まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

高知屋旅館に泊まる2

2021-07-21 23:04:07 | 建物・まちなみ
高知の続き。



高知屋の2階には、大広間の他に4部屋続きの座敷もあった。


ここは端の部屋と中庭側にしか窓がなく眺望はイマイチだが、各部屋の境にある欄間が全部違うデザインの
透かし彫りで、見ごたえがある。


名所の風景や松竹梅などのおめでたいモチーフ。







床の間も小さいながら変化をつけてある


オウム柄の壷。かわいい~~


おや、このちんくぐり、見たことあるぞ。安田町の旧柏原邸で見たのと同じじゃないか!?
安田町とはずいぶん離れているが、やはり時代は昭和初期と同じ頃であり、廊下側の欄間には組子の障子が
使われているのも共通する。職人はあっちこっちへ出かけては邸宅や旅館を手掛けていたのだろうか。
それともこういうパーツは既製品として売られていたのだろうか。


夜の高知屋もまた風情があっていい。


さて、翌朝出発前に付近をちょっとうろついてみると、元郵便局か?と思しき建物があった。


壁は錆びたトタン板張りだが、横に回るとミントグリーンのペンキ塗りの下見板が残っていた。


そして美しい石積み!


チェックアウトしてから、すぐ近くにある旧本山簡易裁判所を見に行く。細長い縦長の窓が並び直線的なフォルムが印象的。
1952(昭和27)年完成。あぁ、戦後建築なのか。1987(昭和62)年まで簡易裁判所として使われた。
現在この建物は、本山町出身の作家、大原富枝の作品などを展示し顕彰する「大原富枝文学館」となっている。
私はその名を知らなかったのだが(汗)、『婉という女』などの代表作があり、各種資料が展示されている。


上空から見るとコの字型をしており、裏に向かって2つの棟が突き出している形。
あの1階の足元から2階の天井近くまで貫いた細長い窓は、階段室だった。明るく開放的だな!


当時全国に建てられた簡易裁判所の基本パターンを踏襲しているといい、確かに、画像検索すると出てくる
旧牛窓簡易裁判所など、そっくりだ。
文学館にするときにだいぶ改修工事が施されたと見え、内部はかなりきれいになっていたが、大原富枝の書斎を
再現したこの部屋はなかなか雰囲気がある。






この山間の小さなまちでいきなり目の前に現れて、はっとさせられた瀟洒な建物だった。
田舎だがしっかり運営されている施設という印象。うまく活用されて建物も幸せだな!


続く

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