Re:プレイ
今回も映画会社のコピーから紹介しましょう。
『その瞬間から、彼は記憶のゲームに巻きこまれる。あなたは自分の記憶を信じますか?
「アイデンティティー」脚本のマイケル・クーニーが仕掛けた新たなるサスペンス!』
先に「アイデンティティー」はジョン・キューザックやレイ・リオッタが放つ本格的な心理サイコ・サスペンスです。おそらくベースは『24人のビリー・ミリガン』なんでしょうか?よく出来た話です。
本題に入る前に、ここ最近の映画のいくつかのパターンをクイズ形式にして考えてみました
<第一問>
話の内容全体を観客に簡単につかめないようにするにはどうしますか?
1.時間軸の構成をグチャグチャにする
2.制作中にアンケートをとり、脚本を変えてしまう。
これは、正統派としては1番ですよね。タランティーノの「パルプ・フィクション」や「レザボアドックス」、クリストファー・ノーランの「メメント」等。ちゃんと、創れば良い出来になります。
2番は最近よく使われる手です。TVシリーズ「24」がこのパターンです。ですから、シリーズ1は上手くいきましたが、シリーズ3では少し最悪な方向に走ってしまいました。昔、ジャッキーの映画がこのパターンで撮影する事が多かったそうです。
<第二問>
次から次へと意外な事件を起こす。(客を飽きさせない為)
しかし、あまり事件が増え過ぎて収集がつかなくなった時のオチは?
1.大爆発を起こして意味がわからなくする。
2.夢だった事にする(あるいは死ぬ寸前に垣間みた幻想だった事にする)
これに関しては両方とも成功例は少ないと思います。そもそも商用として客に何を見せたいのか?ストーリーを組む上でテーマが破たんしているのですから、成功例は皆無に近いワケです。
1番は日本アニメで多いパターンです。特に巨匠と言われる人は一度は使います。手塚治虫「火の鳥/愛のコスモゾーン」、大友克洋「AKIRA」、宮崎駿「もののけ姫」、庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」。どれも成功したという人もいるでしょうが、冷静にもう一度、観て下さい。これらの作品のオチは略、同一の物です。全作品を一気に観るとよくわからなくなります。つまりこれはネタにつまった作者の心理そのものなのです。ウ~ン、どうしたらいいんだ!ドカ~ン!!大爆発と、いうわけです。
次に2番目ですが、これは最悪な手です。夢野久作(ドグラマグラの原作者)やフリップ・K・ディック(映画ブレードランナー、マイノリティリポートの原作者)が得意としますが、彼らは元々、凡人ではありませんので、夢オチでも気になりませんが、他の人が使うと、大抵Z級作品になります。最近紹介したエド・ウッドの『死霊の盆踊り』や『地球で最後の男』は観る人に失望感と脱力感を与える最悪の映画でした。
さて、今回の『Re:プレイ』もこれらのパターンを全て、取り入れた超ド級のZ級です。
まず、舞台は病院です。(ここからほとんど外に出ません)
病室で目をさましたサイモン君は、ここ2年間の記憶がないピアノマン状態・・・と思いきや、結構、元気。
病院の中を走り回り、怒鳴り回ります。それもそのはず、記憶のない2年の間に、結婚して、妻がいたらしいのですが、現れたかと思うと、いきなりビンタ!(な、なんで!)。それに兄のピーターが交通事故で死んだとか、アンナと言う女が現れたかと思うと消えたり、しかし、一番、彼を苦しめる理由はドアをあける度に、過去にいったり、未来にいったり、人が生き返ったり、人を殺したり、しかも、ドンドン加速。最後にはオチなんかどうでもよくなる。
しかも、予想通りの、最悪なオチが僕を待っていた・・・ホント、ええ加減にせい!また、このパターンか見飽きた!って感じです。
唯一の見所はMRI検査の為にベットに縛られるシーン。
大声を出しても、医者は記憶の錯乱によるものと思い、信じてくれません。しかも、縛られているので逃げられない!そして、注射をもった男が近づき・・・・
でも、このシーンについてはなんの説明もないので・・・この後、オチがありません。やはり、Z級映画の定番、尻切れとんぼ状態
最近、思うのですが、まず、Z級映画はアイテムをちゃんと使いこなせない(今回の場合、パズルやドアや古屋敷等どれも途中でほったらかし状態)、オチを考えずに事件を起こす、最後は誰でもわかるオチを得意げに、まるで凄い結末のように観せる。これらの共通点は『予算がなかった』という、言い分けだけでは許されないと思う。
先日、キム・ベイシンガー主演の「セルラー(CELLULAR)」という映画を観たが、決して大予算というわけではなかったが、良い出来だった!最高の上質の肉を食べたような気分になった。監督のデヴィッド・エリスは「デッド・コースター」等の低予算サスペンスを今までも撮ってきたが、どれも素晴らしい出来だ。どこにお金や俳優を配置するか、客の心理をどう読むか、徹底した彼の娯楽映画魂を感じる。
『Re:プレイ』の制作者ももう少し、劇場公開作品としてのプライドをもって欲しかった。
確実なのは、『Re:プレイ』をリプレイする人は少ないだろう・・・という事。
明日はお休みです。
月曜日は「サラリーマン平均太郎 第一話」の掲載予定です。
このBLOGはコミック・ブログを目指しています
月~木はマンガ(コミック)、金・土はエッセイです。日曜日はお休みです。
コメントやTBドンドン入れて下さい!!
今回も映画会社のコピーから紹介しましょう。
『その瞬間から、彼は記憶のゲームに巻きこまれる。あなたは自分の記憶を信じますか?
