経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

激減した 中国向け輸出

2019-02-22 08:00:36 | 貿易
◇ アメリカ向けはいぜん堅調 = 財務省は20日、1月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は5兆5700億円で前年比8.4%の減少。輸入は6兆9900億円で0.6%の減少だった。この結果、貿易収支は1兆4200億円の赤字となっている。輸出は2か月連続の減少、輸入は10か月ぶりの減少。収支の赤字は4か月連続だった。

特に目立ったのは、中国向けの輸出が予想以上に減少したこと。輸出額は9581億円で、前年比では17.4%も減っている。12月も7.0%減少しており、中国向け輸出の変調が際立つ形となった。品目では電子回路等の機械、半導体製造装置などが激減している。これは米中貿易戦争の影響もあって、中国のIT関連生産が落ち込んだ結果だと考えられる。

中国経済の不振は、東南アジア諸国にも波及してきたようだ。このため1月は、アジア向けの輸出も13.1%減少した。タイやフィリピンなどの諸国が日本から部品などを輸入し、組み立てて中国に輸出する工程が細ってきたためだろう。またEU向けの輸出も、前年比2.5%減少した。EU経済も、このところ低調になってきている。

そうしたなかで、アメリカ向けの輸出は堅調を持続した。1月の輸出額は1兆1400億円。前年比で6.8%増加した。増加は4か月連続。このように1月の輸出は、海外各地域の景気動向を如実に反映したものとなっている。日本企業の業績もアメリカ向けの輸出が多い企業と中国向けの比重が高い企業で、二極化する傾向になっている。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +32.74円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“原発の時代”は 終わった! (下)

2019-02-21 07:46:56 | 原発
◇ 原発のコストは高かった = かつて原発の新設が盛んだったころ「発電コストは原発がいちばん安い」というのが常識だった。電気事業連合会が03年に発表した資料では「1KW時の電力を造るコストは原子力が5.3円、石炭火力が5.7円、石油火力は10.7円など」となっている。ところが11年の東日本大震災で、このコスト計算は大幅な変更を迫られた。安全対策費などが急増したほか、廃炉の費用まで計上するようになったからである。

この結果、現在の原子力による発電コストは、石炭火力の1.5倍だと試算されている。さらに、まだ計上されていない放射性燃料の最終処分費を加えれば、コストはずっと高くなるだろう。いま旧電力業界は16年に始まった自由化で、新規参入企業の攻勢を受けている。そんなときに、地域住民からも嫌われコストも高い原発は敬遠せざるをえない。それが廃炉のラッシュにつながった。

廃炉のコストは、けっこう高い。小型の玄海2号機でも365億円かかる。高速増殖炉もんじゅは3750億円。日経新聞の集計によると、原子力施設すべての廃止には6兆7000億円が必要だという。このうち商業用原発は各電力会社が積み立てているが、研究用は準備がない。結局は料金と税金を通じて、消費者が負担することになる。

政府のエネルギー基本計画によると、30年の電源に占める原発の比率は20-22%となっている。現状からみると、この比率は達成できそうにない。その不足分は太陽光など再生可能エネルギーで埋めるのが理想的だが、政府はそのための施策をなにも講じていない。日本にとって最重要なエネルギー計画は、いま宙ぶらりんのままになっている。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +128.84円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“原発の時代”は 終わった! (上)

2019-02-20 08:11:05 | 原発
◇ 廃炉決定・検討中は26基に = 九州電力は先週、玄海原発2号機(佐賀県)を廃炉にすると発表した。玄海2号機の出力は55万9000KWと小型。1981年3月に稼働したが、東日本大震災後は運転を停止していた。廃炉にする理由は、震災後に強化された安全基準を守るための費用が掛かり過ぎるため。老朽年数を考えると、再稼働させても採算が取れないと判断した。九州電力によると、廃炉に必要な費用は365億円。

東日本大震災の前、日本には54基の商業用原発が存在した。そのうち福島第1原発を含め、玄海2号機までで計26基が廃炉を決定もしくは検討している。残りは28基だが、これまでに原子力規制委員会の審査に合格したものが15基。うち再稼働しているのは9基、残りの13基が審査待ちというのが原発の現状である。

