経済なんでも研究会

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低金利時代からの決別 : アメリカ (下)

2018-05-04 07:13:00 | 金利
◇ 最大の注意点は新興国からの資金流失 = 当面の注意点は、アメリカ経済のインフレ進行度合いだろう。世界同時好況が持続していることで、いま国際商品市況は軒並み強含みに転じている。たとえば原油の国際価格はOPEC・ロシアの協調減産もあって1バレル=70ドルに迫っており、この2年間で7割も上昇した。またトランプ政権の輸入規制で、アメリカ国内の鉄鋼とアルミ価格も上昇中だ。

アメリカの消費者物価は、この3月で前年比2.4%の上昇。まだインフレ的ではないが、過去10年間の平均1.6%上昇に比べればかなり高い。FRBも気にしており、市場でもことし3回の利上げ予想より4回説の方が勢いを増している。利上げのテンポが速まれば、市中金利にも上昇圧力が加わることは避けられない。

金融市場では、短期金利の上昇も目立ってきた。最近の長短金利差は0.5%を切っている。長短金利が逆転して短期が長期を上回るようになると、景気は下降に転じるというのが経験則。だから、この点にも注意しておかねばならない。とにかく長期金利が3%を超えたことで、金融や為替、株式や商品の面に新たな変化が起きることは確実だろう。

そうしたなかで最も重要な変化は、アメリカの相対的な高金利を求めて、新興諸国から資金が一斉に引き揚げられる危険性だ。かつても同様の状況下で、中南米やアジア諸国から資金が流出。ブラジルやアルゼンチン、タイやフィリピンなどが通貨不安を惹き起こしたことがあった。新興国経済の不振は、やがて先進国にも波及する。“金利3%”の影響は、多くの道を辿って日本にも押し寄せるから要注意だ。  

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