プレイボーイ

赤でも白でも見境なし。
両刀使いの憎い奴。

大学時代に訪れたパリの蚤の市で購入して以来、
ミッシェル君（仮名）は、私が家で飲むワインのすべてを堪能してきた。

パリの雨上がりの早朝、たたずむ彼を眺めながら、
「う～ん、エスプリがきいている」
などと一人悦に浸っていたものの、
帰国後、旅行カバンから取り出し、テーブルに置いてみて、
「俺は…何を？」
と自分に対する疑念に苛まれたことも記憶している。

その疑念を払拭するかのように、多少の使い勝手の悪さをも楽しみながら使い続けている。
使う度にパリのことを、パリにいたという経験そのものを、当時自分が馬鹿だったことを、
思い出す。

“何人抜き”を果たしたことだろう…もはや彼にとって数え上げることは意味をなさない。
私にとっても。
ただ、いつも一緒にワインを楽しめる友がいることは幸いかな。