
東京国立博物館

特別展 禅―心をかたちに―
期間:10月18日(火) ~11月27日(日)
前後期拝見しました

織田信長像 狩野永徳筆
大徳寺蔵。薄藍色の小袖に茶色の肩衣と袴姿の信長肖像画。肩衣には桐紋と木瓜紋が描かれ、腰には脇差を差している。信長三回忌の為に描かれたとされる。
この肖像画は、近年の修復において書き直しされている事が判明している。小袖は左右が別色の「片身替り」となっており、刀も二本差しであり、口髭も上向きに描かれていた。推測では実質的な法要の施主・羽柴秀吉が書き直しを命じたとしており、死した信長が自分より目立つ事を嫌った為とされている。
唐物肩衝茶入 銘 残月
大名物。総体は柿色で青白い釉溜りが残月状をしており銘はここから採られていると思われる。
博多の商人神屋宗湛の「宗湛日記」によれば天正20年肥前名護屋にて有楽の茶会に登場している。
元は東山御物で織田有楽-前田利家-徳川家康-榊原康政と渡り、後に松平不昧が所持した。
また「山上宗二記」によれば、越前北ノ庄を治めていた堀秀政が所持していたと記される。
唐物文琳茶入 銘「玉垣文琳」
大名物。やや小形の文琳茶入で、濃い黒茶色の釉の間から柿色の釉が見える。
元は能阿弥が所持したとされ、筒井某、堺の祐長宗弥、織田有楽と渡り慶長17年に有楽より豊臣秀頼へ献上された。大坂夏の陣で破損したが漆師の藤重父子により復元され徳川家康に献上され、家康死後に紀州藩主徳川頼宣に渡り、元禄14年に徳川綱吉へ献上され以降徳川将軍家に伝来した。
青磁浮牡丹文花生・香炉
鑁阿寺(栃木)蔵。 南宋時代の作で牡丹の花が胴にあしらわれている。どちらも大型で堂々としており香炉は足利尊氏が、花生は足利義満が寄進したと伝わる。
鑁阿寺のあった場所には元足利氏の居館があり伽藍の整備も足利氏による。2人の寄進も足利氏所縁の寺院であった事が大きいのだろう。
この他、相阿弥・長谷川等伯・海北友松・狩野探幽などが寺院に描いた障壁画も見所でした。