福岡
福岡市博物館
侍 ~もののふの美の系譜~ The Exhibition of SAMURAI
期間:9月7日(土)〜11月4日(月)
太刀 銘 波平行安 号 笹貫 黒漆太刀拵付
京都国立博物館蔵。鎌倉時代初期、薩摩国波平の刀工・行安の作。
附属の拵には島津家の十文字紋の金具が散らされている。
薩摩樺山家に伝来で、一時島津家に献上されたが、返却されている。
太刀 銘 一
福岡市美術館蔵。鎌倉時代、備前国一文字派の作。
真田家伝来。
紺糸威鎧 兜・大袖付
鹿児島神宮蔵。南北朝時代の作、兜には三鍬形台が付くが中央の祓立の立物を欠き、左右の鍬形も別物。
島津貴久の重臣・樺山善久が大隅国正八幡宮に奉納した。
藍韋肩白威胴丸 兜・壷袖付
宗像大社蔵。兜は二十六間筋兜に三鍬形、胴は右引合の腹巻となっている。
社伝では足利尊氏の寄進とされるが、時代が下るものだろう。
伊予札鶉韋包紫糸威具足
厳島神社蔵。兜は表面に紫韋を貼った長烏帽子形、胴は鶉韋で包んだ仏胴。
毛利輝元奉納と伝わる。
この他にも前田家の重宝・大典太や大友宗麟から松浦鎮信へ贈られた胴丸など久々拝見出来ました。
京都
野口家住宅
「野口家は代々呉服商を営んできた旧家である。 現在の主屋は、元治元年(1864)の大火後に再建されたもので、店舗棟と奥の居住棟を玄関棟で接続した表屋造りの形式となっている。」(現地案内板より)
そしてこちらには明治四年に伏見の豪商から購入し移築された小堀遠州屋敷の座敷があるとの事。
しかし普段は商売をされているそうで拝見できないのですが・・・
今回は国内の自然史博物館が協力して野口家住宅を会場として企画展が開催されており内部を拝見する事ができました。
Where Culture Meets Nature ~日本文化を育んだ自然~
期間:8月30日(金)~9月16日(月)
鶴紋様着物
日本画に用いる岩絵具
鳥毛陣羽織
揚羽蝶の紋様なので池田家のものでしょうか。
続いて室内の様子
おもて通りと引戸を隔ててある小庭(露地)、奥に見えるのは躙口
その躙口の奥には三畳の茶室があります
案内板によると、この茶室も遠州屋敷より移築したものと推測されているそう。
剥製のカモシカさんの奥は床の間。かなり簡素な造り。三畳の室内といいかなり侘びており、遠州の好みとは異なるカモしれません。
続いて遠州屋敷の座敷。写真は次の間
主室は十二畳半とかなり広い
一畳半の床の間
一畳の違棚
釘隠しには花菱紋が使われており、小堀遠州との関係を想起させます
欄間も凝った意匠
座敷の奥には露地庭と茶室、腰掛待合もありました。露地は藪内流の作庭だそう。
遠州屋敷の座敷かどうかはさて置き、京町屋の奥深さを見ることが出来た良い機会でした。
今回は京都
さて三千家と云えば表千家、裏千家そして
武者小路千家 官休庵です
今回はこちらを拝見
武者小路千家は千宗旦の次男・一翁宗守を祖とし、江戸時代には讃岐高松藩の茶道指南役をつとめた。
それでは庵内へ(今回は撮影はOKでしたが掲載は不可なので写真はありません)
茶室は弘道庵・環翠園・行舟亭・半宝庵・起風軒は内部も官休庵・祖堂は外観のみ。
幾度の火災により、ほとんどの茶室は明治以降のものだが、
官休庵は元伯宗旦
環翠園は松平不昧
弘道庵は近衛文麿
が、それぞれ扁額を揮毫しており、それだけでも歴史を感じられます。
次は露地
