まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

雨の台南建築めぐり

2020-04-12 23:19:51 | 建物・まちなみ
2019年夏の台南の続き。

安平から戻ってきて、電動バイクのまままちなかでも中心部から比較的遠いところにある建築をめぐっていこう。再訪もあり。
仮設の大屋根に覆われているこちらの日式の木造家屋も修復待ちだろうか。すぐに手をつけられなくても
とりあえず現状維持しておくという着実な一手が素晴らしい。


こちらは巨大な赤レンガの建築、旧台南地方法院。現在は司法博物館として一般公開されている。
台湾総督府と台湾総督府博物館(国立台湾博物館)に並ぶ日本統治時代の重要な建築として、国定古蹟となっている。




昼間は晴れていたのに雨が降ってきた。。
おや、これは?チェックしていなかったけど古そうな教会。


「台南浸信会」と書かれている。検索してみると「バプテスト教会」のことで、プロテスタント系の教派とか。
この教堂は1953年、戦後の築らしい。
古典的な様式を踏襲したシンプルな形の教堂は厳かな雰囲気だ。ドアが閉まっていたので中は見れなかった。


こちらは愛国婦人館。アシンメトリーな建物で、1階がタイル貼り、2階が下見板張りで、八角形の窓も見える。
住宅のような温かみを感じさせるな!


「日本愛国婦人会」は社会的地位が高く教養も高い日本人婦人による社会貢献を目的とした団体であり、
この建物は南支部事務所として建てられた。
戦後は図書館としてなど使われたというが、図書館ってこの建物のイメージにぴったりだな!


2012年に改修され、現在は台南創意センター(台南創意中心)に生まれ変わった。内部は和風の間取りが残っているようだが
この時はもちろん閉館後で内部は見れなかった。


1階の外壁の二丁掛布目タイル。改修でも貼りかえたりしておらず建物の良さが失われていないのがうれしい。
足元の無釉モザイクタイルも。たかがタイルでも、これが新しいものに取り替えられていると「本物度」が全く変わるのだ。
なので古い建物の改修時には、たとえ古いタイル貼りが一部が傷んでいても全部貼り替えてきれいにするのでなく
欠損部分の補修にとどめてほしいな!


側面から見ると円柱の並ぶテラスで、全く違う建物のようだ。


円柱に貼られているニュアンスのあるモザイクタイルは山内逸三の山内製陶所の製品に似ている。
この建物は、現地の説明板には1940(昭和15)年に落成したと書かれているが、台南市市定古蹟のサイトでは
1920(大正7)年となっている。→こちら
タイルが後から貼られた可能性も否定できないが、使われているこれらのタイルは大正7年よりも後の時代のものだろう。
建物の雰囲気から見ても昭和の建物という気がするし、帝国ホテルよりも前なんてまずないと思うなぁ。


日が落ちてシャッタースピードが落ち、苦しいが・・・まだ行く(笑)
こちらは、現在台南市南門電影書院となっている、旧台南放送局。1932(昭和7)年築。
愛国婦人館と同様こちらもアシンメトリーな構成で、2階の窓は左側が矩形、右側は八角形というユニークな外観だ。


1階も左にはスチールの面格子、右にはコンクリートの透かしブロックが。この時間ではもちろん閉まっていた。。。


外壁のタイルは二丁掛の型押しタイル。幾何学模様で白っぽい色からもかなりモダンな印象を受ける。
放送局という建物の用途から、新しい時代のイメージを取り入れたのだろうか。


旧台南放送局の建つ南門公園の中にある、大南門。清代に台南の市街地の防御のため城壁が築かれた。
大南門は14箇所あった門のうちのひとつで、1736年築造。


あぁ、もうさすがに見えないな・・・宿へ戻ることにしよう。
帰り道でライトアップされていた台南文学館の裏手。


旧台南警察署は台南市美術館1館として2019年にオープン。
記憶では、以前は赤い色だったと思うが、何かイメージがずいぶん変わったな。。。


他の都市でも警察の建物は赤い色をしていて、それも赤レンガよりも赤く、ペンキかと思うような色をしている。
赤レンガ建築がくすんできたので鮮やかに塗り直したのだと思っていたが、何と、戦後に警察機関として統一するため
赤い色の塗料が上塗りされたのだとか。そうだったのか!!そしてこちらではオリジナルのタイルの色に戻したという。すごい!


こちら嘉南農田水利組合(旧嘉南大圳組合事務所)。嘉南大圳組合は烏山頭ダムの建設にあたり設立された組合。
嘉南大圳は烏山頭ダムとそこから嘉南平原に毛細血管のように広がる水路網で、1930年(昭和5)年に竣工している。
この建物は1940(昭和15)年に建てられたもの。


こちらは呉園芸術文化センター(呉園芸文中心)の中にある旧台南公会堂。
清代末期に台南の豪商呉春貴氏とその子呉尚新が古い庭園を修築し、呉園という名庭園を作っていたが、日本統治時代に入って
集会所の建設計画にあたり呉氏の後裔が三千坪の呉園の土地を譲渡し、呉園の一角に「台南公館」が建てられることとなった。
1911(明治44)年に竣工。その後時代と共に呉園の敷地内にいろんな建物が増築され、国民政府に徴用されたりしながらも
現在まで台南の人々に親しまれてきた。


現在はアートの展示など様々な芸術文化活動の拠点となっている。この建物の裏には今も池のある庭園が残り、
日本時代の料亭も再現されているとか。
この時間でも入口が開いていたので、ちょっと中に入って見学することができた。この公会堂の歴史に関する展示も充実していた。


まちなかに点在するこれら歴史を刻んだ建物は、時間的・空間的奥行を与える、都市の財産と実感する。
これらの建物は何度か見ているものの、いつも駆け足で外観だけで内部を見ていないところが多い。
近年公開された施設もあり、また一度じっくり内部も見てみたいな。

この一風変わった民間の建物。元は何だったんだろう。


これは蛾か!?


ホテル近くのビル。これもタイルだ!かわいい~~~


今日は一日よく動き回ったなぁ!
ご飯食べて帰りにレモンのドリンクを買ったらおまけでLサイズのカップもうひとつ付いてきた。そんなに飲めん(苦笑)


サービスカット(笑)。安平で食べた氷。


続く

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