いつも彼の本を読み終えたときそうなるように、ふっと溜め息をこぼす。 . . . 本文を読む
「我々は生涯の様々な年齢に全くの新参者としてたどり着く。だから、多くの場合、いくら年を取っても、その年齢においては経験不足なのである。」
ラ・ロシュフーコー『箴言集』より
…なんでか今日、何度か頭をよぎった言葉。
大人になれない、なろうとしない自分を省みて。
経験は常に不足するものであって、もし仮にあらゆる経験を積んだと自負する人がいたとしたら、その人は経験不足の経験が不足している。
とにか . . . 本文を読む
通常であれば、いくらかは書評風に体裁を整え、内容も包括的にまとめてみようと思うのだが、個人的な不具合の関係で、ここんところ物事を断片的にしか捉えられないし、語れない。
この『ムーン・パレス』についても、時間やら体力やら集中力やら…その他いくつかの言い訳によって、断片的に言葉を紡ぐことしかできない。
…それならそうと開き直って以下の通り。
響いた文章を拾い上げました。おぼつかない記憶の遺骨を4本程。 . . . 本文を読む
「本当にいい本を読む度に、この世への未練が一つずつ消えていく」
酔った勢いで思わず口走った友人のこの言葉は、妙に引っ掛かった。
それは無論、いい音楽でもいい映画でも同じことが言える。
あれも見とくんだった、これもしとくんだった…
…この世を去る間際になって、見逃したもの、やり残したこと
と感じるような一つ一つを潰して行くような、そんな感覚、だそうな。
前向きなのか、後ろ向きなのか、そもそもどこ . . . 本文を読む
鷲田清一『ことばの顔』 に、高度消費社会について、簡潔にまとめた文章があったので引用してみる。
ひとむかし前、「方向喪失」(disorientation)という言葉が流行ったことがある。1960年代くらいだったか、到来しつつある大衆社会に特徴的なメンタリティとして、この「方向喪失」ということがよく指摘された。その後、消費社会というものがさらに高度化してゆくなかで、商品が過剰になり、機能的な面 . . . 本文を読む
人間の家族の形態に、昔から不自然な印象を持っていた。
自分が生まれ育った家庭は、ごくごく平凡な核家族である。
それ自体にはなんら疑問を感じることもないのだが、
「家族」というくくりそれ自体、そのくくりで決定的に
他者と区切られていることには、しっくりこない部分があった。
そんなに絶対的なものなのか?と素朴な疑問もあった。
今は有史以来かつてないほどに世界規模での均一化・同一化の
流れがあり、差 . . . 本文を読む
責任感は、強い、方だと、思う。
↑こんな風に朴訥な理由は、それなりに
ないようであって、つまるところ責任感の考え方について
人と相容れないところがあったりする。
「無責任」とは、責任を負った人間がそれを
果たさない場合においてはじめて発生する
概念であって、責任がない人間には該当しないもの。
例えば、赤ん坊に対して「無責任」と詰め寄ることはなく、
また「責任とってよ!」と赤の他人に言われる筋合 . . . 本文を読む