貫之集 702
人に別れけるによめるわかれてふ ことはいろにも あらなくに こころにしみて わびしかるらむ別れてふ ことは色にも あらなくに 心にしみて わびしかるらむ 人と別れるに際して詠
貫之集 701
陸奥へ下る人によめるしらくもの やへかさなれる をちにても おもはむひとに こころへだつな白雲の 八重かさなれる 遠にても 思はむ人に 心へだつな...
貫之集 700
人のむまのはなむけによめるをしむから こひしきものを しらくもの たちわかれなば なにここちせむ惜しむから 恋しきものを 白雲の 立ち別れなば なにここちせむ...
貫之集 674
あひ知りたる人のもとにしばし通はぬほどになりて、なかたえてまた思ひかへして、いひやるい...
貫之集 657
ひとしれず われしなきつつ としふれば うぐひすのねも ものとやはきく人しれず われし泣きつつ 年ふれば 鶯の音も ものとやは聞く...
貫之集 632
ひとしれず いはぬおもひの わびしきは ただになみだの ぬらすなりけり人しれず いはぬ思ひの わびしきは ただに涙の ぬらすなりけり...
貫之集 627
ほととぎす ひとまつやまに なくときは われうちつけに こひまさりけり時鳥 人まつ山に 鳴くときは われうちつけに 恋ひまさりけり...
貫之集 622
しのぶれど こひしきときは あしひきの やまよりつきの いでてこそくれしのぶれど 恋しきときは あしひきの 山より月の 出でてこそ来れ...
貫之集 617
いろもなき こころをひとに そめしより うつろはむとは おもはざりしを色もなき 心を人に そめしより うつろはむとは 思はざりしを...
貫之集 610
ゆめぢにも つゆぞおくらし よもすがら かよへるそでの ひちてかわかぬ夢路にも 露ぞおくらし 夜もすがら 通へる袖の ひちてかわかぬ...
貫之集 608
はつかりの なきこそわたれ よのなかの ひとのこころの あきしうければ初雁の なきこそわたれ 世の中の 人の心の あきし憂ければ...