[2010年4月 改編]

房総と言ったら海ですね→
それでも普段片道200km~300kmは当たり前の遠い山に出かけているわたしにとって、この距離はその半分にもならない。
遠出する元気はないけど自然にふれあいに行きたい…、そんな時には救われる近さです。
県内を南下するだけなので、市街地を通過することがない分、ストレスも緩和されます。
伊予ヶ岳は標高も337mとかなり低い山ですが、ご存知 関東平野の中でも千葉県は他に類を見ないほど標高の低い土地で、平均海抜は40数メートルだそうですから、伊予ヶ岳でもかなり立派な山に思えます。
登山口の高さも海抜およそ63mしかないそうです。
前述の通り、心が凹んで気力に欠ける日々を送っていたプカプカは、ついに地元の山に甘えることにしました。
初めての1000m以下です。
1月下旬の伊予ヶ岳はあったかくて緑がいっぱいでやさしい山でした。
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一般的なコースタイム
平群天神社登山口→50分→南峰→10分→北峰(山頂)→10分→南峰→30分→平群天神社登山口
【合計:100分】
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所在地:千葉県南房総市
コース難易度:初級者向け
登山口:平群天神社
標高差:累積275m
水場:なし 駐車場:平群天神社前(無料) トイレ:平群天神社前

登山口は平群天神社と小学校の間にあります。
車で鳥居をくぐって入ると右手に駐車場。トイレ舎はすぐ脇にあります。きれいです。併設する平群小学校の前にも駐車スペースがあるけど、ここは学校関係者専用のようで「平日はここに駐車しないで下さい」という看板が立ってました。

8:50 平群天神社登山口
登山口を案内する看板を頼りに進んで行くと、
いきなり目の前に伊予ヶ岳の姿が見えます。
「あっっ!葉っぱだ~っ」
近頃すっかり冬枯れて見ることのなかった
若々しい色をした葉っぱが、たくさん茂ってました
名前も知らない、イタリアンパセリのような
かわいい葉っぱに飛びつくプカプカ。
ところが辺りを見回すと葉っぱはそれだけじゃありません。
目線の高さの木々や草は枯れているのに、
足元の地面は若くてしっとりとした葉っぱがたくさん茂ってるんです。
1月ですよ?真冬ですよ?
この頃の山ではいくら探しても見つけられなかった葉っぱ達。
ここで出会えたことがプカプカにはこの上もなくうれしかったのです
「山の中にも葉っぱがたくさんあるかなぁ」
ちょっとワクワクしてきました。
ちょっと歩いて行くと針葉樹の植林帯に入りました。そこにはなんと若くてきれいなシダ系の葉っぱが無数に生い茂ってます。
感動。ここは、この山は、一体今何月なの?
まるでついこの間生えてきたみたいに新しい葉っぱばかりです。
竹林です。まだこんなに青いなんて…
ジィィィィ~ン(←感動の音)
サワサワサワと心地よい葉の揺れる音が聞こえます。
そして歩くたびにすぐに地べたにしゃがみこんで葉っぱを観賞するプカプカ…
他にひと気がなくてよかった
何か珍しい植物が生えてるわけでもないのに、目の前でちょこまかとしゃがんで葉っぱを眺めている人って多分、傍目には変ですよね?
始めはこんな杉林ですが、
歩いているとすぐに雰囲気が変って明るい自然林の森になります。
ああ、気持ちいいなぁ
葉っぱ
木漏れ日
朝陽の差し込む山道は
何もかもが美しく見えました。
多分それは 今が真冬だから。
寒い寒い季節の中で、突然こんな緑の世界に入ることができた時、感動は夏のそれの数倍あると思います。
木漏れ日の輝き方が違うんです。
もしかしたら空気中の湿度が高いせいかも。

この木何の木 木になる木…
クスノキ?シイノキ?
この変わった木肌の木がたくさん生えてます。
千葉の房総には照葉樹(しょうようじゅ)という木種が多く見られるのが特徴なのだそうです。
これが照葉樹なんですね~。
この葉っぱ、冬の間中散らないのかなぁ…
この山の土は少し粘質があって、今日は地面が湿っているせいか少し滑りやすいです。スパッツ忘れちった。

