†意識の記録† 理解のブログ

私の私の視点による私の経験の記録。私の視点で見る限り誤りのない認識で記事を書いている。一切の苦情は受け付けない。

続:シンプルなプリアンプ

2021-03-31 18:46:08 | Audio
こんばんは。

早いもので、今年ももう3月の終わり。大分、春らしく、下手したら初夏並みに暑い日もありますね。
さて、今回は、前回の記事で紹介した、シンプルなプリアンプについて、追記していきたいと思います。

前回のシンプルなプリアンプは、実際に製作致しました。
ゲインがありませんから、左右のバランス調節の無いプリメインの前段に足す、という用途も可能ですし、
もちろん、パワーアンプの前段に挿入することも可能です。

元々、バランスノブの無いプリメインアンプの前段に挿入することを第一目標、
第二目標として、マッキントッシュのパワーアンプの前段に挿入することにしていました。
とりあえず挿入前後で確認しましたが、挿入しない場合との音質の差は感じられませんでした。
つまり、あれだけシンプルでありながら、聴感上は全く色付けの無いプリアンプとして成功したと言えるでしょう。

それは良いのですが、私は回路図一枚を示したに過ぎず、実際に製作するにはコツが要るのでは?と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは私の場合に限った話ではありませんが、自作に於いてはしばしば、回路図から省略されている部品というのが存在します。
各々の思想の下で、そうするのが当然であり、記載不要なものですね。

例えば、トランスを使って変圧した後、整流回路を通しているような場合、スイッチにスナバ回路(スパークキラー)を入れるのは常識でしょう。
しかし、それを一々、回路図に記載するかと言うと、しません。ヒューズやパスコンなんかも同様ですね。
また、トランスを漏れ磁束を考慮して斜めに配置するとかなってくると、回路図とかいう問題ではなくなってきますね。

ただ、これは実際に自作している人なら、思想とか関係なく、概ね、経験上、実践されていることですし、
仮に入れなくても、安全性は下がったとしても、回路設計そのものの問題ではありません。


前置きの長くなりましたが、今回書こうと思うのは、パワーグランドとシグナルグランドです。

前回の記事で紹介した、シンプルなプリアンプに於いては、 5V 入力を絶縁型 DCDC コンバータで ±12V の両電源へ昇圧していました。
絶縁型ですから、その名の通り絶縁されておるわけです。

確か書いたと思うのですが、私は 5V をコンセントから、スイッチング AC アダプタで供給しました。
つまり、 5V 側のグランド(パワーグランド)は、アースされていると見做す事が出来ます。
当然、それはケースと接続するので、シャーシグランドは、アースされた状態になります。
そこまではよいのです。

では、シグナルグランド、つまり、昇圧された ±12V の中点の 0V を、シャーシグランドにそのまま接続してよいのか?
これが今回の問題です。

先に言うと、浮いていても動作します。
つまり、そのまま接続しようが、全く切り離そうが、動きます。

しかも、今回のプリアンプは、電源部まで左右独立で製作することによって、チャンネルクロストークを極小にできますから、グランドを分離する効果は大きいですね。
ということは、そのままシャーシグランドにショートさせてしまうのは勿体ないです。

ですので、私としては、 100kohm 程度の固定抵抗器(1/4W で十分)で、シャーシグランド、若しくはパワーグランドと接続することを推奨します。


あ、これは今回の回路に限った話であって、一般に、シャーシグランドとシグナルグランドを 100kohm で接続しなければならない、と言っているわけではないです。

今回はスイッチング AC アダプタからの電源供給の為、パワーグランドがアースされている、という前提がありました。
しかし、 USB など、直前の機器が何だか分からんという場合もあるでしょう。
(若しかしたら、ポータブル充電器のような浮いた状態かも知れません。)
そういった場合は、個々の状態に応じて、適切なグランド処理をしてください。

特に、 5V で動くということは、バッテリ駆動に向くということでもあります。
バッテリ駆動のアンプの音が良いことは、オーディオファイルなら常識ですよね。
(商用電源をいかに綺麗にするかというだけの、クリーン電源なんていう商品もありますからね。)
勿論、結果としてパワーアンプを駆動するなら 5V 電源である必要は全くないのですが、 USB-DAC + プリアンプのようなものを作ろうと思ったらそのまま流用できる利点があります。
ヘッドフォンを駆動しないので、小さな電流で済みますからね。


さて、そうなってくると、じゃあ作ろうよってな話になるじゃないですか。
つまり、 USB-DAC + プリアンプで、電源は USB のみにしたいわけです。
知っての通り、 USB は 5V が供給されていて、ある程度の電流を供給できます。今回のプリアンプなら余裕です。

安く簡単に済ませようと思うと、秋月電子の USB-DAC キットが良いですね。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-05369/

この基板は、 USB バスパワーで動きますし、専用ドライバも要りません。超便利ですね。
回路図が公開されているので、好きなところから 5V 電源を取ってくることができます。
オススメは、 C14 の + 側でしょうね。コンデンサを後付けする関係上、配線を取り出し易いですし、 GND 側もそこに接続してしまえばよいです。

5V さへあれば、前回記事のプリアンプは作れますから、これで解決ですね。


世の中便利なもので、 5V を供給するだけでステレオヘッドフォンアンプが作れる IC があります。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-10052/

電子工作を楽しむという意味では、ちょっと邪道かも知れませんけれども、
普段はプリアンプとして使って、一応、イヤホンにも対応させておく、と言う意味では悪くない実装かな、と思います。

だって、プリアンプからパワーアンプまでが遠い可能性だってあるでしょう。
こういうのでさっと切り替えられたら便利だと思うのですよ。

電子工作は、音に拘った方向性も良いですけれど、元はと言えば、自分の求めるものがないから作っちゃえ、という考えが原点にある。
それは、要求仕様からして世の中に存在しないから作る、という考えだってアリですよね。(音質的な要求仕様ではなくて、機能的な要求仕様ですよ。)


長くなってきましたので、今回はこの辺で。



以上。
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