アルゼンチンから砂漠の国へ

2005年~2009年のオリジナル記事に、シンガポール時代の記事と、2009年以降のアメブロの旅行記を転記しました。

クアラルンプール独り旅

2020年06月19日 | 旅行
KL は小さなシンガポール
27~29 Apr. 1996

四月のある日、アパートで暇をつぶしながら、月末の3連休をどうしようかと考えていた。ハリラヤ・ハジの休日がある。イスラム教のお祭りだ。シンガポールは、中国人の正月、インド人の正月、マレー人のお祭り、みんな休みがあるのでいろいろな季節に旅行が楽しめる。

去年の正月はジャカルタ、今年のChinese New Year はバンコク、次のは・・・、何と言ってもお隣マレーシアのKLでしょう。シンガポールでは、地元の人はクアラルンプールのことをKLと呼ぶ。

早速、ガイドブックを見てホテルを探す。大名旅行じゃないので一流ホテルはパス。「マレーシアホテル」を見つけた。名前からして、たぶんまともなホテルに違いない。 (実は違っていた・・・。)ガイドブックにシングルM$63~85とあったので、直接電話してみると、ツインしか空いてなくM$118だという。日本円で一泊5000円弱、まあいいやとその場で予約。

(1口メモ)
マレーシアのお金Ringgit(リンギ)は、日本のガイドブックでマレーシアドルM$と表示されることが多い。当時のレートで1M$が45円程度。


買い物のついでに近所の旅行会社に寄って、航空券を予約しようとしたら、KLとシンガポールの間は、1時間ごとにシャトル便があるので予約は要らないと言う。



四月末の週末にカバンひとつぶら下げて、KL に到着した。タクシースタンドでは、事前にチケットを買うシステムで、これなら前回のバンコクのような、シロタクで失敗することもない。

街に近づくと、建設中の世界一高いペトロナスのツインタワーが見えてきた。運転手に行き先を告げるとすぐわかってくれたので、たぶんそれなりによく知られたホテルなんだろう。 と、到着してみると、「何だこれは、まるで場末の連れこみ宿のようだ。」(・・・ようだ、ではなく、ほぼ正解だった。)

とりあえずチェックイン。暇そうなフロントのおばさんが、胡散臭そうにキーを渡してくれた。シングルが満員でツインしかない? 誰も泊まっている気配が感じられない。気をとりなおして、荷物を置き、街に出ることにした。


いつものことだが、まずは本屋を見つけ、地図とバスのガイドを探す。バス路線の入った地図を見つけた。ミニバスはどこに行くのもM$0.6均一(約30円)、まずは都心に出てみた。ホテル周りの下町のいかがわしさと違って、都心は建物がイギリス風で、街はきれいで、シンガポールに戻ってきたような感じだ。街の中を歩いてまわり、次は観光ガイドにも紹介されているKL中央駅を見物することにした。地図で見ると、歩いて行くには遠い様なので、またバスに乗った。小さなバスだが車掌が切符を売りに来る。よっぽど人件費が安いんだろう。


10分ほどバスに揺られたら、バスは郊外を走っていた。駅は町の真中のはずだが?とりあえず一度バスを降りて地図で確認したら、もう地図をはみ出して郊外に来ていた。なんと、100万都市にしては小さな街だ。また気を取り直して逆方向のバスを待った。さすがに郊外に来るとバスの頻度が少ないようでなかなか来ない。仕方ない、街の中心に向かってしばらく歩き、すこし賑やかな所まで出てバスを待った。今回は、景色を見ながらそれらしい所で降りたら、何とか駅にたどり着くことが出来た。

駅前で、ばったり千代田化工のMさんにあった。横浜にいる人が、何でこんな所に?と思い声をかけた。1年ほど前に仕事でお世話になった人だが、今回はマレーシアに仕事があり、そこのお客を案内しているという。ヨーロッパからのお客さんが一緒だったので、挨拶だけして別れた。まったく世界はせまい。駅の構内で時刻表を眺めると、ここから列車に乗れば、シンガポールに帰ることも出来るし、タイのバンコクに行く事も出来る。プラットフォームにも切符もなしで出入りできる。無銭乗車をどうやってチェックするのだろう?


翌日は、まず国立博物館に向かった。バスをおり、地図を頼りにしばらく歩いてやっと到着した。休日だと言うのにいやに静かだ。入り口まで行くと、門は閉まり「ハリラヤ・ハジのため臨時休業」と張り紙がしてあった。「それはないでしょう。わざわざ見学に来たのに。」

仕方がない、次は近くのバードパークに向かった。さすがにここは家族連れでにぎやかだった。こんな公園では、どうも一人旅は居心地が悪い。こんどは、タクシーをひろって、国立記念碑に向かった。


一通り見物したあと、街に戻り、中華街で昼食。ホッケンミー(太めの麺のヤキソバのようなもの)を頼んだら、いつもシンガポールで食べる倍くらいなボリュームで、味もよく満足。下町のホーカーの風景はシンガポールのチャイナタウンと変わらない。

夜は、ホテルのバーを覗いてみた。客はテーブルに1組と、カウンターに遊び人風の男がひとり。カラオケバーのようだ。カウンターにすわると、ちょうどその男が歌い始めた。これがウマイ!マレー人だが、英語の歌がうまい。素人とは思えないほどだ。歌が終わると思わず拍手してしまった。このお兄さん、調子に乗って続けて数曲歌ったが、すっかり聴き惚れてしまった。

その後、シンガポールのカラオケスナックで、いつも英語の歌ばかり歌うようになったのは、このときの影響が大きい。

短い旅行を終え、翌日チャンギエアポートに帰りつき、ここは到着ロビーに免税店があるので、酒を買って支払おうとすると、パスポートを見せろと言う。どこから来たと聞くので、正直にKLからの帰りだと答えると、「マレーシアからの帰国の場合は、免税店は利用できません。」と、あっさり断られてしまった。聞くと、マレーシアは国内扱いで、外国からの帰国とはみなされないとのこと。初めて知りました。

ところで、あとでマレーシアホテルの噂を聞く機会があったが、下町で、ヤクザの出入りも多く、「よくあんな所に泊まりましたね。」と言われてしまった。



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