取材が一通り終わり、社に戻ろうと渋谷駅に向かっていると、なにやら人だかりが出来ていた。ここで何かイベントをやるなどとは聞いていない。だがステージはちゃんと設営してあり、今にも何かが始まりそうな雰囲気がある。バンドセットが用意してあることから音楽関係のイベントが行なわれるのだろう。ゲリラ・ライブ?だとしたらオイシイ。
私は上司にこの様子をメールで送ると、この場で見届け少し遅れることを告げた。バッグからデジタル・カメラを取り出し何が起きてもいいように備えておく。
人だかりに面した通りには、一台のスモーキングされたワゴンバスが横付けされている。よくテレビ番組などでお笑い芸人などが乗っているそれだ。果たして一体誰が出てくるのだろう。それによって情報価値に雲泥の差が出る。
しかし5分、10分と時が経つにつれても、誰も出てくる気配がない。人だかりもその数こそ増え続けてはいるものの、だいぶ前から待っているのであろう最前列の人間たちにおいてはすでに興味が持続していないのか、それ以外のものに興味を移し始めている。大抵の人間は携帯電話を弄っていた。
そんなときだった。ステージの真向かいに当たるビルに設置された巨大なオーロラビジョンにアイドルが映った。女優きどりの若手アイドルだ。それまで流れていた映像と違い、アイドルはカメラの方をじっと見ている。特殊効果などが加えられてないことから、コマーシャル・フィルムなどではなさそうだ。ノイズすら聞こえてくる。
「こんにちは。依藤さなえです。今日はバブル・ポップが新発売ということで、呼ばれました」
依藤がカメラに向かって語り始める。バブル・ポップ…。なんだ、あの飲料のコマーシャルか。そう思い、落胆した。
だが、それも束の間、ふたりの細身の男がカメラの手前方向から、フェード・インしてきた。二人とも全身を皮のバイクスーツで身を包んでいる。ともに手にギターを持っていた。その姿に私にまさかという思いがよぎる。カメラが依藤のバストアップから少し引いた。どうやらバスか何かの車内のようだ。車両の最後尾に座ったアイドルのひとつ前の左右の座席に男たちそれぞれ座る。彼らはカメラを覗き込む。
その顔を見て私は驚愕した。もしかすると「あっ」と声を上げてしまったかもしれない。テレビなどには滅多に出ないはずの、BetZがそこにいたのだ。
私は上司にこの様子をメールで送ると、この場で見届け少し遅れることを告げた。バッグからデジタル・カメラを取り出し何が起きてもいいように備えておく。
人だかりに面した通りには、一台のスモーキングされたワゴンバスが横付けされている。よくテレビ番組などでお笑い芸人などが乗っているそれだ。果たして一体誰が出てくるのだろう。それによって情報価値に雲泥の差が出る。
しかし5分、10分と時が経つにつれても、誰も出てくる気配がない。人だかりもその数こそ増え続けてはいるものの、だいぶ前から待っているのであろう最前列の人間たちにおいてはすでに興味が持続していないのか、それ以外のものに興味を移し始めている。大抵の人間は携帯電話を弄っていた。
そんなときだった。ステージの真向かいに当たるビルに設置された巨大なオーロラビジョンにアイドルが映った。女優きどりの若手アイドルだ。それまで流れていた映像と違い、アイドルはカメラの方をじっと見ている。特殊効果などが加えられてないことから、コマーシャル・フィルムなどではなさそうだ。ノイズすら聞こえてくる。
「こんにちは。依藤さなえです。今日はバブル・ポップが新発売ということで、呼ばれました」
依藤がカメラに向かって語り始める。バブル・ポップ…。なんだ、あの飲料のコマーシャルか。そう思い、落胆した。
だが、それも束の間、ふたりの細身の男がカメラの手前方向から、フェード・インしてきた。二人とも全身を皮のバイクスーツで身を包んでいる。ともに手にギターを持っていた。その姿に私にまさかという思いがよぎる。カメラが依藤のバストアップから少し引いた。どうやらバスか何かの車内のようだ。車両の最後尾に座ったアイドルのひとつ前の左右の座席に男たちそれぞれ座る。彼らはカメラを覗き込む。
その顔を見て私は驚愕した。もしかすると「あっ」と声を上げてしまったかもしれない。テレビなどには滅多に出ないはずの、BetZがそこにいたのだ。