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F & F嫁の “FFree World”

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音楽の国のアリス

2010年03月04日 | Cinema & Musik

F log

( コメント欄文字化けのためタイトルを変更しました )




2 日の火曜日。
仕事が休みの F は、川崎駅で外回り帰りの F 嫁と合流。
初めて訪れる ミューザ川崎シンフォニーホール へと向かう・・・


前に腹ごしらえを(笑)


やはり駅直結のショッピングモール ラゾーナ川崎 に行ってみる。
広場でキョロキョロしていると、あらら?? あのショップはもしかして・・・


本筋から外れるので、そのショップと食べた話はまた後日。













川崎駅西口から雨に濡れずに歩ける通路があり、その先にシンフォニーホールがある。



東芝グランドコンサート 2010




今年で 29 回目となる歴史ある冠コンサート。
チケット争奪戦に出遅れた我々は、最上階の 4 階席。
ミューザ川崎シンフォニーホールは、裏舞台を持たない純粋な音楽ホールだが、その構造がちと特殊。
トップ写真は座席位置からの視界だが、おわかりだろうか左右が非対称なのが。


上手にコンサート・グランドが置かれているが、その白い壁の上にある座席を左右比べてみれば形が違う。
さらにパイプオルガンの共鳴管 ( でいいんですか ? 師匠 ) の左右に上の階の席が繋がっているが、
右側が 3 階席、左側は 4 階席なのだ。


わかるかなぁ~ 
パイプオルガン左側は F の撮影している席まで延びており、右側は画面の左下に見える 3 階席に繋がっている。
いうなれば連続しない螺旋状に座席が配置されているのだ。ここまで左右非対称なホールは珍しいのでは。


座席は素晴らしい造り。
背もたれもたっぷりとしており、前後席の高低差も十分。
少なくとも我々周辺の 4 階席に関しては、フットスペースも含めまったく問題なし。
ゆったりと音楽を楽しむことができた。








さて、前の記事にも書いたが、出演者と演奏曲目はこちら。


演奏
■サカリ・オラモ(指揮)
■ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団(管弦楽)
■アリス=紗良・オット(ピアノ)


演奏曲目
■シベリウス:交響詩「エン・サガ(伝説)」作品9
  Sibelius: “En Saga” Symphonic Poem, op.9
■チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23/アリス=紗良・オット(p)
  Tchaikovsky: Piano Concerto No.1 in B flat minor, op.23
■ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 作品95《新世界より》
  Dvorak: Symphony No.9 in E minor, op.95 “From the New World”




交響詩 「 エン・サガ 」 は初めて聞く曲。
協奏曲前の気楽な小品かと思いきや、たいへん規模が大きく立派な曲。
北欧系の雰囲気がすると言われればそうか。
弦のパートが分奏になるところ、1 列おきに互い違いにボウイングが逆になっていて面白かった。
その効果を聞き分けるだけの耳を持っていないのが残念だが。


ロイヤル・ストックホルム管弦楽団は、見た感じベテラン揃い。
北欧系の色白の人が目立つ。
ノーベル賞受賞記念式典での演奏でも知られている。


指揮は現首席指揮者兼芸術顧問である同国出身のマエストロ、サカリ・オラモ。
あのサイモン・ラトルの後任として、バーミンガム市響を率いた俊英である。
なんとまだ 45 歳。
生まれ故郷に戻ってルーツを共にするオケと、これからの活躍が期待される。










GRD3 ( トリミング )





1 曲目が終わり盛大な拍手が一段落すると、楽団員はいったん退場。
客席の観客はそのままで、ピアノの移動が始まる。
最初はトップ写真のように上手側に寄せられていたコンサート・グランド。
扇状の段差が白い線からスルスルと沈み、床がフラットになる。
そこを係員にそっと押され、静かにステージ中央に据え置かれる。


気づいたとき 4 階席しか空いてはいなかったが、その中では多少選べた。
この角度にしたのは、顔と手元がギリギリ見えると推測して。
もちろん今夜のソリスト、 アリス=紗良・オットちゃん のだ






Die Pianistin Alice Sara Ott | Video des Tages



この 4 分少々の映像。
1 : 36 頃に写る鮮やかなグリーンのドレス。この日もこの衣装で登場したオットちゃん。
映像のとおりスリムで颯爽と歩く姿がカッコイイ。
にこやかにお辞儀をしてピアノの前に座る。
後ろを歩いてきたマエストロ・オラモも指揮台へ。


