PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

サンデーファミリートライアル Special in 平谷

2016-07-26 18:19:30 | 日々の事
オートバイを通して人生をいかに楽しむか。
「サンデーファミリートライアル Special in 平谷」は、それを具体的な形にしたイベントでした。

標高1000m近い平谷高原の山の中に用意されたコースは、約60㎞。選手たちはここに7時間かけて深く分け入り、楽しみます。
25のセクションはほとんどが沢登り。

高いステアやきついターンはなく、危険度もかなり低いもの。
全日本トライルのようにセクション内での停止や振りはまず必要なく、どの選手もまるでノンストップルールのようにインからアウトまでを抜けていきます。
タイムでの5点もたまにはあるものの、その笛の音はひっかかってもがく選手に「はいお疲れ様、もう頑張らなくていいよ」とやさしく語りかけているようです。
これらの仕様のためオフロード車での参加も可能で、2016年は全部で108名ものエントリーがありました。

トライアルジャーナリストやショップオーナーの参加も沢山。みなさん「年に1度の、仕事ではないトライアルですよ♥」とニコニコしています。

ストレートオン 泥稔選手


フリージャーナリスト 藤田秀二選手


Tom's 吉川富美男選手


Trial exchange  高橋明男選手

今年はなんと遥かイタリアからマリオ・カンデローネ氏も参加。

世界を代表するトライアルジャーナリストのマリオ氏、過去の「平谷」の映像を見て何としても走りたいと思い、このためだけに来日したのだそうです。

前日夜のライダースミーティングでは、乾杯のご発声。「チンチン!」


昨年は快晴で気温も30度を越えたというこの大会。今年は25度ほどの曇り空。でも心配された雨は最後までのがれることが出来ました。まあ降ったら降ったでまた楽しみも深まったのだとは思いますが。

朝7時30分からスタートした選手たちは、地元の人でも知らないだろう、林道とも呼べない獣道を走ってセクションへ。辿り着いたセクションは沢登りに、また沢登りが続きます。
全日本でもそうですが水を含むセクションは、環境問題からなかなか許されなくなっているとのこと。下見するのも億劫になるくらいの長い沢やつるつるのガレ場を走ることができるのは、今や貴重な体験です。






これらのセクションをつなぐコースには、「オートバイってホントに楽しいですよね」の気持ちがたっぷり注入。言い換えれば、めちゃくちゃきつい。
セクション部分はオブザーバーが採点できるようにある程度広くとってあるのですが、コースはバイク1台がギリギリの幅しかなかったり、水が深かったり、曲がりくねっていたりの設定で、さらに登ったり降りたりとずーっと続くのです。






今年はリタイアが例年より少し多かったそうですが、こんなになっちゃったら舗装路まで引っ張りだすだけでも大変です。


写真で見ると、なんでセクションのこんなところで転んじゃうの?とも思いますが、コースに十分体力を吸い取られたあとだと思うと、当然ですね。




でも諦めずに頑張っていると、こんな風景が見られたり

おにぎりにありつけたりするわけです。


試合の途中で出会った、三谷知明選手。

「ここまで減点12点。もしかして優勝かな」と笑っていますが、ありゃあ、すってんと5点。

マシンはSL230。ボルトが1本折れてステップがくるくる回る状態なのも、勲章のひとつです。


こちらは優勝候補No.1の波田親男選手。

「あかん。もう(合計)2点も着いてしまいました。最低や」と苦笑いながら、さすがSSDT出場者というライディングでクリーンしていきます。

小玉健二選手は新発売のモンテッサ4RIDE250での参加。あああ、ピカピカの新車がああああ。

トライアル世界選手権チャンピオンマシンの血筋を引くこのバイクですが、ミッションやサスは全く別物だそう。
その新コンセプトマシンで平谷を楽しみ、オフロード車部門で2位を獲得した小玉選手。
ゴール後のマシンはもう立派な中古車ですが、とっても楽しそう。

オフロード車部門 優勝:三谷知明選手(SL230) 2位:小玉健二選手(COTA 4RIDE) 3位:杉浦勝好選手(TRICKER250)

マリオ選手は途中から見えなくなってしまったと思ったら、マシントラブルでリタイアという結果。
どうやらコースの長〜い下りにやられて、ブレーキがトラブったようです。

それでも最遠来賞で、生日本酒をゲットだぜ。(あ、「ゲット」はポケモンでマリオじゃないか)


レディース賞のトップ3人。
2位小林由利子さんの目標は「100歳までトライアルやります!」だそうですが、そのためには是非肝臓もお大事にね(^^)

優勝:沖本由香選手 2位:小林由利子選手 3位:齋藤由美選手

セカンドクラスの皆様。


ファーストクラスの皆様。


総合トップの3人。波田選手は結局、合計2点で走り切っちゃいました。

優勝:波田親男選手 2位:三好弘祐選手 3位 阿部利弘選手 

この他にも完走賞や何だかんだ、いろいろな理由をつけての表彰がいっぱい。
こちらは最高齢賞の、衣笠剛選手(71歳)


1人の優勝選手を決める全日本とは違い、これはみんながオートバイを楽しむためのイベントなのだということを、改めて感じさせます。
それはこの大会を支える50人ものスタッフにも言えること。ゴールデンウイーク直後から草刈りやコース整備に努めたというスタッフは、全員無給。山奥にある平谷までのガソリン代ですら自前とのことに驚きましたが、実はそれを含めて皆様「オートバイを通していかに人生を楽しむか」という、選手と同じ命題に挑戦しているのだと理解いたしました。


そしてこの大会の総合プロデューサー兼ディレクター兼小間使いの、伊藤敦志氏。
全日本トライアルではすでに伝説のチャンピオンではありますが、そのカリスマ性に頼ること無くこれだけの人をまとめ、もう18年にも渡って動かし続けているのです。

伊藤氏は選手引退後、「オートバイを通して人生を楽しむ」部門でも立派なチャンピオンになっておられたわけですね。

ひたすら成績を求め競い合う全日本も大切な価値のひとつですが、平谷には沢山のやさしさと感謝の気持ちが、まるで沢の水のように流れているんですね。
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2 コメント

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5年前の平谷 (伊藤 静男)
2016-07-26 19:54:49
日本での 保安部品装着のTRIAL ツートラも サンデーファミリートライアルin 平谷  と イーハトプトライアル だけになってしまいましたね。 淋しい事デス。
生野さんサンデーファミリトライアル 取材初めてだったのですね。 サンデーファミリーTRIAL は 1973年から3年 三重県菰野町でYAMAHAの後押しでやっていたのですよ。 中断が20年 1998年から 伊藤君に バトンタッチ 以来もう18年になるのですねえ~~ 
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Unknown (m.suzuki)
2016-08-01 23:14:25
素敵なリポートですね。改めてこの大会の素晴らしさを実感しました。
今年は久しぶりに平谷に参加することができて幸せでした。
スタッフやそれを支えてくださる皆様に感謝しつつこれからも楽しませていただけたらと思っています。
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