営団丸ノ内線新高円寺駅から青梅街道沿いを南阿佐ヶ谷方面に2分ほど歩いたところにある店。営業時間は11時30分から23時まで。家系の中では営業終了時間が比較的早い店である。私は20時前に店を訪問したが、15席程度の長いカウンター席に先客が2名のみとそれほど混雑しているような印象は受けなかった。
木目の質感が随所に活かされた店内は最近のラーメン屋と較べればどうと言うことはないが、家系ラーメンの店としては清潔感があり好感が持てる。家系ラーメンを作る店はあまり内装に凝らないというのが、開祖「吉村家」以来の大きな流れである。内装に凝らない家系の店に初めて清潔でお洒落な内装という概念を持ち込んだのが「六角家」から独立した「笑の家」だったのではなかろうか。麻布十番の地に「笑の家」がオープンした時には綺麗な家系として随分話題になったものだ。「相原家」が「笑の家」の影響を受けたのかどうかは定かではないが、いずれにせよ「笑の家」のオープン以降、ポツポツと内装にも気を配った家系ラーメンの店が登場し始めたことは確かである。
さて、私は、長いカウンターのちょうど真ん中あたりの席に腰を下ろし、メニューを眺めた。昔懐かしい醤油味の中華そばをアッサリ系として別に作り、コッテリ系として家系ラーメンを置いている。ラーメン以外にもつけ麺を作るようであるが、そちらにも醤油味のアッサリ系、家系テイストのコッテリ系があるようだ。私の隣のカップルの女性は醤油味のアッサリ系ラーメンを食べていたが、それは家系ではない。もちろん私は、家系ラーメンの中盛、味付け玉子入りをオーダー。麺硬め、味濃いめ、油多めの3拍子で注文した。
出てきたラーメンは鶏油(チイユ)の膜がスープの表面に膜を作っており、いかにもコッテリといった印象のもの。面白いのは、ほうれん草の代わりに青ネギを具として用いていること。3枚の海苔が付くところは家系の伝統を踏襲しているが、チャーシューは2枚入っており、そのチャーシューが焼き豚ではなく煮豚であるところが変わっている(家系のラーメンには通常、ほうれん草、3枚の海苔、焼き豚が具として載る)。
スープを味見する。鶏油の膜がスープの熱を外に逃がさないためのバリアの役割を果たしており熱々だ。家系のスープは豚骨、鶏ガラを徹底的に煮込んだスープに醤油ダレを加え鶏油を垂して作るのであるが、この店のスープは豚骨のコクよりも醤油の味が前面に押し出されており、アッサリしていて食べやすいのだが、家系としてはやや物足りない印象。具体的に述べれば、切れ味は鋭いがいささか円やかさに欠けるような気がした。
麺は家系の麺の代表的な製造元である「酒井製麺」の麺を用いており、ツルンと喉越しも爽やか。旨い。調理方法云々以前に酒井製麺の麺はそもそも旨いのである。家系は一般的に濃厚な豚骨醤油スープに太麺を合わせたものであるため、麺とスープとの絡みは非常に良いのだが、この店のラーメンもその例に漏れず麺、スープ両者のバランスは優れている。
具のチャーシューは柔らかく、家系としては上出来の部類。ただし、味付け玉子は黄身が溶け出す温泉玉子を用いており、スープに黄身が溶け出すことによって生じるスープの味の変化が懸念される。あと、スープの量が麺の量に比較してかなり多めであり、スープを全部飲み干すにはかなりの苦労を伴う。
評価としては、麺:12点、スープ:14点、具:4点、バランス:8点、将来性:7点の合計45点。
癖が強い家系としてはかなり食べやすい部類に属するものであり、また、それなりに旨い。本来の家系からかなりの改良が施されている箇所も垣間見られ、工夫も感じられる。ただし、食べやすさを求めるがあまり家系の持ち味でもあるスープのガツン度を下げているところには不満が残る。近隣に家系の店が全くないのであれば重宝するのだろうが、新高円寺周辺には「武蔵家」や「創家」などの同系の名店が存在するため、苦戦は避けられないところであろう。より一層の奮起を期待したい。