ここでハプニング発生



指揮台の上でマエストロが慌てている。
なんと譜面台にはこれから演奏される、チャイコフスキー・ピアノ協奏曲第 1 番の楽譜が置かれていなかったのだ。
といっても当初、観客は何が起こっていたのか分からずにざわつくばかり。


「 Sorry・・・ 」 と言ってマエストロは指揮台を降り下手側に早歩き。
楽譜を両手で受け取るときに深々とお辞儀をした。
ここでようやく観客にも事態が飲み込め、どよめきが笑いとともに拍手へと変わる。
オットちゃんも爆笑に近い笑顔。ここでソリストの緊張がいったんほぐれたことだろう。
舞台監督は激怒しているだろうけどね






マエストロもオットちゃんもそこはプロ。拍手が鳴り止むと一瞬にして真剣勝負モードヘ。
指揮棒の一閃でチャイコ先生の大作が始まった。


テンポは遅めだった。
出だしからドカーンとくるかと思いきや、やや抑え目な印象。
それにしても RSPO の金管は上手い。
チャイコにしてもドヴォにしても、金管がバリバリ鳴らすところだけでなく、ホルンの消え入る寸前の弱音など、
高い天井に柔らかく反射する響きがたまらない。


最初は抑え目だったオットちゃんも、指先が温まって来るとパワー全開。
お尻が軽く浮き上がるほどのフォルテ。
同時に弱音はうっとりするくらい美しい。
長い髪を揺らし目を閉じた顔をゆっくりと上げ、慈しむように音を生んでいく。
ホールの良さもあり、遥か上空の席にまで右手の小指でそっと触れたピアニッシモがやさしく響く。


以前の記事 で YouTube の映像を貼ったが、第一楽章のカデンツァでは密かな試みを実行した。
直前で双眼鏡を覗くのを止め、目を閉じてカデンツァを堪能した。
そう、そこだけ F の聴覚ではソロのリサイタルになったのだ。








長い第 1 楽章が終わる頃には、満席のホールの誰もがオットちゃんに魅了されていたはず。
4 階から 8 倍の双眼鏡 ( コンサート・グランドの全長がピッタリ収まる ) を覗くオヤジはもちろん、
ヴァイオリン前列のオヤジ奏者団まで、オットちゃんの演奏する後ろ姿を見ながら相好を崩している。
彼らの娘くらいの年代か。可愛くてしょうがないのだろうな。
大好きな第 2 楽章のプレスティッシモは、弦の奏者がノリノリで楽しい演奏になった。




それにしてもロイヤル・ストックホルムフィルの金管は上手い。
アタックは強いが耳に突き刺さらず心地よい。
器としてのホールの響きもそれを助けているのかもしれない。


そして普段バレエの伴奏ばかり聴いているからだろうか。
弱音のホルンでもまったく危なげがないことに、心から安堵す(笑)
外国ツアーを行うようなメジャーオケなら当たり前かもしれないが・・・







GRD3





終楽章。
金管のことを褒めたが、打楽器も良い。
ティンパニの音は好みである。 F 嫁は別の打楽器奏者にハンサムさんを発見してうっとり(笑)
しかし第 3 楽章の主題はいいなぁ~
指揮のサカリ・オラモはたっぷりと旋律を歌わせてくれて満足。


オットちゃんも先般の CD よりもさらに情熱的な熱演である。
この東芝グランドコンサートの出演もこの夜が最後。
短期間に 4 回の共演ということもあり、オケとのコンビネーションも申し分なかった。
終盤、主題の再現直前の盛り上がりも最高。
たっぷりと間をとった後、マエストロとのアイコンタクトからのトウッティは鳥肌ものであった。
4 階席まで届く間にピアノとオケの音が溶けあって、なんとも心地良い。
たたみ掛けるような両手の動き。もはや残像しか残らない。
CD を聴いてから熱望していたオットちゃんの生演奏を身体に染み込ませることができて幸せだった。





「 ブラヴォ~ 」 の声があちらこちらからかかる。
会場中からの大きな大きな拍手の中、お辞儀を繰り返すオットちゃん。オケの皆さんもニコニコしている。
何度目かのカーテンコールの後、オットちゃんはスッとピアノの前に座った。
おお!! アンコールか??




