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一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

義太夫三味線-撥

2012-09-02 | 義太夫三味線
義太夫三味線は、一般的に三味線といって思い浮かべるであろう、細棹の三味線とはかなり違います。

まず、三味線本体でいえば、棹(ギターで言うとネックの部分)が太くて厚みがあります。そして胴(ボディ)も大きく、重さもかなりずっしりきます。

そして撥が違う。

義太夫三味線の撥は、とにかく大きい。そして重い。



上の写真はわたしめの使っている稽古用のプラ撥の全体像。

本体はプラスチックでできていて、先のところだけ象牙になっています。

本来は、全体が象牙製なのですが、現代では象牙は手に入りにくいので、素人のお稽古用となるとこのようなプラ撥がよく使われるようです。

どのくらい大きいかといいますと、



全長250ミリ。

ペンと比べると、かなり大きいことがおわかりいただけるかと思います。

もっとも、この長さは規定のサイズというものはなく、大きさにはかなり幅があります。

ある程度、演奏者の手の大きさにあわせたものがよいようですが、このプラ撥は三味線屋さんいわく、現在ではスタンダードサイズといっていい大きさだそうです。

そして、厚みが半端ではない。

一番厚いところで28ミリ。薬指と小指ではさむところは約20ミリあります。


一度何かで試してみていただけるとわかると思うのですが、通常、薬指と小指の間の隙間に、こんな厚みのあるものを挟んだりはしないものです。そこを、ぐわっと押し広げるようにして撥を押し付けるので、小指の付け根は赤く腫れ上がり……それを繰り返していると、タコができます(撥ダコ)。


重さは、285グラム。

これでもですね、持ってみるとけっこうずっしりくるものです。ましてや、これで糸を押さえ込むようにして弾いたり、たたいたりとなると、かなりの圧力がかかってきます。

それでもたぶん、これは決して重いほうではない。

明治生まれの名人、初代鶴澤道八の『道八芸談』(ぺりかん社)によると、「八十匁(300グラム)は普通で、(中略)師匠(豊澤団平)のは百二三十匁位(約487グラム)でしょう」とあるので、まあこんなものではないのです。