「アイデンティティー」脚本のマイケル・クーニーが仕掛けた新たなるサスペンス!』
先に「アイデンティティー」はジョン・キューザックやレイ・リオッタが放つ本格的な心理サイコ・サスペンスです。おそらくベースは『24人のビリー・ミリガン』なんでしょうか?よく出来た話です。
本題に入る前に、ここ最近の映画のいくつかのパターンをクイズ形式にして考えてみました
<第一問>
話の内容全体を観客に簡単につかめないようにするにはどうしますか?
1.時間軸の構成をグチャグチャにする
2.制作中にアンケートをとり、脚本を変えてしまう。
これは、正統派としては1番ですよね。タランティーノの「パルプ・フィクション」や「レザボアドックス」、クリストファー・ノーランの「メメント」等。ちゃんと、創れば良い出来になります。
2番は最近よく使われる手です。TVシリーズ「24」がこのパターンです。ですから、シリーズ1は上手くいきましたが、シリーズ3では少し最悪な方向に走ってしまいました。昔、ジャッキーの映画がこのパターンで撮影する事が多かったそうです。
<第二問>
次から次へと意外な事件を起こす。(客を飽きさせない為)
しかし、あまり事件が増え過ぎて収集がつかなくなった時のオチは?
1.大爆発を起こして意味がわからなくする。
2.夢だった事にする(あるいは死ぬ寸前に垣間みた幻想だった事にする)
これに関しては両方とも成功例は少ないと思います。そもそも商用として客に何を見せたいのか?ストーリーを組む上でテーマが破たんしているのですから、成功例は皆無に近いワケです。
1番は日本アニメで多いパターンです。特に巨匠と言われる人は一度は使います。手塚治虫「火の鳥/愛のコスモゾーン」、大友克洋「AKIRA」、宮崎駿「もののけ姫」、庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」。どれも成功したという人もいるでしょうが、冷静にもう一度、観て下さい。これらの作品のオチは略、同一の物です。全作品を一気に観るとよくわからなくなります。つまりこれはネタにつまった作者の心理そのものなのです。ウ~ン、どうしたらいいんだ!ドカ~ン!!大爆発と、いうわけです。
次に2番目ですが、これは最悪な手です。夢野久作(ドグラマグラの原作者)やフリップ・K・ディック(映画ブレードランナー、マイノリティリポートの原作者)が得意としますが、彼らは元々、凡人ではありませんので、夢オチでも気になりませんが、他の人が使うと、大抵Z級作品になります。最近紹介したエド・ウッドの『死霊の盆踊り』や『地球で最後の男』は観る人に失望感と脱力感を与える最悪の映画でした。
さて、今回の『Re:プレイ』もこれらのパターンを全て、取り入れた超ド級のZ級です。
まず、舞台は病院です。(ここからほとんど外に出ません)
病室で目をさましたサイモン君は、ここ2年間の記憶がないピアノマン状態・・・と思いきや、結構、元気。
病院の中を走り回り、怒鳴り回ります。それもそのはず、記憶のない2年の間に、結婚して、妻がいたらしいのですが、現れたかと思うと、いきなりビンタ!(な、なんで!)。それに兄のピーターが交通事故で死んだとか、アンナと言う女が現れたかと思うと消えたり、しかし、一番、彼を苦しめる理由はドアをあける度に、過去にいったり、未来にいったり、人が生き返ったり、人を殺したり、しかも、ドンドン加速。最後にはオチなんかどうでもよくなる。
しかも、予想通りの、最悪なオチが僕を待っていた・・・ホント、ええ加減にせい!また、このパターンか見飽きた!って感じです。
唯一の見所はMRI検査の為にベットに縛られるシーン。
大声を出しても、医者は記憶の錯乱によるものと思い、信じてくれません。しかも、縛られているので逃げられない!そして、注射をもった男が近づき・・・・
でも、このシーンについてはなんの説明もないので・・・この後、オチがありません。やはり、Z級映画の定番、尻切れとんぼ状態
最近、思うのですが、まず、Z級映画はアイテムをちゃんと使いこなせない(今回の場合、パズルやドアや古屋敷等どれも途中でほったらかし状態)、オチを考えずに事件を起こす、最後は誰でもわかるオチを得意げに、まるで凄い結末のように観せる。これらの共通点は『予算がなかった』という、言い分けだけでは許されないと思う。
先日、キム・ベイシンガー主演の「セルラー(CELLULAR)」という映画を観たが、決して大予算というわけではなかったが、良い出来だった!最高の上質の肉を食べたような気分になった。監督のデヴィッド・エリスは「デッド・コースター」等の低予算サスペンスを今までも撮ってきたが、どれも素晴らしい出来だ。どこにお金や俳優を配置するか、客の心理をどう読むか、徹底した彼の娯楽映画魂を感じる。
『Re:プレイ』の制作者ももう少し、劇場公開作品としてのプライドをもって欲しかった。
確実なのは、『Re:プレイ』をリプレイする人は少ないだろう・・・という事。
明日はお休みです。
月曜日は「サラリーマン平均太郎 第一話」の掲載予定です。
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僕もこの映画のラストには辟易しました。
まあ、結局は夢落ち(死にオチ?)になっているわけですが、このオチだけでも違う方向にいけばかなり良い映画になったかもしれません。
まあ、アイテム類に関しては「パズル=記憶の構築」「ドア=記憶の操作」「古屋敷=記憶の元」という形ではあると思いますが、そもそも記憶に存在しえない人物が出てきた時点で死に際の状態というのが破綻しちゃってましたね。
ホント、ヒドイ映画でした・・・
あまりにも記事が面白いので、楽しく読ませて頂きました。(笑)
「アイデンティティ」がとてもよくできたストーリー展開だったの対し、
こちらは素材は悪くないと思うのですが、展開が悪かったですね。
前半は何が何だか理解できない部分が多かったです。