「 ショパンのノクターン 嬰ハ短調 」




彼女の日本語はほとんどネイティブなので、そのままそう言ったらしいが、ノクターンの後がよく聞こえなかった。
ミューザ川崎シンフォニーホールのサイトは素晴らしく、その日の アンコール・ピースをアップ してくれるのだ。


カデンツァで疑似体験(笑)したソロリサイタルが実現したのだ。
先日発売されたショパンのワルツアルバムに収録されたボーナストラックであるノクターン 嬰ハ短調。
これはものすごく・・・いやこんな陳腐な言葉では表現しきれないほど美しい演奏だった。


やわらかな、しかし物悲しいテーマがホールに広がる。
オットちゃんは全身を使って音楽を生むために奉仕していく。
ほんの少しだけ救いの見える中間部。
音楽はますます純度を増して客席で聴き入る人々、いや楽器を持ったままのオケのメンバーにも染みわたる。
中間部の最後の弱音が鳴らされたとき、音の行方を追って思わず顔を上げてしまった。


このまま永遠の時続くかと思われた沈黙の後、たっぷりの間とともに再現部が始まった。
ということは確実に終わりが近づいているのだな。
静まり返るホールに最後の一音が生まれて・・・ゆっくりと消えた。
幸いフライング拍手する輩もおらず、オットちゃんの手が鍵盤の上で止まり余韻を楽しんでいる。
その後、ものすごい拍手に包まれたのは言うまでもない。




繰り返されるカーテンコール。
オットちゃんは背後の席まで丁寧にお辞儀をしていく。
下手に去る際の鮮やかなグリーンのドレスと、なびく長い髪がいつまでも印象に残った。
日本ではチャイコフスキーの協奏曲が人気でよく依頼されるというが、他の曲もぜひ聴いてみたい。
またソロのリサイタルもぜひお願いしたいところだ。( 将来的にはバッハも )
今度はペダルの動き、ハンマーの音が感じられるくらい近くで聴きたい。












休憩中にピアノがかたずけられ、後半のドヴォルザーク交響曲第 9 番になるのだが、たいへん申し訳ないがレポはここまで。
オケは上手いしマエストロ・オラモもたいへんな熱演だったが、どうしても好きになれないのだこの曲。
短調好きなのにね(笑)
F 嫁は交響曲第 9 番を通しで聴いて、どうして自分のダンナが嫌っているのか分かった、と言うが・・・














さて 19 時から始まった演奏会。
オケがアンコールを 2 曲弾き終わったのが 21 時半近く。
どうやら 2 階でマエストロとオットちゃんのサイン会が催されるようだ。


遥か高みの 4 階から降りて行くと、2 階のロビーは大勢の人でごった返していた。
さすが人気が高い。100 人以上の列が既に出来ていた。
サインをいただける条件は、プログラムか CD のお買い上げ。
CD を持っている我々は 1,500 円のプログラムを購入していた。


人数が多いので係の方からの注意事項は多岐に渡る。曰く・・
 「 サインはおひとり 1 ヶ所のみにしてください 」
 「 CD、プログラムは所定の個所を開けてお待ちください 」
 「 日付や名前を入れてくださいとのリクエストはご遠慮ください 」
 「 握手も禁止といたします 」
 「 写真撮影も禁止とします 」
 「 お待ち合わせは 1 階のロビーでお願いします 」


最後のはマエストロの列に並んでサインをもらった人が、オットちゃんの列に並んでいる同行者をその場で待ってダメという厳しいもの。
どうしてもソリストに人気が集中して列が長くなってしまうのは仕方ないだろう。
マエストロにいただいたサインはこちら。ちなみにホワイトのペンは自前だ。
白バックのための黒サインペンと、黒バックのための白サインペンは出待ちの必須アイテムである(笑)


そしてようやくオットちゃんにいただいたサインはこちら。





GRD3



大胆だ。じつに大胆。


ショパンアルバムのジャケ写だが、右手の横が Alice の 「 A 」 だろう。
そして大きな〇は Ott の 「 O 」、左腕と平行に走る 2 本のラインが 「 tt 」 か。
特筆すべきはその大きさと太さ、力強さ。大きさは こちらをご覧いただければわかるかも。
A4 サイズの写真いっぱいを使って、伸びやかに書かれた男らしい(笑)サイン。


