PoPo映画

映画徒然節…ネタばれ失礼

千と千尋の神隠し

2008年07月24日 | さ行
出演:柊瑠美 入野自由 夏木マリ 内藤剛志 沢口靖子 上條恒彦 小野武彦 我修院達也 菅原文太 他

2008年7月現在、日本の映画興行成績1位の記録を持つ映画ですポニョやいかに??。ベルリン国際映画祭でアニメ初の金熊賞・アカデミー長編アニメ賞など、やたらと記録ずくめの映画です。

10歳の荻野千尋(千)は、引越しのため両親と車に乗っている時道に迷い、奇妙なトンネルを抜け不思議な世界に入ってしまう。神の食物を食べた両親は豚になってしまい、残された千尋は、偶然出会ったハクという少年の助けを得、神々が集う湯屋で働きながら両親を助けようとする…。

ココだけの話ですが(?)、私の娘は「ちひろ」です。この映画ができた時、将来娘が観たら面白いだろうなぁ…って思ってました。案の定娘はこの映画をいたく気に入り、何度も見せろとせがみました。小さな女の子がたくさんの体験を通して成長する姿は、大人だけじゃなく子どもの心にも何か働きかけるところがあったのかもしれないね(ましてや、同じ名前だし)。そんなわけで、ちょいと思い入れのある映画となっています。

それにしてもまぁ個性的な人たちの登場する映画ですこと。個人的に八百万(やおよろず)の神的な世界観って好きなので、色んな神様がキャラクターみたいに出てくるのはとても面白かった。して、それらの神様が疲れてて、お風呂に入りに来るってのも良いではないですか。皆疲れてるんだよ。安らぎを求めたいと思うんだよが海外にも受けたのかなぁ?
「顏なし」も、面白いキャラクターだった。貪欲といえばきりが無い怪物だけど、それだけではない・何か満たされないキャラで、この映画のキーパーソンになってます。すんごい象徴的だね。もしかしたら多くの人が顔なしなんで無いの?
名前ってのにも意味があったね。千尋ではなく千にすることによって人を支配する…。もっと製作者側には意味はあるのかもしれないけど、自分であると言う最初のアイデンティティって名前なのかなぁ…って思っちゃいました。そ~いや妊婦雑誌にも「子どもに初めて送る贈り物は『名前』」って書いてたもんなぁ…。
寓話の要素も強いけど、トトロほど万人に受け入れられる映画では無いと思ってたので、未だに興行収益1位ってのが不思議だなぁ…って思います。タイミングが良かったんだろうねぇ。トトロみたいに明るいばかりでなく、シニカルな部分もある映画だから大人にも受けたのかなぁ?
スタジオジブリって考えると、及第点+αって感じかなぁ…。好きだよ!嫌いじゃないよ!!

クラッシュ

2008年07月16日 | か行
出演:サンドラ・ブロック  ドン・チードル   マット・ディロン   ブレンダン・フレイザー  テレンス・ハワード   サンディ・ニュートン   ライアン・フィリップ他

2005年アカデミー賞で「作品」「脚本」「編集」の3冠に輝きました。
ある寒い夜起こった自動車事故。現場近くには若者の死体があり(別件)、それを見たロサンゼルス警察の刑事グラハム(ドン・チードル)は、言葉を失う…そして物語は前日に遡り…。