日本には商業用原発のほかに、原子力開発研究機構などが保有する研究用の原発もある。たとえば高速増殖炉もんじゅ(福井県)や東海再処理施設(茨城県)など。これらも結果的に失敗したり、老朽化したりして、多くが廃炉の決定を下された。原子力技術の喪失を心配する声もあるが、後継機を造る計画はいまのところない。

原発の新設は、きわめて困難な情勢だ。したがって商業用原発で審査を待っている13基がすべて合格したとしても、日本の原発は最大限28基という計算になる。だが審査で不合格になったり、老朽化が進んだりして、実際に稼働する原発はもっと減るに違いない。原発に賛成・反対の議論を飛び越えて、現実は“原発の時代”の終わりを告げていると言えるだろう。

                           (続きは明日)

       ≪19日の日経平均 = 上げ +20.80円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トランプ大統領の 頭のなか

2019-02-19 08:28:17 | トランプ
◇ 選挙の票しか考えないぞ = またビッグ・ニュースを造り出してやった。議会がまとめた修正予算案に署名した一方で、大統領の権限を使って非常事態宣言を発令。国防予算などの使途を変更して81億ドル(約9000億円)の財源を捻出、メキシコ国境のカベ建設を強行するんだ。修正予算案にはカベ建設費が13億7500万ドルしか入っておらず不満だったが、これに署名したことで国家機関の一部閉鎖は回避される。これで無党派層の支持も取り付けられるに違いない。

カベ建設を強行する姿勢を打ち出したことで、保守層の支持はさらに強まるだろう。民主党との関係は極端に悪化するだろうが、それは覚悟のうえ。非常事態宣言の発令を巡っては各地で訴訟が起こされ、最終的には最高裁の判断を待つことになるかもしれない。でも地裁で負けることはあっても、最高裁では勝てる。そのために、最高裁の判事に保守派を送り込んでおいたのだから。

政治的な緊張感が高まり、株価が下がっては困る。そこで北朝鮮や中国との関係改善を前面に打ち出し、株価を持ち上げる。その一方ではイランに対する締め付けを強化し、国際緊張のバランスを維持することも必要だ。また当分は議会との関係がこじれるから、政府債務の上限引き上げが難しくなるかもしれない。

議会が債務限度の引き上げを認めないと、夏前には政府の資金が枯渇する。すると国債の新規発行ができず、利子の支払いも出来なくなる。11年には同様の問題が起こり、アメリカ国債が格下げされた。しかし今回その危険性が高まれば、責任は大統領より議会にあるという判断になるだろう。議会が動かなければ、また非常事態を宣言する手もあるぞ。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +381.22円≫
 
       ≪19日の日経平均は? = 下げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週のポイント

2019-02-18 08:17:53 | 株価
◇ 政治に振り回される市場 = ダウ平均株価は先週777ドルの値上がり。これで8週間連続の上昇となり、2万6000ドルにあと100ドルちょっとの水準にまで回復した。ニューヨーク市場では「このV字回復は株価の底入れを示す」という受け取り方も広まっている。12月決算での減益幅が予想より小さく、FRBが引き締め政策の中断を示唆したことが安心感につながった。さらに先週は、議会がまとめた予算案をトランプ大統領が受け入れて政府機関の閉鎖が回避されたこと、米中貿易交渉に一定の進歩がみられたことなども、株価を押し上げる材料となった。

ところがトランプ大統領は週末になって、メキシコ国境のカベ建設を推進するため“国家非常事態宣言”を発動すると発表した。この強硬措置で、民主党との関係がいっそう悪化することは確実。すると政府の債務上限を引き上げる問題は、ますます難しくなるに違いない。大統領の常識を超えた行動が、どこまで大きな政治問題に発展するのか。市場は解明に苦しみそうだ。

日経平均も先週は567円の値上がり。一時は2か月ぶりに2万1000円を回復した。ニューヨークの市況にも引きずられたが、円相場が下落気味に動いたことにも助けられた。今週はアメリカの政治情勢、イギリスのEU離脱、中国の経済動向など、海外の状況を見守る展開になりそうだ。

今週は18日に、12月の機械受注。20日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数。21日に、12月の全産業活動指数。22日に、1月の消費者物価。アメリカでは19日に、2月のNAHB住宅市場指数。20日に、1月の住宅着工戸数。21日に、1月の中古住宅販売、カンファレンス・ボード景気先行指数が発表される。

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>