変わった形の土の塊がまるで岸壁のように大きく固まってます。
石のようでもこれ、硬い土なんです。
群馬県の荒船山の土によく似てます。
こんな時は…
「(ポク、ポク…)おんもしろ~い」
手にとってポクポク割るのです。
時々ゆるやかな石段も登場します。苔蒸した地面としっとりとする空気。
さっき見つけたシダ類の葉っぱは 山中至る所に生い茂ってます。
ここから一旦下山して民家や田畑の間の舗装された道路を一時間以上かけて歩いて行くと 富山(とみさん)にも行けるそうです。

トンネルをくぐるように森の中を歩いていきます。
冬の山で聞こえることのなかった、たくさんの野鳥の声。
すごくほっとする…
うぐいすのような緑色をした小鳥がよく目に入りました。
何度も言いますけど、今は1月です。
山が山なら厳冬期です。
なのに今わたしは、立ち止まって野鳥の声に静かに耳を傾けている。
いい気持ちだな…

なんか、南国の雰囲気を感じます。
ここの植物達。

すっかり落葉した木の幹に、青い葉の茂ったツタが巻き付いていました。
不思議だ~ きれいだな…
でもちょっと、木が苦しそう

伊予ヶ岳の山頂付近が近付いてきました。

9:55 展望台
(嶺岡中央林道分岐)
山頂岩部に取り付く手前にベンチとテーブルのあるあずまや。この前が展望台になってます。ここからの眺めもまた絶景。
山頂が混み合っていたり風が強かったりした時はここで休憩してもいいかもしれないけど、富士山や東京湾の方角はここから見えません。

ロープが数箇所、鎖場が一箇所。
足がかりになる場所が少ない上に細かいザレ地が踏み場になってて足場の安定が少し悪いです。
今日はさっきまで粘土質の湿った土を歩いていた為、靴底に付着した泥で滑りやすくてちょっとだけ苦戦。でもしっかりとロープを頼りにしていれば大丈夫。手袋は必須だな~。 (岩場に慣れてる方だったらこんなの素手でも余裕ですね)
いくつかの岩場を楽しみながら(なんつってゼィゼィしてんだけど)登っていくとやがて山頂に出ます。

伊予ヶ岳は双耳峰で南と北に分かれてます。
この南峰はガイド本では標高320m。向かいの北峰が337mで三角点も設置されてますから、この看板のある場所は正確には山頂じゃないそうです。
こちらの山頂はそんなに広くないけど展望台もあるしテーブルもあるので休憩適地。
山頂からの展望は360度!最高です~
麓から見えていたツーンと尖がった岩場の先端は
鉄柵で仕切られてます。
柵から身を乗り出して絶壁の下を覗くと、
岸壁が大きな人の横顔のように見えました。
(わかるかな?)
そしてここから見える富山。うう~んこの眺めは本当にいいなぁ。
山頂の近くまで車道が通っていて、山頂は展望公園になっている観光地的な山です。
伊予ヶ岳とあわせて登るのが定番のようですが、車ですぐ登れてしまう山は行楽やドライブの人がいたりして、うるさい場合が多いので、わたしは行きません。
富山の向こうに見えてるのは東京湾なんですよ。富士山・箱根・伊豆半島・三浦半島・丹沢山塊…展望のいい日は遠くアルプスまでが見えるんですってよ~まさかぁ昔の話じゃないのかなぁ
富士山は肉眼でやっと山頂の雪だけが薄っすら見えるだけでした。写真に撮ってもわかりません…残念

↑これが ↑こんな感じ
ここから10分で北峰まで行けます。さて行ってみよう

←さっきまでいた南峰です。北峰の山頂は狭くて休憩には適していないようです。(2010年後記:今は北峰も少ーしだけ広くなって眺めもよく1,2人位なら休憩できるようです)
登山開始前におにぎりを食べてからまだそんなに時間がたっていないのでお腹が空いてないし、充分楽しんだので下山します。

この山は湿度が高くて空気も少しムワ~ンとして、まるで南国のような質感です。植物と土のむせるような独特のいい匂いが山中に漂ってました。
伊予ヶ岳の中は冬じゃありません。
この間まで寒さに震えていたせいか、
まるでもう春の訪れに触れるような錯覚に陥りました。
「紅葉の見頃は12月」というからどれほど温かいのかと思ったけど、まさかこれ程とは…
地元で遊ぶことがあまりないせいか、
今まで気付きませんでした。
千葉県南部の山はあったか~い
その後も何度か伊予ヶ岳に行ってます→(2009.4)(2010.01)