アルゼンチンから砂漠の国へ

2005年~2009年のオリジナル記事に、シンガポール時代の記事と、2009年以降のアメブロの旅行記を転記しました。

イグアスの旅

2005年10月11日 | 旅行
(出発)
8月8日(土)のち現地は

出発の一時間前に空港に集合。国内用のJORGE(ホルヘ)空港は、アパートから比較的近い、ラプラタ川沿いにある。

出発前に早速トラブル。Oさんがナイフを持ち込もうとして、手荷物検査で足止めを食ってしまった。多目的ナイフで、たまたまリュックに入れていたようだが、不注意もいいところだ。結局、一度外に出て、見つからないような場所に置いてきた。

快晴のブエノスアイレスを飛び立った飛行機は、川沿いを一路北に向かった。途中、先週行ったティグレの三角州の上を通過したが、空から見るティグレの三角州地帯は予想以上に広い。

(空から見たティグレの三角州)

1時間50分でイグアス(IGUAZU)の上空に来たが、下は、厚い雲に覆われている。ブエノスアイレスの快晴の空とは違う。着陸のため高度を下げて雲を抜けると、目の前にジャングルが迫ってきた。不時着でもするのかと思ったら、そこに空港があり無事着陸した。突然、機内で拍手。着陸寸前に十字を切り、無事着陸できたことを皆で祝っているのだ。初めての経験。ラテンの人はどこか違う。外は土砂降りの雨。さすがに南緯約25度で、南回帰線に近く、熱帯地方特有の土砂降りの雨だ。

旅行社の乗合バスでホテルまで約30分。4つ星のホテルだけあり、見かけは立派だが、部屋は田舎の安宿風。予約したのが直前だったため、二人部屋と三人部屋に分かれ、まるで合宿か、社員旅行の気分。



(スルビ試食)
雨だからといって、半日無駄にするのももったいないので、まずは昼食に出かけることにした。イグアスでは、スルビ(Surubi)という、比較的大きなナマズに似た魚が有名と聞いていたので、ガイドブックでレストランを探し、タクシーを呼んでもらってダウンタウンに出かけた。このタクシーの運転手二人組み(エンリケとオラシオ)には、いろいろと世話になることになる。

レストランに入る前に、エンリケが、今夜ブラジルに行かないかと言う。ブラジルはVISAがないと入国できないが、US$30払えばイミグレーションが通過できると言う。Rafainというレストランがあり、そこでショーを見ながら食事が出来ると言う。若干胡散臭い気がしたが、雨のホテルで何もしないで過ごすのはもったいないと、行くことにして、早速その場で予約。

まずは、昼食のレストラン、La Lueda は、ガイドブックにもあるとおり、きれいなレストランで、各種のスルビ料理がある。皆、それぞれの料理法を選んで試食。たんなる焼き魚、白ワイン煮、ガーリック味等々。淡白な味で悪くない。しかし、特別に美味いと言うほどでもない。魚は魚だ。一皿$25(900円)、ワインも少々飲んで、まずは旅行の幕開けだ。

(ブラジルの夜)
夜のレストランオープンは8時のため、ホテル内の設備を散策し、7時30分にエンリケとオラシオが迎えに到着。パスポートを準備しろというので、言われるままに見せて、ナンバーの控えをとり、何やら書類を作成。イミグレーションに出す書類だと言う。そして、車2台に分乗して出発。しばらく走ると街外れの暗い道になり、何となく、このまま誘拐されて身代金を要求されるようなことになったらえらいことだなと若干不安がよぎってきたとき、イミグレーションに到着。シンガポールからジョホーバルにわたるときのような雰囲気のイミグレーション。

ちょっと待ってくれと、片言の英語で言い残し、我々のパスポートを持って、イミグレーションに出かけた。そこの係官とはツーカーのようで、5分も発たないうちに帰ってきた。そのままイミグレーション通過。パスポートには押印も無く、やけに簡単にブラジルに入国することが出来た。イグアスの滝はブラジルとアルゼンチンにまたがっており、橋を渡るとそこはもうブラジル。ブラジル側のイミグレーションはほとんど作業しておらず、アルゼンチン側で全て処理しているようだ。

レストランには既に多くの車が到着しており、内部は1200人収容の、ステージ付きレストラン。常磐ハワイアンセンターのようなものだ。食事をしながら、ショーは9時から11時まで続いた。アルゼンチンのタンゴ、ブラジルのサンバ、アンデスのフォルクローレ等々、近隣諸国の混成リズム、音楽を十分堪能できた。食事とショーでUS$22だったが、ドリンク別のため、結局一人あたり$80(約2,900円)。内容から考えると安いものだ。

(レストランのショー風景)

