「本当にいい本を読む度に、この世への未練が一つずつ消えていく」
酔った勢いで思わず口走った友人のこの言葉は、妙に引っ掛かった。
それは無論、いい音楽でもいい映画でも同じことが言える。
あれも見とくんだった、これもしとくんだった…
…この世を去る間際になって、見逃したもの、やり残したこと
と感じるような一つ一つを潰して行くような、そんな感覚、だそうな。
前向きなのか、後ろ向きなのか、そもそもどこ . . . 本文を読む
うだつのあがらない、と言うより、うだつだけはあがらない後輩が一人いて、
追突をしたり、空き巣に入られたり、そして追突をしたり、を繰り返しておりました。
ある時、女友達から、誰かいい人いないかと相談を持ちかけられ、
少し気が触れていたのかもしれません、その後輩の話をしました。
いくつ?という問いに答えると、ああ年下か…とあまり乗り気でない様子。
どんな人?という問いに対し、答えに窮した挙げ句あり . . . 本文を読む
「今度飲みに行きましょう」
「いいですねぇ」
そんな会話を交わしてから早3ヶ月。
お互い一向に今度を具体化しようとしない。できそうな気配がない。
実は今度飲みに行くという約束がしたかっただけ。
そんな間柄の協力会社の人とバスで隣に乗り合わせた。
お互いに軽い挨拶と、おざなりな近況報告を重ねて、
思い出したようにいつもの話になる。
「あ、そうだ。今度飲みに行かなきゃ」
「そうですよ」
でも今度はい . . . 本文を読む