まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

旧田中家別邸 洗面所など

2020-03-08 15:26:12 | 建物・まちなみ
2月の鹿児島の続き。

だんだん地味になって来たが(苦笑)・・・もう少し続けよう。
ちょっと面白いスペースがある。それは台所の板の間からつながっていて、唐突に現れる洗面所。
まず建物内での配置が見慣れない。だいたい水場は離れになっていたり建物の端っこ、そうでなければ中庭に面した
場所などに配されていることが多いが建物の中央部にあるのでちょっと意外だし、同じ場所でも廊下側から
使う配置なら何となくしっくりくるのだが、ここは廊下に背を向けた配置なのだ。


玄関の床と同じ人研ぎの重厚な洗面台は洋風な感じ。足元に赤色の丸があしらわれているのは、
日の丸をイメージしているのだろうか!?(笑)


脇の袖壁は数寄屋風に節のある木材が使われていたり丸い窓がくり抜かれていたりする。
この丸が正円でも楕円でもなく、細い方を下にした卵型みたいな形で面白いな!


洗面所には二畳の小部屋がついている。


小さい空間だが網代天井や床の間など凝って作られている。


この部屋も竹が多用されていて、地袋の戸や床の間の天井の縁など細かいところに竹が使われこだわりが見られる。


炉も切ってないし開放的だし茶室でもなさそうなのだが、、、ん、それともあの洗面所が水屋代わりとか!?


関西を拠点に事業を展開していた田中省三氏、この家を建てるにあたり特殊資材はすべて阪神方面から運び込み、
技師や職人も招請したとか。


福山の山並みを借景とした庭園は1300坪あり、南国らしい明るい雰囲気。


石庭には数々の灯籠が配されている。田中氏は灯籠コレクターだったのかと思うほど、いろんなスタイルの灯籠が集められている。
自然石を積んだようなものから、中国風で細密な彫刻を施したものまで。また巨大なものから足元にうずくまるようなものまで。


お庭には桜やツツジが植えられ、春にはオキナグサがたくさん咲くとのことで、花の名所にもなっているらしい。
2月のこのときは梅が咲きかけていた。別の季節に来たらまたその時々の景色を楽しめるだろうな!


玄関脇にも下り龍の灯籠が鎮座。
その後ろはあの洋間の窓の外側。分かって見れば内部が洋間かなという気もするけど、最初に見た時は全く分からなかった。。


ところでこの窓の前に植わっていたキンモクセイの木に実がなっているのを見つけた。キンモクセイって実がなるのか!?
見たことないぞ。おばちゃんに尋ねたところ、これはメスの木で、毎年実がなって落ちた実から芽がニョキニョキ生えてくるとか。
小枝を1本折ってくれた。
植物に詳しい母親はこんなの知ってるかな!?写真をラインで送ってあげたところ、やっぱり珍しいらしく食いついてきた!!(笑)
「どこで見た!?」「お願い、押し花にしておいて!」「その枝を着払いで送って!」
植物を見るために国内外あちこち出かけている母親も見たことなかったらしく、後日その枝を博物館にも送ったとか。
だから鹿児島行くの誘ってあげたのに~~。日が合わなかったのだが、とても残念がっていた(笑)


いろいろ充実した旧田中家別邸。初日の夕方だけではもちろん見切れなかったので、3日目の午後にも立ち寄って
存分に楽しんだのだった。※写真は二度の訪問時のものを合わせています。
2回目来た時にはちょうど庭木の剪定業者が入っていて、高所作業車でワッサワッサと枝を切り落としていた。
キンモクセイも丸刈りに・・・(爆)

建物は保存してもなかなか庭の手入れまで予算が回らない施設も多い中、、、こんな大掛かりな剪定も、ずいぶん費用が
かかるだろうに・・・それだけ田中省三氏の功績が今も語り継がれ郷土の誇りとして大切にされているのだろう。
入場料も無料、グッズや飲食の販売もなく、お金を落とすところがないのがちょっと申し訳ないほど、素晴らしい施設だった。

初日の夕方に思わぬ素敵な寄り道をしてしまった。


鹿屋に向けて大隅半島を南下しているとちょくちょく打ち捨てられた構造物や空虚な草むらに気づく。
これは国分から鹿屋を経由して志布志までつないでいた国鉄大隅線の廃線跡だな。1987(昭和62)年に廃止されて
もう33年経つが、都心部と違いさっさと取り壊して再開発するでもなく、自然に朽ちて行くのを待っているかのよう。
この旅の間に廃線跡や鹿屋の駅跡なども見に行ってみようか。。


続く。

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