係員は急かすものの、丁寧にサインしその都度 「 ありがとうございます!! 」 と完璧な発音の日本語で御礼を言う。
その声と笑顔はものすごく可愛らしい。う~む、オジさんノックアウト






やたら長いうえに中年オジが身悶えするうすら寒いレポだが、当日の演奏会が素晴らしかったのはまぎれもない事実。
アリス=紗良・オット ちゃんは、間違いなくスターになる逸材だと思う。
今後も演奏会が予定されていたら、ぜひ聴きに行きたい 21 歳の若きピアニストである。






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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ココ音響はどうでしたか? (トミー)
2010-03-04 22:44:37
フライングコメントお許しください。

サラさん綺麗ッ!美人は得ですね~。
ましてや才女だし、ファンを掴む力もお有りのようだし、、。
結構男っぽい性格にお見受けしましたが...。(^^ゞ
演奏会のレポを楽しみに待ちまーす。
サインも見られそうなヨ・カ・ン。

返信する
勝手ながら・・・ (F)
2010-03-04 22:54:21
トミーさん、今晩は!!


記事を書きなおしましたので、勝手ながら頂戴したコメントを移動させていただきました。
申し訳ありませんが、ご了承ください

サインの通り、男らしい性格なんでしょうか(笑)
でも笑顔がすごくカワイイんですよぉ~
やはり半分日本にルーツがあるせいか、親しみやすい表情が見られます。
そして日本語が通じるというのは素晴らしいですね
日本では確実に多くのファンを獲得することでしょう。

いまショパンのアルバムを聴きながら書いてます。
トミーさんも機会があったらぜひご覧ください。
返信する
ありがとうござぇやす (音咲か爺さん)
2010-03-04 23:40:17
いやはぁー おじいもノックアウトだべさ

なまら めんこい 娘っこでないかい

素晴らしい レポートに 感服つかまつりました
返信する
ご注目ください (F)
2010-03-06 05:32:12
音咲か爺さんさん、おはようございます。

はい、カワイイのはもちろん演奏の力量も、伝わってくる性格も、
国際舞台で活躍する演奏家にピッタリです。
今後も様々な舞台で成功を収めていくでしょう

返信する
ミューザ川崎 (sora)
2010-03-09 22:30:57
こんばんは。
4階で聴くピアノは良く聴こえましたか?

>ホールの良さもあり、遥か上空の席にまで右手の小指でそっと触れたピアニッシモがやさしく響く。

私は以前3階の左側近くに座ったのですが、ピアノがえらく聴きづらくて、ホールのせいなのかと思っていましたが。あと、協奏してるからかな?とか。(一応蓋が開いてる方の右側に座った方が音が良いと、どっかのサイトで読みましたが。)

>4 階席まで届く間にピアノとオケの音が溶けあって、なんとも心地良い。

私このホールすごく好きなんです。
クリアな音色で良いですよね。曲によってはもうちょっと響いた方が良いような気もしますが。
とはいえまだ数回しか行ったことないので、今年はもうちょっと出向くつもりです。

☆先週末、コジョカルちゃんのロミ&ジュリ、ゲットしましたよ!!イープラスで買おうとしてて、Sにしようと思ったら全然繋がらず、しばらくして2階A席(サイドですが)を購入することができました。
以前にロイヤルバレエが来た時に、直前の安売りでシルヴィアと眠りに行ったのであんまり混んでないのかと思ったのですが、やっぱり売れるんですね。
パリ・オペラ座とかも。
全然バレエも分かりませんが、コジョカルちゃんは観とかないとやっぱりだめなのかな~と(笑)
返信する
再訪希望 (F)
2010-03-10 22:10:50
soraさん、今晩は!!


コメントありがとうございます。
少なくとも私の席では非常によく聞こえました。
静まり返ったホールにピアニッシモの単音が響くのは快感でした。
一回だけで知ったかレビューを書いてますが、私もこちらのホールは気に入りましたので、
機会があればまた聴きに行きたいと思います。


ウチもコジョカルちゃんのロミジュリのチケット取れました。
前回の来日公演は踊れなかったので今回は競争率が高いと思います。一日だけですしね。
個人的にはパリオペは好きじゃないので観ませんが、ロイヤルはもう何日か観たいと思ってます。
キャスト詳細がわからんことには動きようがないのですが・・・
soraさんは初コジョカルでしょうか。お楽しみいただけると嬉しく思います



返信する

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