所在地:新高円寺
実食日:04年3月
→採点方法について
木目の質感が随所に活かされた店内は最近のラーメン屋と較べればどうと言うことはないが、家系ラーメンの店としては清潔感があり好感が持てる。家系ラーメンを作る店はあまり内装に凝らないというのが、開祖「吉村家」以来の大きな流れである。内装に凝らない家系の店に初めて清潔でお洒落な内装という概念を持ち込んだのが「六角家」から独立した「笑の家」だったのではなかろうか。麻布十番の地に「笑の家」がオープンした時には綺麗な家系として随分話題になったものだ。「相原家」が「笑の家」の影響を受けたのかどうかは定かではないが、いずれにせよ「笑の家」のオープン以降、ポツポツと内装にも気を配った家系ラーメンの店が登場し始めたことは確かである。
さて、私は、長いカウンターのちょうど真ん中あたりの席に腰を下ろし、メニューを眺めた。昔懐かしい醤油味の中華そばをアッサリ系として別に作り、コッテリ系として家系ラーメンを置いている。ラーメン以外にもつけ麺を作るようであるが、そちらにも醤油味のアッサリ系、家系テイストのコッテリ系があるようだ。私の隣のカップルの女性は醤油味のアッサリ系ラーメンを食べていたが、それは家系ではない。もちろん私は、家系ラーメンの中盛、味付け玉子入りをオーダー。麺硬め、味濃いめ、油多めの3拍子で注文した。
出てきたラーメンは鶏油(チイユ)の膜がスープの表面に膜を作っており、いかにもコッテリといった印象のもの。面白いのは、ほうれん草の代わりに青ネギを具として用いていること。3枚の海苔が付くところは家系の伝統を踏襲しているが、チャーシューは2枚入っており、そのチャーシューが焼き豚ではなく煮豚であるところが変わっている(家系のラーメンには通常、ほうれん草、3枚の海苔、焼き豚が具として載る)。
スープを味見する。鶏油の膜がスープの熱を外に逃がさないためのバリアの役割を果たしており熱々だ。家系のスープは豚骨、鶏ガラを徹底的に煮込んだスープに醤油ダレを加え鶏油を垂して作るのであるが、この店のスープは豚骨のコクよりも醤油の味が前面に押し出されており、アッサリしていて食べやすいのだが、家系としてはやや物足りない印象。具体的に述べれば、切れ味は鋭いがいささか円やかさに欠けるような気がした。
麺は家系の麺の代表的な製造元である「酒井製麺」の麺を用いており、ツルンと喉越しも爽やか。旨い。調理方法云々以前に酒井製麺の麺はそもそも旨いのである。家系は一般的に濃厚な豚骨醤油スープに太麺を合わせたものであるため、麺とスープとの絡みは非常に良いのだが、この店のラーメンもその例に漏れず麺、スープ両者のバランスは優れている。
具のチャーシューは柔らかく、家系としては上出来の部類。ただし、味付け玉子は黄身が溶け出す温泉玉子を用いており、スープに黄身が溶け出すことによって生じるスープの味の変化が懸念される。あと、スープの量が麺の量に比較してかなり多めであり、スープを全部飲み干すにはかなりの苦労を伴う。
評価としては、麺:12点、スープ:14点、具:4点、バランス:8点、将来性:7点の合計45点。
癖が強い家系としてはかなり食べやすい部類に属するものであり、また、それなりに旨い。本来の家系からかなりの改良が施されている箇所も垣間見られ、工夫も感じられる。ただし、食べやすさを求めるがあまり家系の持ち味でもあるスープのガツン度を下げているところには不満が残る。近隣に家系の店が全くないのであれば重宝するのだろうが、新高円寺周辺には「武蔵家」や「創家」などの同系の名店が存在するため、苦戦は避けられないところであろう。より一層の奮起を期待したい。
所在地:新高円寺
実食日:04年3月
→採点方法について
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