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元祖一条流がんこ総本家

2005-05-07 11:27:19 | ラーメン店調査 (41~45点)
各大学の御用達ラーメンというものがある。例えば、有名なところでは、慶応大学(三田キャンパス)にとっての「ラーメン二郎」、東京工業大学の「むらもと」、東京理科大の「黒兵衛」、東京大学(駒場キャンパス)の「ラーメン山手」などがそれである。そのような意味で考えれば、早稲田大学にとっての御用達ラーメンは表向きは「メルシー」ということになろう。しかしながら「がんこ」の方が早稲田大の御用達ラーメンと呼ぶに相応しいような気がするのは、私だけではあるまい。

「がんこ」は、首都圏ラーメン・シーンにおける巨大勢力のひとつであり、暖簾分けを受けた店、系列店などを含めれば、総勢数十店舗には上るであろう。本店が大規模な大学のお膝元にあることや、支店に付与された自由度が高いこと、オリジナリティが極めて高いことなどの事情が共通しているため、「二郎」と並び称される場合が多いが、ラーメンそのもののタイプが全く異なることには留意されたい。

「元祖一条流がんこ総本家」はこのような「がんこ」勢力の文字どおり総本家。つまりは「本店」である。昔は「一風堂」向かいの早稲田通りを少し中に入った場所にあったのだが、移転して現在は都電荒川線早稲田駅の前にある小さな交番の隣に店舗を構えている。数多くの「がんこ」系のわかりにくい外観の中でもとりわけわかりにくいビジュアルは、おそらく「がんことはこのようなラーメン屋なのである」という予備知識がなければ、ラーメン屋であると、いや、飲食店であることすら100%わからない。そもそもそれが果たして店であるのかさえも。

私が店に入った午後2時前は、もうすぐ昼の部を閉めようというギリギリのタイミングであり、まさしく滑り込みセーフといった感じ。アルファベットの「C」の文字に近いカウンター席に一条安雪さん(店主)とこれからラーメン屋を開こうとしている30代前半くらいの男性が、食べ歩きの極意について話をしていた。とはいっても、男性は熱心にメモを取っているだけであり、話をしているのは、専ら店主ではあったが。店主はひとしきり話を終えた後、「ちょっと出てくる」と言い残し外に出掛けてしまった。私が食べたタイミングが偶々そうだったのかどうかは不明であるが、ラーメンづくりの大抵のオペレーションは店で働いている2人の若者に任せているようだ。

サービスで麺の量が中盛りになるとのことだったので、醤油の中盛りをオーダーする。ちなみに現在の総本家の味は、1997年の「がんこ」のスープに現在の元ダレを加えたもの。現存する支店や他のがんこ系のラーメンの味とは異なる独自の味を提供するという、極めて珍妙な事態を現出させている。すなわち総本家が次々と暖簾分けを行っていた頃のラーメンの味を再現するグループがいわゆる「がんこ系」と総称されている集団なのだが、現在の総本家はその味のラーメンを作らず、敢えて独自の道を突き進んでいるというわけだ。役所流の言葉を使えば「ハシゴを外す」といった表現ぶりが適当だろうか。

供された醤油らーめんは、スープが極めて塩辛いことを除けば、ごくごく普通の支那そば風のラーメンであり、このラーメンが果たしてどれほどオリジナリティ溢れるものなのか小首を傾げたくなるような面持ち。「がんこ」には付き物であったはずの背脂などが殆ど投入されていないことが、かえって斬新だ。

今回のラーメンは、私にとってあまりピンと来るものではなかったが、「総本家」をたったの1度の実食で判定することがいかに愚かな所業であることなのかは、よくわかっているつもりだ。それでも今回供された醤油ラーメンをベースに敢えて暫定的に評価させていただくとすれば、

麺:10点、スープ:12点、具:3点、バランス:7点、将来性:10点の合計42点くらいだと思う。

ただしこの店に限って言えば、何回か通い詰め、色々なジャンルのラーメンを食べてみて初めて確度の高い評価ができると私は考えているので、そこのところはよろしく御理解いただきたい。


所在地:早稲田
支店(暖簾分け)は多数
実食日:04年1月

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