露地は敷地の南面と南北に延びる逆”Ⅼ”字。
その中でもっとも印象に残ったのが
編笠門(写真は頂いた冊子より)
茶室・官休庵の中門で屋根の形状が編笠に類似している。
露地を拝見して思ったのは、どうにも窮屈な感じで原因は露地の東西、更に北側に茶室や建物が並び圧迫感を感じるから。他の家元茶室の露地が広がりを感じる構えなのとは対照的でした。
京都
京都国立博物館
京博寄託の名宝 ─美を守り、美を伝える─
期間:8月14日(水) ~ 9月16日(月)
餓鬼腹茶入
本圀寺蔵。首細く胴が大きく膨れた唐物茶入。足利尊氏より本圀寺四世・日静に贈られた。
天文5年(1536)の法華の乱の際に罹災したが漆繕いをして修繕されている。
灌頂歴名 空海筆
神護寺蔵、国宝。空海が密教の入門儀式である結縁灌頂を行った際の参加者名簿、記録。
筆頭にはライバル最澄の名が記されている。またこの時最澄の弟子であった、泰範の名も見られる。
結縁灌頂の後最澄とその弟子たちが比叡山に帰った後も泰範は空海の元に留まり、最澄が再三帰ってくるように促しても帰らず空海に師事した。空海と最澄が決別した理由は幾つかあるが、この事件もその要因に挙げられている。
豊臣秀吉所用 鳥獣文様陣羽織
高台寺蔵。ペルシャ製の織物、おそらくは絨毯であったものを陣羽織に仕立てている。
金糸銀糸が使われ獅子が獲物を襲う紋様など派手好きな秀吉らしい。
この他では狩野永徳の花鳥図と長谷川等伯の山水図が向かい合う配置は心憎い。
宗達の風神雷神図屏風や海北友松の雲竜図などお馴染みの作品も拝見。国宝、重文だらけでした。
京都
樂美術館
秋期特別展 樂歴代 魂を映じて
期間:8月24日(土)〜12月24日(火)
黒樂茶碗 銘 面影 長次郎作
山田宗徧・石川自安箱書
二彩獅子像 長次郎作
腹部に「天正二年春 依(寵)命 長次良造之」と彫銘がある。
天正2年(1574)恐らく利休との邂逅は未だ果たされていなかったであろう時代の作。
黒樂茶碗 銘 いさらい 田中宗慶作
黒樂茶碗 銘 黒木 常慶作
黒樂平茶碗 常慶作
黒樂茶碗 銘 青山 道入作
加賀七種のうち
赤樂筒茶碗 銘 破れノンカウ 道入作
筆洗形黒樂茶碗 銘 花橘 道入作
元伯宗旦 書状
千宗旦が茶碗の絵を描き、早いうちに造るように依頼している。
久々に獅子像を拝見、静の茶碗に対する動の像は長次郎の技量の高さを知る事が出来る作品。
宗慶・常慶父子の作品、ノンコウの多彩な作と見所いっぱいでした。
金沢
中村記念美術館
仙叟宗室・大樋焼・寒雉釜 金沢の茶の湯
期間:8月31日(土)~10月20日(日)
唐物肩衝茶入 利休小肩衝
千利休所持、その後加賀藩前田家、家老・横山家に伝来した。
唐物肩衝茶入 蒲生肩衝
蒲生氏郷所持、前田利常より本多政重が大坂の陣の功により拝領。以降本多家に伝来した。
布袋図 伝 卒翁作
賛は癡絶道冲。加賀藩前田家伝来。古くは武田信玄所持と伝える。
虫喰茶杓 千利休作
共筒茶杓 小堀遠州作
筒は遠州より本多政重への贈筒。
共筒茶杓 金森宗和作
共筒茶杓 銘 宝剣 千宗旦作
赤茶碗 銘 手枕 長次郎作
利休が大徳寺の古渓宗陳に贈ったとされる。
古銅耳付四方花生
本阿弥光悦が大徳寺の塔頭・芳春院に寄贈した。
さてさて展示を見終わったあとはお抹茶を一服
茶碗は粉引
茶杓はいつもの利休・遠州だけでは無く今回は宗和、宗旦もありラッキーでした。