からは多くても3時間実技講習があるだけなので
これからは本の感想が多くなりそうです。

そんなこんなで『花まんま』を読んだ
朱川湊人さんの直木賞受賞作品。
色んなブログとかを見てみると、
結構おもしろかったとか、評価が高い気がします。
でもあたしあんまり好きじゃないなぁ。
それなりに楽しめると思うし、
ドラマとかにしたらやり方次第でおもしろいものにはなると思います。
でも何か無理矢理感が常に漂っている気がする。
最初の“トカビの夜”は結構好きだったので
おもしろいかもって思いながら読み出したんですけど。
特に、女の子の描写に違和感がありました。
この違和感をうまく言えないんだけど、
何か引っかかったまま読み進めました。
勝手な想像ですが、
朱川さんは小さいころにあんまり女の子と関わりが無かったのかなー?
とかって想像しながら読みました。

暖かいホラーと言った感じの本です。
恐ぁ~い本ではないけど、ゾクッとするものはあります。
死を扱いながらも全体的に軽いので読みやすいと思います。
各物語の主人公たちと同じように、
30~40年前に大阪に住む10歳前後の子供だった人は
けっこう楽しめるのかも。

『東京タワー』

2005-08-04 07:50:49 | 
江國香織『東京タワー』


友達の部屋で見つけて、一緒に帰ってきたこの本を一気に読んだ。
秋の夜長のように、熱中して、読み終えたときには朝6時半だった。
すごく静かな本だった。
江國さんのおはなしの中では、かなり現実的だと思った。

江國さんのおはなしは、いつもいい匂いがすると思う。
そして、色が溢れていると思う。
タイトルそのままの通り、東京タワーのネオンのような色が似合うと思った。
見たことないんだけど。

映画はもうビデオとかになってるのかな。
見てみたいな。
でもどうだろう。
詩史さん=黒木瞳のイメージがいまいちわかない。
由利ちゃん=加藤ローサは合いそうな気がする。
こういうの言い出したらキリがないんだけどね。
ただ、喜美子さん=寺島しのぶは、すごくいいだろうな、と。

爆笑問題のススメで、京極夏彦さんがゲストだったとき、こんなことを言ってた。
100万部売れた物語は、100万人それぞれのイメージがあるから、
映画とかドラマにしたときにみんなが納得する形なんてムリだと。
それはそれとして別のものとして見るものだと。

確かにそうだよなぁ。
映画化される作品はついつい先に原作を読みたくなってしまう。
んで、読んでみたら自分の中にその世界が広がってしまって、
その世界を壊されたくなくて、その映画が見れなくなる。
京極さんの『姑獲鳥の夏』も読みたいけどなぁ。
別のものとして見る覚悟ができなきゃその映画を見る権利なんてないかもなぁ。
でも岡田くんスキだから見たいなぁ。

まぁとにかくこの本はまぁまぁよかったです。
あたしが今までに読んだ江國さんの作品の中では、
あまり上位ではないのだけど
あたしは『神様のボート』や『ウェハースの椅子』がスキ。
静かに狂うあの感じが。

江國作品で最初に読んだのは『冷静と情熱のあいだ』だったと思う。
その後に『きらきらひかる』を読んだんだっけ。
いつのまにか江國さんの本が増えてたな。
安心して読めるからかも。

小学生ぐらいのとき、
あたしはおもちゃのアクセサリーや化粧品がスキで、
おもちゃ売り場でそういったものを目を輝かせて眺めていたわけだけども、
父はなぜかそういうものをすごく嫌った。
おもちゃのアクセサリーを身につけることも許さなかったし、
女の子ならやったことあると思うけど、
爪をピンクの蛍光ペンで塗ってみたりってことも許さなかった。
すごく怒るの。
でも母は時々こっそりとそういう、女の子の目を輝かせる類のものを
『お父さんに内緒やよ』って言いながら買ってくれた。
あたしはそれらを机の引き出しに仕舞って、
父にバレないように時々身につけては楽しんだ。

江國さんの本を読んだあとは、そのときのような気持ちになる。
すごくうれしいことがあったんだけど、
ステキなものを手に入れたんだけど、
そのことをはしゃいで話してはいけない、
秘密にしてこっそり楽しまなくてはいけない。
何かそんな気持ち。

『新解さんの謎』

2005-08-02 23:07:54 | 
赤瀬川原平『新解さんの謎』

新解さんってのは、三省堂の“新明解国語辞典”のこと
実際に存在する辞書です
辞書なんだけど、何かちょっとおかしいのです
著者が知り合いの女性からこの辞書のすごさを聞かされて、
そのことをエッセイとして雑誌に掲載したものをまとめものだったかな?