ただ、イミグレーションのUS$30(一人あたり)は、たぶん、ほとんど運転手ふたりの懐にはいるのだろうが、レストランの送迎も含んでおり、初めての土地で、十分満足できる初日の夜を紹介してくれたことに免じて、深く追求しないことにしよう。週末は、イグアスに滞在しているお客を1000人以上集めて、ブラジル側にお金をおとすのだから、観光客には特例を認めているのだろう。

(イグアスの滝)
翌日の朝は曇り。また雨が降ったら、この旅行は台無しだ。
8時に迎えにきたバスは、旅行社が他のホテルも回って、48名の団体行動。首から、ガイドの名前を書いたグループ確認の札をぶら下げるのが、ここイグアスのやりかたのようだ。現場に着くと、同じような団体がいくつも来ていた。



だんだん空の雲が切れて、青空が見えてきた。国立公園に入園する頃には、すっかり晴れ上がっていた。遊歩道は整備され、ジャングルの中を歩いている感じではない。しばらく歩くと、滝の音が聞こえてきた。滝の方に行く遊歩道は、水の上に金属で歩道をつくったもの。二人がすれ違える程度の幅しかない。何ヶ所もある見晴台に行く前に、歩道で立ち止まって写真を撮ったりすると、すぐに渋滞する。



ついに、滝の見える場所に到着。昨日の雨のおかげで、水量が多い。名所「悪魔ののどぶえ」は、残念ながら立ち入り禁止になっていた。たぶん、遊歩道の設計ミスで、水量が多いと、すぐ水につかり危険だからだろう。しかし、それ以外の滝も、十分楽しむことができた。午後には、滝の水しぶきの上にくっきりと虹がかかり、一箇所は、その虹が2重になっていた。

(虹のイグアス)


滝の落ち口のすぐ上流側に基礎を作り、遊歩道を作っている。おかげで、滝が流れ落ちる、間近で見ることができる。その迫力は、文章、写真の静止画像ではとても表現できない。しかし、このような遊歩道を作るアルゼンチンの人の感覚も面白い。日本なら、どこかの観光保護団体がすぐ反対し、遠くから眺めるような観光名所にしかならないだろう。しかし、このイグアスでは、川にかけた歩道も、自然にとってはほんのかすり傷ぐらいだ。それだけ雄大な自然に、人間の及ぼす力なんて知れている。



(Iguazu)

(ジャングルツアー)
食事前に、次はジャングルツアー。48人の団体バスのうち、参加したのはその半数以下。トラックの荷台を改造して、30人乗りのシートがセットしてある。乗ろうとすると、シートが濡れている。いやな予感。実は、このツアーには、ボートに乗って、滝の間近までいくオプションが含まれており、わざわざ濡れに行かなくてもと、予約のときに断ろうとしたが、これはお勧めですと言われ、気乗りしないまま決めた経緯がある。メガネを外してコンタクトにし、水没するのがいやなので靴を草履に履き替え、下着は海水パンツに着替える念の入れようで、更に上からカッパを着込んで備えた。

ジャングルの中を約20分トラックに揺られ、その間、ガイドがジャングルの説明をする。ほとんどスペイン語で、我々のために、時々英語の解説を入れてくれる。ジャングルの生育を考えて、木は45m以上にならないように切り、太陽の光が地上に届くようにしていると言う。誰が、どうやって切るのだろう。滝壷ツアーが終わって帰ってくるトラックと時々すれ違うが、一様に手を振って、満足げに見える。あまり濡れている様子も見えない。しかし、トラックを降りて、階段を川まで下りる間にすれ違う人は、ほとんどの人がずぶ濡れ状態で、それでも、みな満足そうな表情で、なかには、我々に親指を立てて、“Muy Bien!(最高!)”とわざわざ言い残していく人もいる。

(ジャングルツアーのトラック)

リュックを背負ってその上からビニールのカッパを着ていたら、救命胴衣をつけるのに邪魔だからと、リュックを外すように言われた。どうやって水没から保護しよう。結局、ボート乗り場で、各人用に防水バッグを渡され、その中に貴重品類は入れてボートに持ち込む仕組みになっていた。だから、カメラも、滝壷直前までは使うことができた。

200馬力のヤマハのエンジン2基を搭載したボートは、波の中をハイスピードで滝に向かって上ってゆくので、跳ねるボートに皆大喜び。周りは、ほとんど若い人ばかり。我々が一番年配だ。いよいよ滝壷。スペシャルサービスだといって、運転手が滝に近づく。滝に近づくと、周りは真っ白の水しぶきだけで、何も見えない。隣のOさんはメガネに水滴がつき何も見えない。カッパの効果はあったものの、フードが風に煽られて、それを抑える手のわきの下から水が入ってくる。しかも、ボートが水浸しになり、座っているシートから、ズボンがずぶ濡れになった。

