まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

高知屋旅館に泊まる

2021-07-20 22:32:41 | 建物・まちなみ
高知の続き。


土佐山田を出て、まるでもう高知を脱出するかのように、ぐんぐん北へ走る。
今宵の宿、高知屋旅館は四国山地のど真ん中にあった。すぐそばを蛇行する吉野川の少し上流には早明浦ダムがある。
渇水のニュースでよくその名を聞く「四国の水がめ」であり、そしてあの吉野川の上流だったのかとちょっと驚く。


この本山町というところは、古くは官道であり参勤交代道でもあった土佐北街道の宿場町だったのだろう。
外観はまったく和風の木造旅館である。


入口のポーチと玄関の床が無釉の八角形タイル貼り。壁の立ち上がりにはストレートエッジの白無地タイルも貼られている。
1931(昭和6)年築なら、建築当初からのものだろう。


さて上がってみると・・・


おぉ~~~!?中央に大きな中庭があって、建物が四方を取り囲んでいる。そしてその一辺が、洋館なのだ!!


中央に三角の破風があり、おでこにはエンブレムが。その下に「T」の字のような形の飾りがついている。
それらは窓枠と共にかすかな緑色に塗られていて上品な佇まいを見せている。




中庭に面して和館の入口があり、中庭の植栽はまるで玄関のアプローチのようにも見える。中庭は直接外へ通じて
いないのに、不思議な造りだな。ん、それとも洋館の1階が外に通じていたのか?
洋館の1階は今は洗濯場になっていた。


洋館と和館は互いにめり込むように完全に一体化している。中はどうなっているのだろう。わくわく!


宿のご主人に案内されて私たちの部屋へ。洋館かな~!?
一応洋館の一部と思われる建物の角の部屋で、親戚の家にでも泊まりに来たような(笑)ベッドのある普通の洋室だった。


興味津々の洋館部分ももちろん見せてもらったら、廊下の窓だけ洋風で、内部はなんと純和室だった。えぇ~、そうなの!?
意外でびっくり。




他に泊まっている人はいないようで貸切状態。。


客室はすべて2階にあり、1階は宿の方の生活空間のようだ。




ところで私がいたく気に入ったのがこれ。共同トイレの前の廊下の窓の外に、手洗いがある。
昔うちの実家にあったのと同じ、TOTO製の小さくて丸っこい手洗いシンクが、外壁に直接取り付けられているのだ。
古い和風邸宅などのトイレでは水洗でなく手水鉢が庭に置いてあるのが元の姿であるが、あとから水道を引いて手洗いを
増設してあることも多い。もと戸袋だったところを改造して手洗いを作ってあったりするのもちょくちょく見かける。


ガラッと窓を開けて覗いてみると、、、ストーーーーン!!(笑)一直線!!
うひゃひゃ~~~これは面白い!!


通常は臭いが上がってこないように排水管の途中にS字型のトラップがあるものだが、もう潔いほどストレート!!
地上のマスがトラップになっているのだろう。
古い建物の苦心の作なのだろうと想像するが、何ともユーモラスな姿じゃない!?(笑)


さてここから対岸に当たる棟を見に行こう。さっきと同じような階段があって、1階は食事部屋、2階は大広間である。


おぉ、立派な大広間!


中庭と表側と両方に欄干付きの縁があって、広さは50畳ぐらいあるだろうか。
しかし今は長らく使っていないような雰囲気。。。




書院には鳳凰の透かし彫りが。


あぁ、ここにも雲形?唐草?の漆塗りの枠がついているな。奈半利の濱田典弥家住宅ではこの隅に色ガラスがはまっていた。
こういうスタイルは四国の邸宅ではよく見られるんだろうか。




続く

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