どういう風に変かというと、例えば、
れんあい【恋愛】特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。
とか。
何かものすごくその通りな辞書
“常にはかなえられない”とか“まれにかなえられて歓喜する”とか、
他の辞書には絶対書いてないようなことまで書いてあるのです。

ほかにも、、、
例えば『馬鹿』の説明の一部。
〔人をののしる時に一番普通に使う語。公の席では刺激が強過ぎるので使わない方がいい〕
あっ、ご丁寧に注意していただいて、あざ~っす!!(笑)

また、この辞書の魅力の一つが例文なんだけど、
例えば『かねがね』の例文の一部。
「―あなたのご活躍には敬服しておりました・しかし自分には、分を売って銭に替へる外には方法が無いので、―勧説を受けて居た大阪毎日新聞に、長篇小説を寄せる事に決心した・―願にかけて居た通り先生の囲んで話の出来る喜びはいっぱいだったが、変に堅くなって楽には口がきけなかった」
とか。辞書というより小説並みの文章

しんいり【新入り】新しく・仲間(刑務所・留置所など)に入ること。また、入った人。
何で、刑務所とかよくない場所ばっかり??

たらばがに【鱈場蟹】北方の海で、たくさんとれる、カニによく似た節足動物。大形で肉がおいしく、缶詰にする。
缶詰にするって決めちゃってるし(笑)


こういうのがすごくいっぱい紹介されている本
紹介っていうかツッコミ??
著者がこのエッセイを雑誌に掲載していたころ、
この辞書に関する本が出版されたようだが、
それらは批判的だったり、間違いを指摘するような内容だったとか
でもこの本は、新明解辞書を批判的に見るのではなく、
あくまで楽しんでいる感じなので、すごくおもしろい

あたしは普段、本といえば物語とかをよく読むのだけど、
そういう本以外で何度も読み直したくなる本ってのは珍しい

あたしがこの本に出会ったのは高校2年生のとき
とある魅力的な友人がいた。
この子はあたしの知らない色んなことを知っていて、感性も独特で、
こっそりと尊敬してしまうような子で、
この子がいなければ
あたしは本を読むタイプの人にはなっていなかったと思う。
その友人が、一冊の本を見せてくれた
そのときは、ちょこちょこと部分的に見ただけで、
すごく笑ったんだけど、借りて読むことはしなかった。
まだ本のおもしろさを知らなかったし、
その子から借りた「冷静と情熱のあいだ」を読むのに精一杯だったし

んで、大学に入って、シラバスをペラペラとめくっていたら、
一般教養の授業の一つで、この本を参考書として使ってるものがあった
おぉー
と思わず声を上げましたねぇ
その授業は結局取らなかったけど、
学校の生協の本屋にこの本を買いに行きました
それ以来、何度もこの本を読んで、読むたびにクスクスわらっております

『プリズンホテル1 夏』

2005-07-14 22:00:45 | 
浅田次郎『プリズンホテル1 夏』


相変わらず熱は37.0℃前後をうろついているんだけど、
もうさすがに眠れないからぼーっとする頭で本を読む
昨日話したとおり、浅田次郎『プリズンホテル』
浅田次郎さんの本をとりあえず1冊読んでみたいと思って、
何となくこれを買ってみた。
そしたら、『鉄道員』や『壬生義士伝』も浅田さんの本なんだね
浅田次郎と言えばプリズンホテルだろうと思ってたけど。
相変わらず無知な自分を恥じた
んで、プリズンホテルだけど、実はあんまり期待してなかった
プリズン=監獄ってのを中学英語なのに全然思い出さなくて
もっと年寄り臭い話なんだと思ってた
今回はあらすじを読まずに本を買ったから、
年寄り夫婦がどこかの旅館へ旅をしに行って…
みたいな本かと勝手に思ってた。
期待してなかったからか、すごくおもしろかった
文章が読みやすくて、ぽんぽんするするカツカツ進んだ
読むペースが遅いあたしには珍しく、1時間で半分近く進んだ
何かを考えさせられる本って感じではないけど、
何も考えたくない今日だからこそ読んでよかった
というより、頭とかぼーっとするからちゃんと感想浮かばないのかも
とにかくおもしろかった
やっぱり読書に食わず嫌いは禁物だなぁ。
どんどん読んだことの無い作家に手を出してみよう

『思い出トランプ』

2005-07-10 23:59:27 | 
向田邦子『思い出トランプ』


向田さんの本を読むのはこれが初めて
爆笑問題のススメで爆笑問題の太田さんが推薦していたもの。
あの番組見るたびに読みたい本が増えていく
まぁ、それはそれとして、読んでみた。
すっごくおもしろかったぁ~
まだ途中なんですがね
13個のオハナシが掲載されているのですが、どれも背筋がゾクっ
ホラーとかではないですよ。
でも、うぅ~わぁ~って思わず声が出そうだった
とにかくオススメです

かっこよすぎるよ向田邦子

『きよしこ』

2005-07-06 07:28:12 | 
重松清『きよしこ』


すごくおもしろかった
きよし少年の顔や様子が頭に浮かぶ。
言葉にせずにわかってもらおうなんて都合良すぎ。
わかってくれないって、相手を怒るのは間違いだわ。
大切なことはちゃんと言わなきゃ。
以前も思ったのに忘れていた考え方を再確認。
そうか。そうだったよね。
言わなきゃ。
単純なことだけど、単純なことほど忘れてしまう。
うん。
ちゃんと伝えなきゃね。