運転手と助手が、もう一度行く?と聞くので、OKと答えると、また滝に向かって突っ込んでいく。それを4~5回繰り返し、結局、カッパを着ていない人は全員ずぶ濡れで帰ってきた。ガイドブックによれば、一回12分と書いてあったが、時間を見ると既に25分経過。このようなルーズな時間管理は大歓迎だ。日差しが強く、濡れた頭はすぐ乾き、なかなか乾かないズボンが、帰りのトラックのシートに濡れた後を残すことになった。
このツアーを省略していたら、イグアス見物の楽しみは半減しただろう。



(二人行方不明)
ジャングルツアーを終え、昼食をとり、さてそろそろ集合時間かと考えてみると、集合時間を聞いていない。実は、バスの中の説明が全てスペイン語で、ガイドのクリスティアンが必要最小限のことは英語で我々に伝えてくれたのだが、集合時間を聞いていなかった。そこで、近くを通りかかった、同じグループの人に聞くと、2時にレストラン前の木の下だとのこと。やはり、スペイン語では説明していたようだ。



その木の下で2時になっても、我々のグループのOさんとMさんだけが行方不明。しばらく探したが、わからないので、仕方なく午後の滝見物に出発。約2時間後、予定の見物を全て終え、公園入り口のビジターセンターまで帰ってきた。ここで会えなければ、たぶんホテルに勝手に帰ってくるだろう。すると、タクシー乗り場に二人がおり、やっと再会。集合時間を勝手に予想して、2時頃には、二人で滝を見物していたとの事。たった5人でこんなことになるとは情けない。責任の一端は、英語で肝心な事を言ってくれていなかったガイドにもあるが、団体を離れるときの心構えが出来ていない二人が一番悪い。さんざん心配させて。

(最後の夜)
無事、天気にも恵まれて滝巡りを終え、ホテルに帰ってきたのが5時半頃。まだ夕食まで時間がある。濡れたついでにプールでひと泳ぎして、サウナに入り、一休みし、こんどはステーキレストランに出かけた。ここはガイドブックにはないが、ホテルで紹介してもらった。Quincho(キンチョウ)というレストラン。店の前で肉をさばき、炭火で焼いている。

7時半に一番乗りで店に入り、ステージ前に陣取り、たまにはアルゼンチンの人並みに、夕食に最低2時間はかけようと、じっくりかまえることにした。まずはビールで乾杯。肉は、Lomo(ヒレ肉)、アバラ肉、Baby Beef 500g等を皆で分けることにしたら、レアの状態で、炭火の上に肉を置いた状態でテーブルに持ってきた。これを、適当に切り分けて、あまり焼きすぎないうちに食べる。これまで食べたどのステーキよりも美味い。塩味だけでも、焼きたてのやわらかい肉は美味い。

その間に、赤ワインを空け、ステージの生演奏を聞きながら、ゆっくり食事を楽しんだ。生演奏の前半が終わり、今までステージで歌っていた歌手が、自分のCDを持ってテーブルまでやってきたので、酔った勢いと、“Don’t Cry for Me Argentina”の歌がよかったので、その場でCDを買った。そのうち、隣のアメリカ人のおっさんが話し掛けてきて、場はますますにぎやかになってきた。そろそろ2時間になり、周りも満席になり、腹もいっぱいになったので、今度はデザートと、調子に乗ってドン・ペドロを頼んだ。例の、ウイスキーにアイスクリームを浮かべたもの。その後、シャンペンをたのみ、ステージの後半を聞いていたが、ついにダウン。Oさんと二人で先にホテルに帰った。他の3人は、結局12時ごろまで飲んでいたという。しっかりしていたのはMさんだけで、S君とI さんもついにダウンしたらしい。

翌日、二日酔いの頭を抱えながら空港に向かった。顔と、手足はたった一日で日焼けした。今の時期が一番いいようだ。夏になると、日焼け対策を十分する必要がある。しかし、この旅は、ホテルのサービスの悪さ等、細かい不具合は帳消しに出来るくらい全員満足して帰ることができた。Oさんのナイフは、結局、隠したところになかった。

一応、土地感もでき、レミスの運転手とも知り合いになったので、次回来るときは、団体旅行ではなく、自由の利く旅行にしたい。またホテルも見掛け倒しのリゾート4つ星ホテルではなく、ダウンタウンの安宿のほうが楽しめるだろう。今回、飛行機+宿(2泊朝食付き:相部屋)+見物料で、ひとり1,077Peso(約39,000円)。レミスの社長のつてで、JICA関係者のNさんに手配をお願いしたので、手配・安全等、何の問題も無かったが、空港のレミスのカウンターにあった案内書では、同じ2泊3日で625Peso(約22,500円)となっていた。地元の旅行社では、言葉の心配があり、初めての旅でも有り安心を優先したが、次回は安い方法も考えてみよう。



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