物語は、一見全く関係ない白人検事夫妻・裕福な黒人TVディレクター夫婦・自動車窃盗の黒人グループ・人種差別の固まりの白人警官・ちぃと見怖いスキンヘッドの真面目な錠前屋・ペルシャ系の小売店一家が、微妙に絡み合い(クラッシュし)ながら進む。
個々のエピソードがそれぞれスリリングで、差別や偏見・憎悪を蓄積させた人間同士がぶつかると、こんな相乗効果が生まれるのかぁ…って、怖かった。アカデミーで闘った「ブロークバックマウンテン」が静なら、コッチは激の映画ですね。
こんだけ色んなエピがあると、ちゃんと観てなきゃ訳が分からなくなりますが、段々筋が見えて後半になるとどんどん面白くなる。錠前屋の天使の娘(個人的にこのエピが一番好き♪)・黒人TVディレクターと窃盗団…そして強盗と正義感の強い悲しい白人警官なんかの話が全部リンクしてて、この脚本は本当に秀逸だと思いました。キャストに無駄が無い…ってか、こんだけ大勢のキャストをよぉまとめたなぁ…。
だから、みんなひっくるめてとあるLAの一日なんでしょう。
日本人的には、いくら銃が身近になったと言われても、見たこと無いから微妙に無縁だし、あからさまな人種差別も経験してないから「なんか皆すげ~熱い…」と一歩ひいて観てました…だって、本と怖いんだもん。自分ではどうにもならないストレスは、これほど人をささくれ立たせるんだ!!きっとこんな風にいきり立った人は、日本にも増えてるんでしょうね。
最終的に、壊れてた人たちが自分を取り戻し、まっとうだった人が壊れてしまった…。とても上手くまとめたと思うけど、辛い一点がどうしても辛くて…。彼は今後どうなってしまうんだろう?ま、そのことが無きゃ全ては始まらなかったのかもしれないけどね。
「ミリオンダラー・ベイビー」は未見だけど、観てみようかしら…。

西の魔女が死んだ

2008年07月12日 | な行
出演:サチ・パーカー 高橋真悠 りょう 大森南朋 高橋克実 木村祐一

超ネタばれ!!!(ヲヰ)

原作は梨木香歩さんのベストセラー小説です。中学に入ったばかりのまい(高橋真悠)は母親(りょう)に「学校へ行きたくない!」と告げ、田舎に住む英国人のおばあちゃん(サチ・パーカー)と暮らすことになる…。

私、原作未読です。映画に行く前に「読む~?」ってお誘いはありましたが、結局読まずに映画を観ました。
森の中にひっそりある素敵なお家。庭にはハーブやお花が咲き、鶏を飼ってワイルドストロベリーのジャムを作る。風の吹く丘があり、木漏れ日の集まる切り株がある…。人生を丁寧に生きるおばあちゃんは、存在自体が魔女(稀有)なのでしょう洗ったシーツをまんまラベンダーに乗せて乾かすのはビックリしたけど
まいは「感受性が強すぎる・扱いにくい」ってお母さんに言われ傷つき、何気ないお父さんの言葉にも傷ついている子なんだよね。ロウティーンの頃は、子どもでも大人でも無いって中途半端な時期。だからこそ、色んなコトを考え、聞き耳をたて、自分を通そうとするあまり孤立するってのは分かる。そんな自分を客観的に捉たものの、どうして良いか分からないまいは、おばあちゃんに救われました。本と、おばあちゃんと孫って良いね♪親子は結びつきが強いけど、近過ぎて分からなかったり傷つけたりするかもしれない。でも、おばあちゃんと孫は間にクッションがあるから、丁度良い距離感で付き合えるんじゃないかと思います(ケースbyケースだけど)。

…と、まぁこんな生活が淡々と綴られている映画です。大笑いもショッキングシーンもありません。当然「つまらない」と捉える人も多いと思います。でも私は、スクリーンに映し出される心地よい風や暖かい空気・おばあちゃんのウィットに富んだ綺麗な言葉に浸ることが出来たので、大分弱くなった感受性をフルフルさせながら観る事が出来ました。キム兄のいやらしい隣人は見事!ビジュアルピッタリだわ♪
最初母親と魔女(おばあちゃんのことね)が同じタイミングで返事していたのを、その後まいと魔女が同じタイミングで返事する。魔女修行のための言葉「魔女は自分で決めるんです」ってキーワード。「直感に従って生きることも大切だけど、直感に振り回されて自滅することもある」。実は完璧で無い魔女がぐらつき煙草を吸うシーン…数え上げればきりが無いほど、印象的なシーンがあります。「おばあちゃん大好き!」ってまいの言葉に「I know」って…それだけで泣けるのは何故かしら?
最後の最後、まいとの約束をちゃんと守ってくれた魔女の言葉にまた涙…。きちんと見守った人でなければ分からない、大切なものを受け止める力…やっぱ魔女だよ。

魂は色々経験して成長する。

是非ともその言葉を信じたい!と思いながら、大酒呑んでる私…。まだまだ魔女修行は足りないようです