『物語が、始まる』

2005-06-30 20:56:10 | 
川上弘美『物語が、始まる』


昨日は頭痛がしてて、
オレンジジュースでノーシンを飲んでしまって(よい子はマネしないでね)
頭がさらにガンガン痛くて、星の王子様を読むのは一旦中止した。
こういうときは読みなれた文章を読もうということで、川上弘美を

4つの不思議なお話“物語が、始まる”“トカゲ”“婆”“墓を探す”
川上弘美さんの独特の世界にゆっくり身をうずめていく
せんべえも川上さんのような艶のある文章を書いてみたいですけど、
どーにもこーにもできないもんですねぇ。
“「口説くからね」と鰺夫が言い、すぐに口説かれた。口説かれるのを待っていたので、簡単に口説かれた。”―――――“婆”p.126より
こういう淡々としながらも何かぐっとくるとこ。相当好き。
川上さんの本を読むようになってから、あたしはカタカナが大好きになった
というより、日本語がすごく魅力的に思えてきた。
漢字、平仮名、カタカナ、それらの使い分け方一つで、
難しい文章になったり艶っぽくなったり優しくなったり。
ほんと不思議
そして、川上さんの本の中の登場人物の名前が好き。
ゆき子さん、本城さん、三郎、
マナベさん、カメガイさん、ヒラノウチさん、
鰺夫、まり子、婆、
坂田、篠田、満太郎、半田、長野、三毛B、二組の太田、
なな子、はる子ちゃん。
どの人たちも突然当たり前のように現れる
そういう、本の中に漂う空気感がやばいぐらい好き。
どんなに文明が発達しても、デジタル化しても、
川上弘美の本だけは、紙で読みたいなぁ。

『天使の卵』

2005-06-28 20:22:52 | 
村山由佳『天使の卵』


前から読んでみたかったけど、なかなか買わなかったんですよね。
今度、小西真奈美さん出演で映画化するとかしないとかって噂を
聞いたので、とりあえず買ってみました
村山由佳さんの本は、『おいしいコーヒーの入れ方』のシリーズを
友人から借りて読んだだけで、ほかの本は読んだことなかったです。
おいコーシリーズを読んだときはなかなか進展しない二人にうずうずし、
早く好きって言っちゃえよー
ちゅーしちゃえよー
と、おっさんみたいな感覚ではやしたてながら読みましたねぇ
だから、村山由佳さんの本って、なかなか進まない話なのかと思ってました。
でも、『天使の卵』はちょっと違いますね。
どちらも男の子が真面目な感じしましたけど。
『天使の卵』は何かやるせなかったです
涙もろいもんで、涙こらえるのに必死でしたね
まぁ、一人だからこらえなくてもいいんだけど、
今は諸事情で泣きたくないものですから
そして、小西さんがもし春紀役をやるなら、ぴったりだと思いました
ヒットするかどうかはわかんないけど。
でも本はすごくヒットしてますよね。
おもしろいっちゃぁおもしろいけど、そこまでヒットする程か?
とちょっと疑問な本。
でもまぁ『天使の梯子』も読んでみようかな


『磯野家の謎』

2005-06-28 09:09:02 | 
『磯野家の謎』

いやー、ほんとくだらないです。
でもおもしろかったです
例えば、サザエさんはフネのほんとの娘じゃないんじゃないかとか
磯野家が福岡から東京に引っ越してきた理由とか、
政略結婚疑惑とか、タラちゃんやイクラちゃんの出生の謎とか、
結構ダークな笑いの本です
おもしろかったけど、880円を出すほどではなかったかな、と。
どこかで見かけたらパラパラっとめくってみてください

中学生のとき、先輩が書いていた、
コギャル風サザエさんを思い出して、笑っちゃいました
ルーズソックスに青いシャドウと白い口紅
自分で書き表してみたけど、ただのバケモノになっちゃいました

後ろの方にタマを書いてみたけど、何かものすごくマッチョだし
絵の才能は無いのに、時々書いてみたくなるから困ったものです
ヘタの横好きとはまさにこのこと。

そして、この絵を描くためにサザエさんの絵をネットで検索したけど、
サザエさんの公式ページって無いんですかね?
本の中にもサザエさんの著作権ってかなり厳しいみたいなこと書いてあったなぁ。

サザエさんのことに関するファンページって
結構おもしろいのがありましてね、
次週予告のじゃんけんコーナーの予想のページとかパロディーとか、
なかなか興味深いですよ

昔、友達から送られてきたチェーンメールみたいので、
サザエさんの予告が延々と書いてあって
かなりおもしろかったです。
『フネです。お父さんが浮気しています。
 許さないんだから』
『フネです。お父さんが寝言で女の名前を呼びました。
 あの女です。まだ続いてたなんて…』
とか。
もう一度見たいけど、どこで見れるんだろー?