経済なんでも研究会

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バイデン大統領の困惑 : 自動車スト

2023-09-20 07:05:19 | アメリカ
◇ 政策非難への発展が怖い = アメリカのUAW(全米自動車労組)が15日から、ビッグ3の工場でストライキに入った。GM、クライスラー、フォードから1工場ずつを選んでストに突入。今後は対象を拡大する戦術だという。かつては毎年のようにストを展開していたUAWだが、近年の大規模ストは珍しい。もしストが長引けば、アメリカ経済に大きな悪影響が及ぶことは確実。労使交渉の行く方に注目が集まっている。

UAWは4年間に36%の賃上げを要求。会社側は20%の賃上げを回答したが、折り合わなかった。またUAWは「EV(電気自動車)の製造が進んでも雇用を維持すること」を強く要求している。会社側にとっては36%の賃上げも呑みにくいが、それ以上に雇用の維持は難しい。というのもEVの製造に要する人員は、ガソリン車の7割以下にとどまるからだ。

バイデン大統領はストが始まるとすぐ「記録的な利益が労働者に公平に分配されていない」と発言、会社側に圧力をかけた。UAWの組合員は15万人、民主党の支持者が多い。来年の大統領選挙を考えると、ここで組合側を支援しておく必要があった。ところがバイデン氏の心配は尽きない。というのもバイデン政権は多額の補助金を使って、EV化の促進を図っているからだ。

労使の交渉がもつれた挙句、UAWの矛先がこのEV促進政策に向けられたら大変だ。さらにストが長期化して景気が悪化すると、大統領選挙では苦戦を強いられる。だからバイデン大統領としてはEV化を進めながら、UAWを支援する姿勢をとりつつ、ストを早急に終結させなければいけない。かなり苦しい道のりになるだろう。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -290.50円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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