PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2016年全日本トライアル第5戦 北海道大会

2016-07-20 17:25:49 | 日々の事
熊本地震の影響で、ほぼ1ヵ月の間に3大会が開催された2016年の全日本トライアル。
この3連戦でどういう成績を残すのかは、ほとんど今年のランキング争い全てを決めると言ってもいいでしょう。


「3つを獲ってチャンピオン奪還を実現させます」と言っていた黒山健一選手。

3連戦ひとつ目の中国大会では貫禄すら感じさせる走りを復活させ、優勝。

一方追われる立場の小川友幸選手は「勝ちたい」という気持ちが空回りしたとのことで、中国大会では今季初黒星。
次の九州大会でも「あれ?」というミスを繰り返しますが、黒山選手がマシン不調に見舞われた事と野崎選手のミスにも助けられ、何とか優勝を拾います。

この北海道大会はそれぞれの選手が問題に対策を施しての、いよいよ事実上チャンピオンを賭けてのぶつかり合いとなるわけです。

セクションは重機を入れて掘ったり岩やヒューム管を移動したり。限られた地形の中でスタッフは色々頑張って見どころを作ってくれていました。
ただ知恵と技術で何とかなるかもというこれまで2戦とは違い、行ければクリーン、ミスすればただちに5点という設定はいつもの北海道大会と変わりません。

この中で激突した小川友幸と黒山健一。最初の山場は第3セクションです。
これまで単独でも厳しかった高いステアを、今回は右の岩から挑むラインです。

左か右か。岩のどの位置に前輪を当ててのウーポンかが悩みどころですが、どこからやっても誰もここを越えられません。







※写真上から吉良祐哉選手。斎藤晶夫選手、柴田暁選手、小川毅士選手

黒山選手も失敗。あやうく顔から岩に突っ込むところでした。


ところが友幸選手はクリーンで越えたのです。


試合は第4セクション。北海道大会では定番の難セクションです。
下から大きな2段ステアを越えていく設定なのですが、今年は1段目を上がったあとに一旦左に迂回して2段目に挑む事ができるようになっています。

全員がそのラインを狙うのを見た山本昌也氏は、「あれ?あの抜け道は塞いだはずなんやけど」。どうやら昨夜から今朝のうちにセクションの設定を変えられたとのことで「まさかそんなヤツがおるんやなあ」と不満気です。
※ただ前日の選手下見時間に撮影した映像には、特に抜け道規制のマーカーやテープはないように見えます。


セクション設計者の意図とはちがったのかもしれませんが、それでもこのポイントの難しさは変わりません。





※上から氏川湧雅選手、斎藤晶夫選手、柴田暁選手

転倒が相次ぐ中で、黒山選手は針の穴を点くようなマシンコントロールで、1点でアウト。

これで第3の失敗を取り返したかと思ったのですが、最後を走る友幸選手もクリア。

最後のヒューム管からは落ちてしまいますが、すでにマーカーを越えていたため減点は2点。

結果としてこの減点が、この日の友幸選手唯一のミスとなりました。

このセクションでは5点になった野崎史高選手。

でも前戦では黒山選手を破り、さらにあと1歩で友幸選手にも勝って優勝、というところにまで迫ったライダーです。
今回は腰の調子がイマイチとのことでしたが、第3セクションでは友幸選手と並んでクリーンを記録。

野崎選手は1ラップ目の前半を、黒山選手の上を行く2位につけています。

試合は、ここも毎年ドラマを産む第6セクション。


柴田暁選手が2点、小川毅士選手が1点の他は黒山、野崎選手を含め全員が5点となりますが、友幸選手はただ一人クリーン。









今回手がつけられないほどの安定感を取り戻した友幸選手は、1ラップ目の中盤で早くも勝負を決めてしまった感じです。

1ラップが終わって1位は友幸選手の減点2、2位は野崎選手の減点10、黒山選手は減点11で3位に着けますが、2ラップ目もあの第3セクションで失敗。


ライバルの2人は、2ラップ目もここをクリーンです。




ところが第6セクション。野崎選手はマーカーに触れ5点。

黒山選手は今度こその1点で抜けて、ようやく野崎選手と同点にまで追いつきます。

でも絶好調の友幸選手ははるか先で、すでに優勝は絶望的。
それどころか2ラップが終わっても野崎選手との同点は変らず、クリーン差で負けているという状態です。

野崎選手vs黒山選手。お互い2位の座を賭けたスペシャルセクションです。
その第1を野崎選手はクリーンでアウト。


それがプレッシャーになったのか、次に入った黒山選手はトライ途中に予定していたラインを変えます。
その結果時間に追われ得ることとなり失敗。この瞬間2大会連続3位が確定してしまいました。


2試合連続で2位獲得の野崎選手ですが、優勝の友幸選手には「今回は歯がたたない状況で」と非常に残念そう。


今回終わってみればほぼオールクリーンと言ってもいいような走りだった、小川友幸選手。
シーズン開始時に言っていた「目標は全勝チャンピオン獲得です」を再び持ち出し「1敗しているので実現は不可能ですが、残り2戦も勝って<ほぼ全勝チャンピオン>を実現したいです」とのことでした。


優勝 小川友幸 減点2 c21
2位 野崎史高 17 c18
3位 黒山健一 22 c16
4位 小川毅士 31 c13
5位 柴田暁 35 c13
6位 野本佳章 47 c11
7位 吉良祐哉 54 c8
8位 加賀国光 58 c7
9位 斎藤晶夫 62 c8
10位 田中善弘 62 c5
11位 成田亮 70 c6
12位 氏川湧雅 80 c4
13位 砂田真彦 80 c2
14位 岡村将敏 83 c2
15位 藤原慎也 35 c2

前回試合終了直前まで6位に着けていた野本佳章選手。SS第2でわずかに杭に触れた5点で逆転され、またしても7位。
「また7位!もー7位は飽きたよ。6位になりたい。5位はいいから6位になりたい!」と叫んでおりました。


その野本選手の、北海道名物の超絶ヒルクライム第2セクション。

いつもの年より重機で難しくされたここを真っ先にクリーンするなどの走りで、ついに狙い通りの6位を獲得です。

きっと5位はあえて避けたのでしょうね。九州大会直後に生まれたばかりの長女杏ちゃんに、立派な北海道土産です。
今年初めての表彰台では「誰も獲ってくれないから」とスマホで自撮りをしておりました。証拠写真かな?



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