でも、私にとってはこのお稽古用のプラ撥でも、けっこうな存在感です。

少し右腕も鍛えなければなあ、と思う今日このごろです。







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おそるべし。文楽、御簾内の義太夫三味線

2012-08-26 | 義太夫三味線
しばらく前からお稽古している、二上がりの曲。

文楽で、建物がせり上がるときに使われるメリヤスで、祇園祭礼信仰記のつま先鼠の段の最後のほう、金閣寺がせり上がるところなんかで使われます。

今年、2012年4月の国立文楽劇場でも、やってました。

そのとき聞いたときに、すごくかっこよかったので、師匠に弾きたい!とお願いしてお稽古させていただいたのですが……。

いざ、弾いてみるとあまりにゆっくりにしか弾けなくて、聞いた曲となんだかイメージが違う。

先日、4月公演のときの録音がNHKで放映されていて、録画していたのを思い出して、聞いてみると……

なんと、なんと、闊達なリズム感でテンポよく進む、やっぱりいい節じゃないですか。

いやはや、こうでなくちゃね。

曲に乗って、真柴久吉さんも威勢良く金閣寺に登ってゆき、建物がぐんぐんせり上がります。

この部分は、御簾内で若手の三味線弾きが何人かで弾いており、弾き手は舞台には出てきません。金閣寺がせり上がるシーンで、いわばBGM的に弾くのです。

そういう曲でも、やっぱりうまいです。

若手とはいえ、プロなんだからあたり前といえばあたり前なんですが。

やっぱりすごい。

ちなみに、「加賀見山旧錦絵」で岩藤とお初の立ち廻りのときの御簾内のメリヤスもめっぽうかっこいいのです。

私のテンポだと、久吉さんは半分ずり落っこちそうな、危なっかしい登り方ですが、そのうちするするっと登れるようになるでしょう。

とにかく、ひたすら弾くしかない。










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撥を大きく

2012-05-15 | 義太夫三味線
まだ、はじめたばかりなのだが、師匠からはとにかく撥を大きく動かすように、と口を酸っぱくしていわれる。

左手を使うようになって、ツボをさぐるのに精一杯で、どうしても右手がお留守になってしまうのだ。

そうすると、撥の動きが小さくなり、いい音が出ない。

もちろん、ツボがきちんと押さえられなければ、それはそれでいい音にはならない。

両方、正確にやらなければならないのだ。

「スクイ」というのがまた曲者で、糸を下からスクうとき、手首をうまく使わないと意外に糸の抵抗力をうけるのだ。そして、撥の動かし方が小さいと、音も小さくなる。


とにかく、初心者のうちから撥を大きく動かす癖をつけないと、後になって直しづらくなってしまう。

それで、意識して大きく動かすようにしているつもりなのだが、そうするとお稽古をやめたあと、右腕の筋肉が張って、パンパンになる。

これだけのお稽古で右腕が張るのだから、いったいあの人たちの腕はどうなっているのやら。

とりあえず「木登り」。まだおぼつかないけど、とにかくもう少しさっさと登れるようになるまで、ひたすら「木登り」。

一撥一心』の「木登り」がいかに神技級に早いかを、改めて実感。

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待機中(?)の三味線弾きのポーズ

2012-04-20 | 義太夫三味線
が、かっこいいとつねづね思っているのですが。

誰それが、ということではなく、誰がとってもあのポーズはかっこいい……と思う。

たとえば太夫が語っていて三味線が入らないとき、景事などで三味線弾きがたくさん床にでていて自分は弾かないとき、などに、右腕で三味線の胴を右膝におさえつけながら、しゃらっと何事もなさそうに座っている、あの感じですね。

左手は添えるときもあれば添えないときもあるようですが。

あれがかっこいいので、やってみよう!と思ったら最初のうちは膝の上で三味線がぐらぐらして、それどころではありませんでした。

うっかりすると右手に持った撥を突っ込みそうになるので、危ないこと、危ないこと。

なんでもなさそうなのに、けっこう難しいんだなあ……

と思っていましたら、ふと、できるようになっていました。

といいますか、調弦に慣れてきたり、左手をつけるようになると、自然にできてくる?

左手は基本的に棹の上を自由に動かす必要があるので、左を使っていれば、自然に右腕ひとつで三味線を支えられるようになる、ということなのでしょう。

まあ、文楽や竹本のプロフェッショナルのみなさんのようにかなりの時間、微動だにせず(と見える)、というわけにはいかないかもしれませんが。

っていうか、弾くほうに集中しろよ!とつっこまれそうな気もしますが。


~ちょっと☆脱線~

「プロフェッショナル」で思い出しましたけど、今度N○Kの「プロフェッショナル」で大夫さんか人形遣いか三味線弾きを取り上げませんかねえ。

三業のどれでもいいんですけど……(まだとりあげられないですよね?たぶん)。

「仕事ハッケン伝」でもいいですけど……(1週間で浄瑠璃や三味線、人形遣いは厳しいか……さすがに)。

今まで興味がない人でも、TVで見れば、聴けば、興味もつ人もでてくると思うんです。すそ野を、もっと広げたい……
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ソナヘの日々

2012-04-13 | 義太夫三味線
この春から、義太夫三味線のお稽古をはじめました。

待ちに待った三味線も届き、最初のお稽古「ソナへ」。

最初の3つの音は「は」「い」「ろ」

たったこれだけのはずなのですが、これがなかなか。

話には聞いていたものの、やはり一の糸は本当にお腹に力をいれないと音が出ない。

わたしのようなへなちょこな撥さばきでさえも、曲がりなりにもお腹に力を入れたときと入れないときとでは、音が違う。

まずは、手元をみないで「一」「三」「二」の糸をつかまえられるようになること。

とにかく手元はみない。見ないで体で覚える。

ただひたすら、「は」「い」「ろ」……。

ここからはじまるのです。


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